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    かけはし2018年6月4日号

「働き方改革」法案を絶対通すな!


衆院厚労委強行採決を糾弾する

一歩もひかない闘いで廃案へ

危機感深める安倍政権を包囲し打倒へ

 安倍政権と与党は、「働き方」法案の、衆院厚生労働委員会における審議打ち切り・採決を、五月二五日、野党の強い抗議の中強行した。このままでは過労死が増えるばかりだ、過労死に苦しめられてきた自分たちの経験を繰り返させてはならない、高度プロフェッショナル導入だけは何としてもやめてほしい、雨の中首相官邸前で座り込みまで行い必死の思いでこう訴えてきた過労死・自死遺族が傍聴席で見守る前でのことだった。

新たな間違い
発覚した日に


 この日の朝には、この法案の必要性を支えるとされた労働時間調査データに、間違いを取り除き精査済みの再集計とされたにもかかわらず、新たな間違いがあることも発覚していた。それ以前にすでに、全体趨勢は変わらないとされた再集計データで、安倍の答弁を覆す結果(三六協定時間上限までの残業があった事業所割合が一〇倍以上に)が判明していた、という事実も加えなければならない。
 法案のデタラメさとペテン、そして危険性はあらわになる一方であり、本来ならば労政審への差し戻し、最低でも、事実に即した厳密な審議の積み重ねが求められていた。しかし政権と与党ははぐらかしと根拠を示せない決めつけに終始、果ては安倍首相自ら「まるで過労死が増えるかのような主張が行われている」(五月二三日厚労委)などと過労死・自死遺族の痛切な思いを切り捨てるなど、誠実さのかけらも見せないまま、それに荷担した維新などと共に審議を打ち切った。

窮地に陥った
のは政権の側


 五月二六日の各紙は、政権維持を優先した政略対応、との観測を大なり小なり伝えた。公明党については、来年の参院選と地方選をにらんで対決法案を早々に片付けておきたいと、むしろ自民党の背中を押した、との話まで漏れ伝えられている。
 おそらく、各紙の観測は大方の国民がひとしく共有するものだ。世論調査は、今国会での成立は不必要との回答が圧倒的多数、と明らかにしていた。経営者の七割もまた、同じ見解であることが示されていた。あらゆる労働団体が少なくとも高度プロフェッショナル制度には絶対反対であり、過労死・自死遺族も前述のように強く反対していたことも明らかだった。
 今回のような強引な国会運営に多くの人々は何の説得力も認めないだろう。いわば、労働者の命に関わる問題が政権と与党の勝手な都合でもてあそばれたのであり、労働者民衆をまるまる見くびった、まさに暴挙以外の何ものでもないのだ。
 しかしそれはまた、底の見えない公文書改ざん・廃棄や森友・加計をめぐる嘘の押し通しと一体となって、この政権と与党に進む恐るべき政治的退廃をも浮き彫りにした。その意味で今回の暴挙は、法案の正統性の剥落に耐えられなくなった安倍政権の焦りの表現とも言える。追い詰められているのは安倍政権なのだ。

対象者は限り
なく広がる!


 この法案の正統性のなさ、悪辣さを主要な点についてあらためて確認しておこう。
 まず最大の問題は、労働時間規制のまったくない労働者を作る高度プロフェッショナル制度の導入だ。対象となる人びとは、高度プロフェッショナルなどと名付けようが、使用者の指揮・命令下にあり、仕事の裁量さえないことが、つまり紛れもない労働者であることが委員会審議の中で明らかにされている。
 そして法案が定めているのは、そのような支配的拘束下に置かれる労働者にとっていのちと人間としての生活を守る最低限の条件である、労働時間規制を外すということだけだ。僅かな休日さえ与えれば、残りのすべての時間を労働に費やさせることさえ、合法だ。
 成果での処遇、自由な働き方、などと安倍がことさらに言い立てる内容に合致する規定は、この法案に何一つ記されていない。当然残業という概念すら消えるのだから残業代など発生しようもない。
 その上使用者は、労働時間を確認し管理する義務からさえ解放されるのだ。この解放は、不幸にも過労死が起きた時労災認定を著しく困難にし、労働者の自己責任にされかねないという重大な問題に直結し、実に悪辣と言わなければならない。こうして、先の残業代ゼロも加え、労働時間削減に力を割くよう迫る使用者への圧力すら大きく弱まるだろう。
 この制度は、この政権がことあるごとに吹聴する長時間労働の是正に完全に逆行するものであり、むしろ過労死を増やすだけ、という過労死・自死遺族の批判こそまさに正当なのだ。年収四〇〇万円水準以上のホワイトカラー労働者にホワイトカラーエグゼンプション導入を要求してきた日本経団連の姿勢をあげるまでもなく、対象労働者の際限ない拡張への警戒は当然であり、それへの歯止めに明確な担保がないことも大きな問題だ。問題点は以上に尽きるわけではなく、この制度を認めることなどとうていできない。
 一方、政権が画期的と持ち上げる罰則付き残業時間上限設定にしても、特例付きの設定時間が最長過労死労災認定基準の月一〇〇時間である上、自動車運転業務を典型に過労死多発業種が五年間の適用猶予や適用除外とされ、長時間労働是正や過労死防止の効果にほど遠いことは明らかだ。さらに、同一労働同一賃金をうたい文句とした非正規労働者への差別的処遇の是正にしても、同一労働同一賃金の文言は法案に皆無、何を差別と認めるかの基準でも使用者の労務政策に大きな裁量の余地を与えるなど、実質的には現状の追認と言うしかない代物だ。今回外された裁量労働制拡張にしても、先延ばしされただけであり、依然目的に残されたままであることもしっかりと心にとどめておかなければならない。
 簡単に見てきたここまででも法案の悪辣さは十分に明確だ。労働者民衆にとってそれは猛毒でしかない。その上発覚データ偽装は、法案の策定の根拠すら粗雑極まりなかったことを明らかにした。しかしそれはむしろ、法案のあくどさが必要としたペテン、と言うべきだろう。採決強行により、多くの問題が検討もないまま残されたことも付け加えなければならない。こんな法案を認めることは絶対にできない。

必ず廃案へ
安倍を倒そう


 この悪辣な法案の決着はまだ着いていない。どんなものも見逃さず廃案への可能性に貪欲に食らいつき、今こそ一歩も引かない闘いを対置しなければならない。五月二二日に日比谷野外音楽堂で行われた集会、また「全国過労死を考える家族の会」による首相官邸前座り込みを始め、雇用共同アクションの訴えなど、国会前では連日昼も夜も法案絶対反対の声が響き渡った。それは確実に、社会に広がる安倍政権への不信と共鳴している。その共鳴をさらに巨大にし形にし安倍政権を追い詰め、何としても廃案をつかみ取ろう。
         (神谷)


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