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    かけはし2017.年2月13日号

人権侵害の共謀罪法案を通すな


1.20

秘密法・戦争法と一体

改憲とセットの弾圧法だ

国会提出許さない院内集会


政府のウソを
暴き出そう!
 一月二〇日、「秘密保護法、戦争法と一体 話し合うことが罪になる共謀罪 国会提出を許さない院内集会」(共催/「秘密保護法」廃止へ!実行委員会/解釈で憲法9条を壊すな!実行委員会/日本マスコミ文化情報労組会議/盗聴法廃止ネットワーク)が参議院議員会館講堂で行われ、三四〇人が参加した。
 安倍政権は、三度も廃案になった共謀罪の名称だけを変えた「テロ等組織犯罪準備罪」法案(=新共謀罪―犯罪を行ったら処罰するのが近代法の原則だが、それを否定し、法律に違反する行為を話し合い、合意しただけで処罰可能にする)を今国会提出に向けて加速している。安倍首相は、施政方針演説で「安心・安全の国創り」の項目で「テロなど組織犯罪への対策を強化します」と強調した。すでに共同通信のインタビュー(一月一一日)で(『共謀罪』の趣旨を盛り込んだ組織犯罪処罰法改正案に関し)「成立させなければテロ対策で各国と連携する国際組織犯罪防止条約が締結されず、二〇二〇年東京五輪・パラリンピックができない。『共謀罪』は一般の方々が対象となることはない」などとウソを繰り返した。
 そもそも国際犯罪防止条約(TOC条約)の立法ガイドには、『自国の国内法の基本原則に従って必要な措置をとる』と明記されおり、新共謀罪は犯罪の既遂以前を取り締まりであり、国内法原則の逸脱だ。テロ対策が必要というならば、すでに現行法で予備罪、準備罪、ほう助犯、共謀共同正犯などの形で共謀を犯罪とする措置がとられている。つまり、派兵国家建設と一体である治安弾圧強化に向けて警察権力の権限拡大のために盗聴法改悪などの刑訴法制定とセットで新共謀罪を使って民衆監視・管理・人権侵害のやりたい放題の「武器」を握りたいのだ。現在、自民党と公明党は、法案の国会提出に向けて修正協議を法務省、警察官僚らとともに適応刑法の絞り込みを行っている。安倍政権の民衆管理・弾圧強化に向けた新共謀罪の国会提出反対と制定阻止をめざして新たなスクラムを実現した。

現代版治安維持
法の危険な内容
司会は中森圭子さん(「秘密保護法」廃止へ!実行委員会) が行い、「共謀罪法案が国会提出リストに入ってしまった。行為を処罰するのではなく、思想、考えそのものを処罰するのがねらいだ。市民的自由の制限を許さず、なんとしてでも四度目の廃案を目指して取り組んでいこう」と開催あいさつを行った。
主催者あいさつが高田健さん(解釈で憲法9条を壊すな!実行委員会)から行われ、「共謀罪は戦争法と一体だ。憲法破壊につながる悪法だ。すでに南スーダンに自衛隊が派兵され、戦争法が発動されている。自衛隊を撤退させたい。全国の戦争法廃止集会では共謀罪反対のスローガンが入り、制定阻止にむけて広がりつつある。韓国の民衆と連帯して安倍内閣を倒そう」と発言した。
民進党、共産党、社民党、自由党の国会議員も複数駆けつけ、共謀罪制定阻止をアピールした。
平岡秀夫さん(元民主党法務大臣、弁護士)は、「共謀罪(テロ等準備罪)の問題点」をテーマに問題提起。とりわけ政府の「国際犯罪防止条約を批准するために共謀罪が必要だ」という主張に対して「条約の目的(第一条)は『国際的な組織犯罪を防止、これと戦うための協力を促進』することであり、条約三四条一項には『自国の国内法の基本原則に従って措置(立法上、行政上)』せよと明記されている。この枠組みであれば、すでに国内法で十分満たしている。密告、盗聴、司法取引を可能にした刑訴法改悪と一体で共謀罪を制定し、警察権力による監視社会の強化だ。政府のウソを暴き、法案制定を阻止していこう」と発言した。
海渡雄一さん(弁護士)は、「平成の治安維持法・共謀罪法案の国会提出に反対しよう!」をテーマに@通常国会へ提出必至の情勢Aなぜ共謀罪に反対してきたのかB盗聴捜査の拡大を招く危険C秘密保護法には既に共謀罪が導入されているD組織犯罪集団の関与を要件にしたら大丈夫か?E準備行為を要件としても、曖昧さは解消されないF共謀(合意)の対象となる犯罪としての「重大な犯罪」を限定したらG一九二五年治安維持法制定時には濫用のおそれのない完璧な法案と宣伝されたH治安維持法と共謀罪との共通点と相違点について解説し、「条約批准のために共謀罪制定は不可欠ではなく、共謀罪法案の提案に反対する」と結論づけた。
連帯発言が桜井昌司さん(布川事件元被告人)、治安維持法事件「横浜事件」の元被告の妻・木村まきさん、日本国民救援会、日本民主法律家協会、戦争させない・9条壊すな!総がかり行動実行委員会、「秘密保護法」廃止へ!実行委員会から行われた。      (Y)

1.21

ウォルデン・ベロさんが報告

トランプ登場で東
アジアはどうなる

 【大阪】一月二一日、ストップ!TPP緊急行動・関西の主催で、「トランプ登場で東アジアはどうなる」集会がエルおおさかで開催された。サブタイトルは「TPPの挫折,新自由主義の破綻のはじまり」で、折しもトランプ大統領の就任式がおこなわれた直後ということもあり、非常にタイムリーな企画だった。集会には八〇人が参加、ウォルデン・ベロさんと佐久間智子さんの講演とパネルディスカッションでの議論に聞き入った。
 集会は、社民党元衆議院議員、服部良一さんの主催者あいさつで始まった。服部さんは、「九月にストップ!TPP緊急行動・関西を立ち上げて活動を続けてきた。トラクタ・筵旗をかかげた三五〇人のデモもおこなったが、その締めくくりという意味を持つ集会だ。トランプ大統領当選でTPPは頓挫となり、緊急行動はこの集会を持っていったん閉じるが、今後も事態を注視したい」と述べた。
 孫崎亨さんがサプライズ登壇して、「トランプは、労働者階級の期待を受けて登場したが、かつてない富豪政権であり、国民を裏切ることになるだろう。TPPによって日本の主権がなくなるところだった。ISD条項による訴えの結末は必ず多国籍企業が勝つようになっている。これからの二国間交渉では、何が問題なのかが国民の前に明らかになる分、TPPよりましだ。」と発言した。

市民の運動で
大きな成果
続いて、ウォルデン・ベロさんによる講演「トランプ当選後の東アジアはどうなる」に移り、ベロさんはTPPの基本的問題点について「ISD条項を使って国の主権が奪われていくこと、および知的財産権が強化されることだ」と指摘し、「TPPは通常の経済協定ではなく,第一の経済大国・アメリカと第三の経済大国・日本によって、第二の経済大国・中国を封じ込めるという地政学上の意味を持っていた。また、オバマ政権によるアジアへの旋回という国際戦略の経済的な側面を担うものでもあった」とその本質を明らかにした。(ベロさん講演の要旨は別掲)
佐久間智子さんの講演「TPPのモデル、MAI(多国籍投資協定)を頓挫させた市民の運動」では、「TPPで最も問題とされたIDS条項は既にMAI(NAFTA)に組み込まれていた。アメリカはNAFTAでは成功したが、MAIでは頓挫した。フランスなどが、NAFTAでのIDS条項の実際の適用をみて、躊躇したことがMAI頓挫の主な要因だった」と述べ、NGOなどによる条文公開とキャンペーン、交渉当事者などへの働きかけが効果的だったと指摘した。「交渉当事者であっても、条文の中味がわかっていないことも多いので、条文の意味を知らせることは重要だ。たとえば、労働者のストライキ、消費者のボイコットで生じた損失を国が補償しなければならないとMAIには書いてあった。政府は分からないまま調印してしまうこともある。」その上で、どうやって人々が離れていかない運動を作るのかが問われていると講演を締めくくった。
続いて、AMネットの武田かおりさんがRCEPについて説明したあと、パネルディスカッションに移った。最後に、山元一英さんがまとめの発言を行い、集会を終えた。    (森)

ベロさんの報告

グローバルな反ファシスト運動を!

トランプ勝利の
諸要因をさぐる
トランプの勝利は、貧困層の増えている地域で、かつ従来は民主党が強かった地域が共和党に移った結果だった。この地域の労働者階級が民主党を見放したのだ。オバマは失業や所得減少に何の手も打たなかったうえに、TPP推進でさらに問題を作りだす、ヒラリーはTPPに反対しているが、当選したらTPPを推進する側に回るだろうと彼らは考えていた。
トランプは、アメリカの経済政策について、中国を念頭に置いて為替操作をやめさせること、不当な取引をやっている国からの輸入に関税をかけることの二点を主張した。これは保護主義のように見える。メキシコ国境の壁建設のような戦争好きのメンタリティで、経済政策でも同じように関税の壁を作ろうとしている。トランプは、個人の資質、メンタリティが歴史に影響を与える例になるだろう。彼は現実を自分の政策に合わせようとしている。トランプの予想外の勝利によって、現実を変えることができるという彼の確信は強まっている。

ドゥテルテは
ファシストだ
トランプのもとで、アメリカは保護主義に向かうことを覚悟しなければならない。もう一つ覚悟すべきことは、軍事面でも経済面でも、同盟国と一緒にやるのではなく、単独行動主義を取ろうとしていることだ。一九三〇年代の孤立主義と似たような傾向が台頭している。単独行動主義と孤立主義は矛盾しない。私たちは、いま「第二次大戦後」と言われる時代の終わりに直面している。アメリカが自由主義の国々を守るために、自分たちの資源を世界的に配るという体制の終わりだ。アメリカ国内で、中産階級、労働者階級を中心に、アメリカ優先という考えが広まっている。アメリカのティーパーティー、フランスの国民戦線など、世界中で極右、ファシスト的傾向が強まっている。一九二〇年代,三〇年代以来の現象だ。リベラル民主主義派が後退している。そして、伝統的な右派・保守勢力が右に向かう流れに飲み込まれ,ますます右の政策をとっている。これは人々の怒りの表現である。
私の国でも同じことを既に体験している。フィリピンの大統領はファシストである。麻薬常習者は処刑するしかないと公言し,実行している。しかし、国民の八四%が彼を支持している。つまり、リベラル民主主義に裏切られたという思いを持つ人々が支持しているのだ。同じような力学が世界を支配している。人権という言葉をネットにアップすると、世界中から非難の書き込みが殺到する状況になっている。
いま起こっている事態は、反グローバリゼーションが軸だが、極右がその成果を全部持っていっているのが現実である。グローバリゼーション、自由貿易協定に反対する闘いは左翼が中心になって進めてきたが、その成果を手にしているのは極右勢力だ。
私たちの課題は、第一に大衆運動をもう一度作り直すことだ。他に選択の余地がない。人々が本当に関心のあることについて運動を作るしかない。それに失敗すれば、後世の人々からは左翼は裏切ったと言われるだろう。二つ目には、われわれの側の魅力的な対案を示す必要がある。三つ目には、グローバルな反ファシスト運動を作らなければならない。というのは、いったん権力をファシストがとると、長期間権力を維持する可能性があるからだ。


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