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    かけはし2019年6月17日号

あなたは安全ですか?


座談会:「地下鉄民間委託システム」の問題はどこに(上)

安定運行も不可能―数年毎の委託契約入札

 新都市や都市開発政策が出てくるたびに欠かせないものがある。すぐに地下鉄や都市鉄道新増設である。ところが、市民の必要性のためそのように作られる地下鉄が一様に重層的な民間委託である。最小のコストと最小人員で運行されていく地下鉄、数年に一度の委託契約を更新して安定した運行さえ保障できない地下鉄に私たちは安心して乗ることができるのだろうか?
 その地下鉄で働く労働者は言う。いつ事故が起きてもおかしくない状況だと。市民は、生命と安全を担保されず、労働者はコスト削減に苦しめられる。地下鉄は公共機関なのだから、その所有と運営も公共的でなければならない。今、地下鉄民間委託システムを変えるために闘う労働者がいる。民間委託が地下鉄をどのように台無しにしているのか、彼らから話しを聞いた。
イ・ジェソン 公共運輸労組金浦都市鉄道支部支部長(以下「金浦」)

 金浦都市鉄道は金浦市陽村から金浦空港まで10の駅舎を運営する軽電鉄である。ソウル交通公社と同じように地下鉄運転、管制、維持管理などの業務を遂行する。2018年1月にソウル交通公社の子会社として設立された。その後、職員を採用しながら現在は人員が200人程度になる。
部署は安全経営部、管制部、技術部に分けられる。金浦都市鉄道は無人軽電鉄なので、運転士が運転するのではなく管制室が車両をすべて操縦する。技術部は維持管理部署であるが、車両の整備と点検、電気、線路や施設管理など駅舎と軌道、車両全般を管理する。

シン・サンハン 公共運輸労組ソウルメトロ9号線支部支部長(以下「 9号線」)

 私たちは、ソウル地下鉄9号線の第2、第3の区間を担当している。第2区間は新ノンヒョン〜総合運動場、第3区間は総合運動場〜中央報勲病院で第1区間である開花〜新ノンヒョンは、民間資本が運営。私たちも、既存の地下鉄や鉄道と同じ業務を遂行する。列車の運転はもちろん、設備メンテナンス、役務などだ。しかし、会社のあり方は民間委託された会社と同じだ。

公共財政を投入して運営は民間委託


地下鉄は公共大衆交通手段であるが、金浦都市鉄道とソウル地下鉄9号線ともに子会社や入札委託契約などの事業構造が複雑である。結局、政府や自治体が公的責任で運営するのではなく、コスト削減を掲げて重層的な構造を作り上げた。会社の運営構造を説明してもらえますか。

金浦―金浦都市鉄道を作るときの総事業費は1兆5千億ウォンであり、金浦市が3千億ウォン、LH公社(韓国土地住宅公社)が1兆2千億ウォンを出資した。LH公社の出資金は、金浦漢江新都市入居人らが出した交通分担金である。
金浦市は、それまで都市鉄道がなかったので、2016年に都市鉄道運営委託契約の公告を出した。当時、ソウル交通公社が統合する前で、ソウル都市鉄道公社、ソウルメトロ、仁川交通公社など、多くの運営会社が入札に参加し、そのなかからソウル都市鉄道が契約を獲得した。
問題は、契約を獲得するために最低価格で入札をしたことだ。金浦市が独自に算出した年間運営費は230億ウォンだったので、5年間で1180億ウォン程度を予定価格にした。ところが、ソウル都市鉄道はこれより低い1千億ウォン程度で落札した。当然その程度の金額では人件費の問題もあり、ソウル都市鉄道が直接運営することができないので、「金浦ゴールドライン運営」という子会社を設立して業務を任せたのだ。

9号線―9号線の第2、第3区間は、ソウル市の財政を投入して作った。ところが、ソウル市はこの区間を3年ごとに公開入札方式で民間委託して運営している。

 2014年には初めてソウルメトロが入札を獲得した。ところが、それを直接運営するのではなく、「ソウルメトロ9号線運営」という子会社を作ってここに渡して再委託したのだ。しかし、ソウル市の民間委託条例によると、委託を受けた業者は再委託ができないことになっている。それで2017年にソウル市が条例違反を理由に再公募を実施した。
ところが、ソウル交通公社がソウル市に言い訳を行った。「今すぐに直接雇用をすることはできないので、時間をくれ」と。しかし、1年が過ぎても直接雇用は行われなかった。結局、昨年に労組がストライキを決行することになると、その時になってやっと、ソウル市が動いた。ところが、最後になって茶番を行ってきた。まさに「CIC(Company In Company、「会社の中の会社」)」と呼ばれるものだ。形式的にソウル交通公社が直接雇用はするが、別会社のように運営するというものだ。最終的には子会社のシステムがそのまま残った。ソウル交通公社は「労組が提案を受けなければ事業自体を放棄する」と宣言したので、労働組合は泣く泣くそれを受け入れた。会社が1年間だけそうするとしたので、それ以降には実質直接雇用になるだろうと考えた。
しかし、結局は嘘だった。使用者側は今になって「CIC期間が終わっても、就業規則を別に書く未来モデルを作ってみよう」と言う。ソウル市は3年ごとに、委託契約公募を実施するのでそれまでは、少ない予算で運営しなければならないということだ。労組としては決してこの提案を受け入れることはできない。かつてわれわれはソウル交通公社の職員でもあったが、その提案を受け入れてしまえば既存の1〜8号線にも適用することができる。9号線が少ない人員とコストで運営され続ければ、一から8号線にも適用をしなければならない。

「重層的委託」地下鉄、
安心して乗ることができるか


自治体とソウル交通公社は、子会社等との契約関係が重層的に絡んでいるわけだが、このように構造が不安定でコスト削減を前面に出し、労働者の処遇が劣悪になることによって、市民が不便を経験したり、危険にさらされることになるのではないでしょうか。現実はどうなのか。

金浦―ソウル交通公社は、入札額を下げるためにあらゆることをしてきた。その結果、金浦市鉄道は当初金浦市が推算した予定価格の77%水準で運営しなければならない状況になった。運営費が少ないから人員も、人件費も減る。
人材が不足しているので、対処するのがどうにか可能なレベルである。勤務は元来、電気や機械などそれぞれ自分の専攻分野がある。ところが人員が少ないので電気、機械、スクリーンドアを一つのチームとして編成して各一人ずつ、合計3人1組で束ねている。そのなかの誰かが休暇を使えば、自分の専攻していないことも、やらなければならない。3〜4人が10の駅舎と23キロメートルの線路の両方を管理する場合もある。
賃金も深刻だ。課長職の平均年齢が42歳くらいで子育てに忙しいが、その人たちの給与が約199万ウォンだ。とても生計を維持できない。だから多くの従業員が週末にアルバイトをしている。駐車整理や代理運転をする。他の交通公社はアルバイトを禁止している。鉄道業務に集中できなくなり事故につながりかねないからだ。しかし、私たちはアルバイト禁止されれば飢え死ぬかもしれない状況にある。
駅務は、1人で2交代勤務だ。この勤務者が食事をすれば、無人の駅舎になる。当然事故への対応が難しい。結局、職員は疲れ切ってしまい、安定した地下鉄運営は不可能だ。

9号線―ソウル市が定期的に入札を見越しているので、名前だけは正規職だが実際には3年間の非正規職なわけだ。賃金と処遇を改善してほしいと要求すると「ソウル市の予算が限られているのでできない」と言う。さらに制服さえ予算がないので支給できないという。
それにしても、少なくとも人員は補充してくれないものか。ソウル交通公社の1〜8号線で区間1kmあたり運営スタッフが58人ほどだ。ところが、9号線、2〜3区間のそれは、18人で、3分の1にもならない。現場では運転士が過労で倒れて救急で運ばれていく。労災事故リスクが大きい。技術職の人員は、2人1組が原則である。ところが、複数カ所の作業になると1人で行かなければならなくなる。そこで、心臓発作が出たりすると死ぬことになる。
駅員たちも同じだ。私たちは「顧客安全員」という名称だが、安全員は夜10時から朝7時までは1人で勤務する。さらに、女性労働者が1人で勤務している場合もあり、不審者や酔っ払い客など暴力行為を働く人がいれば、市民の安全以前に労働者本人の安全が保障できない。人員補充を要求したが、使用者側は予算がないのでと対策として2千ウォンの笛を買った。保安要員に4人を募集したが、これらの人々のすべてが契約職である。さらに駅が13カ所あるが、交代勤務すると、保安要員2人だけになってしまう。これでは市民の安全を保障することはできない。
特に9号線はあまりにも列車本数が少なく、超満員になる場合が多いので、救急患者が出る。酸素不足や呼吸困難、低血圧などで倒れるのだ。列車本数を増やさなければならないのに、3年間の民間委託契約では投資もできないのである。列車増便もできないし、人員補充もできず、最終的には被害はそっくりそのまま市民に戻る。  (つづく)
社会変革労働者党(「変革政治87号」より)

サムチョク原発予定地白紙化

贈り物ではなく闘いの成果

現地で喜びの声

 韓国サムチョクの原発予定地白紙化が、サムチヨク市民の長い戦いを経て、ムン・ジェイン政府のもとで、公式的に発表された。日本からも反原発の交流が強まり、昨年福島の青年たちもこの地を訪れ韓国の若者との交流が行われた。以下現地からの喜びの報告。(「かけはし」編集部)

 三陟(サムチョク)原発の白紙化は何より市民の勝利ですが長い間、原子力発電所反対運動にすべてを捧げてきたパク・ホンピョ神父や、イ・グァンウ元三陟(サムチョク)市議員の三陟核反闘委、そして三陟核発電所誘致賛否住民投票を導き出したキム・ヤンホ三陟市長など、皆さんの情熱的な努力の賜物です。
 キム・ヤンホ市長が率いた2014年三陟原発誘致賛否を問う住民投票で85%が核発電所の誘致反対の結果が出ており、これは盈徳原発誘致賛否を問う住民投票で行われ、結局、核発電所の白紙化を引き出しました。
 その過程でキム・ヤンホ市長は検察の無理な起訴で刑事裁判まで受けましたが、結局無罪判決を受けました。鄭然洙(チョン・ヨンス)、金徳年(キム・ドクニョン)、朴文字(パク・ムンジャ)の三陟市民たちは水曜日ごとに核発電所の白紙化のための水曜集会を行い、成元基(ソン・ウォンギ)教授や三陟平和さんなど多くの方々が脱原発の徒歩巡礼を数年間行ってきた。
 三陟原子力発電所の白紙化はある日突然与えられた贈り物ではありません。長く苦しい闘いの末に勝ち取ったものです。巨大権力との闘いは時間はかかるが、結局は正義は勝利します。

朝鮮半島通信

 ▲朝鮮中央通信は6月2日、金正恩朝鮮労働党委員長が平南機械総合工場を現地指導したと報道した。
▲朝鮮中央通信の報道によると、金正恩朝鮮労働党委員長は6月4日、朝鮮人民軍第2期第7回軍人家族芸術サークル・コンクールの入選者たちと共に記念写真を撮った。金正恩党委員長は前日、入選者たちの芸術公演を観覧した。
▲朝鮮中央通信は6月4日、金正恩朝鮮労働党委員長が平壌のメーデースタジアムで開催された芸術公演「人民の国」を観覧したと報道した。観覧には金与正党宣伝扇動部第1副部長が同行した。金与正氏の公式の動静が報道されたのは、今年4月12日に開かれた最高人民会議以降、52日ぶり。
▲韓国銀行が6月5日発表した今年4月の国際収支によると、経常収支は6億6000万ドルの赤字であった。経常収支の赤字転落は2012年4月以来。
▲韓国統一省は6月5日、朝鮮に対する800万ドルの人道支援を最終決定したと発表した。800万ドルのうち450万ドルは世界食糧計画の栄養支援事業に、350万ドルは国連児童基金の母子保健事業にそれぞれ拠出される。


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