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米軍再編最終報告「日米ロードマップ」批判(下)     かけはし2006.5.22号

米軍の世界戦略と一体化した新安保体制を打破しよう


座間に移駐する
米陸軍司令中枢

 米陸軍第1軍団司令部を改編した司令部機能ユニット(UEX)を神奈川県座間に設置する件についてはどうか。「米陸軍司令部能力」と題されたこの項では、「キャンプ座間の米陸軍司令部は、08米会計年度(二〇〇七年十月から二〇〇八年九月まで)に改編される」としている。ここでは座間に移転する「陸軍司令部」はあたかも二〇〇三年十一月の日米審議官級協議で、米側から提案されたワシントン州に司令部を置く陸軍第1軍団司令部の座間への移設とは異なったものであるかのように表現されている。
 日本の外務省当局も、米陸軍第1軍団司令部がカバーする範囲がアジア・太平洋全域からインドにまで至る地球面積の約半分をカバーする広大なものであることから、日米安保6条の「極東条項」とのからみで移転に難色を示していたとされる。しかしこのUEXとはは新しい機動・柔軟戦略による米軍の軍制改編にもとづくもので、実際は第1軍団司令部の移設そのものに他ならない。
 「米国は、『軍団司令部はなくなり、UEXに改編するのだから、日米安保条約第六条の問題には抵触しない。有事になれば最前線に指揮所を設け、第一軍団司令部という名称も変更する可能性がある』と受け入れを求めた。……/しかし、新たな陸軍司令部『UEX』はあくまで仮称であり、実質的には旧陸軍第一軍団司令部であることに変わりはない。その任務が機動力と柔軟性を重視する以上、指揮命令の範囲が極東に限定されないケースはこれまで以上に増えるだろう」(久江雅彦『米軍再編』、講談社現代新書)。
 この改編にともない「戦闘指揮訓練センターその他の支援施設が、米国の資金で相模補給廠内に建設される」。そしてキャンプ座間には二〇一二年度までに陸上自衛隊中央即応集団司令部が移転するのである。陸自中央即応集団とは、海外での「対テロ」戦を含めて柔軟・機動的に緊急投入できる部隊である。まさに座間は、「対テロ」グローバル戦争における日米軍事一体化を象徴する基地となるのだ。
 改編された米軍司令部の座間への移設との関連で、相模原総合補給廠の一部などが返還されることが「ロードマップ」に書き込まれている。しかしその返還分、十七ヘクタールについては、相模原市が再開発する場合、国に対して約四百億円にも上る土地取得料を支払わねばならないことが判明した(「毎日」5月3日)。相模原市当局は「返還」による新たな負担に対して強く反発している。

米軍と自衛隊の
「基地共同使用」


 米第五空軍司令部の存続が決定された横田に関しては、まず東京都府中市にある航空自衛隊航空総隊司令部が、二〇一〇年度に移転することが打ち出された。「横田飛行場の共同統合運用調整所は、防空及びミサイル防衛に関する調整を併置して行う機能を持つ」とされる。これは空軍とミサイル防衛(MD)の分野での日米共同作戦の指令中枢機能が横田に設置されることを意味している。そして言うまでもなくミサイル防衛は、「脅威」とされた対象の反撃の可能性を削ぐことによって一方的先制攻撃を可能とするためのシステムでもある。
 このミサイル防衛については「新たな米軍のXバンド・レーダー・システムの最適な候補地として航空自衛隊車力分屯基地が選定された。レーダーが運用可能となる06年夏までに、必要な措置や米側の資金負担による施設改修が行われる」ことも書き込まれている。
 米空母艦載機(第5空母航空団)のF/A18ホーネットなどの厚木から岩国への移転については、二〇一四年までの完了が合意された。また嘉手納のKC130空中給油機についても、「司令部、整備支援施設及び家族支援施設とともに、岩国飛行場を拠点とする」ことも明記された。こうして岩国基地は嘉手納を上回る東アジア最大の空軍基地となるのだ。その一方て岩国に配備される航空機の一部は、「訓練及び運用のため、海上自衛隊鹿屋基地及びグアムに定期的にローテーションで展開する」ことになっている。
 これらの基地再編は、米軍基地と自衛隊基地とが共有した戦略や情報・指令機能と任務分担にもとづいて、米軍の一元的指揮の下に一体として運用されていくことに大きな一歩を踏み出したことを意味する。それは、当分の間、三沢、岩国、嘉手納の三つの米軍基地からの航空機が自衛隊の千歳(北海道)、三沢(青森)、百里(茨城)、小松(石川)、築城(福岡)、新田原(宮崎)の各自衛隊基地から行われる「移転訓練」に参加し、「(日米の)双方は、将来の共同訓練・演習のための自衛隊施設の使用拡大に向けて取り組む」とされていること、また「日本国政府は……必要に応じて、自衛隊施設における訓練移転のためのインフラを改善する」とされていることにも明白である。
 米軍と自衛隊の海外での実戦における共通の指揮・統制・作戦の展開、すなわち米軍のグローバルな展開の一部に自衛隊を完全に組み込むことに向けて、米軍基地と自衛隊基地の共同使用が目指されているのである。そこには自衛隊の米軍からの「独立性」は全くと言っていいほど存在しない。小泉政権がアメリカ帝国主義との間で合意した「日米同盟の新たな段階」とは、それほど「従属的」なものなのだ。

日米ロードマッ
プを破棄せよ


 われわれは、こうした「日米同盟の新たな段階」が、まったく秘密裏の交渉によって国会の審議に付されることもなく、しかも財政危機を口実にあらゆる福祉・医療・教育予算を削り、公共企業の民営化と大量の公務員の首切り・賃金切り下げを進めながら、新たに三兆円にも上る税金を投入して進められようとしていることに怒りをもって反対する。
 この「米軍再編」に対しては、すでに新たな犠牲を押しつけられる沖縄、岩国、神奈川などで自治体ぐるみの抵抗が発展している。地元自治体の意向を無視した「米軍再編」に対して、四月二十三日の地方選では、岩国市でも沖縄市でも「基地負担の強制反対」を公約に掲げた市長候補が、自民・公明の推す候補を破って当選した。
 しかし、小泉政権・防衛庁は、基地を抱える各自治体に対して圧力をかけ、「米軍再編」の受け入れを強要している。島袋・名護市長や稲嶺沖縄県知事は、基本的に「日米合意」を受け入れた。しかし、地元住民の世論は首長の屈服を批判している。さらに島袋市長の「滑走路縮小案」や稲嶺知事の「暫定ヘリポート」案に対しても、政府は一切妥協の姿勢を見せてはいない、日本政府にとっては「日米合意」が絶対なのである。
 額賀防衛庁長官は、一九九六年の日米安保新宣言や、一九九七年の新ガイドラインの枠組みを超える今回の「米軍再編」に対応した、新々安保宣言や新々ガイドラインの策定をふくむ「新たな枠組み」の形成を公言し、ラムズフェルド米国防長官の了承を取り付けたとされており、「グアム移転費用の捻出」をふくめた「米軍再編関連法案」の上程を射程に入れている。そして恒常的海外派兵法案をステップにした憲法改悪へのプロセスをスピードアップさせている。
 今こそ流れを変えよう。「ロードマップ」の履行を拒否し、破棄させることは、労働者・市民の闘いによってこそ可能となる。この闘いの成否は、憲法改悪の野望を破綻させることにもつながっている。「米軍再編」に反対する沖縄をはじめとする全国の闘いを結びつけ、アメリカのグローバル戦争と一体化した「戦争国家」化を阻む新しい反安保闘争を構築しよう。
 韓国で米軍基地拡張に反対する平澤(ピョンテク)の農民たちの闘いに、ノムヒョン政権はついに軍隊を導入して激しい弾圧に乗り出し、多くの住民・支援者を逮捕した、韓国やフィリピン、そして全世界の米軍基地反対闘争と連携する共同の闘いを作り上げよう。(平井純一) 




イラク第10次派兵の中止を
陸自東部方面隊と防衛庁に抗議の申し入れ

泥沼にはまった
イラク占領体制

 小泉政権は、四月二十八日に陸上自衛隊第10次復興支援群のイラク派兵を発令した。今回の派遣部隊は東部方面隊第12旅団(群馬県榛東村)を中心とする五百人である。そのうちの第一陣百四十人は、五月七日にクウェートに向けて関西空港を飛び立った。陸自派遣に先立って四月二十一日には、「テロ対策特措法」にもとづく基本計画を十一月まで延長し、インド洋・アラビア海での海上自衛隊によるアフガニスタン多国籍軍支援「支援」活動を継続させる閣議決定が行われた。
 当初、小泉政権は三月末からイラク占領に参加している陸自部隊の撤退を開始し、五月末までには完了するという方針であった。しかし昨年末の国民議会選挙を経て、ようやく四月二十二日にイラク国民議会がジャワド・マリキを首相に任命したものの、組閣は行われておらず正式政権は発足していない。
 しかも国内の治安はさらに悪化し、宗派間の抗争や占領に対する抵抗運動が激化している。「内戦」と言われる状況も拡大している。イラク戦争の開始以後の米兵の死者は二千四百人を大きく超え、二千五百人に接近している。ブッシュ米政権のイラク侵略戦争と占領を全面的に支援してきた小泉政権は、まさに先の見えない泥沼の中で「引くに引けない」ジレンマに陥ってしまったのだ。五月十一日には、サマワの自衛隊に食料を輸送するトラックが路上爆弾で大破した。
 四月二十九日には、ニューヨークで三十五万人のイラク反戦デモが行われた。退役した将軍や元CIA幹部からも、ブッシュ政権のウソとイラク戦争の不正義を告発する声が続出し、ブッシュやラムズフェルドを追い詰めている。
 しかし小泉政権は、五月一日にワシントンで開催された「2プラス2」(日米安全保障協議委員会)で「米軍再編最終報告」を合意し、この絶望的な世界規模の「対テロ」戦争に米軍の指揮下で全面的に参加する道を突き進んでいるのである。

イラク、アフガン
からの即時撤退を

 五月六日、東京北部の労働者・市民が作る「自衛隊・東部方面隊をイラクに行かせるな! 実行委員会」は埼玉の仲間や、新しい反安保行動をつくる実行委員会・10期とともに、埼玉県朝霞市の陸上自衛隊東部方面隊に対して、自衛隊の派兵を中止し、即時撤退を求める行動を行い、申し入れ文を手渡した。
 五月八日には、辺野古実の毎週行動に連続して、新しい反安保実10期が東京・市ヶ谷の防衛庁に対しても自衛隊イラク派兵中止、即時撤退を求める抗議行動を行った。この日の行動には九十人が参加した。また当日、自衛隊基地に申し入れを行った栃木県の仲間も発言した。さらに浜松、名古屋、大阪、広島、熊本で反戦・反基地闘争を担っている仲間からの申し入れ文も防衛庁の担当者に手渡された。
 「米軍再編」に反対する沖縄、神奈川、岩国などの闘いと連携し、イラク、アフガニスタンからの全占領軍の撤退をかちとる行動を継続、発展させよう。(K)       



投書

座間に米軍司令部を押しつけるな
              藤井 保

 四月十八日の新聞各紙は座間の星野市長が三回目の質問書を横浜防衛施設局へ提出したことを報道している。
 三月十一日のキャンプ座間の基地強化・恒久化に反対する市民集会は千八百五十六人が参加しました。市長が先頭でデモ行進をした。「米第1軍団とんでもない。いま反対しなければ六十年が百年に」と真剣でした。
 しかし政府は座間市に昨年、日米両政府が合意した「中間報告」なるものを押し付けています。四月十七日手渡した座間市の質問書について四月十八日の毎日新聞は次のように報じている。
 「同市はこれまで同局に二回質問状を提出。`キャンプ座間を含む米軍施設の区域および兵力構成も固定的でなく、遠い将来にわたる基地のあり方を恒久的に定めるものではないaとの回答を得たが、質問者は`あまりに説得力がないaと指摘、具体的な説明を求めた」。具体的な説明など五項目について四月二十四日までの回答を求めた。

ピースフォーラム
座間がデモ行進

 ピースフォーラム座間が四月十五日に座間市長への応援のために、みんな手に手にホーキや三味線、プラカードを持って小田急相武台前駅に集まった。緊急でしたが三十人を超えた。
 ホーキは憲法9条の戦争放棄です。三味線は沖縄基地反対への連帯です。基地前では英語で抗議文を読みました。ピースフォーラム座間は座間在住の女性が、米軍再編問題をきっかけに座間から平和を発信したい一心で立ち上げた市民グループです。
 小田急座間駅までの九十分のデモでしたが市街では私たちの`第1軍団は来ないで下さいa`座間市長頑張れaの訴えに手を振ってくれるなど基地問題の関心は高い。参加者は遠く横浜市、近くは相模原、厚木、海老名からもあった。
 デモ解散地点で「五月、六月も月一回同じようなことをやりましょう」と発言がありました。そして来る四月二十八日、サニープレイス座間(市役所前)で午後六時からシンポジウムがありますとのビラが配られた。市民と議員の緊急討論集会です。共に参加していきましょう。(4月20日)


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