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    かけはし2018年3月5日号

「建国記念の日」・「日の丸・君が代」反対


2.11

大阪ネットワークが集会

「戦争する国」づくりのための教育を許さない

「明治一五〇年」賛美の狙いを暴け


【大阪】「日の丸・君が代」強制反対・不起立処分を撤回させる大阪ネットワーク主催の集会が二月一一日、大淀コミュニティーセンターで開かれた。
 集会の意義について黒田伊彦さん(大阪ネットワーク代表)が基調報告をした。

基調報告―黒田伊彦さん

 政府は、今年が明治一五〇年に当たるとし、今
年一〇月二三日に明治一五〇年式典を行い、国体や植樹祭に明治一五〇年記念の冠をつけることにしている。その理由として、「明治の精神に学び、日本の強さを再認識する」ためだという。明治の精神とは何か。日本の近代化を支えた「機会均等・チャレンジ精神・和魂洋才」だという。これは、アジアと民衆の視点を欠いた権力者の視点だ。女性の立場一つとっても、選挙権はなく教育の機会は均等ではなかった。
日本の近代化は強兵富国であった。昨年政府が明治期の産業遺産としてユネスコに八幡製鉄や三池炭鉱を登録申請するとき、松下村塾も入れていた。松陰の思想は侵略主義であり、門下生たちがその政策を推し進めた。今年は、無守地先占論によりアイヌモシリが日本国家に編入されて一五〇年だ。「建国記念の日」は、八紘一宇思想に基づく「紀元節」の復活である。
明治一五〇年思想に対置すべきは米騒動一〇〇年の民衆の権力への抵抗の思想である。米騒動により寺内正毅内閣は辞任した。この民衆の立ち上がりから、日本最初のメーデーが行われ、友愛会は日本労働総同盟と改称し、日本共産党や全国水平社が結成され、二月十一日普通選挙権要求運動の大集会が行われた。

「日の丸・君が代」
強制の違憲性
今、天皇代替わりによる新天皇即位に伴う聖性付与のための儀式が、憲法に違反するという、憲法に内在化してきた矛盾が露呈してきている。「日の丸・君が代」起立斉唱の強制の違憲性とも通じるものだ。これらの諸儀式は国家神道を皇室神道として引き継いだ宗教行為であり、憲法違反だ。
この違憲の儀式に、政府は三五億六〇〇〇万円の予算を計上している。最高裁は、卒入学式での「君が代」斉唱は慣例上の儀礼的所作だとして、天皇の宗教性を認めていないが、「君が代」は教育勅語体制の中で、天皇のための侵略戦争行為の共同意思形成のルーツであった。
ちなみに、二〇〇九年大阪高裁永井判決にふれておく。永井判決は、「君が代」に対し負のイメージや抵抗感を持つ者が、「君が代」の斉唱を強制されることを思想信条の自由に対する侵害だと考えることには一理あるとし、「君が代」を歌わない自由も尊重されるべきだと判示している。戦争する国家への現代版国民精神総動員運動を許さず、希望と真実の教育を作り出そう。(以上、基調報告から)

駒込武さんの講演から

 裁判闘争の報告

 続いて、駒込武さん(京都大学大学院教育学教授)が、「『教育再生』という虚妄―『日本』への“ひきこもり”のための教育を超えて―」と題して講演をした。駒込さんは、日本の台湾植民地支配下の教育を研究しているが、「日の丸・君が代」が果たしてきた役割がよくわかるという。(要旨別掲)
この後、川口真由美さんと沖縄のヤスさんのライブ。
特別報告として木村真豊中市議が森友学園問題を報告。「森友問題は大きな問題になったが、誰も責任をとっていない。問題の核心は八億円の値引きではなく、教育勅語教育をする学校に肩入れし、タダ同然で土地を提供し、認可基準を緩和したこと。トカゲのしっぽ切りにはなるかもしれないが、まず佐川を辞めさせよう」と述べた。
奥野泰孝さん「慣例上の儀礼的所作だから強制は憲法違反ではないというのはおかしい。信教の自由を無視した大阪の条例が間違いだ。私は教育のために闘っている」。
辻谷博子さん「『君が代』不起立減給処分取消訴訟で、最高裁へ公正判決要請行動をした」。
佐藤訓子さん「不起立を理由とする再任用拒否について、最高裁に上告している」。
松田幹夫さん「人事委員会審理は争点整理の段階で、陳述書を提出した。『君が代』の指導のあり方で、市教委と協議の場を持つ」。
藤岡郁子さん「二〇一六年卒業式不起立で戒告。人事委員会提訴した。一四人目のZAZAのメンバーになった」。
梅原聡さん「二回戒告処分。研修での意向確認文書を、職務命令に従うが上位法規にふれると判断した場合は留保と訂正して提出。その後、再度意向確認あり。府教委は、命令に従うとは確認できず、勤務実績が良好とは見なせず、総合的に判断して、再任用拒否。厚労省の示す公正な採用選考からはずれている。再任用拒否に対する国家賠償を求め提訴する」。
菅平和さん「日の君の強制は愛国心を刷り込むのが目的、排外主義に突き進むものだ」。
山口広さん「不起立で戒告処分の七人で合同提訴している。三月二六日判決だ」。
連帯のアピールとして、東京(青木茂雄さん・根津公子さん)、ピースおおさかの危機を考える連絡会大阪(竹本昇さん)、朝鮮高級学校の教育無償化を求める連絡会(陶山喜代子さん)、子どもたちに渡すな!危ない教科書大阪の会(伊賀正浩さん)、日本軍「慰安婦」問題・関西ネット(田中直子さん)、「日の丸・君が代」全国ネット(小野政美さん)からそれぞれアピールがあった。 集会後、梅田までデモを敢行した。     (T・T)

2.17

教科書を考えるシンポジウム

家庭教育支援法案の危険性

反動化する家庭科学習指導要領

 二月一七日、子どもと教科書全国ネットなどの呼びかけで「第44回 教科書を考えるシンポジウム 国が家庭教育にふみこんでよいのか〜家庭教育支援法案と家庭科学習指導要領」が南池袋ミーティングルームで行われた。

日本会議の
法案制定運動
安倍政権の憲法改悪攻撃(とりわけ憲法24条〈両性の平等と家庭内の個人の尊厳〉改悪)に連動して親学推進議員連盟(二〇一二年四月発足/安倍晋三会長)と自民党は、議員立法で家庭教育支援法案の国会提出を準備している。法案は、「
保護者が子に社会との関わりを自覚させ、人格形成の基礎を培い、国家と社会の形成者として必要な資質を備えさせる環境を整備する」「保護者が子に生活のために必要な習慣を身に付けさせる」と明記し、国が家庭教育の基本方針を決め、その施策に動員していくことをねらっている。自民党改憲草案の「家族は、互いに助け合わなければならない」と称して国家に奉仕する家族像の押し付けだ。また、家庭科の学習指導要領でも「少子高齢社会発展に対応して、幼児と触れあう活動などを一層充実するともに、高齢者など地域の人々と協働する」と述べ、社会保障・福祉・教育費を充実していくのではなく削減し、民衆に負担を増やしていくことが柱にある。
つまり、グローバル派兵国家建設の一環として教育基本法を改悪(二〇〇六年一二月)し、国家の介入を家庭にまで踏み込んでいくために家庭教育支援法案の制定を策動している。議連発足時、安倍は法案の制定に向けて「教育は本来『家庭教育』『学校教育』『社会教育』の三本柱で行われなければなりません。しかし戦後「家庭教育」が消され、家族の価値すら、危うくなっています」「私達の議連は改正基本法を基に、『家庭教育支援法』を制定し、子供達の為に子育て家庭を支援していきたいと思います」と表明し、「戦前の伝統的な子育て」の継承を強調していたほどだ。この安倍の魂胆は、現在も位置づけているのは明らかだ。
安倍政権を支え、改憲運動を展開している日本会議の高橋史朗(明星大教授)は、「親学」をデッチ上げ、「親学推進協会」を通して「子守歌を聞かせ、母乳で育児。授乳中はテレビをつけない」「児童の2次障害は幼児期の愛着の形成に起因する。子どもを産んだら母親が傍にいて育てないと発達障害になる。だから仕事をせずに家にいろ」などと現代版家父長制の再建を手前勝手に主張するほどだ。日本会議の椛島有三(日本会議事務総長)にいたっては、「『親学』は男女共同参画に対する対案の意味を持つ。ジェンダーフリーに対する保守の側の回答であり対策であります」「親学は父親母親の違いを明確にし、結果として男らしさ女らしさを育みます」と明確に法案の本質を政治的に位置付け、憲法改悪とセットで実現していくことを明らかにしている。
このように憲法24条を明確に否定し、改悪教基法の具体化にむけた家庭教育支援法案の国会提出と家庭科学習指導要領反動化を許してはならない。

「戦時家庭教育指
導要領』と酷似
知識明子さん(家庭科教育研究者連盟)は、「家庭教育支援法のねらい」をテーマに次のように問題提起した。
「法案は民衆に対して公助より自助・共助・自己責任の強調し、生活保護をはじめ社会保障の切り捨て、家族の助け合い、伝統・あるべき姿などを強調している。憲法二四条を否定し女性の地位の低さを温存し、生き方の多様性の否定だ。親に対しては家庭教育支援法を根拠にして命令し、子どもに対しては『特別の教科 道徳』によって国家につくす人材育成が目的だ」。
「戦前の『戦時家庭教育指導要領』が求める内容と酷似しており、家庭を支援するように『見せかけ』て、政府と自治体がつくった施策・規範に、家庭が従うよう命令し、家庭に介入・統制することをねらい、子育てを『国に役立つ人材づくり』とするものだ。どのように生きるか、だれを人生のパートナーにするか、子どもを産むか産まないかなどの個人の生き方の自由に関わることに、国家が踏み込むことは、憲法違反だ。まして、国家による性の管理は許せない。政府の取り組むべきことは、社会基盤を整え、社会福祉を充実させることだ。憲法二四条・二五条(生存権)・二六条(教育を受ける権利と教育の義務)、国連子どもの権利委員会の勧告、国連女性差別撤廃委員会の勧告の実現だ。法案のねらいを見破り、子どもの権利条約・憲法を実現していく決意をかためあいたい」。

愛国心教育
の押し付け
海野りつ子さん(家庭科教育研究者連盟)は、「次期学習指導要領で家庭科はどうなるか」について報告し、「指導要領と家庭科の見方・考え方のベースは、企業が世界で一番活動しやすい国をめざしていることだ。だから家庭科を『これまでの生活文化の継承・創造、持続可能な社会の構築等の視点で捉え、よりよい生活を営むために工夫する』ことだと位置づけ、グローバル化、少子高齢化、持続可能な社会の構築などの現代的な諸課題を適切に解決できる能力を要求している。これらは憲法一三条(個人の尊重、幸福追求権)、二四条、二五条、二六条と子どもの権利条約の否定に貫かれている」と批判した。
さらに「次期学習指導要領 家庭科の特徴」について取り上げ、「家庭や地域への『帰属意識』を育て、その延長に愛国心教育へとつなげるために『日本の伝統的な生活についても扱い、生活文化に気付くこと』などを取り上げ、巧妙に『日本の伝統と文化、食生活』を媒介にして育成しようとしている。子どもの貧困の政治的社会の背景、政府の無責任に切開していかせないための操作でしかない」ことを明らかにした。
討論後、今後も教師、教科書編集者、研究者、市民の協同作業によってより良い教科書をめざしていくことを確認した。   (Y)




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