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    かけはし2018年4月16日号

原発犯罪隠ぺいする東京五輪


3.31

オリンピック災害おことわリンクが集会

小出裕章さん、佐藤和良さんが報告


「復興五輪」に
反対の声を!
 三月三一日、「オリンピック災害おことわリンク」は、集会「3・11と東京五輪 アンダーコントロール? 復興」を開催した。講師は元京大原子炉実験所の小出裕章さんと、いわき市議で福島原発事故刑事訴訟支援団長の佐藤和良さん。文京区民センターで行われた集会には一四〇人が集まった。
 最初に、主催者を代表して新孝一さんがこの日の集会の基調報告を行った。
 「三・一一東日本大震災と福島原発事故から七年がたった。しかしいまなお七万三〇〇〇人の人びとが避難生活を余儀なくされ、長期の避難生活に起因する震災関連死者も昨年九月で三六〇〇人に上っている」「自主避難者に対する住宅支援はすでに打ち切られ、東電による賠償金も順次打ち切られている。政府がやっていることは『復興』をアピールするために、今なお続く原発事故被害の現実が解消に向かっているかのように描き出し、住民の帰還政策を促進することでしかない。そしてその『復興』の内容も、浜通りに先端産業や研究施設を集積する『福島国際研究産業都市(イノベーションコースト)構想』など、これまで、この地域に生きてきた人々のいのちとくらしを再建するものとは程遠い」。
 新さんは「被災地復興オリンピック」という看板を掲げながら進められている財界主導の「復興」や、東京都再開発を推進するための利用、野宿者などの地域からの分断・排除、教育現場での児童・生徒の動員、パラリンピックに典型的な能力主義による分断と差別、さらに選手自身においても「肉体・精神改造」がもたらす人間破壊の現実を厳しく批判した。
 新さんは政府と資本、そしてマスメディアが一体化したオリンピック・パラリンピックへの社会的同調圧力に対して反対の声を上げようと呼びかけた。

「アンダー・コン
トロールの嘘」
小出裕章さんは、二〇一三年九月八日にアルゼンチンのブエノスアイレスで開催されたIOC総会で、福島原発の状況を「アンダーコントロール」と大ウソをついて五輪開催を誘致した安倍首相を厳しく批判した。
「安倍首相が東京五輪を誘致したころ、汚染水は増え続けていた。福島原発の敷地は『放射能の沼』のような状況だ。熔け落ちた炉心が今どこにどんな状態にあるかすら分からない。放射能汚染水があふれており、果てしない放射能の封じ込め作業と労働者の被ばくが続いている」。
「国と東電は熔け落ちた炉心をつかみ出し、三〇〜四〇年で事故を収束させると言っていたが、熔け落ちた炉心は外部に出ており、つかみ出すことはできない。一〇〇年後にも事故は収束できない。仕方ないので、格納容器の横から穴をあけて、熔け落ちた炉心を取り出す『気中工法』にロードマップを変更したが、膨大な被ばく作業になってしまう。結局、当面は『石棺』を作って封じ込めるしかない」。
「福島原発事故を引き起こした最大の犯罪者は政府であり、その政府は緊急事態を理由に特措法を乱発して、事故から七年以上経った今も棄民政策を続けている。大地を汚染している主成分はセシウム137で、その半減期は三〇年。一〇〇年たっても、汚染は一〇分の一にしかならない」。
「日本ではこれまで五七基の原子力発電所が建てられたが、そのすべては『安全性を確認した』とされた、原子力マフィアには重大な責任がある」。
小出さんは、犯罪集団としての原子力マフィアを徹底的に処罰せよ、と語った。

原発事故は終
わってはいない
佐藤和良さんは「福島原発事故の終わらない現実」を、原発の冷却材喪失事故、汚染水の海洋排出、1、2号機排気筒の腐食倒壊、事故収束作業に携わる一日約五〇〇〇人の被ばく労働者の多重労務構造下の厳しい労働環境に即して訴え、「国の棄民政策と福島原発事故被害者――東京五輪の災い」として提起した。そして@国の棄民政策―放射能汚染による長期の低線量被ばく、経済復興優先と人権無視、A東京五輪招致、アンダーコントロールの嘘と被害者切り捨て政策、B福島原発事故被害者の困難と窮状、について詳細に語った。
佐藤和良さんは、この七年間、福島原発事故被害者が生きる権利を求めて声を上げ続けてきたことを紹介し、とりわけ福島原発事故告訴団を結成して東電幹部の強制起訴から、公判開始にまでいたった経過を説明した。そして、福島県民のさまざまな取り組み、東電への損害賠償請求なども紹介しながら、この四月から六月まで一三回にわたり期日指定がされている東電福島原発事故刑事裁判への注目と支援を呼びかけた。
二人の報告と質疑応答に加えて、集会では「おことわリンク」に参加する仲間から、二月のピョンチャン冬季五輪への異議申し立て行動を韓国の仲間と共に現地で行った報告、二〇二〇年東京五輪を射程に入れた野宿者への弾圧、「オリンピック・パラリンピック教育」への批判などのアピールが行われた。
「東日本大震災・福島原発事故からの復興」という名目で、国家・電力資本による大犯罪を隠蔽するために「二〇二〇年東京五輪」のキャンペーンを推進する流れに抗議の声を広げよう。何よりも原発事故被害者と共に!     (K)

3.3

武器輸出大国・日本を批判する

軍産複合体の支配にNO!

杉原浩司さんが講演

 

 【大阪】三月三日、実行委員会(パレスチナの平和を考える会・ATTAC関西・緑の大阪・関西共同行動)主催の杉原浩司さん講演会がエルおおさかで開かれた(講演要旨別掲)。
 講演後、役重さん(パレスチナの平和を考える会)の報告。
 ガザから飛んでくる手製のロケットに対しては、イスラエルは短距離のミサイル防衛システムを開発している。おそらくイランからの中距離ミサイルに対しては、米軍のXバンドレーダーが配備されていている。日米のミサイル防衛研究は、中東の戦争と連動している。いま、武器開発につながるビジネスが大きなシェアを持っていて、イスラエルは、ドローンの販売もやっているが、セキュリティソフトや自動運転技術やロボット兵器の開発をやっている。武器としてではなく、セキュリティ技術として売り込むことに力を入れていて、東アジアがターゲットだ。サイバーテック東京が開かれ、イスラエル企業がオリンピックを念頭に殺到している。ホンダは最近イスラエル企業と提携し、協同研究所を立ち上げた。この企業はパレスチナ占領地の諸々のことにも関わっていて、入植地でホンダのバイクレースイベントを企画したが、国際的な反対運動で中止になった。
 質疑応答
 @米国の武器は使い物になるのか。(イージス艦のイージスシステムだけは米国から買って修理も米国がする。そこは米国の言い値だ。使い物になるかどうか、実践で使っていないので何ともいえないが、使う以前に部品がないという状態だ)
A軍学協同について。(三年前から防衛省が制度をつくり、ターゲットは大学だ。二〇一七年度の予算は、一気に一八倍の一一〇億円になった。文科省の大学に付ける予算はだんだん減っているから、大学は競争で資金を獲得する状況に置かれている。日本学術会議が五〇年ぶりに軍事研究反対の声明を出した。正式な採用はゼロ件だった。企業にくっついた分担研究は四大学が採用。軍産複合体の日本版をつくることが目的だ)
B直接の質問ではないが、高遠菜穂子さんの講演会に参加した後に参加した人から、高遠さんのことが報告された、『日本の武器輸出解禁が中東で大々的に報道されたそうだ。バクダッドでの武器見本市に日本の企業が出品していたことで、命の危険を感じた。自分はもう活動ができないのではないかと、高遠さんは精神的に落ち込んでいる』。 (T・T)

杉原浩司さんの講演

「敵地攻撃」能力
と戦争国家止めろ


「北朝鮮特需」に
沸く軍需産業
米国の軍需産業は「北朝鮮特需」に沸き立ち、トランプ政権が露骨な武器輸出に乗り出している。トランプ大統領は来日時に前代未聞の「武器買え」会見をやり、安倍首相がそれに呼応してF35の追加購入を指示。海外駐在の米国武官を武器セールスに動員する「国家安全保障決定令」に署名した。オバマ大統領もやっていたが、それ以上だ。小型核、海洋発射型核巡航ミサイルの開発などを公表した。他方ロシアも、サウジアラビアと防空用最新鋭地対空ミサイル「S400」の売却で合意。一年前はイランに「S300」を輸出するというように、敵対する二カ国に武器輸出している。

補正予算に潜り
込む武器購入
防衛費は本予算+補正予算でGDPの一%枠を超えている。この補正予算がくせ者で、ここに新たな武器購入を潜り込ませている。例えば、イージス・アショア経費や武器のローン払い分がここに計上されている。敵基地攻撃兵器の購入と研究費をダブル計上し、「専守防衛」を放棄し、際限のない軍拡の第一歩を踏み出した。
米国のFMS(有償軍事援助)が増大している。これは米国の軍産複合体による“ぼったくりビズネス”であり、属国貿易である。第二次安倍政権以降の五年間で、それまでの約四、五倍に膨張している。しかも、装備納入後も米国側が日本から受け取った前払い金の精算をしていない取引が昨年度は一〇〇〇億円を超えた。米国側は、為替変動を見込んで多めに前払い金を見積もり、年間数十億円にのぼる余剰金返還の先送りが常態化している。FMS総額は一六年度は四八八一億円だった。日本政府は、いわば言い値で装備を買っている。代金を払っても部品の一部が届かないことがあるという。
日本経団連はこれを問題視し、これでは戦闘機などの国内生産が停滞すると、可能な限りわが国主導で開発・調達をすすめるべきだと言っている。

「専守防衛」から
の転換を策す
イージス・アショアは、専守防衛の兵器なのか。根本的な批判が必要だ。ミサイル防衛というシステムは、先制攻撃すると反撃されるという恐れから米国を解き放ち、米国が安心して先制攻撃を行える態勢をつくることに主眼がある。イージス・アショアは二基導入の予定だが、当初一基八〇〇億円が一〇〇〇億円になり、軍事専門家は計五〇〇〇億円になると言っている。グアム・ハワイなど米国向けのミサイルの迎撃が主目的であり、米国の盾の役割を持つ。これは、強力な電磁波の危険性を持っており、影響は一〇キロに及ぶと言われる。ミサイルの迎撃実験の成功率は三分の一だ。
政府は航空自衛隊の戦闘機に搭載する長射程巡航ミサイルの導入方針を決め、一八年度予算に関連経費二二億円を盛り込んだ。日本から北朝鮮に届く性能を持ち、敵基地攻撃に転用が可能だ。巡航ミサイル導入はトランプ政権が誕生したことが追い風となった。敵基地攻撃能力(反撃能力)の保持を提言したのは、自民党北朝鮮問題対策チームの座長であった小野寺防衛相だ。彼は見た目の感じと裏腹に危険な政治家だ。米国の巨大軍需企業の担当者も、「日本がこんなにも急に敵基地攻撃兵器の保有に踏み切るとは」と言っている。それは、軍事的合理性を憲法の上に置き、憲法九条二項を無力化する先取り壊憲だ。
さらに、違憲の攻撃型空母の保有に向けて、F35Bステルス戦闘機をヘリ搭載型護衛艦いずも・ひゅうがに搭載できるようにするための調査・研究がされていることがわかった。F35Bは沖縄の宮古・石垣・与那国・南北大東島に配備し、種子島・久米島・宮古・石垣に準天頂衛星「みちびき」の追跡管制局をつくり、ミサイルをGPS誘導することが計画されている。
米海兵隊の強襲揚陸艦ワスプが、今年一月一四日に佐世保の米海軍基地に配備され、岩国の米海兵隊基地のF35Bを艦上で運用し、オスプレイや揚陸艇なども搭載するという。横須賀には、一一隻の米イージス艦の各々に一〇〇発近いトマホーク巡航ミサイルの発射管がある。いざとなれば、一〇〇〇発ものミサイルで北朝鮮や中国にピンポイント攻撃が可能であるという。

朝鮮戦争を終わ
らせるために
空母や電子攻撃機の保有を含む「先取り壊憲」攻撃に守りの姿勢では弱い。「米国は矛、日本は盾」でいいのか。「専守防衛」・「非核三原則」といっても、「日韓は米国の『核の傘』の下で事実上、核武装している」(二〇〇九年七月、北朝鮮国連代表部声明)。 ミサイル防衛への批判は、「矛と盾」の役割分担自体の問い直しを必要としている。朝鮮戦争を終わらせるにはどうするか。「休戦協定を平和協定に」を柱とする強力な反戦、脱冷戦、終戦運動を。今こそ「軍事費削ってくらしに回せ!」の声を。「長かったミサイル冷戦が残した貴重な教訓の一つは、『相手を脅すことではなく相手に安心感を与えることが自国の安全を高める』というものだった」(高榎堯)。

 



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