もどる

    かけはし2019年2月11日号

行審法ねじ曲げる権力濫用ノー


1.30

「美ら海」守れ!総務省包囲

国・地方係争委員会は
公正中立な審査を行え


 一月三〇日、「地方自治の砦『国・地方係争処理委員会』に訴える総務省ヒューマンチェーン 〜美ら海の埋め立ては違法! 公正・中立な審査を行え!〜」が総務省前で行われ、四〇〇人以上が参加した。主催は、「止めよう!辺野古埋め立て」国会包囲実行委員会/協力:戦争させない・9条壊すな!総がかり行動実行委員会。
 安倍政権は、沖縄県民、多くの民衆の反対を無視して昨年一二月一四日に辺野古への土砂投入を強行し、一月二八日には埋め立て区域東側の大浦湾で計画しているN4護岸の工事を強行着工した。防衛省と国土交通省は、沖縄県の「辺野古埋め立て承認」の撤回に対して行政不服審査法によって効力を執行停止させ、工事再開を強行した。そもそも行審法は、私人が行政によって侵害された権利・利害を救済するための法律だ。国の機関には原則として適用されないと明記している。まさに行審法の悪用であり、権力の濫用だ。

要請署名提出
総務省が拒否
安倍政権の暴挙に対して玉城デニー沖縄県知事は一一月二九日、石井啓一国交相が埋め立て承認撤回の効力停止を認めたのは違法だとして、総務省「国地方係争処理委員会」に審査を申し出た。実行委は、係争委員会の公正・中立、沖縄の民意を聞けと国・地方係争処理委員会に対して申し入れと要請書署名(三八六二団体)提出を予定していた。なんと「国・地方係争処理委員は公平・中立を保つために面会や署名引き取りができない」などと門前払いを行ってきた。安倍政権と同様な民衆に敵対する総務省の姿勢を許さず、総務省を包囲した。
小田川義和さん(憲法共同センター)が開催あいさつを行った。「一月二六日、辺野古の米軍キャンプ・シュワブのゲート前の沖縄県民投票に向けたキックオフ集会に参加し、三〇〇〇人が集まった。昨年、玉城沖縄県知事を当選させた民意は揺るがず強化されている。安倍政権は米国には何も言わず、県民には脅し、分断を持ち込んで辺野古基地建設を強行している。昨年一〇月三〇日の国交相による埋め立て承認撤回の効力停止決定の理由が、普天間飛行場周辺の危険の除去や騒音の被害防止を早期に実現することだと言って、辺野古基地建設唯一論をふりかざしている。二〇〇〇年に設けられた国・地方係争処理委員会は、国と地方の意見が対立するときに中立・公正の立場から調整する機関だ。その立場でちゃんと審査することを強く求める」と発言。
藤本泰成さん(戦争させない一〇〇〇人委員会)は、「国・地方係争処理委員会は、公正・中立の機関だから市民の意見は聞かないという態度をとってきた。裁判所でさえ署名や市民の声を聞くのに、なぜ係争処理委員会は私たちの声を聞かないのか。行政不服審査法を勝手に解釈し、沖縄防衛局が私人として国に不服を申したてた。なんで防衛局が私人なのか。係争処理委員会は沖縄の民意を聞け」と批判した。
野平晋作さん(実行委)は、「国・地方係争処理委員会ではなく、窓口である総務省が、公正と中立を保つために面会と署名引き取りができないと通告してきた。三八六二団体の思いを伝えるために記者会見し、国・地方係争処理委員会に署名を内容証明で郵送する。地方自治の砦として国・地方係争処理委員会は公正・中立な審査を行え。委員の良心に訴えます」と強調した。
伊波洋一参議院議員は、「玉城知事は、国の辺野古埋め立て撤回の執行停止に対する異議申し立てを地方係争処理委員会に行った。委員会は、しっかりと審議してほしい。国会の所信表明では、これまであった『沖縄県民に寄り添う』という表現がなくなり、日米同盟の強化の項目で辺野古新基地建設を行うと言った。安倍政権は、米国のために辺野古新基地建設の姿勢を崩してはいない。戦争のための基地建設はいらない。二月二四日の県民投票では、しっかりとした声を出していこうと思っている。全国の皆さんとともに安倍政権を打倒し、無駄遣いの基地建設をやめさせよう」と訴えた。
連帯発言は、佐賀平和運動センター、オール沖縄会議からのメッセージ紹介、高田健さん(総がかり行動)、一坪反戦地主会関東ブロック、辺野古土砂搬出反対全国連絡協議会首都圏グループ、辺野古の海を土砂で埋めるな!首都圏連絡会から行われた。
最後に総務省に向かってコールを行い、ヒューマンチェーンで包囲した。(Y)

2.1

2019人権のつどい

「部落差別解消推進法」具体化へ

差別図書出版差し止め裁判から考える

 【東京東部】二月一日午後午後六時半から、東京・亀戸文化センターホールで、「2019人権のつどい『部落差別解消推進法』の具体化に向けて〜『全国部落調査』復刻版出版差し止め裁判から考える〜」が2019人権のつどい実行委員会の主催で開かれた。

差し止め判決を
無視する事態が
二〇一六年一二月一六日に公布・施行された「部落差別の解消の推進に関する法律」においても「情報化の進展に伴って部落差別の状況に変化が生じている」と述べられているように、今日、インターネット上のウェブサイトにおいて、部落差別を助長、扇動する悪質な事例として「示現舎」による全国の被差別部落所在地一覧からなる「全国部落調査」復刻版を出版し、かつ、これをインターネット上に掲載するという事案が発生しています。これに対し横浜地裁相模原支部は出版差し止め及びインターネット上の削除を命じる仮処分を行いましたが、「示現舎」は掲載を止めないため、東京地裁において裁判が行われています。
こうした部落差別の今日的実態をふまえ、「部落差別の解消の推進に関する法律」の具体化と活用により部落差別のない社会をつくっていくため「全国部落調査」復刻版出版事件裁判弁護団の山本志都弁護士から部落差別解消に向けた法の具体化について提起していただきます。(呼びかけチラシより)

山本弁護士
現状を講演
実行委員会代表の主催者あいさつ、江東区からの来賓のあいさつの後に、山本弁護士が講演を行った。
講演の中身は以下の通りであった。

インターネット
が今の主戦場に
第一、現代のインターネット上の差別行為の特徴。二〇一七年中に全国の法務局で受け付けたネット上の人権侵犯事件が二二一七件。前年比一六・一%増、五年連続で過去最高を更新。法務局がプロバイダー(接続業者)や運営会社に書き込みの削除要請は四分の一程度、差別の横行、「底が抜けた状態」。

第二、『全国部落調査』復刻版出版事件裁判とは。神奈川県川崎市の出版社「示現舎」(実態は二名の個人)、大部分が手書きで記載されている「全国部落調査」を活字化し、現在の地名を付すなどの編集をして、『復刻 全国部落調査 部落地名総鑑の原典』と題した書籍の出版を企図(二〇一六年四月一日出版予定と告知)。「全国部落調査」:財団法人中央融和事業協会が一九三五年に調査し、翌一九三六年に刊行された調査報告書。全国の部落所在地、部落名、戸数、人口、職業、生活程度等が記載。
差し止めを求めて仮処分と本訴の裁判を起こしている。差し止めの対象・「全国部落調査」復刻出版・インターネット上での記事の掲載、@「全国部落調査」や「復刻版」の電子データA「部落解放同盟関係人物一覧」。出版の差し止め。ウェブ上の@A削除+一切の方法での公表禁止、ひとり百万円の不法行為責任に基づく損害賠償請求。
出版禁止とウェブ削除の仮処分ではいずれも勝利している。本訴は東京地裁で継続中。

第三、見えてくる問題点。特定人を対象としない集団誹謗的表現や差別助長表現に対する規制がない。一般的には存在しない、被害者による法的手続の開始が期待しにくい。差別禁止法の必要性。

第四、現代型差別の損害・被害の深刻さ。部落差別は「検索」によって顕在化することが多い(他の差別との違い)。ネットの世界では差別的情報が圧倒的。「部落差別」「同和問題」差別的情報(投稿・動画など)、デマや偏見が検索上位に。教育現場で起きていること・中学校 人権教育の授業 ネット検索「暴力団の七〜八割は部落出身者」・「質問サイト」での差別的な質問、身元調査や結婚差別など、「ベストアンサー」の約七割が「部落は怖い」などの差別的回答。?「寝た子を起こすな」→「寝た子はネットで起こされる」。差別や偏見を持たない、デマをうのみにしない力をどう育てるか。
解放教育や平和教育が行いにくくなっている教育現場の中で実際に起きていること。・部落にルーツがあることをネットで知る。?差別投稿と現実を当事者が突然目の当たりにする。
手軽になった身元調査(きわめて深刻な事態)。「どこが部落か」「部落出身者かどうか」を調べるための利用。結婚相手の身元調査や、不動産取引における土地差別調査(同和地区か否かの調査)。

第五、今後の規制に関する議論(どんな制度が考えられるか)。フランスの事例。
二〇一二年一〇月Twitter「良いユダヤ人は死んだユダヤ人」と書き込み次々にリツイートされる事件が起き、「人種差別禁止法」に基づきユダヤ人学生協会がツイッター社に「アカウント削除と発信者の連絡先提出」を求めた。ツイッター社は「ユダヤ人についてポジティブなメッセージをたくさん送ればいい。仲裁者ではない、個人どうしのケンカに関与しない」と拒否したが裁判でツイッター社は負け、公開した。ヨーロッパではこうした動きだがアメリカは法的規制をしていない。
日本では「表現」の自由の問題との綱引き。「差別」についての議論が必要。ヘイトスピーチ解消法が作られた。「許されない」と明記されたが、それ自体で罰則などがない。民事・刑事の不法行為等の解釈基準として間接適用される。特定の個人に向けたものが基本類型。不特定多数に向けたものは規制対象外となってしまう。
インターネットが主戦場になっている。若い人への教育が大事だ。(講演のレジメの一部を抜粋した)
部落差別を許さない粘り強い運動を続けていこう。         (M)

コラム

政府は 軽減特例の廃止を止めよ

 現在七五歳以上が加入する後期高齢者医療制度で低所得者の保険料が軽減されている特例が存在している。自・公政府が今年一〇月の消費税増税時にこの特例を廃止する方向で検討していることが明らかになった。
 この後期高齢者医療制度は二〇〇八年四月に発足させられたものだ。そもそも七五歳以上の高齢者を国民健康保険制度から切り離し、別個の保険制度にすること自体が不合理なのだ。都道府県ごとに地方自治体を寄せ集めた広域連合がその受け皿である。裕福な広域連合とそうでないものとの間に医療サービスの格差が生じるのは避けられない。そこには高齢者を姥捨視する思想が見え隠れしていると言わざるを得ない。
 七五歳になって後期高齢者医療制度への編入の知らせを受け取った人は「どういうこと?」と思わなかった者はおそらくいないだろう。
 低所得者に対する軽減特例とは以下の内容だ。現行は年金のみで年収一六八万円以下の人を対象に保険料が七割〜九割軽減される仕組みになっている。
 年収八〇万円以上〜一六八万円の人は月額一一三〇円を五七〇円に。八〇万円以下は月額三八〇円に抑えられている。
 厚生労働省保健局によれば二〇一六年度には「国費九四五億円、地財措置一五〇億円を投入」「年々増加傾向にある」という。自・公政府は二〇一七年から段階的に廃止するとしていたが、消費増税の延期を決めたために先送りされていた。
 自・公政府は今年一〇月からの消費増税時にこの特例廃止で社会保障費は年約六〇〇億円削減できると見込んでいる。六〇〇〇億円と予想される社会保障費の伸びを五〇〇〇億円未満に抑えるためだ。
 特例廃止で「負担増」の影響を受ける七五歳以上の低所得者層は約七四〇万人以上に及ぶのだ。
 「現役世代との負担を公平にするため」と言うのがその理由だ。これはおかしい。同一の保険制度の内容の問題として論じるのならまだしも、現役世代は国民健康保険制度、七五歳以上の高齢者は後期高齢者医療制度というまったく別個の保険制度に属している。しかも保険制度を二つに分裂させたのは当の自・公政府そのものだ。非常に意図的である。高齢の低所得者層の切り捨てそのものだ。
 国民皆保険制度は社会的な助け合いの制度であり、必要不可欠なセーフティネットの一つに他ならない。後期高齢者医療制度の低所得者層の軽減特例の廃止は社会的な助け合いの制度であり、セーフティネットから高齢者を弾き出そうとするものだ。軽減特例は不公平なのではなく必要な措置なのだ。
 自・公政府には単に低所得者というだけでなく「社会的弱者」そのものを虐待し、排除しようとする思想的背景がある。さらに消費増税の重圧が加わるのだ。七四〇万人の怨念は深い。    (灘)

 


もどる

Back