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    かけはし2018年6月25日号

あらゆる軍事攻撃の即時停止を


シリア

市民への国際主義的連帯がかつて以上に必要だ

アサド体制正統化の試み許すな

2018年6月3日   第四インターナショナル・ビューロー


 第四インターナショナルは、爆撃を受け、虐殺され、拷問を受け、餓死させられ、またふるさとを追われた、シリアのすべての市民に対する連帯をあらためて確認する。それは、勇気ある反乱への熱望を守り続けている民主的、進歩的な諸勢力への連帯だ。シリア民衆蜂起の始まりから七年、その蜂起は徐々に国際的な特質を帯びた地獄のような内戦へと変えられてきた。そして国内の情勢はあらゆるレベルで破局的になっている。
 おそらく五〇万人以上が死亡するか行方不明になっている。その八〇%以上は、政府軍部隊とその提携部隊により殺害された。二〇一一年時点で二二〇〇万人いた人口のうち、六〇〇万人以上が国境を越えて逃げ去り、七六〇万人は国内で避難している。住民の八〇%以上は貧困線以下で暮らしている。世界銀行は二〇一七年、シリア国内では、あらゆる建物のおよそ三分の一、学校と病院の建物の半数近くは破壊されるか損傷を受けた、と見積もった。

アサド政権とその仲間にノーを

 第四インターナショナルは、アサドの専制体制とその提携者の残虐性をあらためて糾弾する。その残虐性は、二〇一八年はじめのダマスカス近郊の東グータに対する彼らの攻撃によって象徴されている。化学兵器の使用を含む市民への軍事攻撃と爆撃は、バシャール・アサド体制支配の外にあるさまざまな地域で続いている。二〇一五年以後、当時絶望的な破局にあったアサド体制は、ロシアとイラン、さらにレバノンのヒズボラという連携勢力を頼りとすることにより、自身を強化し続け、支配を回復した領域を拡大し続けてきたように見える。ダマスカスは今日、領域のおよそ六〇%、人口の八〇%以上を支配している。
極めて異なり対立さえしている政治的また経済的目的をもつが、しかしすべてがシリアの破壊に参加し砲撃に加わった諸国家の役者が今、その費用が三五〇〇億ドル以上と現在見積もられている再建という問題を提起しようとしているが、それは先のような脈絡の中でのことだ。
アサドとその親類、そして彼の体制に結びついている事業家にとって、再建はすでに得ている権力を打ち固め、彼らの政治的、軍事的、経済的、また治安上の支配を再建する、また住民の強制的な再定住にたいしても、一つの手段と理解されている。この過程はまた、独力では再建に資金を手当てする能力がない重い債務を抱えた体制の、新自由主義政策を強めることにもなるだろう。
同時に、シリア政権の同盟諸国、特にロシアとイランは――住民に対する最悪な犯罪に直接に加わった後で――、しかし中国も、この再建から経済的に、また戦略的に利益を受ける最前線に位置している。

ジハーディストの能力は健在


イスラム国(EIあるいは「ダーイシュ」)のジハーディストは、彼らが占領していたイラクとシリアの諸都市および都市センターの圧倒的多数を失った。現在は、シリア内の孤立した二、三の小地域に加えて、イラクとシリアの国境地帯にある孤立した地域のみがEIの支配下にある。他のジハーディストとサラフィスト――民主諸勢力と闘いつつ、時々アサド政権に対抗する――もまた後退した。
しかしながら、これらの組織の広大な領域の喪失は、それらの存在の終わりやテロ攻撃によって打撃を加えるそれらの能力の終わりを意味しているわけではない。
第四インターナショナルは、こうしたウルトラ反動勢力に対する対決をあらためて確認する。それは反革命のもう一つの側面を構成している。われわれが決して忘れてならないことは、反乱の民主諸勢力に対する対抗力をめざすそれらの登場が等しく、シリア政権の策謀の結果だった、ということだ。その策謀は、他の地域内諸国家からの助言者や資金供給者の介入にしたがって、世界の視線を前にその限界を知らない抑圧を正当化しようとするものだった。
われわれは、それらの発展の根源と格闘する必要がある。つまり、民主的、社会的抵抗のあらゆる形態を抑圧する地域内の権威主義諸体制、地域レベルのまた国際的な外国の介入、民衆諸階級を貧困化している新自由主義諸政策との格闘だ。

攻撃され脅かされるクルド民衆


二〇一八年一月、トルコ軍は、イスラム主義かつ反動的なシリア人武装反政府勢力の民兵に支援されて、民主統一党(PYD)とその人民防衛部隊(YPG)が支配し住民多数がクルド人である、シリア北西部のアフリン州に対する大規模な空襲と地上攻撃を開始した。今この地域はトルコ軍とトルコ軍に雇われたシリア人民兵の諸部隊に占領されている。そしてこれらの部隊は人権を侵犯し続け、住民の強制追い出しを続けている。
シリアのアフリンに対するトルコ軍の作戦、および二〇一七年一〇月にイラク・クルディスタンで、バルザニ指導部が組織した独立を問う国民投票の結果に対するイラク政府による拒絶は、世界と地域の大国が、クルドの民族的あるいは自律を求める大望が実現するのを見る気にはなっていない、ということをあらためて示している。
はっきりしているが、異なった時期にYPGに与えられたモスクワとワシントンの支援は、アフリンに対するアンカラの軍事侵攻を妨げることはなかった。先述の支援に関しては、アレッポ周辺で二〇一五年九月に始められたアサド政権と歩を並べたロシアの軍事作戦と空襲に対する、YPGの支援という例もある。トルコのエルドアン大統領は独裁への突進の中で、彼の国内でのあらゆる民主主義への熱望同様、クルドの民衆も粉砕したいと思っている。
第四インターナショナルは、クルドの民衆の自己決定権、この地域の様々な国の中で多様な形をとる可能性のある(たとえば、独立、連邦制、あるいは一つの国家内部で同権をもった主体としてのクルド民衆に対する認知)、そうした権利をあらためて確認する。
われわれは彼らの指導部に対して、特にバルザニ指導部をめぐってイラクの指導部に対し、しかしまたPYDの戦術をめぐって――それがロジャヴァで試みてきた解放を追求する諸経験を歓迎しつつも――シリアの指導部に対しても、多少とも強い批判を表明してもよい。しかしたとえそうだとしてもわれわれは、蒙昧な諸勢力に反対して自己決定の闘いの指導を続けているクルド諸勢力のヒロイックな献身を歓迎する。
いずれにしろ、トルコ、シリア、イラク、イランでクルドの人々が受けている激しい抑圧に反対する、クルド民衆へのもっとも幅広い連帯が必要だ。そしてそれらの抑圧は、欧州諸国の諸々の行為にもまた反映されているのだ。

あらゆるシリア民衆に連帯を

 あらゆる反革命勢力は、それらの間の厳しい競合関係にもかかわらず、シリア革命打破に向けて一斉に行動した。
▼バシャール・アサド体制を支援し(ロシア、イラン、またイランの民兵)、深刻な戦争犯罪に荷担し続けている者たち。
▼民主主義に関し原則の声明は行っても、しかし蜂起の民主的な諸部分が自らを守ることを可能にすることを拒絶し、テロとの戦いを名目に非武装の住民に爆撃を加えた米国や欧州の帝国主義者たち。
▼「イスラムの人びと」の指導者と見せるためにシリア革命を利用し、自らをシリア北部の占領者へと変え、クルドの諸組織と闘うために諸々の都市を爆撃したトルコ政権。
▼あるいは、その運動が彼らの目的にかなう限りとして、あらゆるウルトラ反動の運動を金銭的に支援している湾岸諸国。
▼そして最後に、アサドを弱め、イランとヒズボラの軍事的拡張を妨げる目的の下に、目標を絞った爆撃を実行することにより、事実としてはむしろその攻撃対象を政治的に強化しているイスラエル。
これらのどれであろうが反革命勢力なのだ。

 こうした脈絡の結論として第四インターナショナルは次のように呼びかける。
?あらゆる軍事攻撃の停止の要求。これは、これまで体制の支配から逃れてきた、そして故郷を追われた何十万人という市民が避難場所を得てきた最後の地域を聖域とするために、あらゆる圧力が行使されなければならない、ということを意味する。
?体制の支持という主張であろうが(ロシア、イラン、ヒズボラ)、自らを「シリア民衆の友」と主張することによってであろうが(サウジ、カタール、トルコ、米国その他)、あらゆる外国の軍事介入を糾弾し続けること。そうした介入は、シリアの民主的変革への熱望とは対立している。自由と尊厳を求めて闘っているシリア民衆諸階級には、その戦いにおいて友人となる国家は一つもない。政治的独立性と自律性を維持しつつ、彼ら自身の利益を改善するために、帝国主義間の競合関係をたとえ彼らが利用しようとすることがあるかもしれないとしても、そうなのだ……。
?アサド体制への反対、その国際的な再正統化の拒絶、そして戦争犯罪、体制の監獄で今も拷問を受けている何万人もの政治犯、行方不明者、難民、さらに国内で住む場所から追われた人びとなどを忘れないこと、これらをあらためて確認すること。アサドと彼の犯罪に与えられる白紙委任は、シリアの民衆と彼らのヒロイックな反乱をさらに見捨てることになり、不可避的にあらゆる権威主義的国家の免責感を高め、次いで彼らに彼らの住民が仮に反乱に立ち上がればその人びとを打ち砕く許しを与えることになるだろう。同様に、市民に対し諸々の人権の侵犯に関与してきたあらゆる主体は、その犯罪で処罰されなければならない。

 シリア革命の歩みについての記憶と政治的経験は今、抵抗の(再)建設のために利用されなければならない。そしてそこでは、多くの亡命活動家には果たすべき一つの役割が課され、国際主義的連帯運動には、これらのネットワークの発展を支援する役割が課される。われわれは、レイシズムと宗教的信仰告白のあらゆる形態に反対し、民主主義、社会的公正、平等を求めた、シリア民衆蜂起の元々の目標を思い出さなければならない。
この展望の下で、真実の国際主義的で進歩的な連帯の再創出を目的にしたあらゆる努力を世界中で強化し、世界的なまた地域的な帝国主義大国すべてを例外なく糾弾することが差し迫った課題だ。同時にわれわれは、新自由主義の安全保障政策、レイシズムとイスラム排撃の政策に反対しなければならない。われわれは特に、EU諸国の国境を閉じる犯罪的政策に反対して闘わなければならない。この政策は、地中海を、戦争や独裁や悲惨から逃れようとする人びとの広大な墓場に変えてしまっているのだ。シリア人難民には、彼らが選ぶ国で尊厳ある条件の下に歓迎される権利がある。
シリア民衆諸階級への国際主義的連帯はかつて以上に必要だ!(満場一致採択)
(「インターナショナルビューポイント」二〇一八年六月号)

トルコ

前倒し選挙と「#TAMAM」キャンペーン

政権イエスかノーか鋭い分極化

 

 トルコでは昨年の国民投票により大統領に権力を集中する体制が作られ、エルドアンの強権体制が生まれた。二〇一五年の総選挙で公正発展党(AKP)が過半数確保に失敗し、AKP支配の揺らぎが明確になったことに対する対応だった。しかしトルコ社会の深部で進む危機はその後も進み、この状況への対処としてエルドアンは意表を突く形で今年六月の前倒し選挙に打って出た。この結果は、今も今後も中東で大きな存在感をもつトルコの今後を大きく左右する可能性があり、注目が必要だ。以下は、この選挙をめぐる諸状況を伝えている。(「かけはし」編集部)

 「もしいつの日かわが国民が『もう十分』というのであれば、その時われわれは脇にどくだろう」、レセプ・タイップ・エルドアン大統領は先週、トルコ議会への演説でこう語った。この演説後すぐさま、「#TAMAM」(「もう十分」)が、その晩の終わりまでに一五〇万以上のツイッターが投稿される形で、世界規模で流行のツイッターの話題になった。ソーシャルメディアは、主流メディアがほぼ完璧に政府により支配されている中では、トルコ政権反対派にとっての主要な舞台になった。
しかしながらエルドアンの言明は、ソーシャルメディア上で反応を得ただけではなかった。人びとはイスタンブールで、「もう十分」のスローガンの下に街頭に結集した。警察はこれらの行進いくつかに攻撃を加えた。アンカラの中東工学大学の学生たちもまた、デヴリム(「革命」)スタジアムにTAMAMと書きつけた。

選挙前倒しの
背後に危機感


エルドアンは先月、予定よりも一年以上早く、六月二四日の前倒し大統領選挙と議会選挙を公表した。エルドアンの動きの背後には理由がいくつかある。五〇〇〇億ドル以上の対外債務、高まるインフレと失業、建設部門の成長鈍化、さらに日々進むリラ下落(二〇一三年以来、トルコ通貨のリラは、ドルに対するその価値を半分以上失った)はすべて、急速な経済後退を告げるものだ。投票が早ければ早いほど、危機が打撃となる前にエルドアンが勝つための良好な機会となるのだ。
もう一つの理由は、シリア、アフリンのクルド民主統一党(PYD)を標的にした軍事作戦後のトルコ民族主義の波から利益を引き出すことだ。アフリンのクルド諸勢力に対する軍事作戦は、メディアの中で上首尾の作戦と描かれた。エルドアンは、前倒し選挙公表後の最初の演説において、選挙公約の一つとして「この作戦はテロリストが一人もいなくなるまで続くだろう」と誓った。
三番目の理由は、議会野党に、特に準備のなかったアクシュネル率いるイイ(優良)党に不意打ちを食らわすことに関わっている。イイ党は、反エルドアンから彼への連携者になるという指導者たちの転換を理由にMHP(民族主義運動党)を見捨てつつある、そうした民族主義者の票を引き寄せる潜在力をもっているのだ。エルドアンは、選挙に参加する政党数を引き下げるよう、トルコ最高選挙評議会(YSK)に指示した。
これほど早々と前倒し選挙が呼びかけられたのは、エルドアンの党(AKP)による、イイ党の選挙参加を失格させようとのもくろみだった。というのもこの党の登録は、選挙前六ヵ月以前という必要条件を満たしていなかったからだ。社会民主派野党のCHP(共和主義人民党)は、五人(MHP離反者)で構成されたイイ党のブロックに自身の議員一五人を移し、この党に選挙参加の権利を与えた。

エルドアンの
勝利は不確か


野党諸政党は、総選挙に向けた連合協定に合意した。その戦略は、大統領選第一回投票に対しては可能な限り多数の候補者を立候補させ、第二回投票ではエルドアンの対抗者になる者を支援する、ということだ。この対抗者は、アクシュネルかCHPの候補者であるムハレム・インジェか、のどちらかになる可能性がある。その指導者が今も獄中にあるクルド政党のHDP(人民民主党)は、連合への民族主義者の投票(特にイイ党票)を危険にさらさないために、野党連合から外された。
この選挙は、同日に大統領選と議会選の両方にトルコ人が票を投じる初回になる。エルドアンに前例のない権力を与えた現在の大統領システムは、二〇一七年、詐欺的な国民投票に基づき僅かな差で承認された。非常事態令の下にあるこの時点で、今回の選挙が公正なものになるとは誰も考えていない。国連人権高等弁務官は、先週トルコに警告を発し、「非常事態令下で行われる選挙は信頼に耐えない」と言明した。
エルドアンが勝つとしても、それは辛勝となるだろう。彼は進行中の諸問題に直面せざるを得ないだろう。もし彼が敗北するならば、彼はそれを受け容れず、それを元に戻そうとするだろう。

反エルドアンを
超えた運動必要


社会主義諸政党は、YSKが設けた追加的な必要条件のために、自分たちの大統領候補を立てて選挙に参加することができない。それらのいくつかは、戦略的な理由に基づきHDPを支援する、と宣言した。HDPが第一回投票で議員確保の最低条件である得票率一〇%を超えることができなければ、これがAKP―MHP連合を強化することになるだろう。
他のいくつかは選挙に異議を唱えている。たとえばトルコ共産党(TKP)は、いくつかの地域で独自候補者を立てて総選挙に参加するだろう。しかしこの党は人びとに、大統領選挙では無効票を投じることで異議を突きつけるよう呼びかけている。この国の半分は現在の大統領制に反対している。そしてこれは、この新システムへの反対を示すひとつの方法になる。TKPは、システム転換と社会主義に向けた宣伝を高めるために、この選挙の舞台を利用するだろう。
社会民主派と他の左翼は、エルドアンを取り除くために、残りの反対派(非常に反動的な部分を含む)と統一している。AKPとエルドアン支配の一六年は労働者階級にとって、高まり続ける貧困と悪化し続ける労働条件を意味した。
この期間は、近代トルコ史上ではもっとも広範囲にわたる私有化を経験することになった。国営のタバコ会社(TEKEL)、クローム合金企業、石油精製のチュプラス、諸々の電力会社、港湾や他の公的施設、これらすべてが私有化された。AKP支配の下で、職業病・労災で殺された者は二万人も増えた。非常事態令は労働者のストライキを非合法にした。社会における全体的不平等は、貧困と労働者内の負債を含めて強まった。世俗的教育、女性の権利への攻撃、トルコ東部諸州のクルド系市民に対する戦争も、エルドアンを取り除くという考えを軸として民衆が統一している他の多くの理由の中に含まれている。
「#TAMAM」はエルドアンとAKP政権の諸政策に対する自然発生的反応だった。それは反政権派連合に対し一つのスローガンを与えた。連合それ自身は、勤労民衆に向けた実体的変革をもたらすことになる綱領をもってはいない。いくつかの社会主義者にとっての戦略はエルドアンを打ち破ること一つに焦点を絞ることになっているが、これはある種視野の限られた戦略だ。われわれは社会主義者として、選挙に中心を置く政治の不十分さを強調し、革命的な社会主義的変革を求める運動を建設する必要がある。(二〇一八年五月一八日、「アゲンスト・ザ・カレント」より)

▼筆者は、カリフォルニア州立大学サン・ベルナルディオの経済学教授であり、トルコの社会主義ニュースサイト、soL(左翼)に寄稿している。(「インターナショナルビューポイント」二〇一八年五月号)  


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