もどる

都防災訓練抗議・監視行動報告集会            かけはし2006.10.2号

「防災」に名を借りた戦争動員

反対派排除の治安出動訓練に抗議の闘い

 【東京東部】九月十八日、足立区梅島のエル・ソフィアで、今年の東京都総合防災訓練に対する抗議・監視行動の報告集会が開催された。主催は二〇〇〇年の訓練「ビッグ・レスキュー」以降、地域で運動を続けてきた「荒川・墨田・山谷実行委」。スローガンは、「関東大震災時の朝鮮人虐殺を忘れない。『防災』に名を借りた治安出動訓練・戦争動員は許さない」。約五十人の仲間が集まった。
 九月一日、全国各地で防災訓練が繰り広げられた。三十七都道府県で約八十万人が参加した。とりわけ首都圏八都県市では、初めて直下型地震を想定した合同訓練が行なわれ、在日米軍や韓国ソウル消防局のレスキュー隊が参加した。
 司会の金栄煕さん(NO有事法制・足立の会)のあいさつの後、山谷福祉会館活動委の藤田五郎さんが、訓練の概略と抗議行動の経過を説明した。

駅前デモの反
応は良かった

 「私たちは訓練前日の三十一日、北千住で集会とデモをやりぬいた。参加者は約百名。集会前の駅ビラとメインストリートを歩くデモの反応は、非常によかった」。「今回の訓練で際だっていたのは、厳しい取材規制だ。米軍の許可を受けた大手メディアの、身元の明らかな者だけに取材が許された。私たち反対派は徹底して排除された。フリージャーナリストもさまざまな妨害を受けた」。「一方で、ボランティアと称して、小学生から高校生まで動員された。こうして自衛隊の行動に組み込まれていくのだ。今後の闘いのためにぜひ積極的に論議していきたい」。
 訓練当日の抗議行動のビデオが上映された。実行委は各地の訓練会場に、ビデオやカメラ班を配置して監視を続けた。北千住駅前会場ではビデオを回しながら、自衛隊や訓練参加者に鋭い質問を浴びせた。撮影を妨害され「撮られてまずいことがあるのか」と切り返すと、担当者は黙り込んでしまった。

在日の子ども
へのいやがらせ

 東武線梅島駅に結集した仲間約三十名は、一路南下して荒川河川敷をめざした。区内の会場では中心的な位置にあり、小泉や石原も視察に来るという。しかし土手の直前で機動隊に阻まれる。横断幕を掲げて抗議のシュプレヒコール。激しい応酬の後、都防災課の職員が「三々五々ならいい」と発言。しかし後方の警察にたしなめられ慌てて撤回する場面も。河川敷に入った撮影隊も各所で警察ににらまれ、執拗な干渉や妨害を受けた。
 リレートークの一人目は出原昌志さん(全関東単一労組)。「訓練規模は過去最大で、北朝鮮のミサイル発射と軌を一にしている。足立では小中学生ら多数の児童はじめ、鉄道や各種施設まで動員されている。これはまさにテロ対策訓練である。労組は連帯して、職場の総動員体制に地域から闘っていく」。
 李直茂さん(外登法・入管法を考える荒川の会)の発言内容は多岐にわたり、「迷った時は原点に帰る。自分はいつもそうしてやってきた」と心情を述べた。子供を朝鮮学校に通わせる申嘉美さんは、北朝鮮のミサイル発射以降、エスカレートする在日の子供たちへの脅迫や嫌がらせ、暴言や恫喝の数々を糾弾した。

排除される
野宿労働者

 休憩の後、都議の福士敬子さんが登壇。福士さんは当日、臨海部会場である晴海ふ頭を訪れた。(報告要旨別掲)
 渡辺つむぎさん(国民保護条例を考えるすみだの会)は、墨田区の国民保護条例について報告。「墨田区は昨年、全国に先がけて同条例が制定された。『墨田ネット』は区に抗議文を出した。条例は膨大な量。反論のためプリントしようとしたが、機械が壊れるのではないかと心配になった」。渡辺さんのユーモラスな語り口とビデオ上映で、参加者は情勢の理解をさらに深めていた。
 平野良子さん(在日アジア労働者と共に闘う会)は、訓練実施を理由に排除される野宿者の問題を取り上げた。「地域生活移行支援事業」は、テントを撤去させる代わりに、労働者を一定期間民間アパートに押し込んでは更新させずに追い出すという、真の自立とはほど遠い政策だ。しかも最初からテントを持たない野宿者は、この事業の対象外なのだ。平野さんはこうした都の場あたり的なやり方を批判し、都知事石原のお膝元・都庁第二庁舎通路における労働者の闘いの意義を強調した。(本紙9月11日号参照)

周到な調査
活動が重要

 監視行動に連日走り回ったフォトグラファーの山本英夫さんが登場。今回の訓練を検証するレジメによれば、陸海空自衛隊と米軍が有事の際に共同・統合軍として動き、訓練に参加した都職員も、消防、警察と「連携」して動く。しかし計画では発災後三日間は被災者を動かさないで釘付けにする。国家がまず優先して「首都機能防衛」を図るためだ。山本さんは今回の訓練から、国家の具体的な治安計画を予測し、私たちも冷静に運動と知的集積を進めていこうと訴えた。
 「東京都国民ホゴ条例を問う連絡会」の茂木遊さんは、「防災に名を借りた保護条例の前倒し状況が全国で進んでいるが、私たちの想像力が情勢に追いついていかない」と指摘した。「防災の軍事化に反対する長野共同行動」の八木さんは、長野で行なわれた公安警察中心の「化学テロ対策訓練」について報告した。

監視行動から
確認したこと

 筆者は訓練当日、北千住駅前会場に赴いた。この日は早朝から周辺上空をヘリが旋回。会場は駅前の歩道橋上で、足立区職員が青ヘルメット、安全靴、軍隊まがいの灰色の防災服を着て、準備をしていた。戦闘服の自衛隊員も数人いた。
 この会場での訓練のメインは、「帰宅困難者支援訓練」と「高所ビル救出訓練」。前者は駅ビル屋上からロープや担架を降ろし、警視庁の部隊や消防隊員が降下するもの。自衛隊員はその真下で待機していた。「帰宅訓練」に動員されたJR東日本の社員らは、雨の中、そのパフォーマンスを不安げに見つめていた。彼らの訓練はここから徒歩で荒川河川敷をめざす。そこから海自の揚陸艇で対岸に渡り、晴海ふ頭まで行く水上バスに乗る。晴海に着くと、海上保安庁の巡視船「やしま」に乗り換え、千葉港へ着くというコースだった。
 ここでは消防と区の職員、町内会動員が主役で、比較的軍事色の薄い平穏なものだった。これは「歩道橋上」という特異な条件のためだろう。他の会場では報告のとおり、昨年の三倍近い二千九百人もの自衛隊員が出動。車両や航空機で付近を制圧し、反対派を徹底的に排除して行なわれた過去最大規模の軍事訓練であった。
 反面、動員された子供たちに隊員たちは極めて友好的な態度で接した。訓練を通じて市民生活の中に、自衛隊や米軍を自然に溶け込ませるという意図が、はっきりと確認できた。
 厳しい情報統制下で、選ばれた人間だけが参加する「訓練」とは何か。その本質は年を追うごとに、危険な全貌をさらけ出しつつある。       (S)


福士敬子都議の発言から
防災訓練は消防と市民がやるべきだ


 今回の訓練にあたって事前に都の担当者に何度も説明や資料を求めたが、直前までわからなかった。おそらく前日まで明かされなかったのだろう。当日は朝から晴海へ出かけた。訓練参加は議員本人のみで付き人らの入場は禁止された。「歓待」を受けてホバークラフトに乗った(海自輸送艦「しもきた」搭載のLCAC│エアクッション型揚陸艦)。「帰宅困難者」役はあらかじめ身元調査をされた都の職員約三十人のみ。おそらく従順な人だけが選ばれたのだろう。
 軍事機密上、普通の人が参加できない訓練とはいったい何か。結局それは普通の人たちに自衛隊の存在をアピールするだけのものだ。「自分らが困ったときに助けてくれる」と思わせるパフォーマンスなのだ。自衛隊は訓練を通じてしか市民の前に登場できないからだ。自衛隊には被災現地の事情がわからない。ガレキの撤去はできるが人命救助はできない。防災訓練は消防と市民でやるべきだ。防災に使うお金を災害復興に役立てるべきだ。
 (発言要旨・文責編集部)


劣化ウラン兵器禁止市民ネット

イスラエルのクラスター爆弾投下に抗議し大使館申し入れ

 九月十八日、劣化ウラン兵器禁止市民ネットワークは、イスラエル大使館に対して抗議・申し入れ行動を行った。この日の行動は、イスラエルがレバノン侵略戦争において使用した大量のクラスター爆弾投下に抗議し、投下地図を明らかにして即刻回収を求める、などの要求をイスラエル大使館に申し入れるために呼びかけられた。この行動には三十六人が参加した。
 主催者を代表して発言した柳田真さんは、「いまだイスラエルのレバノン占領や封鎖が継続している。イスラエル空軍は、停戦前の三日間に五十万発とも言われるクラスター爆弾を投下した。こうしたひどい行為を許してはならない。ネットワークとしてカンパ活動を行い、そこて集まった金額をレバノン大使館に届けた。イスラエルのレバノン、パレスチナ占領を終わらせるためにともに行動を」と訴えた。
 この日、申し入れ文を持ち寄った団体から、ウラニウム兵器禁止条約実現キャンペーン、「平和の白いリボン」東京グループ、ストップ!劣化ウランキャンペーン、劣化ウラン研究会、原発・核燃とめようかい、たんぽぽ舎が申し入れ文の読み上げや発言を行った。新しい反安保行動をつくる実行委は、レバノンでの停戦を求めた国連決議1701が事実上、レバノンを侵略者であるかのごとく扱うものになっており、そうした決議にもとづいて自衛隊が拡大された国連レバノン暫定軍(UNIFIL)に参加することは認められるべきではない、と呼びかけた。
 最後に、七団体・一個人からの申し入れ文をイスラエル大使館の郵便受けに入れ、シュプレヒコールを繰り返した。    (K)


もどる

Back