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    かけはし2018年4月9日号

水の私有化の新たな波


インドネシア

阻止に向けジャカルタで前進


イルファン・ザマザマイ

 インドネシア中央政府は、二〇一九年までの清浄水利用への普遍的な権利保障、に対するその意図を繰り返し明らかにしてきた。これを達成するためには、二七〇〇万の新たな接続が必要と評価されているが、二七四・八兆インドネシアルピー(IDR)(二〇八億ドル)という巨額の投資が不足している。
 そしてその時期のほとんどに対し、たとえば後掲政府文書の二〇一七年版のような公式文書からはっきり分かるように、政府は、私有化を万能の解決策と見ている。ちなみに上に例示した文書とは、「公私パートナーシップ(PPP)、インドネシアにおけるインフラストラクチャー構想計画」(国土開発計画省/国土開発計画局)だ。

水道事業私有化
計画が次々進行

 結果として二〇一七年は、インドネシアにおける水の私有化の新たな波を経験した。以下にあげるものが、政府が推し進めている主な水私有化構想のいくつかだ。
?東アジアのパスラン。パスランのウムブラン上水給水システム(SPAM)は、政府の旗艦的な水の「メガプロジェクト」であり、私有部門の巻き込みを大いに推進している。この構想には四兆五一〇〇億IDR(三億四一三八何ドル)の価値があり、主には公私パートナーシップを通して実行される。この水事業は二〇一七年七月二〇日公式に発足している。この水私有化の効果が及ぶ範囲には、高い人口密度をもつ五つの自治体と工業センターがいくつか含まれることになるだろう(スラバヤ、パスルアン、シドアルジョ、マジョケルト、グレシク)。この新たな水事業がさまざまな自治体の水事業に清浄水を供給するからだ。この構想はすでに民衆的な抵抗に火を着けてきた。市民社会の諸組織は、この構想に抗議し、地方議会に訴えてきた。
?中央ジャワのセマラング。SPAM開発構想の下ではまた、一つの上水事業が、人口一五〇万人の町、セマラング西部で建設の準備に入っている。この構想の費用は一・一兆IDR(八三二六万ドル)であり、政府はこの計画の実行にあたって一つの私企業を指名している。この構想は、急速な地盤沈下を抑制するための水供給改善に向けた解決策だと主張されている。この利権は、能力のある公的な水事業の存在にもかかわらず、与えられた。
?西ジャワのベカシ。ベカシ(人口二六〇万人)の政府は、この都市の上水事業構想を加速するために、水コンサルタント企業と一体となって活動を続けている。この構想は今なお初期段階にあるが、その段階にも関わらず、この水供給システムは私企業に許可されるだろう、という高い可能性がある。
?リアウのバタム島。バタム(人口九四万四〇〇〇人)の水サービスはすでに私有システムの下に運営されている。しかし現地の公的機関であるBPバタムは、二つの上水供給システムを準備中なのだ。現在の私的水企業の業務契約が二〇二〇年に終わることになっている中で、推測可能なこととして、BPバタムは、私有企業の中から他の部分を引き込むだろう。
?ラムプングのバンダル・ラムプング。政府は、バンダル・ラムプング水供給システム(人口八八万一〇〇〇人)に応札する私企業向けに入札を組織中だ。この構想には一兆四〇〇〇億IDR(一億五九七万ドル)の価値がある。これまでのところ、候補者選抜リストの中には五つの共同企業体がある。落札企業は二〇一八年末に公表されるだろう。政府のPPP工程表によれば、バンダル・ラムプング水供給システムの利権は、二五年契約として取り決められるだろう。
?南バリ。公共事業省は、南バリの水インフラストラクチャーを私企業を引き入れることで建設するとの約束を明言した。政府は、規制を水私有化に合わせるようにする目的で、現地の公的機関に対し調整を進めている。バリの州知事は、この省の計画を歓迎した。
?PPPとして提示される予定の他の上水供給システムは、ポンドク・ゲデ(二五〇〇万ドル)、ペカンバル(三五五〇万ドル)、そしてバンテンの原水事業(一七〇〇万ドル)だ。

国有原則を掘り
崩してきた経過


この構想のほとんどは、公式には、ウムブラン上水給水システム(SPAM)の傘の下に設計され、このところの構想のほとんどは原水処理に関係しているとはいえ、SPAMの概念は現実には、原水採取から利用者への上水配分まで、幅広く上水供給の全過程を網羅している。すでに廃棄されている水資源法によれば、SPAM構想は国有企業により実施されなければならない。しかしその法の国有企業に対する優先付けは緩いものに過ぎず、すぐさま、政府は私有企業を引き込むことも許される、と述べている。中央政府は明らかに、後者をはっきり優先してきた。
加えてこの間の動きは、水処理のプロセスに私有部門の余地を提供することにより政府がどのようにして公益水事業の私有化をはぐらかしているか、を明らかにしている。これは、上水が生産される過程の上流部分にあたる。配水と運営である水の下流部門は、今も公的に管理され所有されている水事業の領域に置かれている。
これは、これまで自給でやって来た公的水事業にとっては問題含みになる可能性がある。たとえば公的水事業のPDAMスラバヤは、例外的に健全な業績を上げているのだが、それに代わって、今後利潤を求める企業の水供給への依存を強いられるだろう。ジャカルタで見ることができるように、政府と公的水事業は私企業に対し、それらの料金政策と業績への説明責任を果たさせることがほとんどできていない。
インドネシアにおける水私有化の前回の波は一九九七年にジャカルタで起きた。二つの私企業が、ジャカルタの水サービスの運営を引き継いだ。しかしこの私有化はみじめな失敗となり、住民の半数を水道管で引かれた水の供給を利用できない状態に放置している、中でもたとえば利用料金の跳ね上がり、公的予算の財政損失……といった他の問題が山をなし続けている。

民衆の抵抗と
法廷での勝利

 人びとは、水の私有化を終わらせるために闘いを継続している。 その最強の奮闘の一つは、法的行動を通すものだ。住民と市民社会の諸組織は、水の私有化に反対して二〇一二年に市民訴訟を提訴した。二〇一五年、住民は勝利、私有化契約は法廷により無効化された。不幸なことにこの判決には、私有水管理企業と中央政府を含む、被告側から異議を出された。
これは、市当局が水サービスを引き継ぐことを現実に妨げることになった。運営私企業に配水サービスの独占権を与えている契約条件が依然有効だからだ。私有化された水サービスを契約の満期まで維持する目的で、運営私企業が法的戦術を通して時間を稼ぐ、ということが大いにありそうだ。そして世界的に、水の私有化の第一波を維持することは、次の波に向け道を開くための鍵になっている。
二〇一七年一〇月に最高裁は、水に対する人権を確かなものにするために、水の私有化の終了と公的管理の復活を命じた。この決定がどのように実行されるか、またジャカルタの私有化が完全に止められることになるかどうか、は今後を見ることが必要だとはいえ、この決定は、私有化構想に対する批判的注意をジャカルタを超えて高めることに助けとなる可能性がある。これはさらに、インドネシア他地域における水の私有化の広がりを抑制する可能性もあるだろう。(二〇一七年一二月二七日)
▼筆者は、インドネシアを本拠とする、非営利の調査を基盤に水の調査に関して活動する弁護士グループ、水リテラシー・アムラ研究所の研究者。(「インターナショナルビューポイント」二〇一八年三月号)

ロヒンギャ/ミャンマー

バングラデシュの
ロヒンギャ難民に連帯を

2018年3月2日

第四インターナショナル17回世界大会特別決議

 ミャンマー軍事独裁政権は長期にわたって、アラカン州に暮らすロヒンギャの人びとに対し民族一掃作戦を続けてきた(注一)。しかしながら二〇一七年以来、軍事独裁政権はロヒンギャに対する集団虐殺を遂行するまでになり、それがバングラデシュへの、また同様に他の諸国への、大規模な移住を引き起こすことになった。
 軍事独裁政権は女性、子ども、老人に残忍な拷問を加えた。彼らは見境なく、首を切り、手足を切り落とし、人びとを焼き殺し、また女性をレイプした。犠牲を強いられたロヒンギャの人びとは彼らの命を救うためにバングラデシュへと国境を越え、難民となった。
 彼らは、洪水になりがちな平地や、地滑りが起きそうな丘の麓に掘っ立て小屋を建て始めた。バングラデシュで非人間的な条件で暮らす彼らは、およそ一〇〇万人になる。バングラデシュ政府は、人道の見地から臨時的キャンプの形で彼らに避難所を提供した。しかしそこには、この膨大な難民数に見合った設備はない。
 ユニセフ(国連児童基金)とUNHCR(国連難民高等弁務官事務所)は、この人道的必要に取り組もうとしているが、それらの対応は十分ではない。彼らは、この危機に応じる実のある資金集めをこれから組織しなければならないところにある。
 軍事独裁政権がロヒンギャをめぐって行ってきたことは、紛れもない人権侵害であり、その首謀者は司法の裁きにかけられなければならない。この国の国家主席にあり、ノーベル平和賞受賞者のアウンサン・スーチーは、ミャンマー軍事独裁政権がしでかしたこの暴虐と集団虐殺に沈黙を守っている。
 このロヒンギャの危機を解決するためには国際連帯が切に必要となっている。いわゆる国際社会の対応はこれまで、この深刻な人道危機を前にひどく乏しいものだった。ロヒンギャは地政学的な抗争の犠牲者となっているのだ。
 今日ミャンマーは、外国投資に扉を開こうとしている、特に中国企業は、ミャンマーに投資を続けてきた。いくつかの情報筋は、中国企業のために、アラカンの一定地域が重工業プラント向けに切り開かれてきた、と主張している(注二)。
 第四インターナショナル(FI)は、ミャンマー軍事独裁政権が行った集団虐殺を強く糾弾する。そして、適切な身分証明文書を発行すること、彼らに市民権を認めることを含んで、ロヒンギャの人びとのために、彼らの故国への安全な帰還の諸条件を即刻作り出すことを要求する。
 FIは、ロヒンギャの犠牲者に対する正義を要求する。それは、集団虐殺と人権侵害を行った軍事独裁政権が彼らの行為に説明責任を負わなければならない、ということを意味する。
 FIはまた、バングラデシュおよび国際社会双方による、ロヒンギャ難民への適切な人道的対応をも要求する。
 FIはすべての進歩的な諸勢力に、難民との連帯を表すよう訴える。

(注一)アラカンは、概してラカヒン州として知られている。
(注二)サウス・イースト・アジア。http://www.scmp.com./news/asia/south
(「インターナショナルビューポイント」二〇一八年三月号) 


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