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    かけはし2018年2月26日号

借金、環境破壊の聖火が燃え上がる


平昌オリンピックに寄せて

カン・ドンジン(社会変革労働者党代表)



 平昌オリンピックは中核目標で、文化、環境、経済、ICT(情報通信技術)、平和のオリンピックを掲げている。この1月25日、与党共に民主党のある国会議員はSNSに「平昌オリンピックは〈経済オリンピック!〉です」と載せて、ある経済研究所と韓国銀行の資料を紹介した。
 彼が掲載した資料には「外国人観光客の増加、内需拡大、国家ブランドの認知度を高めて、南北対話の再開にともなう韓半島のリスクの緩和に数十兆ウォン+αの経済効果」があるものであり、韓国銀行は経済成長率の展望値を2・9%から3・0%に上方修正、「観光客200万人増となった場合、成長率0・2%ポイント増加」するという内容が盛り込まれていた。
 具体的にみると、「国民・外国人支出の増加、大会経費」など直接的な内需活性化の効果で総支出2兆8167億ウォン、生産誘発効果4兆7453億ウォン、「追加外国人観光の増加および国家のイメージ向上」などの間接効果で、今後10年間18兆5千億ウォンの観光需要とこれによる生産誘発額で10年間32兆2000億ウォンあまりなど数十兆ウォンの経済効果が発生するというのだ。
 オリンピックを始め、国際行事が行われる度に強調される天文学的な金額の経済的効果が実現されたかについて十分に検証されたことはない。国会予算政策処は国際スポーツ行事の経済的妥当性及び経済的波及効果を誇張して分析することにより、開催効果を過大評価する傾向があると指摘している。
 1984年ロサンゼルスオリンピックから2012年ロンドンオリンピックまでに、オリンピック前後の経済成長率を比較すると8開催都市の中で6都市の経済成長率が下落したという研究結果もある。

経済オリンピックの無惨な実像

 国際オリンピック委員会IOCは2014年12月の総会で「オリンピック競技を開催都市外部または非常に例外的な場合、開催国の外で開くことを許容する」という内容を盛り込んでいる。つまり五輪分散開催を許可する〈五輪アジェンダ2020〉を満場一致で成立させている。
財政問題によって五輪開催を希望する国または都市がますます減る懸念のためだ。2022年冬季五輪の招致都市選定過程で、ノルウェー・オスロ、スウェーデンのストックホルム、スイス・サンモリッツ、ドイツのミュンヘンなどが財政負担を理由とした住民たちの反対で誘致申請を放棄したほどだ。そして2014年アジア大会を開催していた仁川(インチョン)の場合1兆480億ウォンの地方債を発行して、財政危機を経験しており、その影響は今も続いている。
大会開催地の江原道は、早くから経済成長率が鈍化しているという報道が出ている。平昌五輪競技場をはじめ、社会間接資本(SOC)投資が終わり、江原道の成長率が下落に転じたということだ。
韓国銀行、江原道本部の発表によると、2016年江原道(カンウォンド)の実質地域内総生産(GRDP)成長率は2・6%で対前年比0・7%ポイント落ち、これはGRDP成長率への寄与度が最も高かった建設業の成長速度が鈍化したことに起因するものと把握される。
さらに、2016年には江原道の年間予算に該当する5兆5000億ウォン規模の資金が江原道の外から抜け出しており、これは、江原地域に本社を置く企業が少なくて企業の営業利益が他地域に流出されるためだということだ。
オリンピックを通じて、開催地の江原道が得る経済的効果はなく、競技場の建設などオリンピック事業に参入した企業のみが利益を持っていくのだ。平昌オリンピックの公式パートナーとスポンサーには三星、現代(ヒョンデ)、韓化(ハンファ)、LG、CJ、SK、ロッテなど、国内の財閥企業のほとんどが参加している。
平昌オリンピックに要した予算は最初から8兆9千億ウォン程度を予想していたが、14兆ウォンにまで増加した。
江原道の2018年の予算は4兆7千億ウォン程度の規模であり、江原道は地方自治体17カ所の中で財政自立度が2017年に全羅南道、全羅北道に続いた下位3位、債務比率は、仁川、光州(クァンジュ)に続き、3位と高い水準だ。
このように債務比率が高い地方自治体はアジア大会、ユニバーシアード大会などの国際スポーツ行事を誘致したという共通点を持っている。
江原道は2016年、債務額が9418億ウォンに、オリンピック関連施設投資額と地方道路建設などによる地方債の発行が債務の増加の主な要因だ。開・閉会式場など、新規建設されたオリンピック関連施設7カ所のうち事後活用が確定したところは2カ所のみであり、オリンピックが終わると厄介者に転落してこれを維持する費用だけが浪費される可能性が高い状況だ。
国会予算政策処によると、江原道開発公社は、冬季オリンピック大会を推進する過程で江原道の年間予算の半分に達する1兆6836億ウォンを投資してアルペンシアリゾートを建設したが、リゾート内のコンドミニアム、ゴルフ会員権などに対する平均分譲率が25・8%と低調で、金融負債が持続的に増加していると分析している。
また、江原道開発公社は2007年負債比率125・2%以降、持続的に増加し、2012年末基準で338%まで拡大され、年間利子費用も約430億ウォンにのぼっていると明らかにしている。1日の利子費用だけで1億ウォン以上かかっている実情であるわけだ。

3日だけの競技
が原始林を破壊
いっぽう、平昌オリンピックは「環境オリンピック」を掲げ、「グリーン成長を先導する環境と産業インフラ構築」に環境的な新しい地平を開くと公言している。
しかし、オリンピックは大規模な施設工事によって環境破壊を必ず伴うというのは百も承知の事実だ。特に冬季オリンピックの場合、その特性上、山地で行われる試合が多くて、はるかに深刻な環境破壊をもたらす。 平昌オリンピックの場合も例外ではない。
3日間開かれるアルペンスキー競技のため、スキー競技場は、朝鮮時代から国家で管理し、高い生物多様性の価値を認められた所の加里王山(ガリワンサン)の山林遺伝資源保護区域の木4万本を切り捨てて、建設された。これだけでも平昌が掲げた「環境オリンピック」はショベルカーの刃で蹂躙されたと見るのが妥当である。
既存のスキー場を活用していくらでも試合をすることができるにもかかわらず、500年以上の原始林を破壊して、1000億ウォンも超えるお金を使いながら新しい競技場を建設して、再び山林を「復元」(ここに費やされるお金も1000億ウォンを超えるものと知られている。もちろん、毀損された森林の価値とその復元にかかる時間を金で換算することは、ほぼ不可能だ)をすることができると恩を着せる姿からは、「環境」は、当初考慮事項ではなかったことが明らかになっている。
このような状況で、選手団、観衆らオリンピック参加者を対象に、温室効果ガス排出を減らすという名分で「炭素相殺基金」を募金する「ブラックコメディ」のような現実が行われているところが「平昌オリンピック」でもある。
その他に環境対応型の競技観戦とエコや宿舎、生活のための案内パンフレットの製作、低炭素生活実践広報館の設置・運営、環境にやさしい車の支援等が行われるという。競技場に電気自動車が通って、参加者たちが植樹や炭素排出権を購入することができる炭素相殺基金を出すとして「環境オリンピック」と呼ぶのは話にならない。
平昌オリンピックが掲げている「経済オリンピック」は、開催地域の江原道と江原道民に「負債」負担だけを与える「負債経済オリンピック」であり、「環境オリンピック」は「環境破壊オリンピック」に他ならない。
(「変革政治」59号より)

韓半島危機とオリンピック

対北朝鮮敵対政策不変では平和こず

ジャンヒェギョン(社会変革労働者党・機関紙委員会)

 2月、平昌(ピョンチャン)冬季五輪(以下五輪)が北朝鮮の参加の決定でホットイシューに浮上している。金正恩(キム・ジョンウン)が新年の辞を通じて五輪参加を明らかにして、1月9日、南北高官級会談が続く中で、実に久しぶりに韓半島平和ムードが作られたためである。
 南北間で韓半島旗を持った開会式、南北選手団の共同入場、女子アイスホッケーの南北単一チーム構成、南北共同応援などが合意されており、韓米首脳がパラリンピックの期間、韓米合同軍事演習を中止することにより、2017年の高まった韓半島緊張が緩和される兆しを見せていることだ。

平壌五輪か?
平和五輪か?
ところで、このような緊張緩和の状況が気に入らない勢力がある。まさに自由韓国党をはじめとする極右・保守勢力だ。洪準杓(ホン・ジュンピョ)は、南北高官級会談について「北朝鮮に対し北朝鮮の核完成の時間だけを稼がせる対話」だとして、「(北朝鮮に対する)平和物乞い」だと非難した。
金聖泰(キム・ソンテ)は、北朝鮮、馬息嶺(マシクリョン)スキー場での南北スキー選手たちの共同演習についても対北朝鮮制裁違反だとする一方、「冬季五輪をするということなのか、北朝鮮芸術団の冬季文化祭をするということなのか」と批判しながら、「平壌五輪」というレッテル貼りも辞さないでいる。
このような立場は、文在寅政府の錯乱だという政略的意図と共に、韓半島の緊張激化を通じて、自分たちの既得権を守ろうとする反平和的で反民衆的立場だ。
これと違って、文在寅政府は「平昌五輪が、南北の和解を超えて、韓半島の緊張緩和と平和構築に向けた糸口を提供」したとし、平昌五輪を「平和オリンピック」だと規定している。実際文在寅政府にとって北朝鮮の五輪参加は千軍万馬を得た格好だ。
北朝鮮の参加で韓半島の緊張が一時的に解消されることにより、五輪開催の不安定性を静めることができ、五輪に対する国内的・国際的関心を喚起する興行要素まで備えるようになったからだ。併せて、南北関係改善の手がかりも確保できるようになった。 しかし、五輪が南北関係の改善や韓半島の緊張緩和の契機になれるかは未知数だ。

五輪後の道
随所に暗礁
このためにまず、北朝鮮の新年の辞をみよう。今年の金正恩の新年の挨拶の特徴は例年に比べてかなりの分量で、南北関係改善に対する意志を明らかにしたという点だ。
これは北朝鮮が推進してきた通米封南戦略、すなわち米国との外交を志向し、韓国政府の参加を封鎖する戦略から文在寅政府(韓国政府との関係改善)を通じて米朝関係を改善しようとする用南通南通美にその戦略を修正したことを示唆する。
つまり、北朝鮮は昨年のミサイル発射と6回目の核実験で米国との対話を模索したが、対北朝鮮制裁強化という逆風にさらされた。核・経済の並進路線の正しさを立証するために、人民の経済向上という目標を達成しなければならないが、国際的制裁強化と孤立でこれを達成するのにも困難を経験した。これに対し、北朝鮮は韓国との関係改善をテコに平和の局面を助長し、米朝対話に接近する戦略で軌道を修正したのだ。
しかし、注目しなければならないのは、北朝鮮が依然として新年のあいさつで、「国家核武力完成」を再び宣言して、「ミサイル、大量生産と実戦配備」を言及しているという点だ。南北関係改善の条件で「米国の核装備や侵略武力を引き入れる一体行為が中断される条件」、つまり、韓米連合軍事演習の中止も以前と同じように要求している。
つまり、韓米合同軍事演習が中止されていなければ、南北関係改善の余地がなく、核兵力の完成は、絶対に放棄できないと釘を刺したものだ。
しかし、韓米政府は北朝鮮の立場と相当な違いを示している。米国防総省は25日の五輪(平昌冬季五輪とパラリンピック)が終わった直後、韓米合同軍事演習を再開すると発表しており、同日、北朝鮮に対する追加的な独自制裁を決定した。対北朝鮮圧迫の基調を続けていくのだ。

圧迫と対話は
並行できない
康京和(カン・ギョンファ)は「制裁と圧迫の効果が現れる証拠が蓄積される状況で、北朝鮮が……南北対話に戻ったという点に注目しなければならない」、「強力な対北朝鮮制裁と圧迫、そして北朝鮮により明るい未来を提供できるというメッセージという二つの道具は相互補完的に作動」すると話した。
文在寅も10日、新年の記者会見で「開城(ケソン)工業団地、金剛山(クムガンサン)観光、5・24制裁措置の問題はもっぱら国連の対北朝鮮制裁の枠組みの中で判断するしかない」とすることで、米国が主導する対北朝鮮制裁の枠組みの中で、南北関係を改善していくという立場を明らかにした。
したがって、韓米政府の態度が変わらない限り五輪期間中の一時的平和以降、再び韓半島の緊張が高まる可能性が大きい。五輪直後、韓米合同軍事演習の再開はただちに、北朝鮮の反発をもたらし、北朝鮮の追加軍事実験を呼ぶものであり、これは南北関係の改善の流れの後退と北米間の対立の高まりという状況として再演されるだろう。
「平和オリンピック歓迎の垂れ幕の取り付け、南北共同応援団組織と歓迎行事参加」より重要なものがあることを忘れてはならない。圧迫と対話は並行できないことを、対北朝鮮敵対政策を通じた韓半島平和は不可能であることを言おう。言葉では韓半島平和を語るが、これを実現しようとしない韓米政府に立ち向かって闘おう。
(「変革政治」59号より)

 

朝鮮半島通信

▲朝鮮労働党機関紙「労働新聞」は2月12日、金正恩党委員長の妹・金与正氏ら高官級代表団一行が11日深夜に空路平壌に到着したと伝えた。また聯合ニュースによると、ソウルと江陵カンヌンでの公演を終えた朝鮮民主主義人民共和国(以下、朝鮮)の芸術団「三池淵管弦楽団」のメンバー137人も12日、陸路で朝鮮に戻った。
▲金正恩朝鮮労働党委員長は、金正日総書記の誕生76周年に当たる2月16日午前0時、金総書記の遺体が安置されている錦?山太陽宮殿を訪問した。
▲大韓民国(以下、韓国)前大統領の朴槿恵氏と財閥グループを巡る贈収賄事件で、ソウル中央地裁は2月13日、朴氏と共謀してサムスングループなどに賄賂を強要したとして、朴被告の支援者のチェ・スンシル氏に懲役20年と罰金180億ウォン、追徴金約73億ウォンの実刑判決を言い渡した。また朴槿恵氏への贈賄の罪に問われて在宅起訴された韓国ロッテグループの辛東彬会長らの裁判で、ソウル中央地裁は13日、辛氏に懲役2年6月(求刑懲役4年)の実刑判決を言い渡した。辛氏は判決後、即日収監された。

 


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