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    かけはし2018年3月12日号

危機継続を直視し決起を緩めるな


2018年の情勢と労働者、民衆の闘争

ぺク・ジョンソン(社会変革労働者党執行委員長)

 IMFとOECDは2018年の世界経済が3・7%成長すると展望した。 いずれも2017年より高い予測値だ。世界経済の回復の兆しに、米国は段階的な金利引き上げを進めている。
 2015年12月0・25%の引き上げで7年間のゼロ金利政策を終え、2016年12月、再び0・25%引き上げたことに続き、2017年には0・25%ずつ3回にかけて金利を引き上げた。また、金利の引き上げとともに、中央銀行資産の縮小を予告している。2008年以降の4兆ドル規模の量的緩和は2014年10月に終わって、2017年9月には、これまで買い入れた債券を売って流動性を吸収すると明らかにした。
 多くが米国経済を楽観している。 2017年2・3四半期連続3%台の成長を記録した。 しかし、これを趨勢転換と見ることは難しい。すでに観測された短期的な景気上昇を趨勢転換と解釈しようとする期待が「世界経済の好調」との見通しを生んでいる。 資本主義は泥沼から脱出するのか?

資本主義正常化の道は遠い

 米国経済の好調は、資産価格上昇に基づく。株式市場の好況と住宅価格の上昇によって現在、米国の家計(そして非営利団体)は、税引き後所得約7倍の資産を保有するところ、この割合は歴代最高値となった。資産価格の上昇は資産所有者に不労所得を提供しており、これは消費マインドの上昇につながる。
消費者心理指数は2017年10月、2004年以来、最高値を記録し資産市場の過熱が消費を牽引する形だ。規制緩和、法人税の引き下げ、民官合作財政政策に対する期待で資産市場は過熱している。
本質的に、資産市場の加熱後には量的緩和が生んだ過剰流動性がある。国際決済銀行(BIS)は2008年から2017年までに米国・ユーロ圏・日本など、主要国中央銀行資産保有額が8兆3千億ドル増えたと推算する。
同期の名目GDPは2兆1千億ドルが増えただけであり、結局、残りの6兆2千億ドルの超過流動性が世界資産市場を膨らませてきた。資産市場が実体経済を支えたのだ。 実際、指標上、好調と失業率の減少にも米国の物価上昇率は1%半ばに過ぎない。成長率の回復、雇用の増加、低い物価とはまさに夢のような状況か?  違う。IMFすらそれを低賃金の仕事、高齢労働人口、パートタイム労働者が増えた結果だと指摘した。
米国の好況の土台は脆弱だ。 景気の好調が資産市場過熱に基づくという点を勘案すると、中央銀行が流動性を吸収して正常に復帰する過程は決して容易ではない。連邦準備制度理事会の資産の縮小が一度も存在していないことを考慮すれば、なおさらだ。歴史上、現在のように成長率の増加・資産市場の拡大―失業率の低下―低い物価が重なる時期がまたあった。みんなが称賛したクリントン政府時代「新経済」時期だった。 バブル崩壊の悲鳴が聞こえるまでには、長い時間がかからなかった。

トランプの千鳥足が示すもの

 自由主義者たちは、経済回復を極端主義という政治変数が制約することができると主張する。しかし、自由主義者たちが恐れる「極端主義」を産むのは人生の不安定さだ。トランプ政権を生んだ動力自体が2008年以来、積もった大衆の怒りだった。ウォール街デモ・最低賃金の引き上げ運動・サンダース現象によって明らかになった大衆の怒りは民主党の新自由主義を圧倒するほど、組織されておらず、行き場を失った大衆を組織したのは、まさにトランプだった。雇用に対する要求、エリートと金融資本に対する怒り、移民者や少数者への嫌悪を矛盾的に取り混ぜた扇動が大衆を掌握した。
「日々の暮らしも大変だが、いたずらに戦争する時間に移民者を追い出して工場建設し、雇用を作ろう!」とトランプ政府は、選挙過程で海外軍事紛争不介入、移民統制、自由貿易など孤立主義と保護主義政策を打ち出したが、これを「米国第1」というスローガンに集約した。
トランプは「米国は、もはやこれ以上、世界警察にはなれないし、同盟国は防衛費を分担していたか、そうでなければ自ら自分を防御しなければならないだろう」という発言とともに北大西洋条約機構脱退と在韓米軍の撤収など、国外駐留米軍の縮小を暗示したことがある。イラクを侵攻すべきではなかったと主張したりもした。さらに、北朝鮮も、トランプ当選を慇懃に歓迎した。
しかし、介入しない帝国主義はない。2017年4月、米中首脳会談のうちに、急激なシリア爆撃、2017年8月、アフガン駐留軍の増派、2018年国防費、史上最大増額(10%、540億ドル)、エルサレム、イスラエル首都の認定などが明らかにしたようにトランプ政府は急激に一方的介入主義に旋回した。
米国資本の利益そのものが米国の軍事的・政治的支配力と直結された資本主義世界体制で、「戦争しない米国」は不可能だ。トランプ政府の不安なプレーは単に個人的な錯乱の所産でも、経済回復に危険として作用する付加条件でもない。トランプ政府の行動は米国主導の資本主義世界体制の亀裂と再構築をめぐる闘争が激化していることを表している兆候だ。

保護貿易の深化が危機を一層加速

 米国は多国間主義という外見すら脱ぎ捨てて自国資本のために乗り出している。 トランプ政府に一貫しているのは、ひたすら露骨的保護貿易主義だけだ。米国は可能なすべてのところで、自分が作った多国間貿易体制を2国間貿易で代替している。2国間貿易が通商圧力極大化に有利なためだ。
就任3日ぶりに「低賃金国と競争して生き残ることができない」'、と環太平洋経済パートナーシップ協定から脱退、続いて北米自由貿易協定の再交渉を開始しており、2018年1月以後には韓米FTA再交渉を開始した。
選挙の時と同じく2017年12月WTO閣僚会議でもWTO解体の意思をほのめかし、自国産業を保護するとし、パリ気候条約から脱退したりもした。そうでなくても深刻化する保護貿易主義を基調として掲げて、軍事同盟でも短期的経済論理をスラスラと突きつけたアメリカの歩みは、米国主導の資本主義世界体制危機の結果であり、その危機をさらに深刻化する起爆剤だ。
米国は貿易赤字の半分を占める中国牽制を強化する見通しだ。米国は2016年に続いて2017年にも、中国を優先監視対象国に指定しており、営業秘密の盗用やオンライン著作権侵害と偽造、物理的不法複製、偽造品国際取引などが蔓延した知識財産権侵害の本拠地と規定した。中国に対する通商圧力はエスカレートする北東アジア-太平洋軍事葛藤とコインの両面をなしている。

激化する北東アジア新冷戦

 米中葛藤は、オバマ政権後、激化した。 オバマ政府は2011年以来「アジア回帰」という戦略で対外政策中心軸を中東から東アジアに移した。イラク撤退とアフガン軍縮、イラン核交渉の妥結、韓米日軍事同盟の強化、環太平洋経済パートナーシップ協定の推進という複合的過程が続いた。トランプ政府がアジア回帰という単語を廃棄したにしても、中国を牽制して、アラビア海―太平洋の制海権を強化するという構想は同じだ(いわゆる、航海の自由)。
中国も同様に、自国の物流量の80%が通る南シナ海を保護しなければならない。これに、中国は、太平洋で米国に対抗すると同時に、米国の影響圏から最大限退いて対外影響力を拡大しようとする。
中国は北東アジア―中東・アフリカ圏域影響力拡大、一対一での関係構築に乗り出していて一対一関係構築対象国には中国の核心利益がかかっている。輸入する原油66%、天然ガス86%がこれらの国で生産される。このすべては経済的であり、政治的で、軍事的な過程だ。米通商圧力に対抗して重要なきっかけとして自由貿易の伝道師を自任する中国の動きも政治・軍事的行動と直結されている。
トランプ政府は2017年12月に発刊した国家安保戦略書で中国とロシアを競争者と規定する一方、米国―日本―豪州とインドを繋ぐ同盟を軸に中国封鎖を狙う「自由に開かれたインド太平洋ビジョン」を推進している。
しかし、地政学的覇権追求に伴う費用さえ可能な最大値まで同盟国に転嫁するトランプ政府の行動はそれ自体で米国ヘゲモニー衰退を反映するという点で、またそのヘゲモニーを「力」で再構築する過程だという点で、北東アジアの対立は深刻化するしかない。
戦争可能国に向けた日本の行動も北東アジア新冷戦を強化する要素だ。2017年10月の選挙で自民党が議席6割以上を確保し、独自の改憲が可能になるにつれて、日本は戦争可能国への転換を加速している。また、軍事的膨張主義と対を成すのが日本主導TPPだ。
2017年11月APEC首脳会談は日本主導で、米国なしのTPP、つまり「包括的漸進的環太平洋経済パートナーシップ協定CPTPP」を推進することにした。米国からの脱退で、TPPが廃棄されるという見通しを覆した日本の行動は、中国主導の包括的経済パートナーシップ協定RCEPの影響力拡大を座視しないという宣言だ。

韓半島は戦争危機の真っ只中

 米国は北東アジアの影響力拡大と中国けん制の過程で「核のない北朝鮮」を要求していて、北朝鮮は核開発を通じて体制の認定と平和協定締結を得ようとする。
しかし、終戦宣言と平和協定締結には、北朝鮮の核放棄と在韓米軍の撤収が核心争点となっているという点を記憶しなければならない。在韓米軍や在日米軍が米国の太平洋の覇権の駆動軸であるということを考慮すると、米国が韓半島平和協定を希望するはずがない。米国の太平洋の覇権追求と北東アジアの平和は両立できない。
最近、平昌五輪でしばらく和解の局面が造成されたが、これは本質的解決とは程遠い。平昌五輪期間中、韓米合同軍事演習を中止した状況だが、1月25日、米軍合同参謀本部は五輪が終わり次第、韓米合同軍事演習を再開すると明らかにした。「戦争が起こっても、韓半島で」というトランプの言葉通り、危機はいつ再び勃発するかもしれず、これは帝国主義に対抗する闘争が重要な理由だ。
韓半島は軍事対立の真っ只中にあって、文在寅政府は米国のガイドラインに忠実に従ってきた。去る2017年6月の韓米首脳会談の共同声明で「先制核が廃棄されない限り、北朝鮮とは対話と交渉不可」という米国の立場をともに発表したのに続き、9月サード4基を追加配置し、11月に訪韓したトランプには8兆ウォンに達する米国産兵器の購入を約束した。同盟の費用を露骨に要求するアメリカの歩みはこれにとどまらない。

韓国経済は通商圧力強化に直面


2017年韓国の輸出は通関基準17%以上増加した。 半導体の輸出が50%以上上昇し、全体の輸出を導いており、鉄鋼、精油、化学も輸出好調を見せた。半導体産業を中心とした輸出株も好況は2018年にもつながるだろう。研究機関の大半が、2018年3%の成長を展望しているが、これは世界経済が軒並み回復するという楽観的前提に基づいており、一部半導体・化学など一部の輸出大企業に偏重された好況はマクロ指標と生活の乖離を深めるばかりだ。
今強力な通商圧力が迫っている。 1月5日、韓米自由貿易協定FTA改正交渉が始まった。特に、米国は、自動車輸出拡大に向けて安全規制・環境規制など非関税障壁の解消を求める一方、韓国産自動車の米国輸入を抑制するため、原産地基準の強化を要求している。
FTAだけでなく、北米自由貿易協定NAFTA再交渉も危機要因だ。 米国は改正交渉過程で、自動車、原産地基準強化を突きつけている。域内付加価値基準を62・5%から85%に上げて、米国産部品の使用比率50%賦課条項を主張している。
この基調が受け入れられれば、年間40万台の生産能力を備えたメキシコ工場を完工した起亜車が大きな打撃を受けている。三星(サムスン)電子とLG電子もメキシコ工場がある。大韓貿易投資振興公社KOTRAによると、メキシコ進出韓国企業は183社に中南米進出企業のうち40%に達し、1年の売上高は約220億ドル(約25兆7千億ウォン)に達する。
政府の所得主導の成長はそもそも限界的だったが、これさえも退潮の兆しを見せている。すでに2017年10月、政府は雇用対策で「社会的経済活性化案」を持って出て、創業活性化案に雇用政策の名前をつけた。「2018年経済政策方向」と「新政府の産業政策方向」でこの傾向はさらに強化している。
政府は3大経済戦略として、第一、雇用・所得主導の成長、第二に革新成長、第三に公正経済を掲げている。そのうち革新成長はスマート工場・スマートファーム・ファインテック・ドローン・自律走行車・超連結知能化など核心先導事業革新型中小企業の育成、起業生態系造成、資本市場の先進化などを包括する。まるで、カネになることはやるという具合だ。 いわゆる革新成長に対する強調後には政府が「公正経済」と呼ぶもの、すなわち市場主義、財閥改革論がある。
市場主義、株主主導、財閥改革論者たちにとって重要なのは労働者、民衆の生活ではなく、ただ資本の間の公正な競争であり、このような観点は4次産業革命に対する無媒介的強調と結合して中小企業育成論、そして創業活性化に向けた資本市場の活性化論が明らかになっているからだ。これに照応することが国民年金を動員した金融市場の浮揚だ。
国民年金は今後5年間株式投資比重45%にまで拡大、コスダックの投資比重拡大、基金運用目標収益率を5・1%に上げるという目標を設定し、金融市場介入を強化している。
所得主導の成長論の地位は危ぶまれている。これはろうそく抗争を経過した大衆と資本の間で右往左往する文在寅政府の危うい立場を反映している。

柔軟安定性という名の労働改悪

 政府が社会的対話を掲げる理由は労働改悪である。 より巨視的に見ると、政府の目的は労働市場柔軟安定性体制構築にある。柔軟かつ安定的な労働市場、すなわち資本が要求する容易な解雇と労働が要求する社会安全網を同時に整えよう、ということだ。
1月19日、文在寅は韓国労総と民主労総委員長に逐次的に面談した。同日、文在寅は第一に、柔軟安定性の導入に向けた法改正の必要を述べ、最低賃金への算入範囲問題と休日の延長手当て重複割り増し問題も労使政対話を通じて解決しようと、両労総に協力を要請した。
解雇が簡単でも再就職が容易ならば良いという発想は第一に、労働力をあちこちに移すことができる生産投入要素だけで設定するという点自体で問題、第二に最初から柔軟安定性という概念そのものが新自由主義が欧州労働者を攻撃する過程で出たという点で問題であり、第三に、労働組合の組職率10%に過ぎない韓国で柔軟安定性の導入は全面的労働柔軟化となるしかないという点で、問題だ。
柔軟安定性という概念の中で労働者の人生は、解雇と再就職の繰り返しに過ぎず、資本主義社会で解雇も簡単に、再就職も容易にしようという主張は労働改悪に同意しろという圧力であるだけだ。
2018年韓国労働者、民衆の闘争はこのような情勢条件の上にある。

社会的対話の枠組みを打ち破れ

 第一に、政府市場主義、財閥改革論は資本市場の活性化論と創業国家論に帰結していて第二に、労働基本権を拡大するとしながらも、休日労働の割増率縮小と最低賃金への算入範囲の拡大を図っている。
第三に、大統領選挙当時、サードに関する曖昧な立場は結局、サードの追加配置で帰結したのに続き、韓半島の戦争危機の強化につながった。
第四に、脱原発の公約は、熟議民主主義という見かけの中でうやむやに廃棄された。
第五。社会権拡大においても同様だ。「フェミニスト大統領」を言いながらも、同性愛におおっぴらに反対し、改憲案に「性平等」明示に反対し、嫌悪勢力の方に立った。
新年のアンケート調査全般は大衆が弊害の清算を望むということを示している。 政府が留保した弊害清算の実現を労働者、民衆が主導しなければならない。労働基本権を獲得、財閥体制の清算、社会的権利と福祉の拡張のための闘争に乗り出さなければならない。
すでに労働改悪阻止闘争、労働基本権の獲得闘争が台頭している。
これからは対話を叫びながらも労働改悪を出す政権と資本に対抗して最小限の生活を可能にする労働悪法の撤廃、基本権の獲得が課題として浮上する見通しだ。
また、労働基本権の獲得闘争の拡散を、韓国資本主義体制に対する闘争に拡散することが重要課題に浮上するものだ。
情勢の中心に進出して弊害の清算を主導するのか、労働改悪と社会的対話の枠組みに閉じ込められるのか。 労働者、民衆は分かれ目に置かれている。
(「変革政治」59号より)

朝鮮半島通信

▲大韓民国(以下、韓国)の文在寅大統領は25日、平昌冬季五輪の閉会式に合わせて韓国入りした金英哲朝鮮労働党副委員長と、五輪開催地の平昌で会談した。
▲朝鮮中央通信は2月24日、東京・千代田区の朝鮮総連中央本部に銃弾が撃ち込まれた事件を報じ、事件は「安倍政権の反共和国強硬政策や総連弾圧策動の雰囲気に便乗した右翼集団が計画的に起こしたテロ行為」と主張。再発防止を日本当局に対して求めた。
▲日本の植民地時代に朝鮮半島で起きた大規模な独立運動「3・1運動」を記念する式典が3月1日、西大門刑務所跡で行われた。西大門刑務所は日本の植民地時代、独立運動家などが政治犯として投獄された。韓国が西大門刑務所で記念式典を行うのは今回が初めて。
▲朴槿恵韓国前大統領と韓国財閥グループを巡る贈収賄事件の論告求刑公判が2月27日、ソウル中央地裁で開かれた。検察は朴氏に懲役30年、罰金1185億ウォンを求刑した。同地裁は3月末に朴被告に判決を言い渡す予定。


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