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「皇室典範改正」ではなく               かけはし2006.2.20号

今こそ、天皇制の廃止を

2・11 反「紀元節」集会

権力と右翼が一体となった反天皇闘争への敵対糾弾!

 二月十一日、「皇室典範改正」ではなく天皇制廃止を!2・11反「紀元節」集会実行委員会は、東京・池袋でデモと集会を行い、百五十人が参加した。
 小泉政権は、天皇制の存続のために「皇室典範改正案」の国会提出をめざしていたが、「秋篠宮紀子の妊娠」によって、とりあえず先送りすることにした。「女性・女系天皇」反対派である神社本庁、日本会議などは、「万世一系の皇統を守り抜くために、皇室の歴史と伝統に基づいた慎重な検討を強く求めるものである」ことを決議し、反対運動を継続していくことを確認している。
 女帝容認派と反対派の格闘は一時休戦となったが、政府・支配層は、紀子妊娠に対して祝演出を作り出しながら、男か女かの出産後、新たな天皇制賛美漬けを繰り広げるだろう。小泉の新自由主義路線は、弱肉強食競争と社会的分裂を広げつつ、民衆を国家統合していくための手段として天皇制を使い切ろうとしている。
 天皇制と侵略戦争を賛美する紀元節=建国記念の日も、一九六六年に復活させて以降、天皇制を強化するための演出を担ってきた。これら天皇制攻撃は、今日、自衛隊のイラク派兵を通した派兵大国化作り、憲法・教育基本法改悪と反動諸法案の成立とセットで押し進めている。
 このような政府・支配層のねらいと天皇制に抗議する実行委に対して国家権力は、不当な弾圧を強行してきた。実行委は、中池袋公園(豊島区民センター前)で集会を行い、デモを予定していた。ところが天皇主義右翼が豊島区民センターで午後から「紀元節奉祝式典」を開催するため、実行委との「衝突」の可能性があるとして、豊島区に「中池袋公園の一時使用制限(十日〜十三日)」措置をとらせ、公園一帯を金網で囲んでしまったのだ。区職員によれば、金網のリース代が六十万円だと言う。
 さらに国家権力は、機動隊一個大隊(三百人)と歩道ポイントに阻止線、大量の公安私服を配備し、池袋一帯を厳戒状態にして、力による制圧を誇示したのである。実行委をはじめ集会参加者たちを金網の中に押し込めるという集会破壊と池袋厳戒体制という暴挙を糾弾する。国家権力は、集会やデモの最中において、右翼の挑発・妨害行動を容認し、ガス抜きをやらせ続けた。権力と右翼が一体となった反天皇闘争への敵対を許さない!
妨害をはねのけて集会を断固貫徹

 中池袋の集会は、主催者を代表して天野恵一さんのあいさつから始まり、「天皇制肯定・賛美を前提にして、天皇制を安定的に維持するために女性天皇の主張と、神道主義右翼らの反対という二つの言論状況がつくりだされてしまっている。天皇制廃止を、というあたりまえの主張を公然と掲げて闘っていこう」とアピールした。
 次に、昭和天皇記念館建設阻止団は、○五年十一月二十七日に昭和天皇賛美の記念館の開館強行に抗議するとともに、この間の反対運動の検証をする集会(二月十九日)を準備していることを報告。さらに、新たな記念館廃館の闘いを作り出していくことを決意表明した。
 新しい反安保行動をつくる実行委員会第10期は、グローバル戦争に対応するための「米軍再編」と日米安保体制の強化に抗して沖縄、横田、座間、相模原、横須賀、岩国において自治体がらみで反対運動が巻き起こっていることを述べ、連帯の取り組みを広げていこうと訴えた。
 女性と天皇制研究会は、天皇制安泰のための皇室典範改「正」に抗議する声明と運動の取り組みを紹介し、「私たちは天皇制を救いだしてやる必要はない。戦争と天皇制のない社会を求めつづけよう」と呼びかけた。
 集会後、デモに移ろうとするが、権力が出口付近で突撃策動する右翼の規制に時間をかけたため、大幅に出発時間をオーバーしてしまった。デモ隊は、権力の不当な規制と右翼の挑発をはねのけて、「紀元節反対!天皇制廃止!」を池袋一帯にわたって響かせていった。
 デモ終了後、実行委は、権力の右翼警備を口実にした重弾圧体制を許さず、豊島区民センターで集会を行った。
 集会の冒頭は、実行委の基調提起で@2・11「紀元節」をめぐる右派の動向A「皇室典範改正」ではなく、天皇制廃止を!B天皇制再編の動きを批判し、改憲を阻止しよう!C天皇制にも戦争にも反対!のさらなる声を││について展開した。
 次に、講演に移り、きどのりこさん(児童文学者)は、児童文学と天皇制の関わりを切り口に批判した。「戦前の子ども用の本でも、皇室が読んだ本=天覧・台覧したことを証明するページを設けて子どもたちに天皇制の権威を刷り込ませていった事実がある。現在でも皇室が読んだとして愛子本のブーム、皇太子が『詩朗読』した本のブームなどに見られる。天皇制によって『活性化』される文化とは一体何なのか。『貴い人々』の存在を認めてしまう日本人のメンタリティも問われている」と指摘し、「天皇制廃止を求める人々の存在を、メディアはとりあげるべきだ」と批判した。
 鵜飼哲さん(一橋大学教員)は、「皇室典範改正案」をめぐって賛成派と反対派に分裂している状況を分析しながら、「小泉政治は、女性たちを利用する政治をやってきた。この延長に皇室典範改正案が出てきている。同時に女性に対する忌避、憎悪する勢力もジェンダーフリーバッシングなどを繰り広げている。どちらも男性権力保持者たちであり、同じ土俵で争っている。反戦・反改憲・反天皇制・反ジェンダーフリーバッシングの課題を横断してともに闘っていこう」と強調した。
 続いて、「日の丸・君が代」の法制化と強制に反対する神奈川の会、三・一日韓連帯集会、三・二一横田行動、立川反戦ビラ弾圧被告から発言があった。(Y)



「日の丸・君が代」強制反対ホットライン大阪集会
卒業式・入学式での闘いから一年間の大阪での闘争を確認


 【大阪】二月十一日、「『建国記念の日』反対!憲法・教育基本法改悪反対!『日の丸・君が代』ホットライン2006大阪集会」が大阪市住まい情報センターで開かれ、教育労働者、市民ら百二十一人が参加した。主催は、「日の丸・君が代」強制反対ホットライン大阪で、ホットライン主催の二・一一集会としては七回目となる。集会終了後、参加者は天六交差点から扇町公園までのデモ行進を行い、街角に「日の丸・君が代」強制反対、憲法・教育基本法改悪反対のシュプレヒコールを響かせた。
 大阪では、一九九九年の「国旗・国歌法」制定後初めて迎えた二〇〇〇年卒業式・入学式を前にして、「日の丸・君が代」強制反対ホットラインの活動がスタートした。そして以降毎年、この時期に卒業式・入学式での「日の丸・君が代」強制をめぐる教育労働者や保護者、生徒らを対象とした相談活動が展開されてきた。この二・一一集会は、その年のホットライン活動の出発を宣言する集会として、毎年継続して開催されてきたものである。

サッカー日本代表
の「ヤタガラス」

 集会がはじまる前に、まず「日の丸・君が代」強制をテーマにした自主制作ビデオの上映が行われた。このビデオは「君と僕と旗と先生と」と題され、専門学校生のグループが卒業制作の一環として作ったもので、東京都教委から停職一カ月の処分を受けた根津公子さんへのインタビューを軸に、新鮮な切り口で撮影されたもの。監修者のあいさつにも、参加者から大きな拍手が送られていた。
 集会は、ホットライン事務局の伊賀さんの司会で始められ、最初に関西大学講師でホットライン事務局の黒田伊彦さんが「神武建国神話とサッカー日本代表チームのヤタガラス」をテーマに、「建国記念の日」に絡んだ主張を展開した。
 黒田さんは、「『建国記念の日』は天皇に支配されることを支配されている民衆に祝わせる日」であると指摘した上で、サッカー日本代表のシンボルが「神武天皇の東征神話に登場する巨大なカラス」である「八咫烏」(「咫」とは長さの単位で約一二センチ)になっていること、そのことは「つくる会」編集の扶桑社歴史教科書にも記載されていること、サッカー応援に代表される若者の「プチ・ナショナリズム」は、日本人の存在証明として侵略戦争に加担していくことに何の疑問も持たなくなる素地になりうることを説明した。

ホットラインを
活用して闘いを

 続いて、中島光孝弁護士が「台湾靖国訴訟違憲判決と『日の丸・君が代』」と題して講演を行った。
 中島弁護士は、この靖国違憲訴訟の弁護団で中心的役割を果たした立場から、判決の意義と今後の課題、「日の丸・君が代」問題との関連について一時間にわたり参加者に語りかけた講演(別掲)の中で、中島弁護士は「靖国と『日の丸・君が代』は直結している問題」であると強調し、「祭る国家は戦う国家である」という言葉を紹介して、祭る際における象徴的道具としての「日の丸・君が代」が儀式の中で強制されていくこととの闘いの重要性を訴えた。
 休憩をはさんで、冠木克彦弁護士が「日の丸・君が代」強制反対の一問一答集改訂版について解説した。この一問一答集は、「『日の丸・君が代』強制反対、良心の自由を支える法解釈一問一答」というタイトルで、大阪社会文化法律センターと大阪労働者弁護団の共同発行によるもの。すでに初版、増訂版を発行してきており、それらに次ぐ第三版である。
 大阪各地域・各団体からの報告では、枚方・スミぬり裁判をすすめる会の松田さん、堤さん、箕面・ピースアクションの恩地さん、高槻・押し付けないで「日の丸・君が代」高槻市民ネットワークの松岡さん、大阪市・子どもたちの人権と教育を考える大阪市ネットワークの藤井さん、豊中養護学校・東豊中高校「日の丸・君が代」処分を撤回させる会の田中さん、中野さん、「日の丸・君が代」反対で能力評価「C」をつけられた高校教員の辻谷さんがそれぞれの闘いについて発言した。
 松田さんは、枚方市教委が「日の丸・君が代」に反対する教員について「固体把握できるか」などと文書で表記し、人間扱いしていない実態を暴露した。中野さんは、処分当時の府教委幹部が収賄容疑で取り調べられるとの新聞報道に触れ、処分の不当性と人事委員会闘争への支援を訴えた。
 「教育基本法の改悪をとめよう!全国連絡会」の井前さんが、教育基本法をめぐる国会情勢を報告し、三月三一日の国会デモへの結集を呼びかけた後、ホットライン事務局の寺本さんが今年のホットライン活動について提起した。集会を終えた参加者は、横断幕を先頭にして元気よくデモ行進に出発した。   (T)

「日の丸・君が代」強制反対ホットライン2006大阪
b相談活動 メール・ファックスにより受付、弁護士による相談(〜4月16日)
メール:
hinokimi2006@yahoo.co.jp FAX06-4793-0600 *ホームページから学校配布用のビラやポスターをダウンロードできます。
http://www7a.biglobe.ne.jp/~hotline-osaka/
*一問一答集の注文も受付中(メールで)一冊一〇〇円(送料別)

中島光孝弁護士の講演から
「祭る国家は戦う国家である」

 はじめに靖国神社がどういうところなのか見てみたい。まず大鳥居があり、中に入ると大村益次郎の銅像、十三メートルの巨大灯籠へと続く。大灯籠の基盤には戦闘場面のレリーフがあり、その中に「台湾鎮定」の場面がある。「台湾鎮定」というのは、日本が日清戦争後に清から「割譲」された台湾で、原住民(台湾の人たちは自ら「先住民」ではなく「原住民」と呼ばれることを求めている)たちの反乱が起こり、それを日本軍が殺戮・鎮圧したことを指す。
 さらに進むと、第二鳥居、拝殿、本殿とあり、小泉首相はこの本殿で拝礼した。では何に対して拝礼したのかと言うと、本殿の奥にある霊璽簿奉安殿に向かってである。霊璽簿とは、天皇制のもとで戦死した人々の名簿で、二つの固まりがある。
 一つには、二百四十六万人分の官位と名前が記載されており、もう一つに皇族で戦死した二人だけが記載され、招魂式によって「神」として合祀されたものである。つまり、小泉首相は、祭神となった戦死者に拝礼しているのである。
 靖国神社は、戦前と戦後でどう変わっているのか。確かに法的には断絶しているが、それは本質的断絶を意味しない。靖国神社内にある遊就館を見れば、日本の侵略戦争が「自衛の戦争」「正義の戦争」であったという歴史観に貫かれている。靖国は、儀式によって心の内面に訴えてくるという点で、卒業式・入学式における「日の丸・君が代」と共通している面がある。
 日本の台湾支配の中で、台湾原住民らの蜂起は日本軍によって残虐に鎮圧され、その際に「戦死」した日本軍人が靖国に祭られている。一方、太平洋戦争において、台湾人は「高砂義勇隊」として八万人以上が戦争に動員され、三万人が戦死あるいは病死した。そのうち、二万七千八百人が靖国に合祀されている。自らの先祖を殺した加害者である日本人たちと一緒に、靖国に自分たちの親や親族が祭られていることは、遺族に対する侮辱であるとしてこの台湾訴訟は出発した。
 靖国参拝違憲訴訟では、小泉の参拝が首相としての「職務行為」に該当するかどうかがまず問題となる。最近、小泉は靖国参拝が「心の問題」だと言い始めているが、私たちは内閣総理大臣としての「職務行為」であると考えている。そうだとすれば、次に憲法二〇条三項の政教分離原則に違反しているかどうか、の判断が求められる。そして、最後に憲法判断によって違法性があるとされた場合、それによって原告に対して権利侵害があったかどうか、が問われる。各地の違憲訴訟では、福岡地裁で違憲判断が出たが、権利侵害はないとして最後の五%で敗訴となった。
 昨年九月三十日の大阪高裁判決では、参拝の職務行為該当性を認め、憲法で禁止された宗教的行為であるとした。残念ながら、最後のところで原告への権利侵害はないとして、訴えは退けられたが、原告団と相談して上告はしないことになった。
 判決でさらに重要なことは、「思想及び良心の自由、信教の自由の内容として、戦没者をどのように回顧し祭祀する、しないかに関して、公権力の圧迫、干渉を受けずに自ら決定し、これを行う権利ないし利益を有すると解する余地が全くないわけではない」と述べていて、戦没者の回顧、祭祀に関する自己決定権があると言う主張を曲がりなりにも認めたことである。これは画期的なことで、靖国と「日の丸・君が代」が直結している問題を考えると、今後発展させていかなければならない。
 「祭る国家は戦う国家である」と言った人がいるが、自民党新憲法草案はこのことを如実に表している。「戦う」部分での自衛軍の創設、集団的自衛権の容認と「祭る」部分での政教分離原則の緩和が結びついている。今後も、靖国、「日の丸・君が代」の双方で皆さんと一緒にとりくんでいきたい。(発言要旨、文責編集部)


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