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 FTAを庇護する新自由主義政権との対決を (下)   かけはし2006.5.1号

韓米FTA阻止闘争と階級的労働・民衆運動の課題

闘う側は何をすべきか?

 改めて言うまでもなく韓米FTA阻止闘争を労働者・民衆全体の闘争として組織しなければならない。このために以下の実践活動を展開しなければならないだろう。

第1に、現場の先進活動家たちがまず韓米FTA闘争の意義と闘争課題を共有しなければならない。

 何よりも反グローバル化闘争と労使関係ロード・マップ闘争は別個のものではないことを大衆に扇動しなければならない。これはすべて新自由主義反対闘争であり、どれか1つを選択する問題ではなく、新自由主義反対闘争戦線を構築し、反資本主義運動へと転換させなければならない問題だ。
 この時期、資本の新自由主義攻勢は一方では新自由主義の世界化を通じた市場化の深化(水などの公的領域まで私有化)として、またもう一方では労使関係ロード・マップなど労働の柔軟化を法制度的に完成する、それこそ新自由主義を完成する形で再編しようとする局面だ。
 これは、それだけに労働者・民衆の抵抗を伴わざるをえないし、それによって総資本の対応は2極化の解消、社会的協約などの包摂戦略であるのだ。この闘争において労働者・民衆運動陣営がどのように対応するのかによって今後の労使間の力学関係が再規定されるほどに重要な時点にある。したがって階級的労働運動・民衆運動陣営は決定的な局面で、決定的な実践を組織しなくてはならないだろう。
 各産業、部門別に懸案の争点は少しずつ異なることはありえるが、それを反新自由主義の戦線として結合させなければならないし、国家主義のイデオロギーを超え、新自由主義政権に対する明確な態度をもって闘争を組織しなければならない。粗っぽく言えば、韓米FTA阻止闘争も非正規改悪案、労使関係ロード・マップ阻止闘争も、すべて新自由主義政権たるノ・ムヒョン政権を主要打撃の対象とするという点において同じ闘争だと言わざるをえない。さらには1国的レベルでいかにジタバタしたとしても全産業、全部門領域にわたって作動する国際法という、この上ない威力をもっている韓米FTAに対して、「闘争を放棄すれば、すべてがすっからかんになる」という覚悟で臨まなければならない。

政治宣伝・扇動の全面展開を

第2に、韓米FTA阻止闘争の意義を全面的に扇動しなければならない。

 もどかしいことではあるが、現在まで地域や現場では韓米FTAの深刻性が大衆的に共有されているとは言いがたい。特に、5月の統一地方選挙という局面が闘争戦線を弛緩させる否定的要因として作用する危険性も決して排除できない。
 一応、民主労総は韓米FTA阻止など4つの闘争課題を掲げてゼネストを宣言したが、無償教育、無償医療闘争が主要な大衆組織を中心に「マラソン対話」のレベルで論議されているというウワサがあるように、威力ある大衆闘争を漠然と期待しては困る。
 闘争のエネルギーもまた、スクリーン・クウォータがすでに縮小された現時点にあって映画人たちの闘争は3月末、4月初めの闘い以上のものを期待するのは難しいようだ。農民もまた田植えシーズンに入ればエネルギーを形成しがたいだろう。幸いなことに部門別の共対委などが持続的に結成されている。けれども、これまた大衆的な闘争を直ちに組織するのは困難だし、学生運動陣営も授業料など教育費の民衆への押しつけの問題とFTA阻止闘争を連携させる全面的な対政府闘争を組織するところまでは進みきれていないように思われる。
 そして交渉が6月に開始されるということを勘案すれば、4・5月はそれこそイデオロギー闘争や部門別共対委などを中心として韓米FTA阻止闘争の意義を拡散させる多様な先導闘争を結合し、6・7月の本交渉阻止闘争を準備する時期だと言えよう。
 このような点で4・5月は、階級的労働運動・民衆運動陣営に政治宣伝・扇動の全面化という時期的課題を突きつけている。特に、先に述べたように「韓米FTA反対=反米」というレベルの粗悪な政治扇動ではなく、非正規案改悪阻止、労使関係ロード・マップ阻止闘争の局面と結合しつつ、韓米FTAの害悪性、特に全産業、全部門にわたる問題点を政治扇動しつつ現場、地域、部門において活発な宣伝・扇動を展開しなければならない。特に全国単位の主要大衆組織、社会団体が中心となって諸社会団体や個別活動家たちまで一緒に行動する地域別の巡回討論会や宣伝戦を積極的に模索する必要がある。
 このほかにもFTA反対の世論を形成するためにさまざまなパフォーマンス・宣伝・扇動の力量を結集した多次元的なやり方で、もっとも大衆的な言葉で、韓米FTAの問題点を暴露しなければならないだろう。このためには研究の力量や地域・現場部門の活動家の力量が有機的に結合されなければならない。大衆宣伝・扇動においても無定型な市民一般、没階級的な国民一般に対する国家主義的、愛国主義的訴えではない、大衆の暮らしのどんな部分が破壊されるのかを政治的に暴露するやり方とならなければならない。

闘いを反米闘争に限定するな

第3に、地域、現場、部門を中心に闘争の主体を組織しなければならない。

 前述したように、民主労総は4月ゼネストの基調として韓米FTA阻止を掲げたが、現在までの状況を見ると、6月の本交渉を前にしたFTA阻止闘争は容易ではない。最悪の場合、何回かの大衆集会、おそらくはメーデーを前後とするイベント性の集会によって大衆闘争は事実上、終結されるとともに、統一地方選挙に没入する可能性もなくはない。それにもかかわらず韓米FTAが及ぼす悪影響が知られるにつれて分野別の共対委が構成され、下からの闘争を組織するための工夫と苦心とがさまざまな角度から進行中だ。
 ところで重要なのは、公式的な労働組合体系などの、いわゆるタテ割りシステムは自動的に大衆闘争を担保しない、ということだ。場合によっては極めて形式的な水準の大衆動員にとどまったり、単社別の懸案の闘争に反グローバル化のスローガンが付け加えられるというやり方にとどまりかねない。そのために労働組合などの大衆組織のレベルから韓米FTA阻止闘争が大衆的な闘争となることができるように一切の努力を尽くさなければならない。同時に、このような大衆闘争を触発させぬくための多様な実践活動を展開するための下からの自発的な方式の闘争エネルギーを形成しなければならないだろう。
 例えば、(仮称)非正規案改悪阻止、韓米FTA阻止○○実践団を構成し、現場と地域・部門の組合員(大衆)たちに韓米FTA阻止闘争を宣伝・扇動し、象徴的な先導闘争を敢行できるだろう。また地域レベルでの多様な実践活動も考えられる。

第4に、韓米FTA阻止闘争を1国的レベルではない国際的な反グローバル化闘争へと上昇させるための模索と実践を展開しなければならない。

 韓米FTA阻止闘争は狭小な反米闘争とすることはできないし、反新自由主義・反グローバル化闘争へと国際主義的観点をもって拡張しなければならない。特に米国などに該当する闘争主体があるならば、それを発掘し組織しなければならない。FTAが基本的に資本運動の利害関係の産物であるならば、それによって苦しめられる労働者・民衆は韓国ばかりではなく、米国にも存在するだろう。したがって、自由貿易反対NGO運動団体から出発し、労働組合・政治団体との国際連帯闘争の可能性を積極的に模索し、実践しなければならないだろう。

運動の新しい可能性の追求を

第5に、連帯運動の新たな可能性を模索しなければならない。

 現在、運動陣営の1部では特定政派勢力の戦略、すなわち(民族)統一戦線論や自主的民族政府樹立論に根拠をおいた単一連帯連合体の建設のような、宗派主義的で覇権主義的な連帯運動の秩序再編の試みが存在する。反グローバル化闘争の場合にも、民衆連帯の反グローバル化特別委内に反グローバル化関連の各連帯運動体を統廃合すべきだとの主張があったように、図体のでかい大衆組織中心の覇権的運営の作風、特定の連帯闘争体あるいは活動家が過度に連帯運動全般を独占しようとする傾向もまた存在する。
 だが本当の民衆連帯、つまり労働者・民衆の共同闘争戦線は上層活動家たち、上層連帯体などの離合集散によっては実現されないだろう。釜山APEC反対闘争が反ブッシュ闘争に塗り替えられたとの批判的評価は、依然として有効だ。これを克服する方案は活動家たちのレベルでの政治的論争だけではなく、新自由主義によって苦痛を受けている労働者・民衆の当面の闘争にどのように主体として踏み出すことができるのか、あるいは自身の闘争をこの闘争と結合させることができるのか、非正規改悪案阻止闘争などの当面の労働の懸案や韓米FTA阻止闘争が認識のレベルでであれ、実践のレベルであれ、どう結合できるのか、今からでも共に苦心し実践しなければならないだろう。
 そしてこのような努力の1つ1つが集められるとき、単一連帯連合体のような、偽りだらけの信じられない主張は破産宣告を受けるだろうし、連帯運動の新たな可能性が開かれるだろう。(「労働者の力」第99号、06年3月24日付、キム・テジョン/会員)




最近の北朝鮮「経済改革」動向について

 今年に入って以降、日本での北朝鮮報道は金融・経済制裁問題と拉致事件に関連したものが大半を占めている半面、韓国や中国のメディアでは北朝鮮における「経済改革」の動きについての報道が目立ってきた。断片的内容のものが多いがそれらを総合すると北朝鮮での経済再建・再組織化に向けた流れは確実なものとなってきたようだ。
 一昨年来、中国資本が北朝鮮の鉱物資源にねらいを定めて進出ラッシュの様相を呈していることは本紙でも伝えたが、最近では韓国資本が中国の進出に乗り遅れまいと中国との合弁の形態をとって共同開発に乗り出したと伝えられている。そしてこうした流れに対応した北朝鮮国内での法整備、行政措置も進行し、経済官僚幹部らが大挙出席した大がかりな対策会議を開催(10年ぶりといわれる)、北朝鮮商工代表団の上海視察、金日成総合大学での最新の近代経済学講座の開設(財政金融・市場経済理論)やドイツなど西側諸国への研修派遣が伝えられている。
 また新たな「経済改善措置」として国有地の個人への長期賃貸、企業使用の国有地への課税、道路の開発・運営権の国内外企業・個人への付与、企業・個人が開発した分譲アパートの所有権保護等が検討・準備され、国内の各級人民委員会には「不動産開発課」という部署が新設されたことが確認されたとも伝えられている。
 限られた情報のためにその内容と進行はいまだ未定形なものとしてしかとらえられないが、北朝鮮経済再建の端緒は好むと好まざるとに関わらず市場経済化・資本主義化の基礎の上にしかあり得ないことに北朝鮮の行政・経済テクノクラート層は「自信を持ち始めた」ようだ。      (A)


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