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    かけはし2018年6月25日号

国境を越えて平和を求める声


「平和に向かう日韓連帯ツアー/イン・コリア」に参加して(下)

反原発・反基地は一つの課題

米軍は東アジアから出ていけ

吉田あかり(沖縄)

沖縄と韓国の民衆は共同の闘いを担う

慶州・月城(ウォルソン)原発

慶州市内をデモ
 
 次に向かったのは慶州。「脱核慶州市民共同行動」の皆さんと一緒に、慶州駅から核廃絶を求めて市内デモに出発した。この市民団体は二〇一六年慶州に地震があった以降市民の広範な連帯で結成されたそうで、毎週木曜日慶州市内をデモ行進している。慶州は八世紀新羅時代の王都であり、別名屋根のない博物館、世界遺産にも登録されている文化都市だ。ウォルソン原発はここからわずか二七qしか離れていないナア里にある。原発の周囲三〇qに一三〇万人が暮らしている。

ウォルソン原発
4つの課題
ウォルソンには原発四基、新ウォルソンに二基、それと核廃棄物貯蔵庫がある。ウォルソン1号機は二〇一二年耐用年数に達した後も延長使用されていたのだが、昨年延長阻止を勝ち取った。ここでの問題は大きく四つある。
@津波が押し寄せてきた歴史があるにもかかわらず、地震、津波に対して非常に脆弱な設計であるということ、つい最近も慶州に地震があったばかりである。
A大規模な核廃棄物貯蔵庫がある場所は岩盤が単一性でなく地下水が出ていたにもかかわらず対策が完全でない状態で作られたということ。
B1〜4号機は重水炉のため核廃棄物が軽水炉に比べて多い。そのため現存するウォルソンの臨時貯蔵庫は飽和に近づき、新たな核廃棄物貯蔵庫が計画されている。その影響が心配されている。
C原発の周囲に暮らす住民の健康被害が大きく、住民は安全安心な地域への移住を希望しているが、政府からの対応が何らなされていない。

移住対策委の
座り込み現場
私たちは慶州のデモの後、原発正面ゲート近くで二〇一四年八月二四日から住民移住対策を要求して座り込みを続けている現場を訪問した。ここでは毎朝核廃棄物のドラム缶と棺桶を引っ張って発電所正面ゲートまで一回りする示威行動が行われている。ちょうど一三五〇日目だった。住民五〜七〇歳の五〇人が尿検査したところ、重水炉から出る放射線物質トリチウムが全員から検出されたという。
説明をしてくださった「ウォルソン原発隣接地域移住対策委員会」の副委員長、ファン・ブニさん(女性)は五年前甲状腺がんの手術を受けたそうだ。原発の半径九一四?以内は一般人の出入り、居住が制限されているのだが、ブニさんは九一五?のところに住んでいる。もう一人の男性は九六四mの所で牛を飼っていると不安を訴えた。健康で安心して暮らせる代替地を政府に要求しているが政府はとりあってくれない。
ファンブニさんは、「日本は核被害先進国である、広島、長崎から始まり、地震、津波、福島原発等々、一番の被害国なのにどうして世界にその危険性をはっきり示し、危険値などで具体的にリードしないのか、それがあれば私たちも政府に強く訴えることができるのにとてももどかしい」と日本から来た私たちに訴えた。再稼動問題といい、日本の動向が世界の脱核の運動に直結していることを思い知らされ、責任の重さを感じた。
現在韓国では四カ所にある原発地域でがんにかかった人たち六〇〇人余りが裁判所に提訴し争っているということである。

制限区域でキャ
ンプを楽しむ
ところで九一四?の制限区域と言うのは有事の際二時間以内に立ち去らなければ死亡する地域という意味だそうで、そのためか平時はあまり心配はいらないと解釈されているようだった。この日は「子供の日」で、大勢の家族連れが制限区域と書かれた立看板の内側でキャンプを楽しんでいた。
原発四基が間近に見え、冷却水が流れ込んでくる海辺でのどかに釣りをしている人の姿もあった。政府も安全であるというアピールをしたいのか、ことさら取り締まりをしていない。道を隔てて片や座り込みのテント、片や憩いの場というギャップに衝撃を受けた。
人類を滅ぼす核に対する危機感が日本でも韓国でもまだまだ浸透しておらず、運動の広がり、集中度が弱いと実感した。日本では福島の汚染土を再生して野菜を作る実験が始まるというし、汚染土を全国に拡散する方向に向かっている。被災地復興への「思いやり」の美名のもと「被害の共有化」に向かっていることに恐れが走る。もっともっと怒らなければない、世界への先例になってはいけない、と逆に教えられた訪問だった。

星州(ソンジュ)ソソン里サード配備反対

住民の工事車両
阻止行動に連帯
最後の訪問地は駐韓米軍サード配置に激しくゆれる慶尚北道星州ソソン里。現地についたのが夕方でちょうどサード配置に伴う施設整備の工事車両が出てくる時間帯だった。「サードは去れ、平和よ来い」「サードではなくて南北対話、戦争ではなくて平和協定」「朴槿恵の積弊を完遂する文在寅政府糾弾」などと書かれた横断幕がずらりと並ぶ道を通ってチンバッ橋までいった。
四〇台以上の装甲車がすでに停まっていた。チンバッ橋まで来ると一〇人余りの住民たちが座り込んで工事車両が出てくるのを阻止していた。私たちも近くで支援の声を上げた。住民たちは毎日朝と夕方こうして工事車両の出入りを阻止している。わずか七〇人程の村に機動隊一〇〇〇人が常駐して、その都度住民を排除し工事車両の運行を助けている。辺野古の毎日の光景と全く一緒で、工事車両が目の前を通過するのを見ているしかない悔しさでいっぱいになる。

星州ソソン里
のサード配置
朴槿恵政権時代に、表向きは北朝鮮へのミサイル防衛をうたいながら実際は米国の対中国ミサイル防衛体制の一環でサード(高高度ミサイル防衛システム)配置が決定された。土地と施設は韓国側が分担するというものだが、のちには運営費までも韓国側が持つことになった。サード配置反対の闘いは星州にとどまらず全国に広がった。適格地であるという明確な理由も説明もないままソソン里にあるロッテゴルフ場が提供されることになり、朴槿恵弾劾後の選挙戦のさなかである二〇一七年四月二六日、警察隊四〇〇〇人が動員され発射台二機と]バンドレーダーが強行搬入された。新しい政権が誕生する前に配備してしまいたい米国側の意向が働いた。その後五月九日の大統領選挙前までに大急ぎ追加4基搬入が計画されたが、ソソン里に一五〇人の人々が泊まり込み、これを完全に阻止した。
しかし文在寅大統領は七月の北朝鮮の大陸間弾道ミサイル実験を受け、九月七日残りの発射台を今度は八〇〇〇人の警察を動員し、住民を引きずり出し、負傷させ強行配置を行った。文在寅はかろうじて臨時設置であることを表明したが、アメリカの圧力に屈した結果であったことは明らかだった。

破壊される
日常の平和
すでにサード基地の中にはアメリカ軍一五〇人と韓国軍合わせて四〇〇人が常駐している。ゴルフ場の古くなった施設に駐屯する将兵の「人道的措置」を名目として施設整備工事はその後も数度強行され今年四月二三日からは毎日工事車両が出入りするようになった。この間中国は韓国に対する経済制裁と、ソソン里に標準を合わせたミサイルを設置した。
サードは韓国防衛のためではなく逆に住民の命と平和を脅かしている。健康権と生存権を奪うものである。数千人の警察官の常駐と村の進入路の検問は住人のトラウマとなった。軍靴の足音が夢に聞こえ、明け方外に飛び出したおばあちゃんの話、「スンサ」(植民地時代の日本の巡査のこと)が怖くて外に出られなかったと話す老人、防衛という名の下破壊されるのは日常の平和であると円仏教のカン・ヒョヌクさんが語ってくれた。
「ソソン里サード撤回星州住民対策副委員長」・「ソソン里女性会長」のイム・スンブンさん(六〇代)は大きな衝突のたびに前歯五本がへし折られ、ろっ骨を骨折し、腕の靭帯を損傷し、足がねじられ満身創痍状態だったが屈した様子は全くみられなかった。物静かな中にも決意がにじみ出ていた。最初は自分たちのところに危険なものが来るということに反対していたが、勉強会を重ね、今では韓国中から米軍は出て行ってほしいと考えるようになったと話をしてくれた。農業が中心のこの地で昨年はほとんど農作業ができなかったそうだ。

平和のために
米軍出ていけ
南北首脳会談、米朝首脳会談によって東アジアの安定と平和が訪れようとしている。今こそミサイル防衛体制は解かれるべきであり、ましてや北からの防衛を口実としたソソン里のサードは撤去し、施設工事は即時中断しろと住民たちは要求している。文在寅大統領に対してアメリカの圧力に屈せず平和の道を歩むよう要求している。軍事的衝突の火種となるサードはいらない、アメリカは東アジアから出て行けと彼らはきっぱりと要求する。沖縄で私たちも米軍は出ていけ、自国に戻れと要求している。国境を越えて平和を求める声は一つであり、東アジアの平和のために連帯して闘っていくことの重要性をますます確信した。
(二〇一八年五月二六日)

6.15

強行採決から1年集会

やっぱりいらない共謀罪

廃止のための闘いへ

 六月一五日、共謀罪廃止のための連絡会は、星陵会館で「強行採決から一年!やっぱり共謀罪はいらない」集会を行い、三〇〇人が参加した。
安倍政権は、グローバル派兵国家建設にむけて特定秘密保護法(二〇一三年一二月)、盗聴やえん罪生産の司法取引の導入などの刑事訴訟法等改悪(一六年五月)を制定し、治安弾圧強化の総仕上げとして近代法の既遂処罰原則を否定する共謀罪(一七年五月/改正組織犯罪処罰法)を強行成立させた。いずれも全国各地で反対運動が取り組まれ、果敢に闘い抜かれた。
共謀罪施行後、安倍政権は同法違反での逮捕、起訴件数は現時点でゼロ件だとする答弁書を決定し(一七年一一月一四日)、その後も法務委員会で野党の質問に対して「現状では把握しているかぎりではゼロ件である」と表明している。しかし、警察庁は、全国の都道府県警に「同法の捜査は警察本部の指揮で行う」(一七年六月二三日)と全国通達し、初適用に向けてターゲットの絞り込み、行動確認を蓄積中だ。公安政治警察は、「公共の安全と秩序の維持」と称して市民監視を日常的に行い、弾圧してきた。一九年の天皇代替わり、大阪G20サミット首脳会議、二〇二〇年の東京五輪を見据えて治安弾圧体制の強化をねらっている。全国の力で共謀罪適用を許さず、廃止をめざそう。

「透明性レポ
ート」を要求
集会は芹沢斉さん(自由人権協会)の主催者あいさつで始まり、共謀罪制定後の状況を整理し、廃止に向けた取り組みを粘り強く行っていこうと訴えた。
政党のあいさつでは福島みずほ参議院議員(社民党)、松田功衆院議員(立憲民主党)、藤野保史衆議院議員(共産党)が発言し、共謀罪運用と初適用阻止に向けて共に闘っていこうと決意表明。
MilK(弥勒)が歌によって共謀罪廃止と沖縄連帯をアピール。
海渡雄一さん(共謀罪対策弁護団)は、「憲法・国際人権法から共謀罪を考える」をテーマに@共謀罪反対運動が明らかにした共謀罪の危険性とプライバシーの危機A成立した共謀罪には、濫用の危険が残っているB共謀罪の捜査によるプライバシー侵害の危険性が著しく高まるC政府は国連特別報告者や自由権規約委員会などの指摘に答えるべきであるD共謀罪を廃止するための運動の課題E国連組織犯罪防止条約と共謀罪について提起。
さらに共謀罪廃止法案(一七年一二月、立憲民主、共産、自由、社民、衆院会派「無所属の会」が衆院に共同提出。参議院においても提案準備中)の取り組みを紹介し、「このような廃止運動の存在とその活動そのものが、法の濫用の歯止めとなり、政権が交代したときには法の廃止を実現できる担保・根拠となる」と強調した。
連動して市民のプライバシー情報を集めているIT企業が警察の捜査にどのような基準でどれだけの情報を提供しているのかを自ら公表する「透明性レポート」の取り組みの重要性を報告し、「IT企業に『透明性レポート』の公表について一三社に質問アンケートをした。五月末までに五社から回答があり、LINE、グーグル、アップルはすでに『透明性レポート』を公表し、ヤフーが検討中。しかしソフトバンク、KDDI、NTTドコモなど八社は二度のアンケート要請にも回答がなかった。警察に協力し、市民のプライバシー保護を否定する姿勢だ」と批判した。

改憲阻止・共謀
罪廃止めざせ
ゲストの斉藤貴男さん(ジャーナリスト)は、「共謀罪と監視社会」をテーマに、「共謀罪の疑いで逮捕された人はまだいない。しかしそれは権力が逮捕しなかったにすぎない。恣意的判断で逮捕できる状況は変わっていない。今月から他人の罪を密告すれば自分の罪を軽くできる司法取引制度も始まっている。すべての動きは連動している」と警鐘乱打した。
岩崎貞明さん(日本マスコミ文化情報労組会議事務局長)、篠田博之さん(日本ペンクラブ言論表現委員会副委員長)、大江京子さん(戦争させない・9条壊すな!総がかり行動実行委員会)から共謀罪反対運動の連帯発言を行った。
最後に纐纈美千世さん(日本消費者連盟)が閉会あいさつを行い、「廃止運動の取り組みの強化を押し進めよう」と訴えた。(Y)



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