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    かけはし2018年4月23日号

「地元同意」は得られていない


声明

四者協での「成田空港の更なる機能
強化」決定は認められません

2018年3月末 成田市東峰区

 三月一三日、成田国際空港会社、国土交通省、千葉県、空港周辺九市町で構成する「成田空港に関する四者協議会」は、@B滑走路の南側に、新たに三五〇〇mのC滑走路を増設AB滑走路を北側に一〇〇〇m延伸し、三五〇〇mに変更B夜間飛行制限の発着時間を六時〜二四時(翌〇時)に変更する(現在は六時〜二三時)などを合意した。三・一三合意は、住民説明会で多くの反対の声が上がっていたにもかかわらず無視し、空港公害の押しつけでしかない。東峰住民は、生活破壊に満ちた三・一三合意に抗議の声明を公表した。以下、転載する。(編集部)

■私たち住民は同意していません。首長だけの同意は地元同意とは言えません。

 この三月一三日、「成田空港に関する四者協議会」は、夜間飛行制限撤廃など空港被害拡大に対する多くの反対があることを承知のうえで、「成田空港の更なる機能強化」を決定しました。周知のとおり、四者協は国、NAAのほか、県と九市町の首長だけで構成されています。騒音地域も合わせて面積一万ヘクタール以上、人口数十万にも及ぶ地域住民の生命や財産、大小の地域共同体の存否にかかわる大問題にもかかわらず、四者協では住民は意見表明や議論する機会は一度も与えられていません。住民や報道陣の傍聴も許されない非公開の会議で、「地元同意」と判断されたというのです。おかしくありませんか。私たち東峰区も三回にわたって「説明会」を行いましたが、どの会でも住民の誰ひとりも「更なる機能強化」に賛同したことはありません。住民個々の生命財産にかかわる「合意」は首長は代行できるのでしようか。

■「説明会」は一方的な説明以上ではなく、とても「話合い」とは言えません。

 四者協は一昨年冬から各市町各集落で行われてきた「説明会」で、住民との話合いが行われて合意が得られたというかもしれません。しかし、東峰区での説明は「飛行回数や飛行時間を増やす」ことに伴う防音工事や移転など「飛ばす側」からの「対策」ばかりでした。肝心なこと、「用地問題や騒音・落下物被害、地域間格差の拡大など、現在の空港でも未解決なものを多くかかえたままで、もう一つの空港ほど大がかりなものを造れば、問題や被害を拡大するだけではないのか」、「朝五時から深夜一時まで、BC独立運用による一分半に一度の騒音でも、住民の睡眠や健康な生活は確保されると考えるのか。その根拠は?」、「永年人が住む内陸に大国際空港を造り運用する以上、夜間飛行制限など当初からの最低限の制約があって当然ではないのか」などの問いや批判には、「開港時、シンポ円卓の時代とは状況が変わった。空港間競争に勝ち抜かねばならないから」という答えしか返ってきません。住民が、健康や生活、地域の将来について空港との関係を問うているにもかかわらず、「対策」や技術的な問題だけで「事足れり」なのです。問いと答えが大ズレでは話合いは成立しません。朝五時から深夜一時までの運用時間にどこでも大反対されて、出てきたのが「六時間スライド案」と聞いて、その発想が信じられずあきれるばかりでした。睡眠時間スライド制など、私たち地域住民すべてが空港の従業員扱いされて、みんなの生活をそれに合わせろと言われているのですよ。
本来なら住民の一番近くにいる自治体が、そのズレに気づき、問題点の指摘を細くしたり、再検討をうながさねばならないはずです、答えは四者とも同じでした。「わかりません」、「検討していません」、「(昨年NHKで繰り返しとりあげられた『睡眠負債があぶない』などの「資料」も)見ていません(見直すつもりもありません)」などの答えばかり。これでは双方向での議論はとうてい成り立たず、「説明会」は「話合い」と呼べるものになっていないことは明らかです。

■夜間飛行制限撤廃―A滑走路先行実施には同意も協力もいたしません。その提案そのものが最初の「説明会」での約束違反です。

 一昨年一二月、東峰での最初の説明会でNAAは「いつまでと期限を切ることもせず、地域の皆さんに説明し了承していただく」と明言しました。そのとき夜間飛行制限「緩和」は「更なる機能強化の一つ」として、BC滑走路の延長新設後の運用開始からとされていました。しかし、なぜか「六時間スライド制夜間飛行案」と一緒に、突然「東京オリンピックまでにA滑走路での夜間飛行制限撤廃、二四時半までの運用」が持ち出されたのです。つまり、「期限を設けず」と言っていたにもかかわらず、もっとも反対の声が高い夜間飛行制限撤廃について「東京オリンピック前までに同意を確定しろ」と、住民や自治体に迫ったわけです。そしてこの三月、「時間が迫られている」と九市町の首長らだけで「七時間スライド」とA滑走路先行実施に地元「同意」を決定したのです。当然やられるべき新提案についての各地説明会も一切なしで「決定」されたのです。住民としてこれらを「地元同意」での決定と認めることはとうていできません。
また昨年一二月の東峰区の説明会で「Aだけといっても、事故などでA滑走路閉鎖の時にはBも使うだろうし、空港直近の騒音時間拡大も考えれば、A先行実施には反対」と言ったら、「Bを使うことはありませんから」と、あとはにべもないお返事でした。B開業以来、私たち東峰区民の了承もなく頭上を飛び交う飛行機ではあっても、台風や事故での遅延など深夜までの飛行の連絡がNAAからあれば、「人道問題」でもあり、否とも応とも言えず、そのことがNAAなど他からみれば「了承」「協力」と受け止められたかもしれません。しかし、今後はどんな事態でもA夜間飛行制限撤廃で増便運航される便のB使用については一切否、非協力です。区に隣接するターミナルや駐車場での自走やエンジンテストなど「営業騒音」の時間延長や騒音被害拡大も認めるつもりはありません。

■四者協は、「空の行政代執行」へと突き進んでいます。
独断での行政手続きの進行をとめ、住民との話し合いの場を設けるべきです。

 今回のように、住民が何を言っていようが、個々の生命財産にかかわる重大事を首長が代行して決定できるとすれば、それはまさに「空の行政代執行」にほかなりません。住民がいくらダメだといっても頭上を飛ばれれば、生涯心身を傷つけられ続けるか、自己防衛のためにその家や土地から離れるしか選びようがないのです。これは暴力的手段での空港建設ではないのですか。
四者協は、三月一三日の「地元同意」をもって次の行政で続きへと進んでいます。しかし、これは繰り返しますが「住民の同意」を得たものではなく、「話合いで空港をつくる」という『空港と地域の共生』の根本から大きく逸脱したものです。四者協は現行の行政手続きを停止し、地域住民とのきちんとした「話合い」の場をつくられるよう、切に望むものです。 以上

コラム

花見と場所取り

 うれしいことに新しく移り住んだ部屋の窓から小学校が見える。朝夕には登校・下校時の声が聞こえ、土日には校庭で野球やサッカーをする子どもたちの叫び声が響く。なんともいい。校庭には二本の大きな桜の木があり、この季節には明るい雰囲気をかもし出している。一本は校庭東側にある二五メートルプールを覆うように花を付けている。もう一本は校庭と道路を仕切る緑の金網の前に鉄棒と並んで枝を伸ばし通行人を喜ばせている。
 三月一七日には小学校の卒業式があり、何組もの親子が桜の花の下で記念写真を撮り、外見にも華やいだ空気が流れていた。
 私は雪深い東北で育ったので教科書に入学式や入園式のバックに桜の花が咲いている写真や絵が載っていると小さい頃は多少違和感を持った。桜の花は四月下旬から五月の連休に咲くのが普通であった。それにつけても今年の桜は入学式どころか卒業式には満開なのだから恐れ入る。
 個人的なことで恐縮だが、私にとって桜の花は花見の場所取りの思い出と密接不可分だ。
 毎年桜の季節になると我が家が主催する花見が隣近所や親戚を合わせて一〇人くらいの参加で二回開かれた。最初は家から近い町中の小さな公園で、二度目は弘前や角館などまで出かける遠出の花見であった。この二度の花見の場所取りを兄弟三人と従兄二人の五人ですべく準備した。弘前や角館の際にはムシロやゴザ、酒ビンなどが入ったダンボール箱を持って朝一番の汽車に乗り込んだ。帰りも後片付けをするので最終列車であった。
 田舎では、花見の前に田んぼに水を張り、田植えに備えた。桜の花が咲いている間は、霜が降りる可能性があるので田植えはできない。その意味で二回にわたる花見の宴席は、田植えに向けた「団結集会」のようなものであり、花見を主催するというのは田植えの協力要請であった。飲む方もそのことを充分に承知の上で花見に参加するのであり、子どもたちの「場所取り」も田植え仕事の一翼であった。農家にとって田植えは、秋の稲刈りと並んで一年の中で最も大事な行事であることを子ども心に分かっていた。この場所取りから解放されたのは、我が家が田んぼを手放した中学の終りであった。
 昔、新潟出身の友だちにこの場所取りの話をすると彼もまた私と同様に毎年場所取りの役目を果たしていたと言っていた。稲作農家はどこも同じであったことが分かる。
 植物学者によると「染井吉野」が全国に一挙に広がった背景には開花から花吹雪までの期間がどこでも約一〇日間で、誰から見ても満開が一見で分かるということが稲作日本にピッタリであったのではないかと述べていた。開花期間が長く、地域によって開花期間が違うヤマザクラやエドヒガンではこうはいかなかったろう。
 今日、三月三一日、プールには“花筏(はないかだ)”らしいものが浮かんでいる。      (武)


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