全国大学のガイドライン作成状況を検証 かけはし1999.7.26号

第5回キャンパス・セクシュアル・ハラスメント全国ネット東京大会

被害者の立場で救済するという方向性はまだまだ不充分

 7月17日、東大本郷キャンパスで「第五回キャンパス・セクシュアル・ハラスメント全国ネットワーク全国集会 東京大会」が行われ、220人が参加した。

取り組みを検証し運動に生かすため

 「キャンパス・セクシュアル・ハラスメント全国ネットワーク」は、教育現場でのセクシュアル・ハラスメント問題を考え、対策と防止に取り組むことを目的として97年9月に結成された。結成以降、全国ネットは、大学を中心に全国の教育機関を結んで、情報交換、問題解決のための支援、様々な教育・啓発活動を行ってきた。
 80年代後半からセクシュアル・ハラスメント問題を取り組んできたグループや女性たちの運動を反映して、改正均等法に企業のセクシュアル・ハラスメント防止配慮義務が規定された。そして、この4月からの改正均等法施行にあたって文部省は、国公立大学や私立大学に対してセクシュアル・ハラスメント防止に関する指針を打ち出したり、すべてではないがいくつかのセクシュアル・ハラスメント裁判において勝利的判決をかちとるなど大きな成果が勝ち取られている。
 セクシュアル・ハラスメント問題をめぐる大きな動きの中で全国ネットは、文部省のセクシュアル・ハラスメント防止指針や各大学の取り組みなどを検証し、現在の到達水準を明らかにすることを通して今後の運動の方向性を提示していくためにこのシンポジウムが行われた。

ガイドラインの作成状況と課題

 シンポジウムの第一部は、「大学におけるセクシュアル・ハラスメント防止に向けて」というテーマにもとづいて3人のパネリストから問題提起が行われた。
 渡部和子さん(京都産業大学教員)は、「大学の対応を検証する--全国大学のガイドラインの作成状況の調査と全国ネット事務局活動から」というテーマで報告した。
 渡部さんは、全国各大学に対して「セクシュアル・ハラスメント防止のガイドライン作成状況」のアンケートを行い、二百数十校から集計結果が得られたことを紹介し、その中で44大学が「作成の予定なし」という状況であることを批判した。またガイドライン策定および作成中が百十数校であったが、被害者の立場にたって救済していく視点が弱いことなどを指摘した。
 さらに防止にむけて@大学間の連携A弁護士、フェミニストカウンセラー等との連携B女性センター相談室との連携が重要であることを強調し、性差別禁止法によるセクシュアル・ハラスメントの犯罪化が求められているのではないかと訴えた。

文部省の規定のどこが問題なのか

 牟田和恵さん(甲南女子大学教員)は、3月に出された「文部省におけるセクシュアル・ハラスメントの防止等に関する規定」に対する問題点を明らかしていった。
 牟田さんは、冒頭、大学のセクシュアル・ハラスメント対策開始にとって「規定・ガイドライン・リーフレット」の3点セットがかならず必要であり、啓発活動の強化が重要だと述べた。
 さらに文部省規定に対しては、@相談苦情への対応体制についての言及が不十分A相談員(委員会)のすべきことをただ羅列B相談\調査\救済の混合C研修啓発の指針がないなどを批判した。また、各大学のガイドラインに対しては、モデルになるものもあるが、逆に人権や権力関係の視点がなかったり、対応・処分・チェック体制の問題などが存在していることを指摘した。そして、牟田さんは、「セクシュアル・ハラスメント問題は、大学自体のw危機管理xとして受け止め、教員の私たちがw共犯者xにならないために取り組みを強化していかなければならない」と決意を明らかにした。
 合場敬子さん(明治学院大学教員)は、「ガイドライン作成後の大学における取り組み-明治学院大学での事例」を紹介し、今後の課題など問題提起した。

大学における取り組み事例から

 合場さんは、明学でのセクシュアル・ハラスメントアンケートの結果が、5・5%の人が大学関係者からセクシュアル・ハラスメントを受けたことがあり、同級生(約32%)、先輩(約19%)、指導教授(約13%)だったことを報告した。また、回答者全体の19・4%の人が、大学関係者以外の人(例えば、アルバイト先)からセクシュアル・ハラスメントを受けていることを紹介した。
 さらに99年度の活動として啓発活動の強化、とりわけサークル代表者を対象に講演会を実施していくことを述べた。また、この間の取り組みの課題として講演会への教職員の参加が少ない状況があり、なんとか関心が強まるために努力していくことが求められていると述べた。
 第二部は、東京大学をはじめ大学院生、組合、非常勤組合などから、この間のセクシュアル・ハラスメント問題に対する取り組みの報告と教訓、課題などについて論議が行われた。最後に参加者全体で今後の取り組みの強化とネットワークの拡大を行っていくことを確認した。
 なおこの日、全国ネット編発行の「キャンパス・セクシュアル・ハラスメント ガイドラインの手引き 800円+税」が配布された。ぜひ一読を(注文先 全国ネットワーク事務局電話/FAX075-771-5105)(Y)