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    かけはし2019年1月14日号

東京高裁で格差是正前進判決


12.13

郵政ユニオン労契法20条裁判

使い捨て労働力視許さない

不当な格差の是正さらに求め上告


「地位確認」
など認められず
 東日本(東京地裁)の非正規雇用社員=郵政ユニオン三人と西日本(大阪地裁)の非正規雇用社員=郵政ユニオン八人が、同じ業務をする正社員と比べて諸手当や休暇制度に格差があるのは労契法違反であるとして日本郵便に格差是正を求めた訴訟の控訴審判決が昨年一二月一三日、東京高裁であった。西日本の控訴審判決は一月二四日、大阪高裁で行われる。
 東京高裁では一〇の手当・休暇のうち、一審の東京地裁と同様に二つの手当と二つの休暇の格差を不合理であると認め、賠償額を九〇万円から一六七万円に増額した。格差が違法と認められたのは八つの手当のうち、「年末年始勤務手当」(年賀状配達)と賃貸住宅に住む場合の「住宅手当」の二つだ。一昨年の九月の一審では「正社員の長期雇用への動機付けという面もある」として、それぞれ正社員の八割と六割の賠償を認めたが、この二審では正社員と同額の支払いを命じた。
 休暇に関しては、「夏期冬期休暇」と「病気休暇」の二つを原告に与えないことは一審に続いて違法であると認めた。三人の原告はこの分の賠償を二審から追加で請求したことにより、無給で休んだ日数分の賃金の支払いが認められることになった。一方で、正社員と同じ地位にあることの「地位確認」や賞与の格差是正等に関しては、一審同様に訴えを退けたので上告することとなった。

正社員が
二区分に
郵便局では、二〇一四年に「新人事・給与制度」の導入によって従来の正社員を転居のともなう転勤のある地域基幹職社員と、新たに一般職の正社員制をつくり正社員が二つに区分された。地域基幹職と一般職も正社員であり、諸手当ではほぼ同一であるとはいえ、給与体系は大きく異なる。

正社員条件下げ
格差是正実施
一般職には転居をともなう配転はないが、役職への登用はない。毎年の定期昇給も地域基幹職の三分の一、年収も五五歳で定昇ストップとなり、定年時での地域基幹職との差は約三〇〇万円にのぼる。非正規雇用社員が生活していくうえでの諸々の不安から正社員への登用試験を受け、正社員の一般職として合格しても格差が新たに制度としてつくられたのだ。
こうした中で昨年二月、郵政二〇条裁判での各種手当の格差に関して大阪地裁が格差是正を命じる判決を下したにもかかわらず、この判決後、昨年春闘で日本郵便は郵政ユニオン等労組の格差是正を求める要求に対して、正社員の手当の引き下げを内容とする驚くべき回答をしてきた。この回答の内容は、正社員全体から年末手当をなくし、二〇条裁判で非正規雇用社員が勝ち取った住居手当を正社員の一般職にはなくしてしまうというものだ。この他に
?正社員にある寒冷地手当の五〇%削減、遠隔地手当の見直し縮小
?正社員にある年始手当を非正規雇用社員にも与える
?無期雇用に転換した非正規雇用社員(アソシエイト社員)に有給の夏期・冬期休暇を一日ずつ付与
?非正規雇用社員の病休(無給)を最長雇用契約の末日まで確保
?正社員の新規採用時の年休発給日数を現行の二〇日から一五日に縮小
となっており、「同一労働同一賃金の実現」を唱ってきた最大労組のJP労組はこれを受け入れて妥結してしまった。
それもそのはず、JP労組は既に政府の「同一労働同一賃金」のガイドライン案と労契法二〇条裁判の社会に与える影響の大きさを推し量り、「働き方関連法案により『不合理な待遇差の是正を求める労働者が裁判で争える根拠となる法律』が整備されるまでの間に、集団的労使関係に基づく労使自治により、客観的に合理性のある姿を創造する必要がある」として、「…すでに起きている労契法二〇条に係る訴訟の状況も見定める中での、将来の訴訟リスクへの備え」が必要であり、「…今回のJP労組の交渉結果が訴訟の対象になるリスクは排除しておきたい…」という立場をとってきたのだから頷ける。

会社救済選んだ
JP労組の醜態
企業(会社)での労働条件は労・使で決定すべし、つまり労使自治という考え方なのだが、労使間の交渉で解決・救済されない問題については司法が解決・救済するというのが今日のあり方だ。ところが、日本郵便とJP労組はこの裁判で一部の手当と休暇の格差を不合理と認められたことに対して、「労使自治」(労使交渉)で正社員全体から前述した手当と休暇を削減・縮小してしまえ、というおよそ労組としてあるまじき選択をして妥結したのだ。
要するに、裁判に提訴される前に正社員の労働条件を非正規雇用社員に近いレベルまで引き下げておけばリスクは小さくなり、格差も「是正」されるというものだ。こうしたJP労使での先の妥結に関して、連合傘下の労組幹部は「経営側が正社員の手当を下げ、非正規社員に合わせる不利益変更を持ち出さないか、今後は注視していく必要がある」とJP労組の、高い方の賃金を引き下げて低い方に近づけるという「格差是正」に警戒感を示すコメントが報道された。司法が正社員と非正規社員の格差を是正し、救済を図ろうとしている今日、JP労組は労働者同士の連帯ではなく企業(日本郵便)との一体化=企業防衛の道を突き進んでいる。まさに企業内労組として行き着くところまで行ったという醜態をさらしている。
ヨーロッパでは総じて長い労働運動の歴史を持ち、日本とは違って社会保障も整備されてきたが、日本では第二次世界大戦後、朝鮮特需を経て六〇年代の高度成長を通じて、国が取り組むべき社会保障制度を待たず、企業は年功賃金体系をつくり、その補助賃金として各種手当を設けるいわゆる日本型システムをつくり上げてきた。しかし、八〇年代から続く規制緩和によって非正規労働者が増え続けてきても非正規労働者はその埒外に置かれ取り残されてきたと言える。
非正規雇用労働者の待遇改善要求は今後この労契法二〇条裁判を通して手当と休暇の格差是正の適用範囲を大きく押し広げていくことになるだろう。二審判決後、原告の浅川喜義さんは記者会見で「一審から一歩でも前進をという気持ちで頑張ってきた。大きな成果だ」と述べ、棗弁護士は「まだ是正されていない格差もたくさんある」とした。

格差固定化施策
に反撃の共闘へ
先に述べた二区分された正社員のうち、今後は一般職が増え、正社員の低賃金化がすすんでいくと思われる。JP労組の労使一体化による正規、非正規労働者の低賃金化、格差の固定化施策に対して、私たちは正規、非正規労働者が共同して連帯し、反撃していく共闘を拡げていかねばならない。
さらに、六五歳定年解雇の不当判決、そして昨年一二月八日未明に強行採決された入管法改悪など、少子高齢社会に突入した今日の社会情勢について、状況を改革する方向性を持つことなく旧態依然の体制を保持したまま、人手不足の解消と企業の利潤追求を国家が推進していくことを第一義に、生活者権利(外国人の権利も含めて)をも軽視、踏みにじるといういわば生活者の人間としてではなく、単なる使い捨ての労働力としか見ていない政府に反撃していく共闘をも同時に強固につくり上げ拡げていこう。   (M・M)

12.15

沖縄緊急報告集会・辺野古土砂投入翌日

民意圧殺は皆さんの問題

糸数慶子さん怒りの訴え

 【宮城】一二月一五日、糸数慶子さん(参議院議員/沖縄選挙区)を迎え「緊急報告会」が仙台で開催された(主催:実行委員会/連絡気付:宮城全労協)。二部構成で前半は糸数さん、後半は宮城の運動報告だった。
 当初の講演テーマは「沖縄の現状と未来」。知事選挙とその後の県民投票の状況報告とともに、「子どもの貧困」、教育や福祉、経済などについて提起を受け、同時に宮城の運動と沖縄との交流を深めたい、と。
 しかし、集会前日の「土砂投入」強行により、集会の内容が変わらざるを得ない。冒頭、そのように司会から説明があった。また前々日には山城博治さんらへの不当判決が下されていた。

 

  新たな
「屈辱の日」
会場では沖縄地元紙が回覧され、現地の生々しい状況が伝えられた。糸数さんの報告の多くも問答無用の政府対応への批判と「土砂投入の違法実態」に集中した。
怒りは政府のみならず、多くの報道にも及んだ。「トップニュースで土砂投入が報じられた。その内容は、もうあきらめなさいと言わんばかりではないか」。
沖縄は昨日、新たな「屈辱の日」となった、「温故知新というが、振り返れば振り返るほど怒りが増す」。それでも歴史をたどることは必要だと糸数さんは「北京会議」に触れた。
「女性の権利を勝ち取る。そのために世界から北京に集まった(世界女性会議/一九九五年)。ヒラリー・クリントンさんもいて、中心的な役割を果たしていた」「沖縄から参加した私たちは女性の時代だと確信して戻ったが、そこで絶望的事態に直面した。少女暴行事件の報道だった」
激しい抗議に直面して日本政府(橋本内閣)も沖縄に歩み寄ろうとしたとされる。しかし、結局ウソであった(宮城県王城寺原などへの「演習移転」も含めて)。
そのように振り返り、参加者に問いかけた。「だから、辺野古のゲート前に座っているおばあちゃんたちの気持ちを、みなさん、分かりますよね」。悪意に満ちた、あるいはいいかげんな報道や言論を許さないでほしい、その決意を共有しようと糸数さんは訴えた。

「沖縄のことは
沖縄で決める」
残された報告時間のなかで「沖縄の未来」が語られた。強く印象づけられたのは「自決権」への言及だった。
「沖縄に寄り添う」。そのように言われて、こうして何度も裏切られる。沖縄無視が日常化するなか、沖縄は「民族自決権」にますます進むことになる。そのことに「本土」は気付いているのか。
沖縄発の主張は、国連にも反映されてきた。国連を舞台に闘い、その賛同を得てきた。このような努力を日本政府は無視し、沖縄差別を彼方におこうとしてきた。こんな日本をどうするのか。「沖縄がどうなってもいいという議員が選挙で圧倒的多数となり、安倍政権が沖縄を攻撃している。これは皆さんの問題だ」。
(戦後、短時間で)押し付けられてきた「軍事的要石」から、かつて私たちが(長期的、歴史的に)営んできた「交易の要石」として、沖縄は進む。「翁長雄志知事はその道の半ばで逝った。沖縄は玉城デニーさんを新しい知事に選びバトンタッチしたのだ」。

 連帯込めて
宮城も活動報告
集会の後半、沖縄への連帯の表明をかねて宮城の運動の報告があった。
「女川原発再稼動の是非をみんなで決める県民投票」の運動は二カ月間で一一万筆を超える署名を達成した。地方自治法の定めによれば住民投票の請求には有権者の二%(宮城県では約四万)が必要であるが、その三倍近くが集約され、有権者比で五・八%を超えた。この成果を発展させ、知事と県議会に県民投票の実施を求めていこうとの訴えがなされた。
仙台港の火力発電所建設に反対する運動、放射性廃棄物焼却処分に反対する運動、原発訴訟の状況、そして福島第一原発事故による労働者被ばくと労働組合の闘いなど、報告や集会案内が続いた。
(一二月二〇日/仙台Y記)



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