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平澤闘争、「駐韓米軍拡張移転阻止」の旗の下       かけはし2006.6.5号

ノ・ムヒョン政権に対する総反撃闘争を組織しよう!


96年の韓総連弾圧以降最大

 5月4日、ノ・ムヒョン政権は1万5千人の警察と軍隊、それに作業員を動員して平澤闘争の拠点であった大秋分校を暴力侵奪した。3月6日の大秋分校に対する強制行政代執行の試み、3月15日、4月7日の大秋里、埠頭里地域に対する農道封鎖の試みが失敗に帰すや、揚げ句には軍兵力まで動員して侵奪を強行したのだ。
 それも4月30日、5月1日に国防部と平澤米軍基地拡張阻止汎国民対策委員会(以下、平澤汎対委)・彭城住民対策委員会との間の対話がなされ、5月8日には3度目の対話が設定されていたその時点で行われた暴力侵奪だという点において、これは極めてギマン的な暴力侵奪だと言わざるをえない。
 5月4日の暴力侵奪に抗議する5月5日の闘争(「軍部隊投入糾弾および生命と平和の土地死守汎国民大会」)に対してもノ・ムヒョン政権は住民の家の中まで探し回る捜索や暴力鎮圧をほしいままにした。その結果、2日間にわたって、治療を受けた負傷者160人、連行者625人、拘束者16人となった。その上、証拠不十分として大量の拘束令状請求が棄却されるという事態が発生するやいなや、検察は補充取り調べをして拘束令状の再請求を行うとの強硬な基調で踏み込んでいる。
 4、5日の暴力侵奪・鎮圧以後、ユン・グワンウン国防部長官が、民間人のデモ者に対しても軍刑法を適用するというこけおどしをしたことからも見られるように、国防部、警察、検察はぐるになって平澤闘争の火種を絶対に消し止めようと必死である。
 キム・ヨンサム政権の時期、96年に行われた延世大での韓総連(全学連)鎮圧の事態以後、最大の暴力弾圧を「参与政府、国民の政府」を名乗るノ・ムヒョン政権がほしいままにしているのだ。

新たな局面を迎えた闘争

 5月4日の軍部隊までも動員した大秋分校侵奪は、大秋分校を中心として進められていた平澤駐韓米軍基地拡張移転阻止闘争が新たな局面を迎えたことを意味する。
 大秋分校を奪われ、大秋里一帯に対する出入りが封鎖されることによって平澤闘争は一次敗北したように見える。だが軍兵力まで動員した無慈悲な暴力侵奪が各界各層の怒りを呼び起こすとともに、平澤闘争は全国の闘争へと大いに広がっている。
 したがって今後の平澤闘争は労働者・民衆運動陣営が広範かつ強力な闘争力によってノ・ムヒョン政権を窮地に追い込むのか、それともノ・ムヒョン政権の意図する通りに6月末までに大秋里住民が強制退去されて闘争の拠点を完全に喪失するのかによって勝負が分かれるだろう。そうであるだけに今日から6月末までの1カ月半の間、労働者・民衆運動がどのように闘うのかは極めて切迫し、かつ重要な問題だ。

対決を回避する平澤汎対委

 5月4日と5日の暴力侵奪以後、平澤汎対委は5月8日、「平澤の事態の平和的解決のための非常時局会議」(以下、非常時局会議)を開催するとともに、今後の闘争計画を提出した。
 「住民対策委との連帯強化、各界各層の参与幅の拡大、国民に対する世論宣伝戦の強化」という基調の下、核心的要求事項を「国防部長官の退陣・軍部隊の撤収、社会的協議機構の構想」と設定し、5月13日の汎国民キャンドル文化祭(ソウル・光化門)と5月14日、大秋里での汎国民大会を開催するというのが、それだ。併せて各地域別対策委の建設やキャンドル集会の組織化、大秋小学校復元のための各界各層の農活(援農)を5月末まで組織しつつ、住民強制退去の時点である6月末まで平澤闘争を継続していくという計画だ。
 だが非常時局会議で論難となったように、平澤汎対委の闘争基調や要求は深刻な問題点を抱えている。すなわち平澤汎対委は大秋分校の侵奪以後、「侵奪糾弾と平和的解決の基調、大衆的参加の拡大」という基調の下、ノ・ムヒョン政権糾弾(や退陣)を闘争の要求の基調にかけることに反対することはもちろん、平澤闘争の核心的要求である「米軍基地拡張移転阻止」さえ核心要求から除外させた。
 その結果、軍兵力投入の責任をノ・ムヒョン政権ではなく国防部長官にのみ帰しており、平澤闘争の根本原因である駐韓米軍基地拡張移転が、政権の暴力性糾弾に埋没させられてしまった。しかも4月末から5月初めにかけての対話の局面を政権側が一方的に破ってまで武力侵奪したのにもかかわらず、安易にも対話の局面の際に要求していた「社会的協議機構」の構成を再び要求している。
 5月4、5日の2日間にわたった大秋分校に対する侵奪以後、平澤闘争は「駐韓米軍基地移転か、阻止か」をめぐる真っ向からの対立に付け加え、暴力侵奪をめぐるもうひとつの対立戦線が形成された。だが汎対委は「平澤の事態の平和的解決」を主たる基調とすることによって、分離することのできないふたつの対立戦線を分離させる過ちを犯すとともに、平澤闘争の根本原因である駐韓米軍基地拡張移転を前面に押しだせずにいるのだ。しかも、この根本的責任をノ・ムヒョン政権に問うのではなく国防部長官の次元に限定させつつ、平澤侵奪に対する全民衆的怒りが政権に対する対抗として広がる可能性を、意図的かあるいはそうでないにせよ、いずれにしても遮断している。

基地拡張移転のねらいは何か

 なぜノ・ムヒョン政権は5・18(光州)と比肩できるほどに軍兵力まで動員した無理な侵奪を強行したのか。駐韓米軍基地移転拡張は、ノ・ムヒョン政権にとっては政権の命運をかけるほどの重要な事案だからだ。
 平澤への駐韓米軍基地拡張移転は、ノ・ムヒョン政権が米帝国主義の世界覇権戦略に積極的に呼応しつつ推進しているものだ。つまり今年初めの韓米両国の「駐韓米軍の戦略的柔軟性の合意」で見られるように、米国は世界各地域の紛争に海外駐屯米軍が迅速に介入できる新戦略を推進している。
 これにしたがって駐韓米軍の性格も、北の南進に備える固定した軍配置ではなく、東北アジアの紛争に迅速に介入できるように機動軍へと変えるというものであり、その主要ターゲットは米国が潜在的脅威大国と見なしている中国だ。したがって米国は中国を脅やかすことのできる地理的要衝地である平澤へ駐韓米軍基地を拡張移転し、中国など東北アジアの紛争に積極介入する条件を確保しようとしている。
 駐韓米軍の性格の変化に伴った駐韓米軍基地の拡張移転は9・11テロ以後、「対テロ先制攻撃ドクリトン」という米帝国主義的軍事侵略に正当性を付与しつつ、南韓(韓国)を米帝国主義による東北アジアの政治・安保上の覇権掌握の前哨基地に仕立てることに他ならない。
 そしてその結果は韓(朝鮮)半島を米国の利害に沿った戦争の脅威に露骨にさらすものであり、米帝国主義の政治・軍事的利害に南韓(あるいは朝鮮半島)の民衆の生存と生命とを丸ごと、ささげまつることになるだろう。
 その上、駐韓米軍の性格の変化や基地の拡張移転は韓米FTAなど新自由主義の世界化と密接に連関していることを周知する必要がある。すなわち米帝国主義は各大陸の軍事的政治的要衝地に自由貿易協定(FTA)を締結しているが、これは政治、軍事的同盟(隷属)体制強化とFTAが相互結合するとともに米帝国主義の経済、政治、軍事的覇権化の手段として活用していることを意味する。
 ノ・ムヒョン政権もまた、このような米帝国主義の意図に忠実に対応している。ノ・ムヒョン政権は韓米FTAを通じた新自由主義のグローバル化と構造調整を完結させる一方、また駐韓米軍の戦略的柔軟性の合意および駐韓米軍の平澤への拡張移転を通して、東北アジアでの米帝国主義の覇権の構図に南韓を編入させる一方、この下位同盟体制の下で南韓資本の新自由主義グローバル化と新自由主義の軍事化を図っている。ノ・ムヒョン政権が繰り返し叫んでいる「東北アジアの中心国家」への挑戦という野心に満ちた構想の本質が、まさにこれだ。
 さらにノ・ムヒョン政権はイラク派兵の際の論理同様、韓米同盟を強固にすることによって北核問題を含む南北関係を改善するという構想の下、米帝国主義の覇権戦略に積極的に応え、踏み込んでいる。

平澤闘争は反帝、反政府闘争だ


 したがって平澤の反基地闘争と韓米FTA阻止闘争は米帝国主義とノ・ムヒョン政権の核心的戦略を攻撃する闘争として、内容的に密接に連関している闘争だ。ノ・ムヒョンは5月7日、海外歴訪への出発に際して、平澤闘争や韓米FTA闘争をKTX(韓国高速鉄道)のストライキ闘争とともに厳正対処することを注文し、国防部を動員してまで無理に強制撤去をやりたい放題にやっているのは、平澤駐韓米軍基地拡張移転が政権にとっては戦略的死活のかかった重要な事案であるからだ。
 しかも平澤闘争が頑強に持続されるなら、6月と7月に続く韓米FTA本交渉阻止闘争もまた追い風に乗って展開される可能性が大きいという点で、政権としては平澤闘争が韓米FTA阻止闘争の拡大と上昇に結びつく闘争の流れを断ち切る必要があったのだ。
 したがって、国防部長官退陣のレベルではなく、ノ・ムヒョン政権は暴力の事態に対する責任を取って退陣すべきことを明確にしなければならない。南韓の民衆や大秋里住民の利害とは全く符合しない駐韓米軍基地移転を推進し、ひいてはこれに抵抗する闘争の隊伍に対する暴力侵奪まで敢行しているノ・ムヒョン政権に、もはや何を期待するのか。ノ・ムヒョン政権に対する糾弾と退陣を明確に要求するときにのみ、平澤の事態の平和的解決が、むしろ可能となるだろう。
 非正規悪法とロード・マップは分離することはできず、非正規悪法とロードマップは韓米FTAと分離することができいなように、平澤の反基地闘争と韓米FTA阻止闘争は、米帝国主義とノ・ムヒョン政権の新自由主義のグローバル化、軍事化に立ち向かった闘争だ。したがって平澤闘争は平澤住民と人権・平和活動家たちだけの領分ではなく、労働者階級と民衆運動全体が共に闘わなければならない重要な闘争だ。

韓米FTA闘争との結合を

 5月4、5日の大秋里暴力侵奪を契機に形成された現在の平澤闘争の局面において、平澤汎対委が提出している闘争基調は修正されなければならない。
 平澤闘争の原因であり、政権の暴力侵奪の根本原因である「駐韓米軍基地拡張移転反対」という要求が抜け落ちた汎対委の闘争計画は、闘争の明確な方向を喪失させる憂慮があるからだ。むしろ現情勢は「駐韓米軍基地拡張移転阻止」を明確にする中で政権の暴力侵奪の野蛮性を暴露糾弾しつつ、反基地闘争の正当性を一層確保していかなければならないだろう。
 また一部で提起されている「闘争の拠点を平澤ではなく、ソウルにすべきだ」との主張も深く憂慮される。もちろん、ソウルが持っている政治的象徴性から考えるとき、ソウルでの闘争は重要だ。だが、このような主張は平澤闘争の特殊性を忘れ去り、「闘争の全国化のためにはソウルへ!」と言う過度な一般化の誤りを犯している。住民の強制退去がなされ、米軍基地拡張の土地であり闘争の拠点である大秋里を政権側に完全に奪われた状態で、ソウルでの闘争はどれほどの決定的意味を持てるだろうか。このような論理を展開している勢力は5月9日のユン・グワンウン国防長官の発言――「(反対)デモをしようとするのであれば、米軍基地移転案を批准した(国会議事堂のある)汝矣島か政府総合庁舎にでも行って静かにキャンドル集会でもやってくれ」――に注目してみるべき必要がある。政権が恐れているのはソウル地域の闘争やキャンドル集会ではなく、大秋里死守闘争を中心とする平澤での頑強な反基地闘争なのだ。

 平澤闘争は国家権力の暴力性に焦点を合わせた人権や平和的解決の問題にのみ矮小化することはできない。つまり平澤闘争は国家の暴力性と対決する人権闘争であり、住民の生存権死守闘争であり、新自由主義のグローバル化と軍事化に対抗する闘争なのだ。そしてこれを暴力を動員してまで推進している米帝国主義とノ・ムヒョン政権に反対する闘争として強化されるとき、その闘争の意味は完全によみがえることができる。
 そして平澤闘争を通じて形成された反帝国主義、反新自由主義、反ノ・ムヒョン政権の闘争戦線を強固にしていき、7月の韓国での韓米FTA本交渉阻止闘争にまで連結する闘いの流れを作り出さなければならない。
 このためには平澤闘争に対する持続的結合とともに、住民への強制退去がもくろまれているその6月に開催されるワールド・カップの熱風やキム・デジュン前大統領の訪北、6・15(南北共同)宣言関連の祝賀行事などが平澤闘争の撹乱要因として作用しないように、果敢に努力しなければならない。(「労働者の力」第102号、06年5月12日付、チャン・ヘギョン/会員)


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