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    かけはし2018年4月16日号

今こそ「森友」事件の徹底究明を


3.31

森友学園問題を考える会講演会

「文書改ざん」への圧力探る

前川喜平さんらが対談

 【大阪】森友学園問題を考える会主催の講演会が三月三一日、豊中市立文化芸術センター大ホールで開かれ、矢野宏さん(新聞「うずみ火」代表)の司会で前川喜平さん、寺脇研さん、木村真さんが対談をした。一四〇〇人の市民が参加した。

講演への政治的
圧力はどこから
矢野:佐川さんの国会証人喚問は期待したが、裏切られた。決裁文書の改ざん、一体何があったのか。
前川:佐川さんは江戸時代なら立派だが、主権在民の時代には国民のためにやらねばならないのに、自分がご主人と思っている人(安倍首相?)のためにやった。文書改ざん、一公務員の判断でできるはずがない。何らかの政治的圧力があったと考えざるを得ない。
国会喚問で私が注目したやりとりがあった。森ゆう子さん(自由党)が「森友問題で今井秘書官と話をしたことがあるか」と同じ質問を三回行った。佐川さんは、二回は答えになっていない返答をし、三回目に「森友問題については今井秘書官と話していない」と言った。これは偽証だ。偽証リスクを犯してまで守ろうとしている。
政治的圧力のルートは解明されていないが、森友と加計はよく似ている。設置認可(森友は大阪府、加計は文科省)、公共財産の提供(森友は国、加計は今治市)が共通している。ある方のお友達であることも共通。これは、国政の私物化だ。政治力で行政がゆがめられている。こういうことが、おそらくあちこちであるだろう。
私が名古屋市立中学校で授業した内容について、詳細な質問状が文科省教育課程課から送られてきた。私が小学校の時不登校だったこと、性格は自分の努力で変えられること、宮沢賢治の詩をどのようにして自分の人生に活かしたかということ、夜間中学のこと。夜間中学というのは、大きなヤカンのある中学校だと言ったら、生徒がみんな信じちゃったので、大人の言うことをみんな信じてはダメだと言った。
質問状は異例のこと、文科省の役人が自ら判断したはずはない。個別の学校や現場の教育実践に口を出してはいけないことは文科省はわきまえている。それは教育行政の鉄則だ。案の定、池のついた人が二人出てきた。文科省は、二人から問い合わせは受けたが、質問状は文科相の判断で出したと。そこまでかばうのかよ!与党の文科部会長は重要なポスト。ここを通らないと何ごともすすまない。だから同情はするが、言われたとおりにやってはいけない。面従腹背か、大臣から断ってもらうべきだった。

教育現場に土足
で踏み込む前例
政治が教育現場に土足で踏み込んだことが東京であった。都立七尾養護学校事件。生徒間で性的問題が起きたことで、学校が性教育プログラムを作った。生徒や保護者からも高く評価され、都教委もほめていたが、ある都議会議員が問題にし、都知事も同調したので、都教委も態度を変え、都議会議員たちが直接学校に踏み込んで教材を奪っていった。校長は降格処分され、教員は処分された。
裁判は、最高裁まで行き、教職員側が勝った。判決は、政治家たちの行為は不当な支配(現教育基本法一六条)にあたるとした。名古屋のことはこれに近い。文科省はやるべきではなかった。残念だ。今、集中している権力に対し、全体的に行政機構が脆弱になっている。これを変えていくのが、日本社会の課題だ。

寺脇:現在全国で小中高合わせて三万五〇〇〇校ぐらいあり、いろいろな人が学校で授業する(総合学習のとき)。年に一〇人ぐらいはあるから、全体で三五万人だが、その中でこの人(前川さん)だけが調べられている。理由は、天下り問題で処分を受けたことが理由だが、そのことで処分されたものは四〇人ぐらいで、現在大半は文科省の局長や審議官をやっている。しかし誰も調べられていない。
三権分立が壊れかけている
森友・加計、とんでもないことになっている。認可取り下げになったから表に出ないが、大阪府知事も相当ヤバイところまで行った。私学審議委員もみんな反対していたのに、府の私学課が何とかならないかとしつこく言い続けて、認可適当に。でも、私学課が学校をつくりたいと思っていたのではない。選挙で選ばれた人の集合体が政治家。彼らの言うことが通らないといけないなら、三権分立ではない。議員というのは、適格性や能力に関係なく、選挙で選ばれる。これは大事なことだが、公務員は試験により適性や能力を調べて採用される。
立法府は一番強いはずだが、そこに行政府がウソの資料を出したりする。こんなことが行われているなら、自民党だって怒らねばいけない。立法府も行政府も暴走し初めている。メチャクチャだ。佐川さんがどうとかではなく、三権分立の構造がぶっ壊れかけていることが問題だ。

政権と「維新」
が「車の両輪」
矢野:森友問題には、維新政治がかかわっていたのですよね。

 木村:森友問題は、政権中枢と維新が車の両輪となって、愛国心教育をするいびつな学校建設に肩入れをした事件だと思う。その後政府は、野党の質問に答えるかたちで教育勅語を憲法に反しない限り教材として使ってもいいと閣議決定で決めた。教育勅語は存在自体が問題だ。太平洋戦争の歴史の検証をする歴史資料に使うぐらいしか使い方はない。日本会議が今の政権に大きな影響を与えている中で起きた事件だ。
国有地を限りなくゼロ円に近づくよう努力する(近畿財務局)とか、公文書に改ざんという犯罪は忖度だけではせんでしょう。落ちかかっている橋を、渡ればそれが落ちるとわかっていて渡ることと同じだ。これをもし圧力なしでやればそれはそれで大問題だし、せめて圧力でやったと言ってほしい。どちらに転んでも問題だが。前川・寺脇さんに聞いてみたい。

 矢野:前川さん、以前官邸の人のこと言っていましたね。その人の名は?

 前川:森ゆう子さんの質問の時に出てきた人、今井孝哉主席秘書官です。経産省から谷査恵子さんを連れてきたのも今井さん。加計の場合は、私が直接「総理の口からは言えないが、これ(加計獣医学部認可)は総理のご意向だから、早く進めなさい」と言われた。同じことを課長も聞いている。官邸から明示的に圧力がかかったのは間違いない。
教育勅語は反憲法的な文書だ。日本国は神がつくったという国家観で、明治の中頃につくられたものだ。ここにもどるというのはナンセンス極まりない話だ。稲田元防衛相はこの勅語を立派な文書と言い下村元文科相も同じ考えだった。下村さんの下での初中局長時代に、教育勅語を使っても差し支えないと言えと言われ、どうしてもそのまま言えなくて、学校で使うことも考えられると言った。後悔している。戦後、教育勅語に代わるものをつくろうとしたことはあるが、教育勅語の復活はなかった。いま、目の前にある動きは教育勅語の復活だ。日本は戦後きちんと反省せず、問題のネズミを駆除しないうちに、あるところでどんどん増殖しているという感じだ。二、三匹出てきたら、その向こうに二万匹ぐらいいる。

もってのほか
「文書改ざん」
矢野:寺脇さんの著書に、側用人という言葉があった。側用人が官邸にいっぱいいると。
寺脇:偉い人は直接言わずに、側用人が言う。あるいは、側用人が忖度して言う。それが総理のご意向になる。忖度もすごいけど、文書改ざんは大変な事件だ。明治政府ができて以来初めての出来事ではないか。私が秘書官なら、総理が辞めると言えばすぐ財務相に電話して、「まさかそんな文書が出たりはしないだろうね」ぐらいは言うだろう。
何でそうなったのか。根っ子は大阪。維新知事がどんどん人気が上がって、その知事がクソ教育委員会といった。いくら知事でも、議会で決まってもいないことを聞く必要はない。でも、今はそのような関係は壊れている。名古屋の件について言えば、大臣が知らないうちに、調査が行われたりする。これなら、大臣は必要ない、文科省に限らずどの省庁でも。
何でこうなったか。大阪府のノック知事を祭りあげておいて役人が好き勝手やったのではないか。霞ヶ関の役人が大臣をないがしろにして、自分たちの好きなようにやったのではないか。それを国民が見ていて、これではいけないと思い、民主党政権や安倍政権に高い支持率を与えたからこうなっている。役人が大臣をないがしろにするのもよくないが、今は政権トップが大臣をないがしろにするから、大臣がいる意味がない。その大臣も、能力のある人がなるというより、論功行賞とか順番が来たらなっている。答弁できない人が大臣をやっている。これについては、国民も考えないといけない。
いま、前川さんが教育勅語を暗誦したが、全国の幼稚園や小学校で論語の暗誦などがはやっている。意味もわからないのに暗誦する。それは意味があると言う学者もいるが、私は信じない。でも、親たちが〇〇の幼稚園は暗誦させてくれると言って評判が上がる。多分塚本幼稚園だって教育勅語の意味もわからず、暗誦の教育が素晴らしいと思っていたのかもしれない。三権分立は誰でも知っているが、それがちゃんと機能しているかどうかを考えるほうがよっぽど重要だ。
今、政権交代は難しいと思うが、内閣支持率を下げるのは不可能ではない。内閣のやり方はよくないと国民が示すことはできる。

当たり前が
通用しない!
矢野:安倍政権になってから官邸が力を持ってきた。そのあたりのことを前川さん。
前川:官邸の四階には秘書官や補佐官がたくさんいる。本来なら省庁が持っているはずの指示を、官邸が直接指示して動かしている。加計の場合の文科省のような状況が、他の省庁でも起きていると言える。官邸とか政治指導というのは、以前の政権でもあったが、官邸自身が肥大化して権力を持つことはなかった。各省庁が本来持っている機能を奪ってしまい、官邸が指令を出すという形になっているのが心配だ。
矢野:官邸が役人の人事権を握っているからか。
前川:役人の人事権も大きいが、それに留まらず、最高裁判事・NHK会長・日銀総裁・法政局長官・・ありとあらゆる人事権を持っており、今の政権はそれを一〇〇%政権の維持拡大にフル活用している。
矢野:最後に一言ずつ。
木村:これほどのことが起きているのに、今の政権はなぜ辞職しないのか。また何をせよというのか。安倍内閣が打倒されるか、日本の民主主義が腐っていくかの二者択一しかない。
寺脇:なぜ止めないのかと言えば、国民に支持されていると思っているからだ。ここにいない人たちに訴えていかなければいけない。この間明らかになった事実は、防衛省や財務省や文科省の誰かが情報提供したからだ。もっとすごいことがあるかも知れない。
前川:この四月から小学校で道徳の教科書が使われる。教育勅語に近づいていく内容になっている。個人の尊厳や自由・人権はほとんど書かれていない。自分を活かすのではなく、自分を殺す・自分を自己抑制することが称賛される。決まりを作るのではなく、決まりを守る。集団に帰属することが大事。国への帰属、ここに皇室尊敬を入れればすぐ教育勅語になる。もうここまで来ている。教科書に書いてある通りになると、少国民の育成になる。この教科書をどう批判的に使うかは、大きな課題だ。お子さん・お孫さんの教科書を是非読んでみて、先生はどう言っているのか、注意して見てほしい。
矢野:安倍政権打倒の反撃ののろしを上げよう。

この後、国会・大阪府議会からの報告として、森山浩行衆院議員(立憲民主)、辻元清美衆院議員(立憲民主)、辰巳孝太郎参院議員(共産)、石川たえ大阪府議(共産)の報告とアピールがあった。また、山本いっとくさん(豊中市議・森友問題を考える会)から行動提起があった。
最後に、四月下旬の豊中市長選と同日に行われる大阪府議補欠選挙(定数二議席)に立候補を予定している山本いっとくさんを森友問題を考える会として支援することが報告された。(T・T)



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