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    かけはし2018年3月26日号

システムの再正統化ではなくその徹底拒絶を


メキシコ

CIG、労組、労働者諸組織間で歴史的会合

民衆による体制への挑戦始まる

PRT(革命的労働者党、第四インターナショナルメキシコ支部)

 メキシコでは今年大統領選挙が行われる。深い政治・社会的危機の中、現ペニャニエト大統領は極度に不人気であり、その後継候補も低支持率に苦しんでいる。この状況に対し、民衆のオルタナティブ建設の一環として、先住民活動家を押し立てたキャンペーンが進められている。(「かけはし」編集部)


 CIG(コンセホ・インディゲナ・デ・ゴビエルノ、先住民統治評議会)形成、およびそのスポークスパーソン、マリチュイの無所属での立候補登録をめざすキャンペーンに刻印された重要性は、選挙キャンペーンの先まで及ぶものだ(注一)。
 それは、選挙に限定されない立場を取るということに帰するのであり、実際それは、選挙キャンペーンではなく、メキシコの政治体制が抱える深い(そして望むらくは最後の)危機を前にしたある種の政治的オルタナティブだ。

支配階級救出へ
腐った連携追求


 現在の政治体制の分解と諸々の危機は、まったく前例がなく、アヨツィナパの四三人のためのキャンペーン、「ペニャ出ていけ」また「フエ・エル・エスタード」といった消えることのない叫びと一体的な「ヨ・ソイ132」運動以後の、正統性失墜を特徴とした六年の頂点だ(注二)。
 この危機は、政治―選挙システム、その諸機構、またあらゆる合法的政党の正統性に関わる諸々の危機、さらに司法機構の正統性の欠落に映し出されている。この危機は、全政党の信用性欠落とそれらに対する不信任のゆえに、政治―選挙に関わる領域に表現されている。
 国家機構に対する支配を維持しようと試みるために全政党により作られた、日和見主義的でスキャンダルに満ちた諸々の協定が明るみに出つつある。システムの機能を救い出そうと試みるために、彼らすべてが彼ら自身の諸々の連携や連合を求めているのは、偶然ではない。
 その最大の例は、新自由主義的寡頭制の代表であるホセ・アントニオ・ミードの、PRI(現政権党である制度的革命党)としての立候補だ。この人物の利点は、PRIとPAN(国民行動党、右派:訳者)の政権で等しく任務を務めてきたことだ。しかし他の諸政党もまた、特に米大統領としてのトランプ登場に対して、資本家支配継続の保証を彼らに可能とすべく、対立する諸利害と羅針盤喪失により分裂している支配階級のさまざまな部分と連携を形成している(PANとPRDは連合して共同候補者を推薦:訳者)。

めざすは抜本的
オルタナティブ


 それこそが、マリチュイの無所属立候補に向けたCIGによる提案が、それが必要とされる署名を集めることで法的な登録を追求しているとはいえ、選挙の仕組みそれ自身と対立する反システムのキャンペーンである理由なのだ。それこそが、「私は票を求めない。私はすべてを求めている」とマリチュイが語る理由なのだ。
 マリチュイはMORENA(新興中道左派政党として設立された国家再生運動:訳者)から票を取り上げることになると力説するAMLO(アンドレアス・マヌエル・ロペス・オブラドール)支持者による中傷は、われわれのキャンペーンは政権に到達するために票を追いかけている(そして、われわれに票を投じればすべてが解決される、とのデマに満ちた約束をする)わけではなく、政治システムとその現在の危機と分解を終わらせることを追求している、ということを理解していない(注三)。
 無所属候補者としてのマリチュイの登録に向け一〇〇万人の署名を得るためのキャンペーンもまた、こうした諸々の危機という脈絡の中で生まれている。現諸政党の信用失墜が理由となり、それらは自ら、「無所属候補者」に対する法的資格の創出を承認した。選挙プロセスをあらためて正統なものにしようと試みるためだ。しかし彼らは同時に、マリチュイのような真に自立したオルタナティブ(一定の政党のさまざまな部分による支援を当てにできない)の立場からは満たすことがあり得ないと思われる諸々の条件も付けている。
 マリチュイははじめから、彼女の登録に向けた手続きに込められたもっとも古くさく、反民主的でレイシズムの、そして女性蔑視の性格を手厳しく非難してきた。

反民主的本性
へ徹底対決を

 マリチュイの立候補は選挙キャンペーンの先まで延びている、ということを忘れてはならない。われわれは、システムの反民主的な性格を厳しく非難しつつも、署名を集めてきた。しかしマリチュイの立候補が意味する闘いは、署名があろうとなかろうと、登録が成功しようとそうでなかろうと、続かなければならない。われわれはそう考えている。それは全体としての政治システムに対決して闘うためのキャンペーンであるからだ。
それは、登録が成功しない場合であっても維持されなければならない。そうすることで、体制の危機に対して、しかし体制の外側から、またそれを強化するためにではなく、一つのオルタナティブを差し出すために、だ。それが、CIGが潜在的に表現していることだ。
他方MORENAのキャンペーンは、選挙に関わる政治システムの再正統化を追求し、政府を変える可能性は七月の投票を手段とする場合のみであることについて幻想をつくり出している。マリチュイとCIG(およびそれを支持する全勢力)のキャンペーンは、特にPRIの候補者を強要するためにこれから遂行されるまさに差し迫っている選挙不正を前にして、このシステムの反民主的な本性を糾弾し続けなければならない。

先住民と労働者
連合へ模索開始


そしてCIGは危機の只中における反資本主義の選択肢を象徴している。それは、無所属候補者としてのそのスポークスパーソンが票は期待していないがこれからの不正を前にしていると語りつつ、国中での先住民統治評議会を形成し強化し続けている、と提案する。
一月二四日のSME労働者集会は、CIGの先例に真剣に見習うやり方を見つけ出し生み出すという挑戦、労働者階級と民衆の統治評議会をも形成することに動くという挑戦、を行う。CIGが代表する先住民諸民衆と諸労組および労働者諸階級間の一つの連合に向けて諸々の基礎を据えることは、この会合がもつ歴史的な重要性だ。そしてそこには、SMEやNCT(新労働者センター)の中に集団化されている部分のような戦闘的労組が含まれ、またANUEE(電力消費者全国会議)のような闘争中の諸運動や他の諸部分、OPT(労働者と民衆の政治組織)のような諸組織からの合流もある(注四)。
先住民統治評議会と将来の労働者統治評議会間の一つの連合という見通しにおける労働者、農民、先住民の連携は、必然的に、先住民コミュニティとその民衆に対する資本主義による荒廃化に反対する先住民諸民衆の闘争の要求、そして新自由主義的構造改革、暴力、国の軍事化、女性殺人、また資本主義の現局面にはらまれた他の病弊に反対して闘争中の労働者の要求、これらの結合に反映されることになる。この綱領的豊穣化は、数々の経験が各々の側で共有されるこの会合で行われることが可能だ。

(注一)マリチュイは、先住民活動家のマリア・デ・ヘスス・パトリシオ・マルチネスの姓。CIGは、よい政府に関するサパティスタの七原則を基礎にした先住民機関として、二〇一六年一〇月に設立された。
(注二)「ヨ・ソイ132」は、二〇一二年に登場した学生の運動。メディアの民主化、表現の自由の防衛、情報への権利、さらにメキシコの政治システムの民主的転換を求めている。アヨツイナパ43は、二〇一四年九月にイグアラで、警察に拉致され殺害された学生たちを指す。「フエ・エル・エスタード」のスローガンは、殺人に対する国家の責任を指し示している。エンリケ・ペニャ・ニエトは、二〇一二年一二月からメキシコ大統領を続けている。
(注三)AMLOは二〇一一年に創立されたMORENA党の指導者。以前は中道左派とされた民主革命党(PRD)に属した元メキシコ市長。
(注四)SMEは、六万六〇〇〇人の組合員をもつ電力労組、電力の私有化に反対する長期の闘争を率い、ANUEEの形成に導いた。OPTは、SMEの指導者たちとPRTを含むいくつかの急進的左翼諸グループのイニシアチブの下に、諸政党の危機に対するプロレタリア的オルタナティブとして、二〇一一年八月に創立された。(二〇一八年一月二四日)(「インターナショナルビューポイント」二〇一八年三月号)  

トルコ

戦時における階級闘争

国難理由にストライキ封じ

メティン・フェイヤツ

真の敵は常に
本国内にいる

 「今われわれは、非常事態を基礎に即座に、ストライキの怖れがあるあらゆる場に介入する。われわれはノーと言う。われわれはここでどのようなストライキが起きることも放置しない」(レセプ・タイップ・エルドアン、二〇一七年七月一二日の国際投資家協会が組織した会合の中で)。
 「君たちがもしこの呼びかけ(アフリン作戦に抗議する呼びかけ)にしたがうのなら、そして街頭に出向く(抗議のために)ならば、君たちは極めて深刻な対価を払うことになるだろう。これは国民的な闘いなのだ。この国民的な闘いにおいてわれわれの前に現れるものが何であれ、われわれはそれを打ち砕きどんどん前に進むだろう。君たちはそれを知るべきだ。そこにはどんな妥協も、最小限の柔軟さもない」(同、「オリーブの枝」作戦を公表する一月二一日の演説の中で)(「オリーブの枝」は、アフリン侵攻に名付けられた作戦名:訳者)。
 一月二一日、レセプ・タイップ・エルドアントルコ大統領がアフリンに向けた彼の軍事作戦を公表していた時、同時に、トルコにおける自動車産業の心臓部である(そして欧州の自動車産業全体に対するもっとも重要なハブの一つである)ブルサ市では、金属産業の諸労組がこの都市の産業ほとんどに影響を及ぼすと思われたストライキ決定を公表していた。
 エルドアンは彼の公表の中で、深刻な対価を払うことになると語りつつ、アフリン攻撃に反対して抗議する者すべてを脅した。それと同じやり方で、金属産業におけるストライキ発表の二、三日後、金属産業におけるこれらのストライキを禁止する指令が出され、そこでは、これらのストライキが国の安全保障にとって有害であるとされている。冷笑的に「オリーブの枝」と名付けられた軍事作戦の主な標的がアフリンにあるクルドの飛び地であるとしても、エルドアンの「真の敵は常に本国にある」からだ。それこそが、戦争に対するあらゆる種類の反対を彼が黙らせたいと思っている理由であり、さらに同時に、労働諸条件を守るための労働者によるあらゆる種類のデモを彼が沈黙させたいと思っている理由だ。

巨利誇る産業で
劣悪条件に怒り


 金属産業におけるストライキ決定は、金属雇用主連合との間で進行中の労働協約交渉の結果だった。争いとなっている主な問題は賃上げと協定期間だった。諸労組は二年間の協定を求めた。しかし金属の雇用主たちは三年間の協定を迫り続けていた。劣悪な労働条件と低賃金をめぐって金属部門の主要労組に反旗を翻した二〇一五年五月の山猫ストの後、そしてこの山猫ストは極めて戦闘的だったものの大量解雇に終わったのだが、この協定期間に関しては労使協調派諸労組ですら以前より慎重になった。労働協約交渉が失敗に終わった後、全労組は労働者によりストライキ決定を行うよう強いられた。
 自動車産業はこの国の最大の輸出品目を生産している。二〇一五年のイスタンブール商工会議所の調べによれば、あらゆる部門から抜き出されたトルコの四大輸出企業はすべて多国籍自動車企業だった。その第一位は三九・五八億ドルを記録したフォードであり、第二位は三二・四七億ドルのFIAT合弁企業、第三位は二八・三四億ドルのルノー、そして次が二六・八五億ドルのトヨタだった(ここであげた数字はこれらの企業の輸出に過ぎない)。
 しかしこの巨額な富にも関わらず、ルノー、メルセデス、フォード、FIATその他のような多国籍企業で働く自動車労働者は、週四五時間労働に対し月三九〇ユーロというわずかなものしか得ていない。それゆえより良い労働条件を求める労働者の要求は、あらゆる種類の要求が反逆とのレッテルを貼られるこの国の政治的環境に打ち勝ったのだ。

エルドアンを
戦争が助ける


 しかし次いで戦争が現れ、ストライキ決定を行うことに尻込みしていた諸労組を助けた。軍事作戦発動直後、「国の安全保障」というレトリックが再び現れ、トルコ金属労組は一つの声明を公表、そこでは「われわれは心からトルコ軍部隊に並んで立っている。それゆえトルコ金属労組執行委員会は、トルコ軍部隊が国境を越えて遂行している作戦が引き起こしているわが国の諸環境を考慮に入れ、市の広場や街頭での行動は行わないことを決定した」と語られている。
 彼らはストライキから引き下がったが、しかし他の関係労組、ビルレシク・メタルは、前進するだろう、との声明を発した。結局、計画では二月二日に始まるとされたストライキは進まなかった。その後の交渉の中で、労働者が意味のある賃上げ(最初の六ヵ月に対し、二四%)を与えられたからだ。
 エルドアンは非常に長い間、この軍事攻撃について話し回り、それを準備していた。トルコはこの軍事作戦を始める前に、米国とロシアから合意を(あるいは少なくとも承諾を)得ようと務めた。開始から一週間の今、トルコ軍の空爆が生み出した破壊やトルコが支援する民兵による捕虜の拷問に関する数多くのビデオ映像を見つけることが可能だ。政府は戦争開始後彼らが告げていたことを守り、戦争に反対して投稿されたソーシャルメディアを理由に約四〇〇人を拘留した。トルコ医師会執行評議会全員が逮捕された。「戦争は公的医療には問題」と標題を付された反戦声明が理由にされた。
 戦争は、エルドアンの統治に関わる諸々の危機を解決しようと試みる点で、むしろ彼の政府に有益なのだ。国の安全保障を基礎とした彼らのレトリックは、トルコ社会のあらゆる部分を結集することに成功した。国難というこの口実は、すでに権威主義となっている彼らの設定課題――金属労働者が計画したストライキを禁じることまでも含んで――を前に進めることを政府に可能にする。

▼筆者は、トルコの第四インターナショナルメンバー。(「インターナショナルビューポイント」二〇一八年二月号)


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