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    かけはし2018年4月2日号

護岸建設工事即時中止を


3.5

辺野古実が防衛省申し入れ行動

現地と結び抗議の闘い拡大へ



カヌー100艇
で工事中止を!
 三月五日午後六時半から、辺野古への基地建設を許さない実行委員会が月例の防衛省への申し入れ行動を行った。あいにくの雨が降り続く中ではあったが、沖縄現地のすさまじい闘いと連帯する強い絆で結ばれた行動であった。
 最初に防衛省にシュプレヒコールを行い、最近、辺野古に行った仲間が行動の報告をした。
 「二月半ば、二週間行って、もっぱらカヌー隊で活動した。K1、K2護岸は完成し、いまK3、K4護岸を作っている。辺野古側の浅い所に出来ている。六月からそこに土砂を落とすだろう」。
 「一日一〇メートルぐらい護岸が延びている。カヌーでオイルフェンスをくぐり、中に入り工事を止めようと行動している。排除されても一日五〜六回入っている。ゲート前では、昼に島ぐるみ会議が行動している。朝・夕は人が少ないのでダンプが二〇〇〜三〇〇台入ってくる。海からも運搬船で土砂を運んでいる。現地は人を必要としている。工事が始まってから一年目の四月二五日、カヌー一〇〇艇で工事中止を求める行動を行う。参加しよう」。
 次に花輪伸一さん(環境NGO)が「六月土砂投入が予定される場所は浅い所で、土砂が投入されれば、海草の藻場やサンゴが死んでしまう。大規模な環境破壊が行われる。大浦湾側は何の発表もないが活断層がある。活断層が動けば構造物は壊れてしまう。設計変更が必要で知事に変更申請しなければならない。翁長知事は不許可にするので次の知事選が攻防になる。翁長知事を支え豊かな自然環境を守ろう」と話した。
 練馬の池田五律さんは「二月二二日にオスプレイが練馬上空を飛んだ。宮城県の王城寺原演習場で日米共同訓練を行い、厚木に帰る途中だったのだろう。普天間を拠点とし、岩国、厚木をハブとしてオスプレイは動いている。三月一六日、「与那国は今」という集会を行う。これは三月末に天皇が沖縄・与那国島に行くことについて考えるためだ。与那国島に二年前に自衛隊基地が作られた。天皇の訪沖は今までの「慰霊から慰問へ」と質的に変わっていく動きだ」と提起した。

この闘いに負け
ることはできぬ
沖縄から大城悟さん(沖縄平和運動センター事務局長)が電話でアピールした。
「名護市民は今でも六割が基地に反対している。必ず辺野古で支持を拡大させながら、基地建設を止める。防衛局は活断層問題の情報開示を拒んでいる。これからも公開を求める」。
「資材搬入を止める行動は厳しい。しかしあきらめない。護岸工事は始まったばかりで、運動を委縮・後退させるねらいがある。完成する状況にない。沖縄本島へ自衛隊ミサイル部隊を配備すると報道された。石垣・宮古・八重山など先島・離島への自衛隊配備計画が進んでいる。安倍政権は戦争への道を突き進んでいるが決して負けてはならない。共にがんばろう」。
横田基地との闘いを行っている古荘さん(上映実行委・横田実)が三月三一日「辺野古ゲート前の人々」上映会(八王子・北野市民センター)を紹介した。
最後に、大仲尊さん(沖縄一坪反戦地主会・関東ブロック)が三月四日、石垣市長選が告示され、自衛隊ミサイル基地建設問題が最大の争点になっていること、オール沖縄の候補を勝たせ、安倍政権の軍事基地強化を阻止しようと訴え、今後の行動提起を行った。3・13沖縄県の埋め立て裁判那覇地裁判決、3・14山城さんらの一審判決、3・14午後6時半、首相官邸前行動、3・24午後2時から新宿駅東口アルタ前、3時デモ。午後6時半、天皇訪沖・与那国島訪問を問う集会、4・25辺野古沖、カヌー海のパレード。今回、ジュゴン保護キャンペーンセンターが申し入れを行った。 (M)

読書案内

内田 博文 著/岩波新書

『治安維持法と共謀罪』

今こそ検証したい戦後の大いなる矛盾

天皇代替わり、東京五輪を
にらんだ攻撃はね返そう



次々に拡大す
る弾圧の対象
 第一章は、治安維持法の制定から弾圧対象の初適用から拡大のプロセスを検証している。加藤高明内閣は、一九二五年に普通選挙法(満二五歳以上の男子全員に投票権を与える)を制定すると同時に共産主義・社会主義運動等の社会運動を封じ込めるために治安維持法を結社規制法(「国体ヲ変革シ又ハ私有財産制度ヲ否認スルコトヲ目的トシテ結社ヲ組織シ又ハ情ヲ知リテ之ニ加入シタル者ハ十年以下ノ懲役又ハ禁錮ニ処ス」)として制定した。
 しかし、「当局は治安維持法を制定したものの、適用対象をあぐねていた」(内田)。すでに治安警察法による弾圧によって第一次共産党(一九二四年)は解党していたからだ。警察当局は、治安維持法を初適用しようと京都学連事件(一九二六年一月一五日、大学の社会科学研究会の全国組織を弾圧)に着目し弾圧体制を敷いていった。「一月以来、四カ月にわたって、思想検事の平田勲(東京検事局)の指揮のもとに、各府県警察部特高課を動員して記事報道を差し止めた上で全国の社会科学研究会員の検挙が実施された。……検挙された学生のうち三八名は治安維持法違反、出版法違反および不敬罪で起訴された」。
 以降、治安維持法の適用を拡大させ、特高を先兵に次々と不当逮捕・弾圧を広げていったが、内田はこのプロセスを総括することによって「共謀罪」(改正組織的犯罪処罰法〈『テロ等準備罪』〉/二〇一七年六月)の初適用、弾圧拡大を警戒していくうえで重要な指摘と問題提起を行っている。

テロ等準備罪の
無限定性を批判
第一は、政府は「『テロ等準備罪』はマフィア対策だ、あるいはテロ対策だとされているが、現実にはそうなっていない。『真の立法事実』は隠されているといってよい。『裏の立法事実』との間には大きな乖離が見られる。このような立法の場合、事件のでっち上げがなされる可能性は高いということに警戒が必要であろう。罪刑法定主義、なかでも明確性原則はこのでっち上げに対し歯止めの役割を果たすものであるが、『テロ等準備罪』の要件の無限定性はこの歯止めを奪っている」。
第二は、(『テロ等準備罪』は)「行為者の内心の『目的』
が処罰根拠となることから、事実認定の中心は行為者の主観に置かれることになる。この主観を針小棒大に膨らませ、被疑者・被告人らの事件関係者に対し『暴力団関係者』、『テロリスト』、『社会の敵』といったレッテルを貼ることによってこの主観についても規範的評価が先行する」。外の応援団としてマスメディアを最大限利用する。「報道統制」、情報操作によって共謀罪弾圧は「正当」のキャンペーンを張り、萎縮作用を働かせ被弾圧者に対する支援、連帯の輪の広がりを防ごうとしてくる。
第三は、「治安維持法の解釈・運用は思想検事が牽引した」が、現在の「検察官司法の下で、『テロ等準備罪』の解釈・運用は捜査官の裁量にもっぱら任されることになる。……この裁量が濫用に陥るのを阻止するシステムを私たちは設けていない」から濫用を防止するシステムを導入することが重要だ。
第四は、「テロ等準備罪」の適用・運用のために必要な個人情報収集のために通信傍受法の適用を拡大し、室内会話の盗聴をねらっている。盗聴法改悪をゆるしてはならない。また、GPS(全地球測位システム)捜査の立法化も射程にしている。最高裁は、裁判所の令状を取らずにGPSを使う捜査手法は違法(一七年三月)と判断したが、GPS捜査の立法化を行えと指示もしている。プライバシー侵害を合法化する立法化の危険性を暴いていく必要がある。
第五は、共謀罪による政府による住民監視とともに「一般国民同士がお互いの行動や思想を監視しあう」ことの恒常化を作りだしていくことの危険性だ。すでに「安全・安心まちづくり条例」が各自治体によって制定されているが、この条例を通して住民相互監視を緻密化のために警察が軸になって町内会自治会末端と日々連絡システムができあがっている。人権とプライバシーの侵害の攻防において一つ一つクローズアップし、社会的な抗議が求められている。
共謀罪には司法取引制度導入による「自首減免の規定」(実行に着手する前に自首した者は、その刑を軽減し、又は免除する)がある。スパイ育成・転向強要のために公安政治警察はこれをおおいに使ってくるだろう。被疑者の減刑、釈放をエサにしてえん罪でっち上げが多発してしまう恐れがある。この人質司法の人権侵害を糾弾していかなければならない。
そのうえで内田は、「治安維持法の制定および拡大がそうであったように共謀罪の創設も安保法制や秘密保護法などとの関連において捉える必要がある。今以上に世界中に軍隊を派遣できるようにする時には反対者がもっと広範に出てくるだろう。政府としては、それを徹底的に取り締まる法律が必要になる。その時に共謀罪はその気になればいくらでも使える、そういう風にできている」と集約し、警鐘乱打する。

共謀罪を適用
させないために
安倍政権は、改正組織犯罪処罰法施行後、同法違反での逮捕、起訴件数は現時点で〇件だとする答弁書を決定している(一七年一一月一四日)。また、大垣警察市民監視意見訴訟院内集会(二月一六日)で山尾志桜里衆院議員(立憲民主党)が「先の国会の法務委員会で上川陽子法相は、『共謀罪で捜査している事件はゼロである』と答弁した」ことを報告している。つまり、共謀罪を適用した捜査・逮捕はしていないが、公安政治警察の日常業務は続行中であると断言しているのだ。
治安維持法制定後、検察と警察中枢は、初適用に向けたターゲットをリサーチしていたように現在の公安検察と公安政治警察は、初適用のターゲットを絞り込んでいるはずだ。警察庁が共謀罪施行を見据えて全国の都道府県警に「同法の捜査は警察本部の指揮で行う」(一七年六月二三日)と全国通達をしているように、これは初適用のタイミング、効果ある弾圧対象の設定にむけた謀議を繰り返していることの現れだ。
公安政治警察は違法な住民監視、運動破壊工作を警察法に基づく合法的な業務だと居直り続けている。グローバル派兵国家建設の一環である対テロ治安弾圧体制の強化にむけて二〇一九年の天皇代替わり、大阪G20サミット首脳会議、二〇二〇東京五輪を通して構築していこうとしている。その突破口として位置づけているのが共謀罪適用だ。敵の密集した共謀罪初適用に対しては、全国のスクラムによってはねかえしていこう。 (Y)

コラム

結城幸司さんのギャラリーを訪ねて

 三月二〇日、新宿ヒルトンホテル地下ギャラリーで「アイヌアートプロジェクト展オルタナティブアイヌアート」が行われていた。結城幸司さん(アイヌ解放同盟の結城庄司さんを父にもつ。版画家)によるアート展だ。二月三日に開催された「アイヌ文化から北方諸島の問題を考える集会」に講師として話を聞くことができたから結城さんの作品を見たいと思ったのだ。
 展示されている衣装や壁掛け、手芸品をざっと見て回った後、結城さんとお話ができた。
 衣装の模様のこと。「渦巻き模様が素敵だ。これは川や海の波の模様ですか?」「違う。この模様はアイヌの精神世界を表していて、渦のように見えるかもしれないが魔除けのデザインで模様の先に必ず棘を書いている。魔物が入ってこないようにという願いが込められている。こうした模様の描き方は日高や旭川など地域やその家によっても違う。アイヌ模様は世界的にも他に例がなく、ヨーロッパなどでアートとして高い評価を得ている。刺しゅうはすべて手縫いでやっている」と結城さんの話。
 私がアイヌ模様を「波」と思ったのは『アイヌと縄文』(瀬川拓郎著、ちくま新書)でアイヌ民族が交易の民としてサハリンや北海道、千島列島、日本本州を行き来していたことを歴史的事実として明らかにしていたのを読んだからだ。
 私が群馬県高崎市で行われた反原発集会で、保育園で自然を愛するアイヌの踊りを練習している子どもたちの弓の踊りが披露されたことを知ったと話すと、結城さん、「以前からアイヌ文化交流を取り組んでいる実践教育の先生たちがいた。今でも埼玉などでも行われていて、群馬の保育園は有名だ」。
 私が瀬川さんの本で、「サハリンで元が一二六四年にアイヌ民族を討伐するために派兵、一時は一万人の兵と一〇〇〇艘の船を出したが闘いは四〇年にわたった」と書いてあると話すと、結城さんは当然その話を知っていて、「蒙古襲来を撃退した神風の話は教科書で教えるのに、同時期にあった北からの元の戦争に対してアイヌ民族が戦ったことは教えない。ぜひとも皆さんに知ってほしいものだ」と話してくれた。
 「アイヌの人口は二〇〇八年、二万五〇〇〇人、最近は一万人。生業は二風谷でトマトなど農業、伊達、釧路などで漁業。命をかけているということで日本人といっしょに会社を作っている」(結城さんの講演から)。
 アイヌ民族のアイデンティティを自らのものとして、アイヌ民族として生き抜くことが現在の日本でいかにたいへんなことか、少数民族に対する差別的・ヘイト的なあり方を変えていかなければならない。
 「オーストラリア、ニュージーランドでも先住権を認めた。日本は一度も謝罪していない。謝罪すべきだ」。こんなメッセージも重く受け止めなければならない。 (滝)


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