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    かけはし2018年4月16日号

軍事的緊張緩和と平和定着に議論を拡大しよう


第3次南北首脳会談開催の合意に寄せて

韓国の労働党の南北首脳会談と憲法改正問題についての見解を紹介する。労働党は、韓国の進歩主義政党である民主労働党の親北朝鮮路線に批判的なグループによって、2008年3月に結成した進歩新党を前身とする政党。党是は「平等」・「生態」・「平和」・「連帯」。2012年4月の第19代総選挙で政党存続要件である有効得票2%を獲得できず解党を余儀なくされたが、同年10月に「進歩新党連帯会議」として再結成され、2013年7月21日の党大会で現在の党名となった。3月21日の反原発全国集会(東京)に副党首が参加し、連帯のあいさつを述べた。(「かけはし」編集部)

 対北朝鮮特使団が1泊2日の日程を終えて、メディア発表を通じて合意事項を発表した。また、対北朝鮮特使だった鄭義溶(チョン・ウィヨン)大統領府国家安保室長と叙勲(ソフン)国情院長が北朝鮮との合意事項を説明するため、米国、日本、中国、ロシアなど周辺国を訪問することにした。

半島非核化の
意志など合意
鄭義溶(チョン・ウィヨン)室長が発表した合意内容は6つの事項である。まず、4月末、第3次南北首脳会談を開催して南北首脳間のホットラインを設置することにした。北朝鮮は韓半島非核化の意志を明確にして、北朝鮮は、非核化問題の協議及び米朝関係正常化に向けて米国と虚心坦懐な対話ができると明らかにした。これと共に追加核実験および弾道ミサイル試験発射など戦略挑発を再開することはなく、核兵器はもちろん、在来式兵器を南側に向かって使用しないことを約束した。最後に南北間の和解と協力の良い雰囲気を保っていくため、南側テコンドー師範団と芸術団の平壌(ピョンヤン)訪問を招待する内容だ。
対北朝鮮特使団が明らかにした合意内容は予想を覆す水準だ。南北関係はもちろん北米間の軍事的緊張を解消し、正常な関係を建設する第一歩を踏み出したという点で、歓迎の意を明らかにする。これまで、北朝鮮が非核化を交渉テーブルの上に置いていないと明らかにし、核武力の完成宣言を出したのに比べれば、前向きな姿勢だと言える。今や、ボールは米国に移ったわけだ。米国がこれまで非核化の意志を米朝対話の条件としただけに、もう拒否する名分がなくなったわけだ。

きっかけできた
が始まりの段階
米朝対話のきっかけができたわけだが、始まりにすぎない。対話の開始に向けた雰囲気は造成されたが、今後の進路は、まだ順調であることではない。北朝鮮の非核化の意志が条件付きだからだ。「北朝鮮に対する軍事的脅威が解消されて北朝鮮の体制安全が保障されれば、核を保有する理由がない」とすることで、軍事的脅威の解消と体制安全保障を条件とした。しかし、この条件は対話を拒否するためのものではなく、北朝鮮が望むことが何かをほのめかしたものとみなければならない。
米朝対話の基盤は、非核化だ。米国が要求することは、非核化であり、それに相応する見返りとして、北朝鮮が要求したのは、北朝鮮に対する軍事的脅威の解消と体制安全保障である。

関係国の責任は
この慎重な活用
議論の地平が北東アジア6カ国の参加を促進する方向に拡大された。特使団が米国、日本、中国、ロシアに派遣されたのもそのためだろう。北朝鮮が要求する軍事的脅威の解消と体制安全保障のためには、北東アジア各国の多国間安全保障と核協定などが避けられないことによるからである。そしてこの過程で米朝間の関係改善と平和協定も避けられなく対話の議題にならなければならない。
機会がただあることではない。関係国は、数十年ぶりに復活したこの機会を大切にして、慎重に活用することを促される。
(3月7日)
(平等生態平和を志向する労働党スポークスパーソン・イゴンス)

大統領改憲案公開

大統領権限分散と選挙の比例原則

 韓国政府は改憲案発議の時期を、国会が6・13地方選挙と国民投票を同時に実施する独自の改憲案に合意できない場合、大統領案を国会の採決を経て国民投票に付すと公開的に宣言した。
 大統領府が3月22日、大統領4年再任制と決選投票制の導入、選挙年齢満18歳への下方修正など、権力構造(政府形態)と選挙制度再編を骨子とした文在寅(ムン・ジェイン)大統領の改憲案を公開した。大統領権限の分散のために、大統領の国家元首の地位を削除▽赦免権を制限▽首相の権限強化▽監査院の独立機関化などが明示され、国会による行政府の統制に向けては、予算法律主義▽国会同意対象条約の拡大などの内容が含まれた。
 大統領府はこれとともに、選挙年齢を満18歳に下方修正、選挙の比例性の強化、選挙運動の自由の大幅な拡大など、政治改革の要求を大統領改憲案に反映した。また、現在の地域区国会議員選挙方式が「有権者の票心を歪曲している問題がある」とし、選挙の比例性原則を憲法に明示することにした。

韓国労働党ら改憲要求記者会見

 3月7日(水)午前10時30分、世宗(セジョン)文化芸術会館の前で労働党をはじめ3つの進歩政党と38の進歩民衆団体が共同で「民衆」が中心となる改憲要求案発表の記者会見を開きました。
 同日、記者会見は▲包括的労働基本権保障▲農民の基本権保障▲思想の自由など基本権拡張▲生命安全・社会保障▲基盤施設公共性維持の義務明示▲不労所得に対する公的統制の強化と土地公概念の強化▲韓半島の平和と統一を実現▲比例代表制と直接民主主義の強化▲差別禁止▲生態社会への転換など10大要求案を参加団体が共同で発表する場でした。
 労働党李甲用(イ・ガプヨン)代表は発言を通じて思想の自由など基本権を拡張する「基本権を強化する憲法」に改正することを要求しました。イ・ガプヨン代表は「現行憲法の『良心の自由』を『思想の自由』のようなものと見るのは現実と乖離した間違った主張」とし、「すべての国民は思想と良心の自由を持つことを明示しなければならない」と明らかにしました。また、健康権、住居権、福祉権、亡命権、情報基本権、良心的兵役拒否権など新しい憲法条項の新設が必要だと言いました。
 記者会見が終わった後、参加者たちは民衆憲法の要求案を国会と国民憲法諮問特別委員会に伝えしました。

比例代表制改憲案を歓迎する

死票のない選挙制度の
導入が国会の責務

 今日(3月22日)大統領の改憲案3次の発表があった。選挙制度と関連の改憲案の文言は「国会の議席は投票者の意思に比例して配分されなければならない」に決まった。これは公職選挙法の比例代表制の導入を強制する内容で労働党はこれを歓迎する。
 労働党は同党の改憲案の「BE RED」憲法を通じて「1票=1の価値」の平等選挙の原則を明記した改憲案の必要性を強調してきた。たとえ大統領、改憲案にこの程度の水位の文句が盛り込まれなかったとしても、「国会の議席は投票者の意思に比例して配分されなければならない」という文言に忠実な選挙制度は2つしかないと見ている。つまり地域区なく、全ての議席を政党の得票率によって配分する全面比例代表制または地域区があっても議席数は政党の全国得票率によって配分するドイツ式連動型比例代表制をいう。
 一つ憂慮される点は文在寅(ムン・ジェイン)大統領の国会議員選挙制度の公約が、圏域別比例代表制だったという点だ。比例代表制の趣旨に立脚すれば小選挙区単純多数代表制が持つ不平等選挙を一定緩和しただけで、根本的に解消できない圏域別比例代表制に固執する名分がない。地域区制度を置いてもドイツ式連動型比例代表制を実現するためには地域区と比例議席の割合を1:1に上程しなければならないが、ともに民主党は、比例代表制の趣旨ではなく、既得権と政治論理にもっと重さを乗せてこの比率を2:1程度として提示してきた。
 このような選挙制度は、今回の大統領、改憲案の選挙制度の条項に合致するかという違憲論議を招くのが目に見えている。いずれにしても比例代表制の導入に向けた大統領の改憲案を確定しただけに、政府与党は自己の論理に合致する選挙制度を政府案と党方針に明確にすることを促される。
 労働党は大統領傘下の国民憲法諮問特別委員会が大統領に報告した改憲諮問案について「最善策ではないが、民主主義の実質化に相当な進展」という肯定的な立場を発表した(http://www.laborparty.kr/1748433参照)。比例代表制改憲案がなかったら、このような評価は不可能だっただろう。国会に全面比例代表制またはドイツ式連動型比例代表制の導入に向けた選挙法の改正合意を重ねて要求する。これを拒否する政治勢力は誰でも積弊勢力であることを自認するものだ。
2018年3月22日

労働党政策室

朝鮮半島通信

▲職権乱用と強要の罪に問われている朴槿恵・韓国前大統領の判決公判が4月6日、ソウル中央地裁であった。地裁は朴氏に懲役24年、罰金180億ウォンの実刑判決を言い渡した。
▲平壌市江東郡にある中国人民志願軍烈士墓の改修着工式が4月6日に行われ、李進軍駐北朝鮮中国大使らが参加した
▲アメリカのジョンズ・ホプキンズ大学のサイト「38ノース」は4月4日、朝鮮の寧辺核施設にある5メガワット黒鉛減速炉が稼働停止しているとみられると発表した。

コラム

桜舞う風のなかで

 駅からまっすぐ伸びた道路を記憶の淵を辿りながら歩いて行く。
 浮かんでは消え、消えては浮かぶ遠い日の街並みと風景。消防署を過ぎると道に沿ってきれいな水が勢いよく流れていた。上流から流れてきた水を一時蓄えている小さな池。水中を、でっかいオタマジャクシ(多分ウシガエルの子)が尻尾を振り振り悠々と泳いでいた。流れ入る水、出る水がゆったりとした渦と緑の水辺を作り、田圃の中を小高い丘に向かって一本道が伸び緩やかな勾配を作っていた。既に、池は埋められ、あたり一面住宅地に変わり当時の面影は訪ねようもない。
 二〇一一年三月一一日東京電力福島第一原発事故。あの日を境に、この町から人々の息遣いが消えた。思いもよらない原発事故と放射能の恐怖のなか散り散りとなって故郷を離れた。
 「広島・長崎」「平和」の大切さを学んだ中学校の授業のひとコマ。それは「主権在民」「差別禁止」「労働者の権利保障」等を柱とし「日本国憲法」と深く繋がった「憲法草案要綱」作成の中心メンバー鈴木安蔵氏の出生地で平和と民主主義を伝えようとする教師の姿だった。
 いま、日本国憲法が受けている改憲論者からの激しい攻撃。民衆を監視し縛りあげる悪法を次々と作り、命の犠牲の上に成り立つ「積極的平和主義」の旗を揚げ、先制攻撃を「よし!」とする改憲勢力頭目の「安倍」の野望だ。「原発」の陰に潜む「核武装」こそが本当の狙いなのだ。
 遠くに見える青い海から《春には春の・夏には夏の・秋には秋の・冬には冬の》吹く風の中を登下校した。自衛隊のブルドーザが山を切り崩し野球グランド作りが始まり「校庭の石拾い」「グランドの暗渠造り」が「体育」の授業になった日々。伝統とか、先輩とかと言う煩わしさはないが、生活指導は事のほか厳しく、何人もの同期生が退学処分を受け学校を去った。
 スポーツ紙に母校の名を見て当時をふっと思い出す。ある日、親友同士がたわいのないことをきっかけに「決闘」に及んだ。今で言う「タイマン」だ。決闘場の「神社」に行った二人を……心配しながら駅舎で待つ。一時が過ぎ、唇や瞼が腫れ青アザを作った二人の姿に、壮絶な殴り合いを見る。沈黙が流れる通学列車の緊張感……。翌日からまた三人での登校は卒業まで続いた。みんな、どうしているかな?
 津波が襲ったこの駅に何十台もの「通学用自転車」が残されていた。いつ還るかもしれない持ち主をひっそりと待つ。避難から六年四カ月目の避難指示解除。避難した人一二八四二人、解除後還ってきた人二五一二人(今年二月現在)。
 桜並木はこの春、どんな景色を見せるのだろうか? 『無人の校庭に積み上げられたフレコンバックの陰から覗いていたのは何だろう?』「忘却」のための仕掛け「復興五輪」に心を奪われ踊ってはならない。巡りくる一一日の「月命日」はそのための戒めの日であり、三・一一の怒りが風に乗って大地を駆け巡る日でもある。    
 風に押され桜の花びらが美しく舞うこの坂を、三人で上る日はもうない。
        (朝田)                



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