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    かけはし2018年2月12日号

約束の経済的奇跡は完全に不発


チュニジア

ジルベール・アシュカルに聞く


 アラブ世界についての専門家、ジルベール・アシュカルにとっては、チュニジアの反乱(今年一月に起きた若者たちの街頭決起:訳者)は「予想できた」ことだった。そしてそれは、二〇一一年の蜂起の継続だ。レバノン出身の彼は、一九八三年、パリ、ベルリンに向け故国を離れ、現在はロンドンの東洋アフリカ学院で、政治・国際関係の教授を務め、二〇年間にわたってアラブ世界の大変動を探り続けてきた。二〇一一年の蜂起とその後の展望についてマルクス主義的方法論を適用した二つの著作がある(うち一つの『アラブ革命の展望を考える』はつげ書房からつい最近出版された:訳者)。彼によれば、先頃起きている諸々の抗議は、それらで論じられた展開の論理的延長となる。このインタビューの初出は、フランスの日刊紙「リベラシオン」二〇一八年一月一四日付け。

新たな反乱は
予測ができた

――今回の新たなチュニジアの反乱をあなたはどのように分析しますか?

 それは完全に予想可能なことだった。なぜならば、二〇一〇―二〇一一年の爆発の成分すべてがまだそこにあるからだ。いくつかの要素、たとえば若者の失業は、むしろ悪化した。この二年われわれはすでに、この場全体にわたる形で、チュニジアの小さな町々、また近隣諸国で、地方化された爆発がいくつも起きていることを見てきた。
これらは地域的抗議における第二の波の始まりだ。モロッコでは怒りが昨年から高まり続けてきた。スーダンでは、年始めから、前例のない強さの抗議運動が起きた。イランにすら社会的反乱が起きた。これらすべてのできごとには、共通分母として、IMFが勧告した諸方策、つまり、公共支出の削減、公務員数の削減、燃料や基本必需品に対する補助金の廃止など、の実行がある。

――そうした同じ諸方策を適用しているエジプトは、なぜ静かなままなのですか?

 今のエジプトが恐ろしい弾圧を起源としているからだ。アル・シシはテロの空気を維持している。民衆は破滅論的主張を前にしている。彼らは、革命のようなできごとが起きれば、彼らの国はシリアやリビヤのように変わるだろう、と告げられているのだ。しかしこのような脅迫は一時しか機能しない。エジプトの人びとがこのような麻痺状況の克服に成功する、ということはあり得ないことではない。
シリアのようなシナリオに対する恐れは、虐殺を遂行できる非常に残忍な権力を前にする場合を除いて、それ自体で人を思いとどまらせる議論ではない。幸運なことに、残忍な権力という条件はチュニジアにはない。社会的不満は他のどれよりも強い。抑圧は運動を窒息させる可能性があるが、しかしそれは何も解決しない。何であれそれができることは、問題の先延ばしだ。

爆発はいつでも
社会的で政治的


――二〇一一年、アラブの春は社会的怒りと民主主義の大望を結びつけた。今回政治的要求は、第二級の役割へ退けられているように見えるが……。

 爆発はいつでも社会的かつ政治的なものだった。一つの社会運動が一定の強さを得る瞬間から、それは不可避的に政治的となるのだ。しかしそれはさまざまな形態をとる。ベン・アリの時には抗議は、独裁の打倒に照準が当てられた。今日、政治的真空があることを理由に、不満はより社会的になっている。
チュニジアの左翼は、自身を抗議の指導者として押し出すために時流に飛び乗ってしまった。しかし、諸政党に関する若者たちの失望は明白だ。チュニジア労働総同盟(UGTT)はこの役割を果たす可能性があったと思われる。しかしこの連合は、対抗権力としてのその機能を満たさず、むしろ政府との間で調停を追い求めた。しかしながらチュニジアにおいては、労働組合運動は歴史的に強力であり、政府との関係で草の根のレベルで実のある自律性を確保している。それはこの地域では比類のない事例だった。しかし不幸なことだがこの勢力は、抜本的に異なった社会・経済政策に向けて強力に圧力を加える代わりに、協調と妥協の選択を行ってしまった。結果としてUGTTは今、できごとに追い越されてしまっている。

基礎に変化なく
動乱の力学継続


――革命後、ものごとは十分な早さでは進まなかったということですか?

 二〇一一年の革命は若者の革命だった……。そしてそれは世界で最高齢の大統領(ベジ・セイド・エセブシは九一歳)を生み出した。何らかのボタンのかけ違いがある! 年齢のことは言わないまでも彼は、前任者と同じ方策を適用する、過去におけると同じサークルに基づく、旧体制の人間なのだ。チュニジア人は、ベン・アリに関し氷山の頂点をなくしただけだった。
チュニジアではだまされている者は一人もいない。つまり、旧体制は戻っている。民衆は平和的で上首尾の革命を見たいと思っただけだったのだが。しかしチュニジアには、深い沈滞の明らかな兆候がある。この国は、たとえばこの地域でイスラム国に関わった若者が最大多数になる国なのだ!

――チュニジアはなぜ何年も失業を引き下げることができずにきたのですか?

 IMFは、幅広い経済ガイドラインを含んだ支配を今も維持している。しかしながらこれらのガイドラインが、二〇一一年の爆発に対し諸条件の発展を可能にしたのだ。IMFはそれに僅かばかりの化粧直しを施したが、本質的には何も変えなかった。二〇一一年以後、むしろもっと制約のある緊縮指令、公共支出の抜本的切り下げ、私有部門に対する支持……が現実となってきた。
チュニジアはそれを実行し、エジプトもそれを実行、そしてイランはそれを実行中だ。しかしこれらのショック療法から、住民は治療ではなく、ショックを受けたにすぎなかった! 約束の経済的奇跡はまったく起きなかった。これは、焦燥感と爆発を引き起こす可能性があるだけだ。

――これからの数カ月に他の爆発が予想されるだろうか?

 それは過渡的な局面であろう、と想像しつつ二〇一一年に「春」と呼ばれたものは、現実には、上り下り、加速、衝突、時としては内戦さえも含んだ、長期の革命過程だ。社会・経済諸政策が抜本的に変わらない限り、この地域に中期的な安定は決して生まれないだろう。(「インターナショナルビューポイント」二〇一八年一月号) 

イラン

抗議に決起した民衆との連帯を!

中東社会主義者連合


民主主義と富の
はく奪に怒り噴出
 昨年一二月二八日から、イランイスラム共和国は二〇〇九年の緑の運動以後では前例のない抗議行動の波によって揺さぶられた。この抗議行動は最初、北東部国境近くにあるイラン第二の、聖なる都市でもある街で勃発した。立ち上がった人びとは、基本商品の価格上昇、ひどくなる一方の貧困に反対し、「ロウハニに死を」、「独裁者〔アヤトラ、ハメネイ〕に死を」と唱和し、シリアやレバノンでの軍事介入の停止を求めた。抗議行動はすぐさま首都のテヘランを含む、イラン全土の一〇〇以上の都市や村に広がった。
 われわれ、中東社会主義者連合は、イランの民衆的抗議行動を支持し、この地域と世界中の進歩的な人びとに、同じく彼らと連帯して立ち上がるよう訴える。われわれは、民主主義、社会的公正、平等を求める反独裁の闘争に対する地域的かつ世界的な連帯をつくりあげ、家父長制、レイシズム、宗派的あるいは同性愛嫌悪の差別や偏見に反対することが、絶対的に必要であると確信する。
 われわれは、イランの現在の抗議行動がイラン政権に、シリアのバシャルアル・アサドの殺人的な体制に対する軍事的かつ財政的な支援を撤回させ、この地域への反動的な介入を終わりにするよう、強制することを願っている。われわれはまた、運動に反アラブの極端な排他主義を注入しようとのいくつかの部分による努力が、この地域を貫く草の根の闘いとつながる目的の下にはね返されることをも、期待している。

貧困への抗議に
大弾圧の矛先が
ここまでのところ、少なくとも二二人が殺害された(三人は拘留下で)。そして暴力的な治安部隊は、南部のアーヴァツ市での一〇〇〇人、およびこの抗議行動に活発に参加した多くの女性を含んで、三七〇〇人以上を逮捕した。イランの独裁政権はさらに、大いに利用されているテレグラムやインスタグラムの即時的メッセージ交換の利用を遮断し、妨害措置をつくり出すことによりインターネットアクセスをも制限した。
特に左翼と進歩派の少なくとも一〇〇人の学生が逮捕され、何人かは釈放された。治安部隊は大学キャンパスを包囲し、いくつかの事例では内部に侵入した。他の学生と労働者活動家は今も探索を受け、家や寮から拉致されている。十分あり得ることだが、身柄を押さえられた者たちは拷問を受ける可能性がある。
イラン政府は、この地域の他の独裁政権同様、行動に決起した人びとに、米国、サウジアラビア、イスラエルが率いる国際的陰謀の一部になっているとの罪を着せている。
抗議行動は、社会・経済問題、特に貧困、失業、また政治的抑圧、発言や集会の自由といった民主的自由の欠落に根がある。さらに、女性や民族的、宗教的マイノリティに対する差別が、識字率が八七%になり、インターネットを通じて世界とつながっている民族的に多様な住民構成の中で反対を強め続けている。人口の四〇%は相対的な貧困線以下で暮らし、イラン労働者の九〇%はいかなる権利も社会的給付もない契約労働者だ。月二三〇ドルの最低賃金は、四人家族を支えるために必要な額の五分の一だが、実施されてすらいない。
基本食料品と基本的サービスに対する多くの補助金は、マムード・アハマディネジャドとハッサン・ロウハニの大統領執政期である二〇一〇年と二〇一四年の間に廃止された。同時に、基本食料品価格は高騰し続けている。予算中の医療費部分は削り取られた。エネルギー価格も上がり続けている。このすべてが今、全般的なインフレの昂進(政権によれば一二%、事実としては四〇%)と組になって、労働者と社会の最貧困層の購買力に対し新たな打撃となっている。

寄生的諸機関が
国家資金を乱用
同時に、予算の中の何十億ドルもが、イスラム革命防衛隊(IRGC)に関係する諸機関/財団に流れている。これらの説明責任を負わず税を免除された財団は、中東でも最大規模の持ち株会社の一部を構成している。これらの財団や「寄生的諸機関」は、事実上国家によって運営され、体制の高官とイランの事実上の軍部であるIRGC指導部によって率いられている。それらは、イラン経済の八〇%以上をおさえている。
その上に、最高指導者のアヤトラ(イスラム聖職者)、ハメネイは、セタド(「セタド・エジュライエ・ハズラテ・エマム」、「イマム指令執行本部」)を通じて、約九五〇億ドルを支配した。それは事実上、金融から原油、住宅、通信にいたる、この国の経済全分野で株式を所有している。
国家/IRGCがイラン人/中東の労働力から搾り取っている利潤の大きな部分は、この地域における直接的な軍事介入とイデオロギー宣伝に、さらに国内の治安/警察/民兵諸部隊への資金供与に費やされている。

労働者の闘いが
今回以前に先行
最新の抗議行動には現実に、一年以上にわたるほぼ日常的な労働者による行動やストライキが先行していた。それは、賃金不払いや恐るべき労働条件に反対するものであり、貧困化にさらされた定年退職者、教員、看護士、また破産した銀行や金融機関にあったなけなしの貯金を失った人びとによる、抗議行動やストライキだった。労働者の一指導者であるレザ・シャハビを含む多くの政治囚たちも、数年の間断続的にハンガーストライキを行ってきた。
独立の労働者組織による二つの声明が、最新の民衆的抗議に対し彼らの支持を明らかにした。これらの声明は、テヘランバス労働者組合とハフト・タペサトウキビ労働者組合、および五つの他の独立労働者組織(イラン労働者自由組合、ケルマンシャー電気・金属労働者協会、アルボルツ州画家協会、労働者防衛センター、労働者組織確立貫徹委員会)により出された。われわれは、以下の章句にまとめられている彼らの観点を支持する。
――「われわれは、イランの骨を折って働いている大衆と共に、はっきりさせられるべきことを叫ぶ。つまり、貧困と悲惨を終わりにするというわれわれの要求は実現されなければならないということ、全政治囚は解放されるべきであり、社会的富の略奪者と抑圧に対する彼らの責任は、その地位が何であれ訴追され審判に付されるべきだということ、金融機関が人びとから盗んだ富は戻されるべきだということだ。また、公共部門と私営部門両者の労働者と従業員の最低賃金は五倍に増額されるべきであり、政府高官の巨額の所得は大幅に切り下げられるべきであり、独立した労組と市民組織を形成する労働者の権利、および発言と報道の無条件の自由や政党の自由は保証されるべきであり、そして何百万人というイラン人大衆の要求は実現されなければならない、ということだ」――。

アラブの春と
同じ要求の闘い
抗議に決起したほとんどの人びとは、「パン、職、自由」のスローガンに象徴された民主主義、社会的公正、平等を求めて声を上げつつ、いわゆる「改良主義者」か強硬派かを問わず、独裁体制のあらゆる分派に反対するスローガンを掲げた。街頭の抗議行動の波は国家の抑圧圧力の下に二週間後に後退したとはいえ、闘いは今や労働者のストライキと他の産業行動に変わった。
多くの女性の権利の活動家たち、教員、政治囚の家族、さまざまなよく知られた知識人、さらに芸術家たちもまた、この抗議行動を公然と防衛し続けている。政治囚の家族たちは、テヘランのエヴィン刑務所や他の刑務所の外で、彼らの釈放を求めて抗議を続けてきた。
これらの抗議行動は、二〇一〇―二〇一一年以後の中東と北アフリカ地域における蜂起と民衆的抗議と同様、経済的貧困化と政治的かつ社会的抑圧双方に対する一つの反応だ。それらには、イラン政権による、地域の他の諸国、特にシリアに対する軍事介入に反対しているという特徴が加わっているが、それは、「シリアを放っておけ、われわれに注意を払え」とのスローガンに象徴されている。
イランイスラム共和国を改良することはできない。イラン革命がすぐさま反革命に転換した一九七九年以後、イランの若者、女性、労働者は、その敵対者を抑圧し、拷問し、肉体的にまた体系的に排除する、資本主義的で、反動的神聖体制に服従させられてきたのだ。
これこそが、この声明の最初で明らかにしたわれわれの立場の理由だ。
われわれは、あらゆる外国の帝国主義的介入に反対し、最初にそしてほとんどがこの国の民衆諸階級を苦しめている、イランに対する制裁を終わりにすることを要求する。
われわれはすべての抗議行動参加者、労組活動家、そして他の政治囚の釈放を要求する。
民主主義、社会的公正、世俗主義を求めるイランの民衆的抗議行動との連帯を!
わが同志たちとの連帯を!
資本主義ノー、家父長制ノー! レイシズムノー! 宗派主義ノー! 民衆諸階級の統一イエス!
われわれの運命とわれわれの解放はつながっている!
(二〇一八年一月一一日)(「インターナショナルビューポイント」二〇一八年一月号) 


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