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韓国はいま、「テ〜ハンミングッ」の絶叫と同床異夢   かけはし2006.6.19号

残りの任期で資本の千年王国を準備しようとするノ政権


W杯「必勝コリア」の裏で

 W杯が再び始まった。5・31統一地方選に登場した候補者たちは、本気にせよ、そうでないにせよテ〜ハンミングッ(大〜韓民国)を叫び、02年の4強神話が再現されることを希望する大仰な作り笑いを浮かべてカメラの前に立つ。赤いTシャツの出現、「必勝コリア」が全国を席捲している。W杯の熱風は、だれもがテ〜ハンミングッを愛し、祖国を誇らしげに考えているかのように仕立てる。だがもどかしいことに、国民らが、そして1票でも票欲しさに作り笑いを浮かべている候補者らが叫んでいる「4強神話、お〜必勝コリア」は、資本の千年王国を夢見ている資本家どもの世の中だ。
 大〜韓民国ではほぼ同じ時期に「外注化中断、直接雇用」を叫んでいる280余人のKTX(韓国高速鉄道)乗務員たちが籠城した場所が暴力的に鎮圧され、籠城していた組合員らは全員連行された。崖っ渕に追い立てられた非正規労働者たちは元請けと交渉しよう、合意案を履行せよ、と要求して送電塔やクレーンに身を縛り高空籠城を展開した。
 平澤・大秋里では数千の労働者、学生、民衆らが軍靴に踏みにじられ、楯で刺され、振り下ろす棍棒によって血を流し引っ張られて行き、政府は「暴力集団」だとして厳正処罰の方針を下した。
 「お〜必勝コリア」を叫んでいる間は、資本家も労働者も警察も軍隊も、そして政府官僚も一緒だ。だが「大〜韓民国」で全国民が一体になっているとき、国家は公権力を前面に押し出して自らの意図を貫徹しぬき、非正規労働者たちの絶叫は遥かなこだまとなった。
 6月、非正規改悪案が再び国会に上程され、韓米FTA(自由貿易協定)は本格的な交渉に入る。ロード・マップは労使政代表者会議で論議され、ひとつひとつ合意文が作成されるだろう。政治的危機に立たされたノ・ムヒョン政権が、このW杯を通じて何をねらっているのかは余りにも明らかだ。「大〜韓民国」という名によって互いを抱きしめるとき、労働者民衆の暮らしは今一度じゅうりんされる。資本と政権の新自由主義攻撃が再び宣布される6月、「階級」の名において、「労働者」の名において6月を突破することはできないのだろうか?

「3大不法勢力」への弾圧


 5月7日、ノ・ムヒョンは海外歴訪の出発に先立ち、3大不法勢力を挙げて厳しい対処を注文した。自身が戻ってくる14日までに法と原則に従ってすべての問題を解決しておけ、というものだ。3大不法勢力とはKTX乗務労働者たち、平澤・大秋里の闘争勢力、韓米FTA阻止勢力のことだ。これを受けて、史上初の女性総理ハン・ミョンスクはノ・ムヒョン大統領の言葉を忠実に履行するとともに、関係する各閣僚を集めて改めて厳正対処の方針を下した。
 5月4日、平澤・大秋里に軍兵力と1万余人の戦闘警察が投入され、平澤・大秋里の豊かな大地をヨモギ繁る荒れ地に変え、鉄条網を設置した。5月11日、KTX乗務労働者たちが籠城している鉄道公社ソウル地域本部に数千人の戦闘警察が進入し、籠城していた労働者たちを全員連行し、さらに14日未明にはカン・グムシル選対本部での籠城にも警察を投入して暴力鎮圧を敢行した。14日までにすべてを解決せよという大統領の指示を守るために警察は用意周到に準備し、1時間もかからずに鎮圧作戦を完了した。
 平澤・大秋里でほしいままになされた暴力によって全国に戦雲が垂れ込み、労働者民衆は平澤に駆けつけた。すると国務総理は談話を発表した。「愛する国民の皆さん。皆さんはわれわれの息子・娘であり、われわれの兄弟姉妹なのだから大韓民国の国民らしく暴力や闘争ではなく平和な対話と妥協とによってこの難題を解決しましょう」というものだが、これは「暴力をし放題してすまないが、ことを荒ら立てずにもう家に帰れ」ということだ。そうして、どうしたことか平澤・大秋里のその怒りは平和集会に散華し、数千の労働者・民衆は大秋里の大地を踏むことができないまま家に帰らなければならなかった。

再び浮上する非正規改悪案

 メーデー集会で民主労総チョ・ジュノ委員長は韓国労総との共助を宣言した。続いて非正規法案の再論議と民主的労使関係法案のための労使代表者会議への復帰の立場が表明された。民主労総指導部は、ロード・マップ論議が労使政代表者会議で展開されており、特殊雇用労働者の労働基本権問題も論議される予定であるため、参加して民主労総の主張を貫徹させなければならない、という立場だった。もちろん、闘争も併行しつつ、というわけだ。
 だが路線的問題にあえて触れなかったとしても、非正規改悪案をめぐって続けられた労使政の論議の結果は余りにも酷いものだ。長期闘争事業場を解決していくと語っていた労働部長官の発表は、いかに履行されているのか。ただ現象についてだけ見ても、労使政代表者会議で苦労した対価が何なのかは疑問だ。むしろ非正規改悪案阻止闘争は、修正案問題でひとしきり混乱を味わい、韓国労総との共助闘争は決定的局面において韓国労総の裏切り(?)によって、よりひどいことになりはしなかったか。
 ともあれ民主労総指導部の労使政代表者会議への復帰、韓国労総の復帰の発表は今後に展開される非正規悪法、ロード・マップ阻止闘争を、この2年間と同じ形態で繰り返すのかどうかの問題として台頭した。民主労総中執会議では、鋭敏な問題であることから度重なる論難の末に労使政代表者会議には未復帰との決定を下し、6月ゼネストをはじめ非正規法案阻止、ロード・マップ阻止闘争へと闘争の基調を改めて立て直した。だが労使政代表者会議への参加の論議が再び出現する可能性は極めて濃厚だ。
 政権は、どうか。国務総理室では公共部門の非正規対案T/Fチームを構成し、非正規職の規模を縮小する、と発表した。労使政代表者会議で5月25日、ロード・マップの33条項中8条項を合意し、6月23日まで最終合意を目標として集中論議するとの方針が確認された。計画通りならば6月末まで交渉し、7月に政府案として立法予告し、9月の通常国会に法案として提出される見通しだ。それとともに、政府の「特殊形態の勤労従事者保護対策」の準備計画にそって合意枠を構成し、論議していく、との立場も発表された。
 総合してみると、非正規悪法の6月通過によって非正規職は量産する代わり、非正規職の差別問題は制限的な水準で補完する、というのだ。ロード・マップは労使政代表者会議を通じて合意し、労使政全体の意見を集約したことによって手続きを終えて9月に通過させるというものだ。さらに、拡大している非正規労働者たちの闘争は公権力を押し立てた暴力鎮圧によって眠らせ、「非正規職」の問題には大きく触れることはしない線で、若干の施恵を設定することはできる。
 柔軟化は拡大し、貧困の深化は、いかんともしがたく、労働組合運動の制度的無力化をしっかりと進め、労働3権を抹殺するというその基調は変わることなく6月を貫通して突き進む、ということだ。

「階級」的に韓米FTAを見よ


 韓米FTA交渉文の草案が作成された。一方では国益のためだと語り、他方では国を亡ぼすことだと言う。だが両者ともに国家の利益を話している。社会の2極化解消のためにオール・インするというFTA交渉は、これを契機に新自由主義の構造調整を一層露骨化する、というのだ。
 FTA交渉で展開される資本間の競争は労働者民衆の生存を担保として進められるものであり、これによる被害はそっくりそのまま労働者民衆に押しつけられる。重要なことは、資本の危機を突破しようとする彼らの競争はFTAを媒介として展開されるとともに、構造調整の全面化を企むというものだ。IMFの事態のときも同じだった。
 経済危機を口実に、国家を再生させるために労働者民衆に構造調整の苦痛をすべて押しつけたように、労働者民衆の立場からすればFTAとは結局そういうものなのだ。資本が農民、文化芸術、教育、公共部門を私有化しつつ、投機資本が大手を振ってのさばる社会を作ることは、はたして正しいのか。カネが何ものにも勝る資本にとってFTAは国境を超えて資本の共通の利害なのだ。
 そうであればわれわれもまた国境を超え、国家の利益論争を超え、資本の利害が徹底して貫徹されているFTAを阻止する闘争を展開しなければならない。資本が亡びはしないだろうか、だって。恐れるな。労働者民衆の世の中は資本が亡びてこそ実現する。その闘いを始めなければならないのだ。そうしようとするならば何よりもまずテ〜ハンミングッを放棄しなければならない。W杯を放棄しなければならない。

わが祖国を愛するなかれ!

 1996年12月、全国の労働者たちは街頭をビッシリと埋め、「ペテン的労働悪法の撤廃」を叫んだ。工場は停止し労働者たちは強行通過された悪法を撤回させた。10年が過ぎた今、労働者たちは大きく変わった。この7年間、持続された政権と資本による新自由主義の攻撃は、資本に向けた労働者民衆の全面的闘争を不可能なことのように認識させた。だが、2006年の現在の時点において客観的な情勢は労働者民衆の全面的闘争を予告している。
 資本に順応したからと言って、政権に順応したからと言って労働者民衆の不安感や生存を脅やかす恐怖は消え去ったか。月給が上がったからと言って、非正規職でないからと言って、雇用不安の脅威はなくなったか。ノ・ムヒョンは残された任期の1年6カ月をFTAにオール・インし、資本の無限搾取を保障してやると言う。今や残された選択は労働者民衆がこの政権や資本の攻撃に真っ向対決する闘いにオール・インするのかどうかだ。その出発を6月としなければならない。
 非正規法案、ロード・マップ、韓米FTAに立ち向かう労働者民衆の全面的闘争が本格的に準備されなければならない。このために労働者民衆の6月はテ〜ハンミングッを捨てることから出発する。今こそ、わが祖国を愛するなかれ!(「労働者の力」第103号、06年5月26日付、ソン・ジヒョン/労働・教育委員長)


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