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    かけはし2018年4月30日号

腐敗・差別・貧困に立ち向かう


4.20

貧困・格差の現場から

「あたりまえの社会」を考える

「市民連合」主催で一〇〇〇人


 四月二〇日午後六時半から、東京・北とぴあで「あたりまえの社会を考えるシンポジウム―貧困・格差の現場から―」が主催:安保法制の廃止と立憲主義の回復を求める市民連合、協賛:戦争させない・9条壊すな!総がかり行動実行委員会で開かれ、一千人が集まった。
 司会者が「後退する資本主義とグローバル化の中で、非正規職が四割になり、相対的貧困率が六五・八%で、明るい展望がない。何を変えていけばよいのか、考えていきたい」とシンポジウムのねらいを述べた。最初に、山口二郎さん(市民連合の共同代表、法政大教授)が「民主主義の危機、安倍はいつまでもつか。社会の底が抜けている。これからの社会をどう再構築していくのか、構想をねり、政党に投げかける。一、二カ月で政治は大きく動くだろう。どう希望を取り戻すかだ」と主催者あいさつをした。
 コーディネーターの本田由紀さん(東大教授)が「社会変容の見取り図」をパワーポイントで説明した。戦後日本型循環モデル(正社員、家族、教育が循環した)が一九九〇年代のバブル崩壊により破綻し、仕事、賃金など土台が壊され、循環しなくなった。格差・貧困が発生した。新たな循環モデル=三つの要素が両方向に循環するようにセーフティネット、アクティベーション(活性化)を政府が財政的支援をする。

「等しく教育を
受ける権利」
シンポジストの前川喜平さん(前文科省事務次官)、雨宮処凛さん(作家)赤石千衣子さん(NPO法人しんぐるまざあず・ふぉーらむ理事長)、山崎一洋さん(下野新聞真岡総局長・子どもの希望取材班デスク)がそれぞれ問題提起した。
前川さんの提起より。
「教育の機会均等をどう保障するかが一番重要だ。格差が広がり、機会均等を破壊している。等しく教育を受ける権利は憲法にもうたい、教育基本法にも経済的地位によって差別されないと書いてある。しかし、現実にはあるわけで、これを解消する」。
「大学進学が八割なのに、児童養護施設で育った生徒は四人に一人、生活保護世帯は三人に一人の進学率だ。人生にとって不利益な状況にある。義務教育は無償としているが給食費、教材費など相当に家庭負担がある。二〇〇五年に国の修学援助が廃止になった。その結果富裕層にいる自治体とそうでない自治体間の格差が広がっている」。
「民主党政権時代に、すべての高校生に無償化をした。学習権保障を社会全体で支えるという考え方だ。しかし、最貧困層にはすでに給付されていたのでメリットはなかった。無償化の他に給付が必要であった。安倍政権になって実現した。安倍政権は所得制限を加え、二割が無償化ではなくなり、その分の税金を給付の財源にした。私は所得制限はなくすべきだと思う。財源は扶養控除を三八万円、特定扶養控除六三万円、配偶者控除の一〇三万円から一五〇万円へ変えられた。所得一億円以上の人は税率が下がる。高額所得者ほど恩恵が多い。こうした人の税率を見直し課税する。また、どこの大学に進学するかどうかで給付金を出す、出さないとなっている。これもやめるべきだ。教育資金贈与は一五〇〇万円まで非課税になる。相続税一兆円が信託銀行に預けられている。こうした制度も改めるべきだ」。

ジェンダー平等
実現するために
赤石さんの提起より。
「ジェンダーの平等を基礎にした社会の実現。一人親に、子ども入学時に一人三万円のお祝い金を贈る運動をしている。今年は三五一人に贈った。食料支援も行っている。相対的貧困率、日本は先進国の中で最悪だ。シングルマザーの八一・八%が働いている。年収二〇〇万円、半分がパート、アルバイトだ。高校入学時には制服など二〇万円がかかる」。
「男かせぎ型社会が女性を貧困に追いやっている。年収一〇〇万から二〇〇万円の母子家庭でも食べて家賃を払うまでは何とかやっているが、教育費が重くのしかかりやっていけなくなる。進学をあきらめるようになる。解決には?同一価値労働同一賃金?出産でやめないこと?充実した子育て教育支援?養育費の確保。

「生きる」困難さ
に立ち向かう
雨宮さんの提起より。
「二〇〇七年に『生きさせろ』という本を出版した。一九七五年生まれ。一九九〇年代後半生きるのが難しくなった。就職氷河期。自殺者が多く発生した。大卒の弟はヤマダ電機に契約社員として入社した。組合に入らないことを誓約させられたり、ボーナス・残業代が出ないのに、一七時間も働かされた。お前たちが悪くてフリーターを選んだという若者バッシングが起きた。ネット心中が流行った。私も自殺志願者だった」。
「構造的な問題があり、個人のやる気の問題ではない。ロストジェネレーション(失われた)世代は今、三五〜四五歳になっている。中年化していて、対策の優先からはずされている。非正規社員は、男性が九%なのに、女性は五二%だ。社会的信用がゼロなので、賃貸アパートを借りられず、月七〇〇〇円の保証会社の信用でしか借りられない。そして、こうした問題は下の世代に引き継がれ、高齢者や子どもの貧困とも同じ問題で根深い。アベノミクスで就職率が上がったと一見よくなったように見えるが、ブラック企業などが横行している」。

「希望」を持つ
ことの苦しみ
山崎さんの提起より。
「『貧困の中の子ども 希望って何ですか』を下野新聞で連載した。三二歳の女性を取り上げた。文化的で最低限の生活ができていない。意欲がなくなる。普通に成長できない。いろんな支援団体があり、そこに交わると確実に人は変わる。母子家庭で就労が八割、貧困が五割と言われ、見つけることが難しい。イギリスに飛び取材もした。ようはやりようだ」。
「提言。希望を持ち育つ権利を。『子どもの貧困は親のせい』という根強い自己責任論。『放置は社会の虐待』だ。好循環…居場所、支援できる基点づくり。現金給付による所得保障は急務。『民』を巻き込み支援充実を」。

貧困と格差を
なくす政治へ
再度一言ずつ発言。前川さん。「高校の中退率・卒業率が問題。二〇人の一人がドロップアップしている。学ぶことと学習ニーズのギャップ。意欲が続かない、勉強についていけない。大人と交わり役に立つということを見つけることが重要」。
赤石さん。「非正規女性、年収一〇〇万から一二〇万円。正規職男性は四〇〇万円から六〇〇万円。この間がない。ルートを作っていかないといけない。研修など就労支援などが必要。最賃を上げる。ジェンダー、議会に女性議員を」。
雨宮さん。「エキタスが最賃を一五〇〇円へと要求しているが、それでも年収二七〇万円にしかならない。それが実現したら、何をしたいかと質問すれば、趣味や旅行ではなく、病院に行きたい。鳥やもやしの食事ではない生活がしたい。保険証をもっていなく、薬が高いので病院にいけない。家賃負担が重い、ローンが組めない。介護破産の問題も起きている」。
山崎さん。「生活保護世帯の親が『子どもはわがまま言わず、よく言うことを聞く』と話してくれたがこれは異常だ。子どもは意欲がもてないことだ。生活保護を取り上げると金持ち批判はおきず、『ずるい』と非難がくる。希望を持たないと始まらない。今よりも子どものことを考える社会になるようにしたい」。
本田さんは、自己責任論が横行しているが社会の在り方を変えないといけないと発言した。
総がかり行動実行委員会の小田川義和さん(憲法共同センター)が「四六六万世帯が貯蓄ゼロ、一方所得一億円以上が三〇万人も増えている。こうした構造を作り出している安倍政治は腐敗の元凶になっている。一日も早く安倍政治にさよならを」と閉会のあいさつを行った。     (M)

  
第四インターナショナル第17回世界大会開催 @

国際的な危機の深まりの中
革命の展望切り開くために


 第四インターナショナル第一七回世界大会が二月下旬から三月初旬にかけて、ヨーロッパで開催された。二〇一〇年以来、八年ぶりとなる世界大会である。大会にはアジア・オセアニア、中東、アフリカ、欧州、南北アメリカの三六カ国から代議員、オブザーバー、ゲストが参加した。日本からは日本革命的共産主義者同盟(JRCL)、国際主義労働者全国協議会(NCIW)から複数のメンバーがオブザーバーとして参加した。
 代議員は全体で七七人だったが、オブザーバーを含めて大会会場にはその倍近い参加者がいたように見える。後からの報告では、代議員の男女別構成は男性五三人、女性二四人。年齢別では(オブザーバーをふくめ)、三〇歳以下一四人、三〇〜四五歳二六人、四五歳〜六〇歳二六人、六〇歳以上一九人ということ。私たちが座っていた向かいの席はギリシャ支部の代議員団だったが、全員が若手の女性だった。
 ちなみに国際執行委員のメンバーで、二〇一四年にわれわれが招待して東京と大阪で講演し、福島の被災地も訪れたギリシャのマノス・スコウフォグロウ同志は、第一子が生まれたばかりで、さすがに離れるわけにはいかず、大会に出席できなかった、とのこと。

オルタナティブ
への挑戦と苦闘
議題は@「資本主義的グローバル化、帝国主義、地政学的カオスとその意味」、A「資本主義による環境破壊とエコ社会主義オルタナティブ」、B「社会的激動、反撃、オルタナティブ」、C「第四インターナショナルの任務と役割に関する文書のために」の各題目にわたって活発に論議され、採決に付された。いずれも圧倒的多数で採択された。
ギリシャ支部(OKDEスパルタコス)、アメリカの「ソーシャリスト・アクション」を中心とする「革命的インターナショナル政綱」グループ(フランスの反資本主義新党[NPA]内反対派、スペイン、イタリア、カナダの一部を含む)の対案は、ごく少数の支持を得ることしかできなかった。なお日本から参加した代表は、基本的に採択された議案を支持する立場である。
「ソ連・東欧」の官僚的「労働者国家」ブロックの崩壊以後、資本の新自由主義的グローバル化の急速な深まりと、抵抗運動の拡大を背景に、独自の革命的インターナショナルとしての綱領を持つ「世界党建設」の路線からの転換をはかった一九九〇年代後半以後の方針が、基本的に定着していると考えられる。
この路線は、今回の世界大会では「階級闘争にとって有益な広範な党の建設」として提起され、その方針に対して「革命的インターナショナル政綱」グループとの論戦が展開されることになった。確かに「反資本主義の立場に立つ広範な大衆的党建設」の路線は、フランスのNPA(反資本主義新党)やブラジルのPSOL(社会主義と自由の党)の例をとっても、多くの困難と対立を抱えていることも確かである。
しかし新自由主義的グローバル化の危機と、レイシズム、あるいは排外主義的ポピュリズムの広がりの中で、労働者民衆の新たな反撃を組織し、反資本主義的オルタナティブへの水路を切り拓いていくために、「階級闘争の前進にとって有益な」党を労働者民衆の現実の闘いの中で作り出していく課題は、いっそう重要なものになっている。こうした問題意識を共有し、現実の実践の中で試していく課題を避けることはできない。
開会に当たって、一九六八年の「パリの五月」の代表的人格だった当時のJCR(革命的共産主義青年)の指導者・アラン・クリビンヌがあいさつ(彼は一九七七年の第四インター日本支部政治集会で講演している)。彼は「パリの五月」が全世界的な青年・学生の反乱を代表するものであったことを紹介し、それがフランスではたんに青年・学生にとどまらず、より広範な広がりを持ったことを強調し、今日の世界的な危機の中で反資本主義左翼の果たすべき役割について訴えた。

朝鮮半島危機
について提起
議案の@、「資本主義的グローバル化、帝国主義、地政学的カオスとその意味」についての報告は、ピエール・ルッセ。ルッセはとりわけ昨年以後の大きな情勢の変化として中国の世界的政治・経済的影響力と、朝鮮半島の「核戦争危機」について強調した。中国の影響力は近い将来においてアメリカに挑戦しうるレベルにまで到達している。米国のトランプ政権は核兵器の使用を辞さないという姿勢を見せている。この点で、アジアでの反戦・反核運動は決定的に重要な位置を持っている、とルッセは強調した。
ルッセはさらに、米国に追随して軍事力強化と改憲に踏み出す日本の安倍政権の役割にも注意を促した。「陸と海のシルクロード」を通じた中国の影響圏の拡大、さらには中東での米国の影響力の後退とシリアを通じたロシアの進出にふれたルッセは、中東における新たな戦乱の危険性、その中でのクルドの闘いの重要性についても指摘した。
また、全体としての大衆運動が「防衛的局面」にある中での、女性たちの「♯Me Too」運動の大きな意味についてもふれた。同時にフィリピンの同志たちの経験を紹介しながら、気候変動がもたらす災害の大規模化と、被害を受けた住民たちの要求に取りくんでいる経験を紹介し、国際的にもその運動を広げていく重要性を訴えた。

中国の世界的
役割について
論議の中で議論になった課題の一つは、中国の国際政治・経済における役割をどう捉えるかということである。米国の「ソーシャリスト・アクション」は中国の南シナ海への進出、「一帯一路」戦略について「帝国主義と考えるのは誤り」という立場である。他方、香港の同志は「中国は、世界で多くの国を搾取している資本主義国であり、世界第二の資本輸出国で軍事基地建設も進めている。しかし植民地主義の遺産という弱さも抱えている」と指摘した。
バングラデシュなどアジアの同志たちとの連帯行動を進めてきたドイツの同志は「アフリカの視点で中国を見れば、中国は帝国主義的政策を行っており、アフリカでは最大の資本輸出国である。ラテンアメリカでも中国は最大のパートナーであり、アフリカにも中国は軍事基地を建設した。空母の就役に見られるように中国は軍事的・経済的に帝国主義国と言うべき」と語った。
日本から参加した同志は、朝鮮半島情勢に触れながら、とりわけ朝鮮半島での戦争を含んだ緊張について論じる場合、情報の正確さについて精査が不可欠、と述べた。
論議はさらにパキスタンの同志からの中国・パキスタン関係から見た中国の「帝国主義的役割」の指摘など多様な広がりをもって展開された。
これまでの世界大会において、中国の政治・経済・軍事的役割について世界大の広がりをもって論じられたのは初めてであり、こうした面からも世界情勢をより複眼的・立体的・多中心的に捉えることの重要性を実感することになった。(つづく)(K)



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