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戦争国家を支える法案を通すな!             かけはし2006.5.1号

悪法ラッシュ国会に抗議のうねりを

改憲国民投票法案はいらない
与党合意案に反対し憲政記念館前で抗議

メディアに「自主
規制」を押しつけ

 四月二十日、国会近くの憲政記念館前で、改憲のための国民投票法案の上程に反対する行動が行われた。午後二時から憲政記念館で開催される衆院憲法調査特別委員会理事懇談会に出席する議員に向けて横断幕やプラカードを掲げて「STOP! 改憲暴走」を訴えた。
 四月十二日の自民党憲法調査会での旧自公案の修正決定を、四月十八日の与党協議で公明党が受け入れたことにより、民主党をふくめた国民投票法案の「三党合意」と上程がいよいよ日程に迫ってきた。与党の新法案は、改憲発議から投票までの期間の延長、投票方式については「憲法改正案の提出に当たっては、その提出者は、内容的に関連する事項ごとに区分して行うようつとめなければならない」「投票用紙は、国会の発議に係る憲法改正の議案ごとに調整するものとする」と「一括賛否」方式を明文的に否定するなどの、「譲歩」も見られる。
 しかし、マスメディアなどから批判された罰則を伴う報道規制条項については撤廃したものの、その代わりに報道機関に対して「虚偽の事項を報道し、又は事実を歪曲して記載する等表現の自由を濫用して国民投票の公正を害することのないよう、……自主的な取組に努めるものとする」などの「自主規制」を求める異例の条項が付加された。また公務員や教員の「地位利用」による「国民投票運動」を禁止し、外国人への投票運動禁止条項も維持されたままである。これらの禁止条項違反への「罰則」もそのままだ。民主党が主張していた十八歳への有権者年齢の引き下げは「衆議院議員及び参議院議員への選挙権を有する者」という表現で現行通り二十歳以上のままだ。
 さらにテレビ、新聞広告などへの意見放送や広告は「無料」で認められるが、それができるのは「政党等」に限られている。したがって市民団体などの意見広告は不可能になる。また投票日一週間前からはテレビ、ラジオなどの広告の放送は禁じられる。
 そして国民投票運動の「周知及び広報」は、そのメンバーが議員数に応じて配分される「憲法改正案広報協議会」によって行われる。すなわち各院三分の二以上の「改憲与党」によって都合のいいやり方で「周知・広報」のすべての業務が取り仕切られることになる。こんなやり方では、反対意見に公正に配慮した投票運動は不可能になるだろう。

連続した行動で
上程を阻止しよう

 民主党は、投票資格を十八歳にまで引き下げることを明記するよう求めるなど、与党案に対して反発しており、「調整の難航」が予測されているが、与党側は「妥協案」をさらに提示して三党の「共同提出」案の取りまとめに躍起となっており、民主党執行部が受け入れる可能性も残されている。
 いずれにせよ五月連休明けが国会での攻防のヤマ場となる。すでに「5・3憲法集会実行委員会」は五月三日の憲法集会(日比谷公会堂)に続き、五月十九日に日比谷野外音楽堂で改憲国民投票法案反対の集会・デモ(午後六時)を呼びかけている。
 今国会での上程・成立を許さない闘いに全力を上げよう。       (K)


 共謀罪に「Say No!」
NPO・NGO186団体が共同アピール

 四月十九日、衆院第2議員会館で、「共謀罪に`Say No!a」共謀罪法案反対NGO・NPO共同アピール記者会見が開かれた。
 「話しただけで罪になる」共謀罪新設法案は、二〇〇三年に国会に提出されて以来、二度にわたって廃案になったにもかかわらず、政府・与党は今国会で「三度目の正直」とばかりに、成立に躍起になっている。四月二十一日には衆院法務委員会で修正案の提案と趣旨説明が行われ、二十八日には衆院での採決を予定するという超スピード審議だ。
 この日の記者会見は、今までこの法案には直接的にはあまり関わってこなかった環境、人権、国際協力などのテーマで活動してきたNGOやNPOの諸団体が、自分たちの活動にとっても無縁ではないと危機感を共有して、アピールを発したことを訴えるために設定されたものだ。
 最初にアムネスティ・インターナショナル日本事務局長の寺中誠さんが「国際協力、健康、食品、人権などの活動を続けてきた私たちにとって、ごく通常の活動が『犯罪』とされるおそれを感じている。『嘆願』のための相談が『共謀』とされかねない」と語った。グリーンピースジャパン事務局長の星川淳さんは、「民主社会に必要なことは政府や企業をチェックすることだ。しかし日本では逆に政府が国民を監視している。民主社会を支える普通の活動が罰せられるおそれがある。邪魔な団体はつぶせということになったら市民社会は崩壊する。わずか一週間の呼びかけで百六十八団体からの賛同が寄せられた。これはNGO団体の危機感の表現だ」と訴えた。
 民主党の喜納昌吉参院議員、社民党の保坂展人衆院議員が国会情勢を説明した後、再び呼びかけ人からVAWW―NETジャパン共同代表の西野瑠美子さんが発言。
 西野さんは「女性国際戦犯法廷のドキュメント番組歪曲についてNHKを提訴してから五年目になる。マスメディアでは『慰安婦』、『天皇の戦争責任』、『フェミニズム』について取り上げることは非常に難しいと言われてきたが、私たちの活動はその三つすべてに関係している。以前、千代田区で松井やよりさんが区の講演会の講師をキャンセルされた時の抗議の会合で、声を上げると自分の子どもがイジメにあうのではないかと考えれば躊躇してしまう、と若い母親が語ったのに対し、高齢の女性が『戦争は沈黙とともにやってくるんですよ』と話したことを思い出す。沈黙を強制する共謀罪に反対の訴えを」と協調した。
 続いて、日本国際ボランティアセンター事務局長の清水俊弘さん、ピースボート事務局長の櫛渕万里さんが発言した。フロアーからは賛同団体の人権アクティビストの会の川田龍平さんやグローパル・ピース・キャンペーンのきくちゆみさん、非暴力平和隊の大畑豊さん、イルカ&クジラ・アクション・ネットワークの仲間などもアピールした。
 草の根の運動の広がりで、「共謀罪」新設法案をもう一度廃案に追い込み、今度こそ息の根をとめよう。       (K)


NHK裁判控訴審報告集会
番組改変「口裏合わせ」証言者への処分を許すな

 四月十七日、東京芸術劇場会議室で「NHK番組改ざん事件控訴審第11回口頭弁論報告会」が「戦争と女性への暴力」日本ネットワーク主催で開かれた。
 東海林路得子さん(VAWW―NET共同代表)が「政治介入の橋渡しをした当時、総合企画室経営計画担当局長の野島直樹前理事の証言は初めから終わりまで『なかった』『覚えていない』と言う驚くべきものだった。一月二十九日の改ざん指示もたまたま伝令的に伝えただけだと居直った。安部晋三氏を証人喚問したい」とあいさつした。
 原告弁護団の飯田さんは次のように報告した。
 「控訴審では四人の証人尋問をやったがまだまだ足りない。次回六月十九日は進行をどうするか決める法廷になる。今回の野島証人のポイントは、『デスクの長井さんが改ざんの事実を証言した。一月二十九日、野島(総合企画室経営計画担当局長)、松尾(放送総局長)、伊東(番組制作局長)が改ざんを話し合った。この時、総合企画室という国会対策の野島さんがはじめて参加した。二十六日に試写して、オーケーを出した。安部氏に会って態度が豹変した。二十九日に編集のやり直しを命じた。放送当日の三十日にさらに被害者の証言を削るなど編集がめちゃくちゃでジャーナリストとしては耐えられない程ひどく改変した。たまたま安部氏に会っただけというNHK側の言い分に対して』、その後の異常性の評価をどうするかだ。今後は吉岡さん、政治家の中川氏、安部氏の証人尋問が必要だ」。
 原告の西野瑠美子さんは「野島証言は何も証言しなかったように見えるが、安部氏の前に、当時政調会長であった亀井静香に会いに行ったことが明らかになった。前回のETV2001番組の編集責任者の永田さんが昨年一月の報道後、伊東、松尾、吉岡、野島さんが集まり、『呼び出されたのではなく、出向いたと口裏を合わせたと吉岡さんから聞いた』と証言したことを、国会で山本順三自民党議員(日本の前途と歴史教育を考える若手議員の会)が取り上げ、『けじめ』を求めた。それに対して橋本NHK会長も『適切な対処』をする答弁をした。これは人事への政治の介入である」と批判した。
 次に、田島泰彦さん(上智大学文学部新聞学科教授、放送と人権等権利に関する委員会・前委員、毎日新聞「開かれた新聞」委員会委員)が「NHK番組改変問題が問うもの―現代のメディア状況とも関わらせて」と題して講演を行った。
 田島さんは「今回の野島さんの証言を聞いて、@公平さを強調していたが、自由や自立がなければ公平さもないA自分が作りたいものが作れなかったという無念さがない」と指摘した(要旨別掲)。この後、参加者から、NHKに対して政治介入がますます強くまる中で、山本議員の政治介入やNHK側の許し難い対応を許さず闘っていることが報告された。    (M)

田島泰彦さんの講演から
権力をチェックするメディア本来の姿を


 改ざん問題について。メディアは政治家の圧力について追及を回避している。メディアの重要性はメディアを通じてしか情報が伝わらないことにある。今回の事件はNHKの政府与党への事前説明という慣行をぬきに考えられない。
 朝日新聞のやり方が気になる。朝日新聞は、NHK番組改ざんに政治家の介入があったと報じた後、詳細な取材メモが流失して、態度があやふやになった。朝日新聞は「自民党の取材拒否に抗議しない。出て行けと言われたら、出て行くこと」と指示している。前年の慈恵医大問題で、無断録音した情報が学内の抗争に利用された。このことで、その記者を退社させた。政治家は巨大な権力を持っており、前に言ったことを簡単にくつがえす。取材の正確性のためにも、無断録音はひとつの手段として肯定されるべきだ。

言論・表現の自
由を取り戻そう

 NHKがやった政治家への事前説明は、政治介入があるのが普通で、介入を促しているようなものだ。マスコミは権力をチェックしなければならない。汚職や腐敗を書くとき、事前に聞いていたら記事にならない。
 NHKは編集権を持ち出すが、戦後直後に、労働組合の編集へのイニチアチブを排除するためのGHQは編集権を持ち出し弾圧した。編集の自由が大事なのだ。
 NHKは、有事法制の枠組みに組み込まれて放送している。例えば福井県美浜原発で、テロから原発を守るという訓練があったが、これに対して反対意見があるということを一切放送しなかった。これは公平ではない。今回も現場の抵抗を押し切って改ざんした。関係者への説明、意思表明がない。上がどんな理不尽でも従うしかなくなってしまう。
 政府与党は、憲法を改悪して言論・表現の自由を制限してくる。すでに憲法の改悪を待つことなく事実上進んでいる。NHKもそうした方向にどんどん進んでいる。今回の裁判は言論・報道の自由を取り戻す一環だ。NHKや朝日新聞を批判する必要はあるが、大事なことは、そうした中で、抵抗して苦労している人がいることだ、そうした人々とつながり支え、本来のメディアにつくりかえていくことが重要だ。(発言要旨、文責編集部)


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