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    かけはし2017.年8月7日号

古里1号機閉鎖、新規原発白紙化宣言


ムン大統領 脱原発のシグナル

象徴主義的改憲は問題の先送り

ディアンヌ・フィールズ

 わが国第1号の原子力発電所が門を閉じた。1977年6月19日、初めて核分裂が起き放射線と熱を吹き出していた古里1号機(釜山・機張郡長安邑)が40年ぶりに稼働を終え、2017年6月18日零時を期して永久に停止した。この国で古里1号機はこの40年間に維持された原発中心のエネルギー政策を象徴する存在だった。今回の閉鎖を契機に古里1号機は脱原発の象徴となった。

脱核時代に進む

 ムン・ジェイン大統領は6月19日午前、「古里原発1号機永久停止記念式」に参席し、「原発中心の発電政策を廃棄し、脱核時代に進んで行く」と宣言した。それと共に▼準備中の新規原発建設計画の全面白紙化▼原発の設計寿命の延長禁止および月城1号機の閉鎖▼新古里5、6号機の安全性、公正率、投入費用、補償費用、電力設備予備率などを総合的に考慮した社会的合意の形成▼原子力安全委員会の大統領直属委員会への昇格および多様性、代表性、独立性の強化▼脱核ロード・マップの速やかな準備▼新環境エネルギー税制の合理的整備▼エネルギー高消費産業構造の効率化および産業用電気料金の再編などの政策の方向を提案した。
記念のあいさつから、韓国のエネルギー政策を脱核、脱原発の方向に転換するという明確な意志を確認することができる。古里1号機の閉鎖と共に寿命延長処分違法の判決を受けた月城1号機の閉鎖も時間の問題となった。
古里1号機(発電容量587MW)は1977年6月19日、初めて「臨界」(原子炉で核分裂連鎖反応が始まることを意味する。この過程で膨大な熱エネルギーが発生し、発電がなされる)に到達した。翌年の1978年には国内総電気生産量の7・4%(2423GWh)、1979年8・9%(3152GWh)、1980年9・3%(3477GWh)、1981年7・2%(2897GWh)、1982年8・8%(3777GWh)などを記録した。月城1号機が本格稼働する1983年まで大韓民国発電量の7〜9%をたゆみなく担当してきたのだ。
2011年、日本・東京電力福島第一原発の惨事後、古里1号機は原発「不安全」の代名詞となった。古里1号機は米国のウェスチングハウス社が建設してくれた原発を引き受けて国内で初めて稼働した原発だ。そう言えば初期の運転で問題が多かったようだ。全部で25基の原発の故障事故の約20%が古里1号機で発生した。事故は稼働の初期に集中した。
稼働1年にして、核燃料を含む核心的設備たる原子炉圧力容器が寿命末期のように脆弱になったというテスト結果が出てきた。また別の核心的設備である蒸気発生器はずっと問題をひき起こし、30年の設計寿命を満たせずに20年で交替となった。福島の原発事故から1年たった2012年3月には、福島原発の事故の時と同じ「電源喪失」事故が発生した(注)。けれども運営主体である韓国水力原子力(韓水原)は1カ月間、事故を隠ぺいした。

単位面積当たりの原発設備・世界最高

 国連科学委員会の2000年「放射能被ばく報告書」(United Nations Scientific Committee on the Effects of Atomic Radiation Vol1 UNSCEAR 2000)と韓水原提出の資料を通じて、古里1〜4号機の1993年の気体ヨード131の排出量は13・2ギガベクレル(GBq)で、米国、日本、スイスなど先進国に比して最大1300万倍以上も高い事実も確認された。1990〜97年の全世界をひっくるめても最も高い数値だ。ヨード131は甲状腺がん発生に直接的影響を及ぼす放射性物質だ。1993年古里1〜2号機の気体ヨード131排出量は蔚珍原発(現ハヌル原発)1、2号機より3千倍も高い。
古里1号機の建設後、政府は急速な経済成長を支えるために原発を増設し続けた。2016年末現在、稼働中の25基(2万3116MW)の原子炉が毎年16万2176GWhの電気を生産している。これは国内全体の発電量の30・7%を占める。2016年古里1号機の発電量(4772GWh)は原発発電量の2・9%、総発電量の0・9%に該当する。
原発だけではなく石炭、ガス発電などの発電設備が大幅に増加し、韓国の総発電量は大幅に増えた。1978年の総発電設備が6916MWだったけれども、2017年6月現在は10万9493MWと大幅に増えた。全体エネルギーの生産において原発の比重は1987年9期に53・1%(3万9314GWh)と最高点を記録した後、しだいに低くなっている。韓国の単位面積当たりの発電設備と原発設備は世界最高の水準だ。
電力の安定的需給のためにどんな発電所をいつ、どこに建設するのかは産業通商資源省が2年ごとに更新する「電力需給基本計画」に盛られている。この計画において原発は基本価格で提示されている。「政策電源」という名称によって政府がいつ、どこで何基を建てるのかを決める。現在稼働中の原発25基は全面的に政府が決定し、運営してきた。
韓国は発電設備が単位面積当たりで世界最高の水準であるとともに1人当たりの電力消費量もまた経済水準に比べて高い。2015年基準で電力の55%を産業部門、そのうちの93・9%が製造業で消費される。このうちの40・8%が石油化学と1次金属など「エネルギー多消費産業」で消費される。これらの産業の付加価値生産比重は30%にもならない。安い電気料金を基盤としている国家の競争力は長くは維持しがたい。エネルギー多消費産業の比重が下がるとともに、産業用の電気消費は減るものと思われる。
製造業の工場で使用される電気消費の半分ほどは電気の「熱消費」だ。伝統的発電方式は石炭、石油、ガス、原子力の核分裂を利用し、水を沸かして得た蒸気によってタービンを回し、電気を得るのだ。この時、熱エネルギーの40%程度だけが電気に転換される。こうして生産された電気を再び水を沸かすなどの熱消費に使用するというのは極めて非効率的だ。産業用電気料金が石炭、ガス、石油などの1次エネルギーより安く策定されており、非正常なエネルギー料金の体系のために発生した非正常な電気消費だ。2015年現在、家庭用電気消費は13・2%にしかならない。産業用の電気消費は減り、家庭用電気消費は増えるとともに全体の電気消費は停滞または減少するものと見通される。

建てれば建てるほど浪費の発電所

 電気の消費が鈍化すれば、もはや韓国においてこれ以上の新規の原発や石炭発電所を建てる必要がなくなる。発電設備が余りにも多く、ガス発電設備の稼働率は2015年現在、32%にしかなっていない。発電所をたくさん建てるのは浪費だ。稼働しなくとも支給される発電所の容量料金が2015年に4兆8千億ウォンを記録した。発電設備が増えるとともに容量料金も増加している。
日本、韓国、ドイツは経済協力開発機構(OECD)の諸国家のうち2016年基準でエネルギーの純輸入量が多い1位、3位、4位の国家だ。韓国は日本やドイツよりも1人当たりの国内総生産(GDP)は低いながら、1人当たりの電気消費が高い。ドイツは韓国よりエネルギーの純輸入量が多かったけれども国産エネルギーである再生可能エネルギーの比率を高めつつ、エネルギー準輸入量が韓国よりも少なくなった。
電力の需給を考慮しても、これ以上の新規原発整備は必要ではない。2030年までに月城1号機を含め寿命が期限を迎える11基の原発を閉鎖しても発電設備には余裕がある。大統領の6月19日の宣言によって、準備中の6基の新規原発の計画は白紙化された。問題は建設中の原発5基だ。
ムン・ジェイン大統領は大統領選の候補の時の2016年6月23日、建設許可を初めとして工程率10%程度の新古里5、6号機の建設を中断すると公約した。けれども先の記念のあいさつでは明白な言及なしに、「社会的合意」を導き出していくとのみ語り、失望したとの声などが聞こえてくる。ムン大統領が語った社会的合意とは脱原発の速度と「原発ゼロ」の視点を念頭においた、建設中の原発の取消計画やそれに伴う社会的負担についての論議だ。
韓国は過去40年間に続けられた政府の一方的な原発拡大政策によって、世界で最も原発が密集した国家となった。脱原発を論議する社会的合意は、このように「傾いたグラウンド」から始めることはできない。建設中の原発の中断は社会的合意のための最小限の事前処置だ。いったん建設中の原発工事を止め、追加費用の投入を中断しなければならない。

中長期計画で石炭、原発減らすべき

 2001年にドイツが脱核を決心する際、全体エネルギーの中で原発の比率は現在の韓国と同じ30%だった。15年間の脱核ロードマップを通じて2016年の原発の比率は13%に減少した。50%だった石炭発電の比重もまた40%に減った。2001年に6・6%だった再生可能エネルギーの比率は29%に増えた。
韓国も20年ぐらいの中長期計画を立て、石炭や原発を減らしつつ再生可能エネルギーの比率を増やしていけば、と思う。ドイツよりも再生エネルギーの潜在量が高く(2016年、太陽エネルギーの技術的潜在量は7451GW)、社会的環境がより良い韓国は再生エネルギーの拡大に、より有利だ。より早く目標を達することができる。(「ハンギョレ21」第1168号、17年7月3日付、ヤン・イウォニョン/環境運動連合処長)

(注) 古里1号機は1978年4月に商業運転を始めた後、頻繁な故障や事故の隠ぺい、さまざまな不正によって呻吟した。韓国原子力安全技術院(KINS)の原発安全運営情報システムを見ると、1978年から今年6月23日現在までに韓国で運営中の25基の原発で発生した故障、事故は724件と確認される。このうち約18%の131件が古里1号機で発生した。設計が30年と定められた古里1号機は稼働20年目の1998年、核心的設備である蒸気発生器の欠陥が多数発見され、約1千億ウォンをかけて設備を交替した。
2012年2月に発生した古里1号機の停電隠ぺい事件は「専門性」という城壁の背後で原発を運営してきた原子力界従事者たちのルーズさと安全不感症を如実に見せつけた。当時、古里1号機は整備過程で12分間の停電事故が発生した。それによって原子炉の冷却水の温度が36・9度から58・3度へと実に21・4度も急上昇した。冷却水の温度が上昇し続ければ冷却水がすべて蒸発し、核燃料棒が溶け落ちる「炉心溶融」(メルトダウン)が発生する。そうなると原子炉の圧力容器が破壊され、大型災難へと続きかねない。このような重大事故が生じたにもかかわらず非常発電機は作動しておらず、古里1号機の発電所長はこの事態を上部に報告しなかった。事件は1カ月後に明らかになる。(「ハンギョレ21」第1168号、「古里1号機の始まりと終わり」記事より)

慢性的な人材不足、鉄道労働者たちが死んでいく

公共鉄道の回復に向けて闘争しよう

イ・グンチョ(全国鉄道労働組合政策局長)

 5月27日チョ・ヨンリャン同志(光云〔クァンウン〕大学駅)、6月28日キム・チャンス同志(鷺梁津駅)。2人の鉄道労働者が鉄路の上で残念にも生涯を閉じた。生きて働く権利を叫んでいた労働者たちが一カ月おきに鉄道の上で命を失わなければならなかった。

一次的な原因は、人手不足だ

 鉄道は、李明博(イ・ミョンバク)政権当時、5115人という史上最大規模の人員削減を経験した。充員する人員が、退職者数よりも少なく、人材は引き続き減少した。しかも、新規路線が生じても、外注化したり、内部構造調整を理由に充員をしなかった。
実際に2007年3391・6kmだった鉄道の長さが2016年3917・8kmで15・5%増え、電車化率も1817kmから2817kmに68%も増加した。反面、2007年3万1678人だった人員は2016年2万6394人と、およそ5284人も減った。
政府と鉄道公社が外注化・民営化攻勢を浴びせながら鉄道現場は持続的な人員削減とそれに伴う労働強化で頭を抱えている。今回、死亡災害が起きた光云大学駅の場合、従来7人が担当していた輸送業務をわずか4人が負担しなければならなかった。現場では毎年増員要求が高かったが、労働組合は、公企業の定員を増やさないように圧迫する企画財政部の壁を破ることできなかった。
政府が公共部門に対する投資を減らし、人員削減と構造調整、財政効率性だけを強要しながら、労働強度は、鉄道労働者らを圧迫して生命を脅かすまでに至った。結局、「現場の業務をカバーするための適正人員がいくら必要なのか」よりは、企財部で鉄道公社に割り当てた定員内ですべての業務を遂行しなければならなかった。

安全な作業環境の構築が必要である

 労働部は異例的に今回の鉄道労働者の死亡災害に対して作業中止命令を下した。しかし、たとえ人材が充員されたとしても、鉄道現場に蔓延した危険要素は依然残っている。鷺梁津駅事故からも分かるように、列車運行中に作業するのではなく、列車が通っていない時間に作業ができる環境が完全に整えられなければならないためだ。併せて、規定に合わせて列車の間の避難区間の確保が行われなければならない。また、列車に乗って作業するのではなく、安全に移動しながら作業できる環境が用意されなければならない。
文在寅大統領は、産業安全保健の日記念式で「死亡事故が発生する事業場は安全が確保されるまで、すべての作業を中止する」という意志を明らかにした。ところで重要なのは、このような当然の話が為政者の口を通じて布告されることではない。政府がこのような意志を数百数千回も強調しても、いざ現場の安全が担保されないとすれば、これは体のいい政治スローガンに過ぎないのだ。
したがって、何より重要なことは安全に働きたい、仕事しながら死にたくないという現場の労働者たちの切実な要求を受け入れることだ。危険業務に対する十分な人力充員、安全な作業環境の構築。鉄道労働者の生命がかかった問題であり鉄道を利用する市民らの安全と直結した問題だ。
鉄道労働者たちはこの当然の要求を持続的に提起してきたが、鉄道公社はびくともしなかった。もっと驚愕すべきは、相次いで死亡災害が発生すると、事故責任を命を失った労働者一人ひとりに被せるという点だ。この7月5日、鉄道公社は〈副社長の抜き打ち現場の安全活動結果報告〉という文書を現場に撒いた。
この文書で、会社側は「最近発生している事故・障害および職員の人身事故の原因は、勤務綱紀の緩み」だと言い「違反者を強力に処罰し、連帯責任を問う」と主張した。安全業務で、むしろ人材を削減し、労働者を死に追いやった者たちが、反省どころか「綱紀の緩み、違反者処罰」を云々しているのだ。
いつ迫ってくるか分からない死を背負って働かなければならない現場の労働者たちに規律弛緩とは、とんでもないという思いを越えて多くの組合員たちが怒りを禁じえなかった。断言するが、今最も厳重に処罰すべき者らは、鉄道現場を死の職場にしている政府と鉄道公社の責任者だ。
繰り返される鉄道産業災害死亡を今は止めなければならない。先の政権で行われた「公共機関正常化対策」が「偽の正常化」であり、'労働組合抹殺'プロジェクトだという事実が白日のもとにさらされた今、鉄道現場を脅かしてきたそのすべての弊害も一日も早く清算しなければならない。
生きるために働きに出た労働者が、働き死を迎えた悲劇が二度と繰り返されてはならない。労働者が死んでいく地獄の鉄道は市民にも災いを予告する。人員増員と外注化した業務を即刻元に戻すことが公共鉄道を回復する第一歩だ
社会変革労働者党「変革政治49号」


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