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    かけはし2019年4月15日号

見え透いた政府の自作自演だ


沖縄報告 4月7日

国交相による埋め立て承認撤回取消し

沖縄 K・S

4.5

全県全国から権力乱用、
政治の堕落に抗議の声を

――今こそ闘いの正念場

 石井国交相は四月五日、沖縄県が昨年八月末に行なった辺野古埋立て承認の撤回に対し取り消す裁決を行なった。行政不服審査法を悪用し防衛省が出した審査請求を同じ内閣の国交省が下すという見え透いたごまかしだ。公明党の大臣は、沖縄の県民ぐるみの辺野古埋め立て反対の声を踏みにじる安倍政権の先兵の役割を担っている。恥ずべきことだ。国家権力の乱用、政治の堕落。安倍政権の政治の私物化は底なしだ。そして、大手マスコミは報道機関の役割を忘れて政府におもね、政府の発表を垂れ流すか問題をスルーするか、情けない姿をさらけ出している。
 「無理が通れば道理が引っ込む」という言葉がある。沖縄県民と日本政府が全面対立する辺野古新基地建設の構図がまさにそうだ。沖縄県民は知事選挙、国政選挙、県民投票等、一貫して辺野古新基地反対・埋め立て反対の明確な意思表示をしてきた。しかし、安倍政権は一顧だにしない。「真摯に受け止める」「県民に寄り添う」「負担軽減に努める」と空虚な言葉を並べる一方で、やっていることははじめから終わりまで、違法・脱法のもとで埋め立て工事をごり押ししてきた。その結果、辺野古海域に護岸が造られて赤土土砂が投入され、ジュゴンが死んだ。さらに、安倍政権はここぞとばかり図に乗って、琉球列島の自衛隊基地建設をがむしゃらに進めている。
 県民はこの状況を歯ぎしりして見ているが、屈服した訳でもあきらめた訳でもない。辺野古に新しい基地を造ってはならないという共通認識は揺らぐことなく共有され続けている。県民投票で明確な民意を示した事実を新たな起点に闘いは続く。
 世界のウチナーンチュは工事の中止を求めて「グローバルうちなんちゅ同盟(GUA)」を結成した。沖縄県は防衛局に対する行政指導を行なうと共に、ドイツ・イタリア・ベルギー・イギリスでの米軍の行動を国内法で規制している地位協定の調査をまとめた報告書を発表した。米軍優先・米軍支配の日本と沖縄の現状が世界基準に照らしても如何に異常かということを事実をもって訴えている。沖縄県議会は「県民投票の尊重、埋め立て工事の中止、新基地建設の断念、普天間飛行場の運用停止と閉鎖・撤去」を求める意見書と決議を採択した。
 全県全国津々浦々から「沖縄の民意を尊重し埋め立て中止」の声をあげ、沖縄に連帯して行動しよう。県民投票で明確に県民の意思が示された今こそ闘いの正念場だ。

4.6

辺野古ゲート前行動に800人

埋立て承認撤回取り消しに
抗議し土砂投入中止訴え


 第一土曜日の四月六日、オール沖縄会議が主催する辺野古ゲート前県民大行動に県内外から八〇〇人が結集し、埋め立て中止・新基地断念を求める声をあげた。一一時からの集会は平和運動センターの大城悟事務局長の進行で、はじめに高良鉄美さんなど三人の共同代表が挨拶した。
 高里鈴代さんは「3・16県民大会の決議文をもって上京し政府に要請行動をした。沖縄に対する強権政治をはね返していこう」と訴えた。稲嶺進さんは「喜びの月である四月がスタートしたが、私は朝からワジーワジーしている。国交相の承認撤回の取り消しはひどい。公正公平ではない。あるのは忖度ばかりだ」と訴えた。
 国会議員の発言では、照屋寛徳さんは「ウチナーとウチナーンチュに対するあらゆる不条理がまかり通っている。行政は行政で、私たちはゲート前、海上であらゆる闘いをやり抜こう。安倍を倒すために沖縄から声をあげていこう。衆院3区補選にかならず勝とう」とアピールした。
 赤嶺政賢さんは「3区補選の相手候補は、辺野古ゲート前の座り込み参加者を犯罪人扱いし強く取り締まることを求めた人だ。沖縄の民意をつぶそうとする人だ。負けられない。県民投票の二倍、三倍の力で闘って、屋良さんを押し上げていこう」と訴えた。
 「ハイサイ、グスーヨー」と切り出した伊波洋一さんは「福岡・下関の道路建設に見えるソンタク政治は、森友、加計、統計などすべてにわたっている。軟弱地盤で辺野古に基地が造れないことは三年前から分かっていた。埋め立て工事を強行してきたが、新基地はできない。われわれに理がある。知事と共に現場でしっかり闘おう」と述べた。
 衆院3区予定候補の屋良朝博さんのあいさつの後、ヘリ基地反対協の仲本興真さんが「今日カヌー一六艇、抗議船三隻で海上行動に出た。海上行動チームは雑草にように頑張っている。われわれのゲート前と海上の粘り強い闘いはボディブローのように相手に効いているはずだ。長丁場になるとどうしても参加者が減ってくるが、闘いの輪を広げていこう」と呼びかけた。
 最後に、高里鈴代さんがリードして、「沖縄を返せ」を全員で歌ったあと、手に手を取るガンバロー三唱で集会の幕を閉じた。

3.26〜28

東京・神奈川の米軍基地めぐり

戦後74年駐留米軍が日本の
空を支配する異常な現実


三月二六日から二八日まで、東京・神奈川にある横田・厚木・横須賀・麻布四カ所の米軍基地をめぐり見学した。今回足を運べなかったが神奈川には陸軍のキャンプ座間や一九七二年の米軍戦車ベトナム輸送阻止闘争の舞台となった横浜ノースドック・相模原補給廠もある。戦後七四年を経てなお日本の首都圏に米陸海空軍が大規模に駐留し日本の空を支配する異常な現実を目の当たりにした。

アジアのハブ
空港・横田基地
新宿駅から中央線で八王子駅に行き、八高線に乗り換えて東福生駅で降りて、両側を基地に挟まれた国道一六号線をしばらく北上。郵政ユニオンの友人の言葉に従ってドンキホーテの建物の四階に上がると、眼下は広大な横田基地。真ん中あたりにはレーダー、管制塔、半地下式弾薬庫、その向こうには住宅用建物群が見える。滑走路の右手からはC130輸送機や小型機が次々に離陸する。駐機場にはC130輸送機が一〇数機ズラリと駐機し、大型の貨物輸送機もいる。横田は東アジアの米軍のハブ空港だ。常駐輸送機に加えてF15、F18、KC135空中給油機、各種自衛隊機が頻繁に離着陸を繰り返す。
地域住民は「静かな夜と空を返せ」とこれまで九次にわたる基地公害訴訟に取り組んできた。昨年一一月の東京地裁立川支部の判決は、普天間や嘉手納の爆音訴訟と同じく、@騒音被害に対する損害賠償は防衛局が認定した騒音レベルにより認めるものの、A夜間早朝の飛行差し止めは、米軍の飛行をコントロールできる立場にないという第三者行為論で棄却する内容だった。

厚木基地の爆音
に対する闘い
神奈川県のほぼ中ほどにある厚木基地も日本に駐留する米軍基地の多くと同じような経過をたどってきている。一九四一年六月、日本の真珠湾攻撃の半年前に完成した海軍厚木飛行場は、一九四五年九月二日、ミズーリ号上での日本軍の降伏と共に米軍に接収された。はじめ陸軍の管理下にあったが、朝鮮戦争が起こったあと米海軍厚木航空基地となった。そして一九七一年に海上自衛隊が使用を開始して以後、日米共同基地となった。メインゲートには、日の丸・星条旗とともに「米海軍厚木航空基地」「海上自衛隊厚木航空基地」の看板が並んで掲げられている。
市街のど真ん中にある厚木基地の滑走路は二四〇〇mと、そう長くはないが、騒音の激しい空母艦載機のF18ホーネットをはじめ、早期警戒管制機、電子偵察機、対潜哨戒機、各種ヘリがひしめくように運用されて来た。厚木の住民は今第五次爆音訴訟のただ中にある。午前中訪ねた訴訟団の事務所では、四〜五人のスタッフが忙しく活動中だった。壁には、「静かな夜を求めて共に裁判に訴えましょう」と呼びかける原告募集のポスター、「爆音の 違法承知で なお爆音 これが法治の 国の業かや」との句が書かれた額がある。米軍と政府のやり方は普天間や嘉手納と同じだ。
忙しい時間を割いて厚木基地を車で案内していただいたのは爆音訴訟調査センターの矢野さん。相鉄線相模大塚駅からぐるりと、引き込み線、ゴルフ場、メインゲート、自衛隊官舎、工業団地、滑走路の端から基地内が眺望できる南側のスポーツ公園を通って一周した。空母艦載機が岩国基地に移動したあとも、艦載機は随時飛来し、自衛隊機、米軍ヘリの騒音は続いているとのことだ。厚木の住民は岩国の住民とも常時連絡を取りながら、米軍が支配する日本の空を取り戻すために運動を続けている。

40年にわたる
ヨコスカの闘い
厚木から横浜に出て京急線で追浜(おっぱま)駅に行くと、「非核市民宣言運動ヨコスカ」「ヨコスカ平和船団」の古参メンバーの新倉さん・市川さんが迎えてくれた。新倉さんたちは四〇年以上にわたって地元横須賀で創意工夫をこらした運動を続けてきた。詳しくは、新倉裕史『横須賀、基地の街を歩きつづけて』(七つ森書館、二〇一六年)。早速ヨットハーバーへ向かい、船長の市川さん操縦の船で横須賀港内をめぐり、海上自衛隊・米海軍をくまなく見て回った。護衛艦の甲板上で作業する自衛隊員の姿が一〇数メートルの距離で見える。小さな船で潜水訓練をしていると思われる現場も二〜三件遭遇した。自衛隊員たちは「ヨコスカ平和船団」の船を特別怪しんだり、警戒したりするそぶりもない。長年にわたる横須賀のメンバーの地道で誠実な運動の積み重ねを表しているのだろう。
数多くの護衛艦や掃海母艦、潜水艦などの中にひときわ船体の大きな自衛艦は「いずも」だ。ヘリ搭載護衛艦「いずも」は全長二四八m、排水量一九九五〇トン、甲板の五カ所のヘリ・スポットから同時に離着陸ができるという。これをさらに、F35Bステルス戦闘機やオスプレイが搭載可能な攻撃型空母に改造する計画が進行中だ。横須賀の海上自衛隊基地の規模は昨年訪問した広島の呉をはるかに上回る。
横須賀基地は海上自衛隊エリアと米軍エリアがある。米軍エリアには修理関連バージや何カ所かのドックなどの施設と共に、高性能レーダーとミサイルを備えたイージス駆逐艦・イージス巡洋艦が停泊している。横須賀を母港とする原子力空母ロナルド・レーガンも停泊している。ロナルド・レーガンは原子炉を二基持ち、全長三三三m、満載排水量は一〇万トンを越す。最大九〇機まで艦載機の搭載が可能だという。
平和船団の船が米軍・自衛隊の艦船を間近に見ながら提供水域の中を悠々と航行することができるのは、港湾の管理を自治体の手に委ねた港湾法に根拠がある。横須賀港の港湾管理者は横須賀市長。提供施設であっても、米軍の独占的な使用は許されない。だから平和船団の船は提供水域の中であろうと通行できる。国内法に基礎を置く軍隊に対する見事な闘いの実例だ。

都区内唯一の
米軍基地とは
東京都区内の唯一の米軍基地は「赤坂プレスセンター」。またの名を「六本木ヘリポート基地」あるいは「麻布米軍ヘリ基地」というそうだ。東京メトロ千代田線の乃木坂駅で下車すると、都立青山公園は目の前。公園の向こうに見える薄茶色の建物は宿舎で、その左側にトンネル上の広大なヘリポート基地がある。港区が発行したリーフレットを見ると、ここでも港区の返還要請を無視して居座り続ける米軍と米軍のお先棒を担ぎ不法な米軍基地を容認し続ける政府防衛省という姿が浮かび上がる。
この国の最大の一大事は外国軍隊の支配と特権、そしてこれと癒着して国家権力を維持する政財官の支配層。この支配の構造を打破・解体しない限り、日本の民主主義や自治は絵に描いた餅だ。
翁長雄志知事が常々述べていたように、「憲法の上に日米地位協定があり、国会の上に日米合同委員会がある」という戦後日本政治のゆがみを行政、司法、立法、マスコミすべてが容認し覆い隠してきた。横田・厚木・赤坂を含み関東一円に広がる「横田空域」と呼ばれる米軍が支配する空域の存在は米軍に従属する日本の現実の象徴だ。同じような米軍支配の空域は岩国、嘉手納にも存在する。トランプが日本を訪問するとき、羽田や成田から入るのではない。大統領専用機で横田に入りヘリで六本木ヘリ基地に降り立つ。日本は米軍があからさまに支配する世界で唯一の国だ。しかもその事実を政府が国民に対し隠そうと努力する異常さ。吉田敏浩『横田空域―日米合同委員会でつくられた空の壁』(角川新書、二〇一九年)を国民の共通認識とし、どうすれば打開できるか議論し知恵をしぼろう。



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