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 日弁連が「市民と弁護士の集い」            かけはし2006.3.6号

共謀罪新設法案を廃案に

密告を義務づけるゲートキーパー立法許すな

破壊される弁護
士との信頼関係

 二月十七日、霞ヶ関の弁護士会館で「共謀罪とゲートキーパー立法に反対する市民と弁護士の集い」が日本弁護士連合会の主催で行われ、二百五十人が参加した。
 集会は、海渡雄一さん(日弁連ゲートキーパー問題対策本部副本部長)の司会で始まった。
 次に開会の挨拶を中村順英さん(日弁連副会長)が行い、「与党は、共謀罪について一部修正案を民主党に出した。われわれの反対運動の成果と言える。しかし、『団体の限定』『顕示行為』について、かなりあいまいであり、問題が多い。『越境性』『対象範囲が六百十九もある』『密告条項』などがそのままだ。日弁連は、今後もこの法案に反対し、廃案を主張していく。さらに、政府はゲートキーパー法を制定しようとしている。弁護士を警察の門番として位置づけ、怪しいお金の流れに遭遇した時、警察への密告、通報を義務づけようとするものだ。これは、弁護士と市民との信頼関係を根底から覆す。強く反対していきたい。国際的要請を理由にして、日本を密告・監視社会にしていこうとするものだ。共謀罪とゲートキーパー法に反対していこう」と発言した。
 川端和治さん(ゲートキーパー問題対策本部)は、ゲートキーパー制度の危険性について展開し、「弁護士がみずから認識を持ってマネー・ロンダリングや組織犯罪・テロリズムに加担するようなことがあれば、これは刑事訴追の対象であり、また弁護士会の懲戒の対象となる。弁護士が違法行為に関与させられるようなことがあってはならない。しかし、弁護士の独立性をそこない、依頼者が秘密のうちに弁護士から法的アドバイスを受ける侵害する、疑わしい取り引きの報告義務制度に強く反対していく。この密告制度は、弁護士が捜査機関の手先となって依頼者を売る職業となってしまう。市民の信頼を壊す制度は絶対に反対だ」と提起した。

共謀罪法案採決
強行の可能性

 続いて、山下幸夫さん(共謀罪等立法対策ワーキンググループ委員)は、共謀罪の通常国会での審議見通しについて報告し、「法務委員会は、三分の二以上が与党議員だ。予算案が終了し、三月半ばに法務委員会の審議が再開されれば、採決強行の可能性が十分にある。与党は冒頭に修正案を出して、民主党が修正協議に乗ってこなければ与党だけで採決する可能性もある。日弁連は、共謀罪を成立させないために全力で闘っていきたい」と述べた。
 次に、平岡秀夫衆院議員(民主党)は、「与党は、修正案を出し、先行審議をしてほしいと言ってきた。民主党は、まだ修正協議に乗っていない。修正案でも、どんな団体に対して適用するのかについて、全く限定していないままだ。もっと追及していかなければならない。先行審議も拒否している」と決意を述べた。
 国会議員からの発言は、近藤正道参議院議員(社民党)、仁比聡平参議院議員、福島瑞穂参議院議員(社民党)から行われた。
 さらに、斉藤貴男さん(ジャーナリスト)、森達也さん(映画監督)、村岡啓一さん(一橋大学教授)から自分たちの現場から共謀罪反対のアピールをした。
 最後に渡辺英一さん(日弁連副会長)が閉会あいさつをした。    (Y)

解 説
共謀罪・ゲートキーパー法の本質

 小泉政権は、戦時治安弾圧体制の構築に向けて「話し合うことが罪になる共謀罪」新設法案の強行成立を予算案成立後に、ねらっている。二月十四日、与党は、憲法違反・人権無視にまみれた悪法への批判が強まっていることに対して修正案を民主党に提示した。
 修正案の第一点は、対象団体を「その共同の目的がこれらの罪を実行することにある団体」に限定するとした。これらの罪とは、現在刑の上限を四年以上としている六百十九の法律のことだ。これだけでは「組織的犯罪集団に限定」したことにならず、危険な団体かどうかの認定は、あくまでも捜査当局の手前勝手な判断によって適用が可能なのである。マスコミは、この修正を「組織的犯罪集団に限定」しているかのようなデマ報道を垂れ流した。
 そもそも共謀罪新設法案の根拠としている国際(越境)組織犯罪防止条約は、組織犯罪集団を「三人以上の者から成る組織された集団であって、一定の期間存在し、かつ金銭的利益その他の物質的利益を直接又は二以上の重大な犯罪又はこの条約に従って定められる犯罪を行うことを目的として一体として行動するものをいう」と定義している。しかし、法案は、条約の限定した範囲を超えて「団体の活動として、当該行為を実行するための組織により行われるものの遂行を共謀したもの」としている。この「団体」とは、株式会社、市民団体、労働組合、サークルなど組織犯罪集団でないものも含んでいるのだ。要するに、市民運動、労働組合を弾圧するための「牙」は、明確に存在し続けるのだ。
 第二点は、「犯罪の合意」だけではなく、「犯罪の実行に資する行為が行われた場合」という要件を付加した。ここも「資する行為」が準備行為なのか、顕示行為をさすのかあいまいにして、捜査当局の判断によって、いくらでも適用拡大していこうとする道筋を残しておこうという意図だ。こんな修正をしたとしても、犯罪が実行され被害が生じて初めて処罰するという刑法の原則を根本から変更することをねらい、犯罪の実行着手以前の行為に対して弾圧しようとする性格は、なんら変わっていない。
 政府の「国際組織犯罪等・国際テロ対策本部」は、共謀罪の成立に続いて、弁護士に密告を強制する「ゲートキーパー立法(弁護士による依頼者通報制度)」の制定を策動し、二〇〇七年の通常国会に提案することを決定している。ゲートキーパーは、門番役という意味だが、この悪法は、そんな単純な内容ではない。マネーロンダリング(資金洗浄)やテロ資金の移動など違法取引の疑いがある場合、代理人や助言者として関与する弁護士に対して、その取引を警察庁に届出させるというものだ。諸大国の資本のグローバル化と対テロ戦略を背景にしつつ、FATF(「金融活動作業部会」。一九八九年、マネー・ロンダリング対策を目的にOECD〈経済協力開発機構〉内に事務局を設置。三十一か国などが参加する政府間機関)がゲートキーパー制度を強く要求している。すでにイギリス、ヨーロッパ諸国などでは立法化されてしまっている。アメリカやカナダの弁護士団体は反対し続けている。
 日本の弁護士会は、「弁護士には守秘義務があり、依頼者との信頼関係を維持できなくなる。国家権力から独立するために確立された『弁護士自治』の根幹を揺るがすものだ」「報告義務が制度化されれば、弁護士は依頼者=市民の守り手ではなく、法執行機関のスパイとみなされ、職業としての弁護士制度の崩壊を招く危険性すらある」と反対している。今後、この悪法の内容を批判し、制定策動を許してはならない。(Y)



15回目の全国交流会
学校と地域を結んで「日の丸・君が代」反対


 二月十八日と十九日の二日間、東京の日本キリスト教会館を会場にして「日の丸・君が代」反対!学校と地域を結ぶ交流会が開かれた。十五回目を迎えた交流 会の今年のテーマは「ヤスクニ・ひのきみ・愛国心」で、福岡・大阪・名古屋・埼玉・神奈川・千葉・東京などから約四十人が参加した。
 交流会実行委員会を代表して大野さんが開会のあいさつを行い、まず映画「あんにょんサヨナラ」の上映実行委員会のメンバーで、「在韓軍人軍属 (GUNGUN)裁判を支援する会」の御園生さんが発言した。続いて、メインテーマの「ヤスクニ・ひのきみ・愛国心」について、パネルディスカッション が行われた。パネリストは、李煕子(イ・ヒジャ)さん(靖国合祀拒否訴訟原告)、大今歩さん(教育塔を考える会)、土方美雄さん(小泉靖国参拝違憲訴訟 の会・東京)の三人。
 李煕子さんは、「日本軍に徴用されて、解放後も帰ってこなかった父親がどうなったのか、父親の記録探しを始めると、靖国神社に合祀されていたことがわ かった。遺族には何の連絡もなかった。靖国神社に合祀削除の要請に行くと、右翼が『汚い朝鮮人は帰れ』と罵声を浴びせてきた。神社側は『合祀されると一 つの神になるので、その一部だけ削除できない』という理由で、要請を拒否した。全く納得できない。」と裁判に至った経過を説明した。
 大今さんは、「大阪にある教育塔は『教育の靖国』として、戦前の台湾で植民地教育に携わり、民衆の蜂起の中で殺された教師や『御真影』を守るために殉職 したとされる教師などが祭られている。その管理、維持は、戦後に日教組が引き継いできた。『教育塔を考える会』は教育祭の中止や教育塔への歴史を踏まえ た説明板の設置などを日教組に求めてきたが、拒否されている。最近では、元代表の森さんを本人の意思を無視する形で、教育塔に合葬した」と教育塔・教 育祭の持つ問題点とそれを管理する日教組の体質を問題提起した。
 続いて土方さんが、東京での小泉首相靖国参拝違憲訴訟の経過について報告した。参加者を 交えた熱心な質疑・討論が時間いっぱい行われた。休憩の後、全国各地からの参加者や「日の丸・君が代」処分の被処分者などが、現状ととりくみについて報 告した。
 夜に入って、『《愛国心》のゆくえ』の著者である広田照幸さん(東京大学教員)が質問に答える形で、この本に書かれた内容を解説した。
 広田さんは、「グ ローバル化の中で現在の体制を生き延びさせるための一つの答えとして、ナショナリズムや国民共同体的なものの再強化をとらえるべき」とした上で、「秩序 につなぎ止められないかも知れない個人をつなぎ止めようとするために、集団への帰属意識や一体感を作るものとして『日の丸・君が代』がある」と指摘し た。そして、「それに対する対抗運動の軸は、一国主義的な枠組みではなく、グローバル化した中で作られなければならない。そのビジョンを調査・研究しつ つ、当面は後退戦として、粘り強い『抵抗』を続けていく必要がある」とグローバルな闘いを提起した。  (T)


自主教研「日の丸・君が代」問題交流集会

 【大阪】二月二十五日から三重県で日教組教研が三日間の日程で始まった。その初日、四日市市内で自主教研「日の丸・君が代」問題交流集会が開かれた。この自主教 研は、かつては伝習館救援会を中心に開かれていたが、「国旗・国歌」法制定後に「日の丸・君が代」をテーマにした交流集会として新たに始まり、今年で七回目 を迎えた。今年の呼びかけ人は、日教組教研の共同研究者や北海道、宮城、千葉、東京、大阪の教組メンバー。会場には、日教組教研の参加者を中心に、この 自主教研参加のためだけに遠方から駆けつけた人も含めて約六十人が詰めかけた。
 まず司会の北村小夜さん(「障害者」を普通学校へ全国連絡会)が軽妙な語り口で開会のあいさつを行い、呼びかけ人の一人である山田真さん(医者、教研共 同研究者)が基調報告した。山田さんは、インフルエンザの「治療薬」として宣伝されているタミフルを取り上げ、タミフルの製造会社の社長がラムズフェル ド国防長官であり、インフルエンザの恐怖心をマスメディアによってあおり立て、危機管理している実態を暴露した。そして、日本ではアメリカの利益になる ように「構造改革」が進められ、教育も例外ではなく能力主義の徹底が図られていると指摘し、「ナショナリズムにはならないで、アメリカの言う通りになら ない、日本独自の教育をどのように構想するのか」考えていかなければならないと問題提起した。
 その後、全国からの報告に移り、東京の被処分者が義務制、高校の順に発言、さらに北海道、宮城、千葉、神奈川、愛知、三重、滋賀、大阪、兵庫、鳥取、福 岡などの参加者が各地の状況、闘いについて発言した。
 東京では、「君が代」斉唱時の不起立を理由として停職一カ月処分が既に出されており、今年の卒業式、入学式を経て免職処分も予想される厳しい状況の中で 闘いが続けられている。都教委の攻撃に対して、多くの裁判や人事委員会闘争が展開されており、司会の北村さんによれば、「ほとんど毎日のように裁判所や 人事委員会に傍聴に行かないといけない」現状にある。その東京の被処分者からは、新たに免職処分を許さない全国署名のとりくみが提起された。
 交流集会の最後に、再び山田さんが発言し、「都教委の処分攻撃や管理強化のために多くの教員が精神的にも追いつめられている。少数者に対して、学校でも 社会でも、目に見えるペナルティーが科せられる時代になっている。しかし、苦労しても周りの人たちにきっちりと話をしてわかってもらう努力を続けること が大事」と集会のまとめを行った。続いて、「2006年全国の闘う仲間へのアピール」を拍手で採択して、今年の交流集会を終えた。   (T)


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