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    かけはし2017.年4月24日号

米国の爆撃は民衆を助けない


シリア

トランプの空襲に対する声明

自己決定権求め闘う民衆に連帯を

シリア人・イラン人社会主義者連合(ジョセフ・ダヘル/フリーダ・アフリー)

 米国がアサド政権によるとされる化学兵器使用を理由に、シリア政府軍に初めて直接攻撃を加え、シリアの内戦にさらに混乱的要素を加えた。この攻撃を厳しく批判し、当地の民衆との民衆レベルでの連帯構築を訴えるアピールが即座に発表されている。以下に、シリア人・イラン人社会主義者連合、米国ソリダリティ、仏NPA大統領候補者・フィリップ・プトーの三声明を紹介する。(「かけはし」編集部)

トランプの懸念は民衆ではない

 化学兵器による攻撃がそこから発進したシリア空軍基地に対する四月六日のトランプ政権の巡航ミサイル攻撃は、シリア民衆に対する心からの懸念をいかなる点でも映すものではない。それは、アサド政権、ISIS、アルカイダに対する闘争を助けることにはならないだろう。この政権の最新空襲はその代わりに、他の諸々の狙いに動かされている。
 アサド政権とその同盟者、ロシア、イランが四月四日にしでかしたシリアの町、ハーン・シェイフン(イドリブ県)における無実の市民に対する化学兵器による爆撃は、アサド体制に対する民衆的反対活動の中で残っているものを破壊するための、さらにもう一つの段階だ。民衆的で民主的な反対活動のもっとも重要なセンターであった、東部アレッポが包囲下に置かれ破壊された後で、そして生き残った者たちと他の包囲された反対派地域の生き残った者たちがイドリブに向かうよう強制された後、今や体制は、イドリブとアレッポ諸県の非武装民衆を爆撃することにその部隊を集中している。
 トランプ政権はほんの二日前、彼らが優先していることはアサドの追放ではない、と公表していた。しかしながら、アサド政権の化学兵器による爆撃が米帝国主義の信用に一つの打撃を加えてはじめて、アサドの空軍基地への攻撃という決定がなされた。トランプは、共和党指導部内の何らかの異論を沈めるために、オバマとは逆に彼にはいくつかの「レッドライン」がある、と示さなければならなかったのだ。
 その上、トランプ政権とプーチンのロシアとの密接なつながりに関する日々新たになる暴露、そしてこれらの暴露がトランプ支持者内部ですらその信用性を深刻に傷付けるようになってきた状況を前提とした時、シリアでのミサイル攻撃は、この政権を部分的にロシアから引き離すための一つの方法となった。

反動諸体制を変わらず後押し


しかしながらわれわれがこの点で言うことができることは、ロシア政府に前もって伝えられたこの攻撃も、シリアやアサド体制の将来に関する米国の政策における戦略的な変更を何ら示すものではない、ということだ。米政権の焦点は依然として、アサド体制の中核が異議を突き付けられることのない一つの移行を追求することとなるだろう。そしてそのような政策は、「テロとの戦争」を名目にこの政権によって正当化されるだろう。
トランプ政権は権力についてから、全体として、反民主的でレイシズムの、そして性差別的な中東の指導者たちを後押しし、中東における抑圧的な環境を強化することが彼らの目標である、という合図をあらゆる形で示してきた。彼と彼の顧問たちは、イスラエル首相のベンジャミン・ネタニヤフ、トルコ大統領のレセプ・タイップ・エルドアンおよび外相のメブルト・チャブシオール、エジプト大統領のアブデルーファタ・アルシシ将軍、サウジアラビア国王代理のモハンマド・ビン・サルマン皇太子、ヨルダンのアブドラ国王と会談を重ねてきた。
またレクス・ティラーソン米国務長官による三月三〇日のトルコ訪問は、エルドアンを承認するというある種の同意を与えるものだった。しかしそのエルドアンは、昨年七万人以上の人々を逮捕し、トルコとシリアのクルド住民に対し継続的に爆撃を加え、四月一六日の国民投票を通して、異論のあらゆる形態に敵対する彼の抑圧的権力を広大に広げようと今狙っているのだ。その上ティラーソンの訪問は、トルコとシリアのクルド諸層に対しては良い前兆とはならない、非公表のいくつかの協定に導くことにもなった。

抑圧と権威主義すべてにノー


もっとも重要なことだが、想定ではISISを止めることが狙いとされている、モスル、アレッポ、ラッカにおける先頃の米国による空襲は、市民の大きな死者数をつくり出すことになっている。それらは、シリアにおける米国の空襲が二〇一四年に始まって以来では、もっとも致死率の高いものになっている。
それらが明らかにしていることは、シリアにおけるもっと大規模な軍事介入はただより多くの死と破壊に結果するだけだ、ということだ。モスルの一住民であるISISから逃げ出したイラク人は、モスルに対する最新の米国による空襲がもたらした破壊を、広島に対する米国による核爆弾投下になぞらえた(ニューヨークタイムス三月二八日付け、「密集市域での戦闘激化につれイラクとシリアでの市民の死が増加中」〈ティム・アランゴ〉参照)。「エアウォーズ」によれば、三月一ヵ月だけで、「テロとの戦争」を名目としたイラクとシリアにおける米国の空襲により、一〇〇〇人もの市民が殺害された。
これらの現実は、トランプ政権の諸々の動機を暴き出しているばかりではなく、中東で無実の市民に対する戦争を今遂行しているあらゆる諸国、すなわちシリアとイランの政権、トルコ、サウジアラビア、イスラエル、また他のあらゆるこの地域における権威主義的政権、さらにISISやアルカイダ、加えてロシアと西側の軍事介入を厳しく非難するようわれわれに迫ってもいる。それらはすべて、帝国主義の論理および権威主義的で不公正なシステムを保持している部分だ。それらはすべて、この地域民衆の自己決定と解放を求める民衆の闘争に反対している。
それゆえ、中東であろうが西側であろうが反戦活動家は、彼らの批判をイスラエルと西側に限定することに代えて、抑圧と権威主義のあらゆる形態に立ち向かい、この地域の民衆の利益に敵対する外国の介入のあらゆる形態を厳しく非難する必要がある。
はっきりしているが、シリアにおける十分に平和で公正な解決は、バシャル・アル・アサドと彼の徒党を権力においたままでは達成不可能だ。彼はシリアでは最大の犯罪者であり、世界のまた地域の帝国主義大国により正統とされることに代えて、その犯罪に関し訴追されなければならないのだ。

ロシアとイランでの反戦運動を


またはっきりしているが、シリア人を助け、この地域におけるできごとの悪化を続ける展開を変えるための有効な方法は、今日、シリアへの彼らの支配者による軍事介入に反対するイラン人とロシア人が、アサド政権に対する彼らの政府による支援と国内での抑圧悪化および貧困化の間にある結びつきを明らかにする、強力な反戦運動を築き上げることだ。これまでこれが起きなかったのはなぜか? ロシアとイラン内部の政府による抑圧だけが理由なのか?
ロシアでは先週、何万人もが首相のドミトリー・メドベージェフと他のロシア寡頭支配者たちの腐敗行為に反対するデモに決起した。しかしながら、富裕層の国内の腐敗に焦点を絞ったほとんどの人々は、プーチンの帝国主義戦争に対する批判に光を当てることはなかった。デモに決起したこれらの人々が彼らの視野を広げるか否かは、依然今後に分かることとして残されている。
イランでは、この国の様々な部分における労働者の抗議がなしに過ぎる日は一日もない。これらの抗議行動は、賃金不払い、レイオフ、手当や権利をすべて欠いた臨時契約、政府の職の「私有化」、作業と安全に関する規制の欠如、年金不払い、さらに都市の四人家族が生き残るに必要な最低額が月に一〇〇〇ドルである国における極めて低い最低賃金(月二四〇ドル)に焦点を絞ってきた。
経済状況、およびイラン労働者、教員、サービス業労働者の社会的諸条件の悪化と、シリアおよび全体としての中東圏におけるイランの資本主義的、軍国主義的、帝国主義的諸政策、これらの間の結びつきを明らかにするのはイラン人社会主義者の責任だ。
これらの結びつきを描き出すことができずにきたことは部分的に、イラン政権のプロパガンダの強さに由来している。この宣伝は、アサド政権に対するシリア人反対派を全面的にISISやアルカイダから構成されていると表現している。アサド政権とプーチンを暗黙にかはっきりとか支持しているイラン人左翼の者たちに抱かれている民族主義もまた、イラン政府を助けてきた。
われわれは、シリア人・イラン人社会主義者連合として、われわれの分析を通して、また彼らの政府のシリアにおける軍事介入に反対しているイラン人の観点を広めることによって、この課題に取り組む努力を数々行ってきた。「ジ・アザー・イラン」を名乗る人々、またアサド政権に対するイランの支援を止める反戦運動をつくり出したいと思っている人々、われわれはこれらの人々からのもっと多くのコメントや考えを歓迎する。
さらにわれわれは、占領地パレスチナのラマラで、シリア政権によるハーン・シェイフンに対する化学兵器を使った爆撃に反対して抗議した、パレスチナの人々と意見が一致する。彼らは、「バシャル・アルアサドと共にある者は左翼ではない、左翼ではない」と唱和していたのだ。(二〇一七年四月七日)

▼ジョセフ・ダヘルはスイス在住のシリア人社会主義活動家、学者、ブログ「シリア・フリーダム・フォーエバー」の創立者。(「インターナショナルビューポイント」二〇一七年四月号)

フランス

米国によるシリア爆撃について

外国の介入はアサドを助ける

NPAはそのすべてに反対する

フィリップ・プトー

 六年の中で初めて、戦争犯罪人であるアル・アサドの軍が空襲の標的にされた。五九発の米国のミサイルが、シャイラート空軍基地を破壊した。この基地は、ハーン・シェイフンの非武装住民に対する化学兵器を使った、二七人の子どもを含む少なくとも八六人を殺害した水曜日の攻撃に責任のある航空機の発進基地だった。
 シリアの蜂起した民衆と連帯しているわれわれにとって、トランプのこの驚くべき作戦は、嫌悪感を残すものだ。ほんの一週間前、彼のチームは、プーチン、シシ、あるいはネタニヤフと同類の他の抑圧的な権力者が確認したものとしての、「テロとの戦争」の枠組みの中で、バシャル・アル・アサドとの一定の合意は想定可能だと示すことにより、以前からの立場を引き継いで詳説した。これらの合図はシリア政権によってはっきりと、その路線を遂行することに対する励ましとして解釈された。そしてそれゆえオバマに次いでトランプは、暴虐な化学兵器による攻撃とハーン・シェイフンの死者に関し自らの責任を共有しているのだ。
 バシャル・アル・アサドはイラン軍とロシア軍と共に、非武装住民に対し、また彼の血に飢えた体制に対する抵抗諸勢力に対し休むことなく爆撃を加え、何十万人ものシリア人をこれまで殺害してきた。しかし彼らは一部の世論に対し自身を正当化できてきた。いわゆる「テロとの戦闘」に、また中東における西側と地域諸大国の爆撃に依拠することによってだ。
 NPAは、シリアにおける外国の軍事介入すべてに反対だ。それらはアルアサドがそのままとどまることを助けるものだった。他方われわれは、非宗派的抵抗活動に対する武器売却に関する禁輸措置の解除を変わることなく求めてきた。その禁輸措置は、非宗派的抵抗活動を実体的な防衛手段がないまま放置したのであり、湾岸諸国やトルコから武器――対空兵器ではない――を獲得できてきたのはただ原理主義者のジハーディストたちだけだった。
 シリア革命の戦士たちは、米大統領が彼らの側にいると期待すれば間違いを犯すことになるだろう。われわれは次のことを恐れている。つまり、トランプの軍事「クーデター」は、今後の他の抑圧的権力者と連携した日和見主義的な外交的術策に対する一つの表紙として役立てられ、世界における新たな冒険主義的――そして逆効果の――軍事作戦および経済的諸攻撃に奉仕するものとなる、そしてそれらはすべて抑圧された民衆と米国民衆自身に損害を与える、ということだ。
 それゆえわれわれは、米軍の攻撃に対してはいかなる支持も与えないし、あるいは期待をもつこともないし、アルアサドとの「理にかなった」和平を主唱する目的で、この独裁者により殺害された数十万人という死者、および何百万人にものぼる追い立てられた人々や難民から顔をそむけている、そうしたフランス諸政党の抗議に加わることもないだろう。
二〇一七年四月七日、モンレイユ
▼フィリップ・プトーは、フランス大統領選に対する反資本主義新党(NPA)の候補者であり、第一回投票に向け、TV討論会を含め、現在精力的に選挙戦を闘っている。なお、既成政党の候補者を大いに困惑させている彼のTV討論での奮戦は、一部のメディアの注目も受けている。(「インターナショナルビューポイント」二〇一七年四月号) 


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