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    かけはし2018年7月2日号

「働き方改革」法案を廃案へ


6.19

雇用共同アクション国会前行動

グローバル企業との闘いだ

8時間労働制を守り抜け


「労働者ニーズ」
はデッチあげ
 六月一九日、雇用共同アクションが正午過ぎから、「働き方改革」法案廃案を訴えて参院議員会館前で国会前行動を行った。衆議院も含めて厚生労働委員会の審議日に毎回重ねてきた行動だが、通常国会会期末を翌日に控える一方、メディアでは与党が会期延長を決定と報じる中、この日は特に「審議未了、廃案」の要求が強く押し出された。
 採決強行の動きをこの日まで押しとどめてきたのは労働者民衆の反対の広がり、この力をしっかり確認した上で、さらに運動を強め何としても法案成立を阻止しようとの司会の呼びかけに続いて、主催者を代表して岩橋祐治全労連副議長が、悪法を力ずくで通そうという会期延長など認められない、高プロ、残業上限、非正規差別、どれをとっても問題だらけ、政府がはぐらかしに終始し、それに向き合うことすらできない審議状況では廃案しかない、と強く訴えた。
 全労協の中岡基明事務局長も発言。この日座りこみ行動に立ち上がり、雇用共同アクションの行動にも加わっているTPP法案反対の運動にふれつつ、「働き方改革」法案反対の闘いはグローバル企業に対決する闘いでもあると指摘、悪政に一層邁進する安倍政権に対し幅広い共闘がますます必要、民衆の闘いがここまで採決強行を阻止し与党を追い込んできたことをしっかりと心にとどめ、何としても廃案に追い込もう、と呼びかけた。
 中央大学の近藤昭雄名誉教授もかけつけ発言。今回の法案の核心は労働時間規制外しだと注意を喚起し、この動きはフレックス制や裁量労働制などと広げられ、派遣法の経過が如実に示すようにどんどん広げられる危険は非常に大きい、八時間労働制を確立させた血のにじむ闘いの成果を絶対崩させてはならない、と強く訴えた。
 この日は国会議員も日本共産党の吉良よし子、山添拓、社民党の福島みずほの三人の参院議員が駆け付け発言。各々、特に高プロについて、審議を通じて労働者ニーズがまったくのでっち上げであることが明らかになりそれを厚労相も認めざるを得なくなっていること、おまけにこの制度が労働時間短縮には結びつかないことまで加藤厚労相は認め、長時間労働是正という法案提案趣旨説明の中心に反する事態になっていること、さらに一〇四日の休日以外残りの時間を一〇〇%労働させることを禁止する規定がなく、ブラック経営者に悪用の手段を与えていることなどを明らかにしつつ、絶対に通してはならない、力を合わせ徹底的に闘うと決意を述べた。

廃案めざし全国
で闘い広げよう
図々しくも長時間労働是正、同一労働同一賃金を標榜しつつ、その実労働時間規制破壊を狙った「働き方改革」法案の正体は、過労死遺族が精力的に続けた痛切な訴えも合わせて、審議を重ねるほどに明らかになってきた。裁量労働制拡大を正当化するデータが文字通り偽装だったこと、高プロの「労働者ニーズ」にいたっては後付のお手盛りであり、労政審にも提出されていなかったこと、その他にも基礎データにいくつも偽装があったなど、この「改革」の打ち出しの詐欺的手法を象徴する事実も次々発覚している。
たとえ裁量労働制拡張がとりあえず取り下げられているとはいえ、それでも労働時間規制破壊の危険性には変わりなく、法案のあまりのいかさまさを加えて、このような法案の採択などとうてい認められない。誰が見ても党利党略があからさまな会期延長という暴挙は、政権と与党が追い込まれていることの証しだ。決して引き下がらずこの法案の危険性とイカサマをもっと広く訴え、安倍政権への不信を広げつつ廃案を追求しよう。
労働弁護団が呼びかけた六月二〇日の秋葉原駅頭宣伝、さらに六月二一日の国会前行動と、雇用共同アクションも行動を重ねている。雇用共同アクションにとどまらず、法案廃案を求める行動は今後随時さまざまに呼びかけられるだろう。それらを共に押し上げ繋げ、各地からも廃案の声を全力で高めよう。(神谷)  

6.10

核燃サイクル政策をやめろ

プルトニウム利用はごめんだ

パネルトークで厳しく批判


 【大阪】六月一〇日、止めよう核燃サイクル政策プルトニウム利用はごめんだ関西集会が大阪の国民会館で六月一〇日、脱原発政策実現全国ネットワーク関西・福井ブロック主催で開かれた。原子力資料情報室、原発反対福井県民会議、大阪平和人権センター、社民党大阪府連、「しない!させない戦争協力」関西ネットワークが協力した。
 池島芙紀子さん(ストップ・ザ・もんじゅ)の主催者あいさつに続き、渡辺謙一さん(映画監督、ドキュメンタリーで核やプルトニウム問題を扱う)の「米仏日のプルトニウム利用、核・原子力と人類」と題した講演があった(別掲)。
 講演の後、パネルトーク「核燃料サイクル政策を斬る」が行われた。

再処理工場―
その悲惨な現状
山田清彦さん(核燃サイクル阻止一万人訴訟原告団事務局長):「再処理工場の悲惨な現状」
高レベル放射性廃棄物の貯蔵量は、六ケ所村再処理工場が二二〇立米、東海村再処理工場が三六〇立米だ。問題は、国産ガラス固化技術が未確定であること。再処理工場はフランス製なので再処理は出来たが、老朽化が進み今後が不安。六カ所再処理工場は、使用済み核燃料の受入量はウラン量で三三九三トン、再処理量は四二五トン、在庫量はウラン量で二九六八トン。さらに、二二三立米の放射性廃液を貯蔵している。
現在、原発で出た使用済み核燃料は各原発で一年間所蔵し、再処理工場で一四年間貯蔵することになっている。使用済み核燃料を再処理した際、さまざまな放射性物質が排気や廃液として放出され、青森県内の畑や洗濯物を汚染し、太平洋に拡散し、岩手や宮城の水産業に大きなダメージを与え、苫小牧、千葉県までも汚染する。
事故を想定したとき、再処理工場を動かしていると、動かしていない場合に比べ五倍近くのお金がかかる(約19兆円)。電気料金から再処理費が出ているが、このまま再処理を続けてもいいのか。今年三月末、使用済み燃料再処理機構が再処理費として出した金額は四四三一億円だった。青森県には毎年核燃関連交付金が交付される。

高速炉計画の
虚構を暴く!
池島芙紀子さん(ストップ・ザ・もんじゅ代表):「もんじゅ・高速炉計画の虚構」
高速増殖炉もんじゅは一兆三〇〇〇億円かけて挫折したが、新高速炉・実証炉を目指すことを原子力関係閣僚会議で勝手に決めた。もんじゅの敷地に新試験炉をつくり、フランスのアストリッド計画に参入する。高速炉は高速減容炉も高速増殖炉も両方出来るといわれているが、これはウソ。減容とは、放射性廃棄物の体積を減らすこと。
ただ、減らす対象は、半減期二〇〇万年の長寿命元素だけ。文科省は減量の根拠を示せない。米国は高速炉開発から撤退した。フランスの高速炉アストリッド計画は、減容を目的にした計画で、日本から三〇〇〇億円ほどの資金が提供されるのが前提。核のゴミは減らせない。

プルトニウム
処分への提言
中嶌哲演さん(反原発福井県民会議代表委員):「プルトニウム利用の疑惑」
トランプ政権はプルサーマル(MOX路線)を断念し、プルトニウムの処分方法としてダウンブレンディ(希釈処分)にする方向に転換した。MOXの場合と比べ、コストは三分の一から六分の一だという。プルトニウム利用を断念し、原発ゼロ法案の成立を目指そう。法案には、脱原発したときの電気事業者の損失に対処し、政府は施策を実施するための必要な税制・財政・税制上の措置すなわち、地元への雇用対策支援などが盛り込まれており、今まで稼働に賛成しないと交付金が下りないことがネックになっていたが、それが解決する。

「核のゴミ」と
して処分せよ
服部良一さん(元衆議院議員):「プルトニウム処分についての提言」
野党四党共同提案の原発ゼロ法案は三月に提出され、つるされたままだったが、ようやく経産委員会で審議されることになった。日米原子力協定は自動延長になった。国連も日本のプルトニウム備蓄については、核武装に危惧を表明している。
電事連はMOXを燃やして減らしていくと言うが、そのためには、一七基もの原発を稼働させなければいけないが、それは不可能だ。米国は希釈処分をするという。日本のプルトニウムがたくさん置かれている英国からは、日本に持ち帰らずに英国で処分していいとの提言がある。極東アジアの非核化の観点からも日本のプルトニウムがたまるのは問題だ。英国の提案もあるのだから、プルトニウムは電力会社の資産ではなく、核のゴミとして処分すべきだ。

廃炉ビジネス
に向かう仏国
質問から。
(Q)フランスの原発は七割が廃炉になるとのことだが、原子力産業はどうなるのか。
(A)再処理は金がかかりすぎる。仏政府は、高速炉(アストリッド)計画の縮小を検討している。日本政府のこだわる核燃サイクル(プルサーマル)は一層見通せなくなっている。日本はすでに二五二億円を出している。仏政府は、数千億円の建設費の半額を日本が出してくれるよう要請している。フランス原発企業は、これから廃炉ビジネスを行うようになるだろう。(T・T)

渡辺謙一さんの講演から

汚染された大地は決して元に戻れぬ

アメリカ・ハン
フォードの今
米仏日三国で世界の原発の半数以上を持っている。ハンフォード、ラ・アーグ、六ヶ所村はプルトニウムの歴史そのものだ。
人類が初めて原爆を製造したマンハッタン計画の現場・ハンフォードの状況の紹介から始めよう。ここはコロンビア川河畔の大地で、当初九基の原発と再処理施設があった。それは、発電のためではなく、プルトニウム原爆を製造するためにつくられた。第二次大戦中に発見されたプルトニウムは長崎原爆として投下された。
マンハッタン計画に携わった著名な科学者グレン・シーボルトやローレンツは、おそらく被曝が原因で早死にした。冷戦時代を支えたハンフォードの住民、そのほとんどはこの施設で働く労働者で、最盛期には一五万人がいた。
初めて聞く話だが、マンハッタン計画には原爆開発と同時に被曝研究もあった。放射性物質が含まれる飲み物を飲んで、その後の経過を追跡したり、一八人の患者にプルトニウムを含む液を注射して影響を調べたり、放射性ヨウ素を入れた袋からヨウ素が空気中に漏れ、風に乗って拡散する様子を調べたりもしている。
ハンフォードの施設は一九八八年に閉鎖され、九基の原発のうち三つだけコンクリートで固められ、広大な風景の中にその姿をさらしているが、五〇年後に廃炉になる。原発以外の施設は爆破し埋められた。
近くのリッチランドの町の人びとは、ハンフォードの核施設の除染の仕事に従事し、今でも一万人の労働者がこの仕事に就いている。原子力は、被害者なしでは成り立たない。閉鎖して四〇年たっても労働者の被曝による健康被害がひどい。二四五〇万トンの高レベル廃棄物。廃炉にしてからすでに一二兆円がかかっているが、最低一〇〇年はかかると言われている。

フランス:ラ
・アーグでは
ここは使用済み核燃料再処理施設で、シェルブールの近くの半島の先端にある。冷戦が緊張緩和すると、プルトニウムを民生用に使う試みが始まった。核燃料サイクルシステムがそれで、フランスが力を入れ、日本にも導入された。
フランスは、右手に軍、左手に民間の力で使用済み核燃料の再処理をはじめた。それは、いずれウランが枯渇するのではないかという危機感がフランスにあったためだという。フランスも増殖炉でのナトリウム漏れを何度か繰り返した後、MOX燃料(ウランとプルトニウムの混合物)を使用するようになった。
現在EUでは、セキュリティの観点から、ラ・アーグを閉鎖せよという声が上がっている。フランスは、低レベル廃棄物は埋め立てしているが、容器が腐食し、プルトニウムなどの放射性物質が自然環境に漏れ出ている。フランスでは、米国のハンフォードで見られたことがそのまま始まろうとしている感じだが、違うのは、プルトニウムを燃料として使うという点だ。

そして六ケ所
村再処理施設
日本は核を持たないが、四七トンのプルトニウムを蓄積している。日本は、この増え続けるプルトニウムを核兵器には使わないことを証明するため、MOX燃料をつくって原発で燃やすと言っている。これは日仏の方針だ。でも、もはや原子力は一国内のエネルギー政策の枠を超え、負の産業としての役目を終えたと認識するべきだ。
核物質の処理、核施設や除染で働く作業員、住民の健康被害、最終処分が見えないまま増え続ける高レベル放射性廃棄物のことを考えなくてはいけない。
六ケ所村再処理施設は、ウラン濃縮工場・原発の運転で発生する低レベル放射性廃棄物の埋設センター・高レベル放射性廃棄物貯蔵センター・再処理工場で構成されている。高レベル廃棄物貯蔵センターは、フランスや英国に委託した海外再処理によって発生した廃棄物を一時的に三〇年〜五〇年間貯蔵する施設だ。
心臓部である再処理工場は、プルトニウムとウランを取り出す施設だ。ここで取り出したウランとプルトニウムを混ぜ、MOX燃料として再び原発で燃やすわけだが、この過程で大量の放射能が環境中に放出されることがわかった。全国の原発でつくられる放射性廃棄物は六ケ所村には運ばれるが、もう満杯状態だ。再処理工場は、アクティブ試験開始後まもなく相次ぎトラブルが発生し、さらに作業員の体内被曝事故が続き、本格稼働の見通しは立っていない。
日本はメンツを捨てるべきだ。中国への対抗意識を捨て、再処理とは別の独自の方法を考えるべきだ。六ケ所村と大間・東通原発、むつの貯蔵施設は一体のものとして捉えるべきだ。
ハンフォードでは現在奇形の子どもがたくさん生まれている。もちろん因果関係は証明されてはいないが。日本でも、ハンフォードと同じことが起きることを踏まえ、六ケ所村のことを考えるべきだ。現在、六ケ所村再処理工場は動いていないが、電力料金から金が入るため金銭的には潤っている。今の日本政治の典型的な姿だ。原発は、国家の支援がなければ成り立たない。
反原発運動は、チェルノブイリの後、細々と続いてきたが、フクシマで大きな運動になった。フランスでは、キュリー婦人の名声は絶大で、反原発運動はやりにくい。でも、日本政府が世界中にウソを発信し、住民の帰還を促し、オリンピック会場を設営しても、福島原発事故の行方に世界が無関心になることはない。核燃料がそこにある限り、爆発しなくても核は危険であり、大地を汚し続けているという強烈な警告を世界に発信している。
フランスでは、フクシマ後に厳格化された安全基準を前に、未だ一基も稼働できず、赤字の累積に苦しんでいる。高速炉アストリッドに投資できるのは、日本の資金と人材、資材との連携が成り立っているからで、日本はフランスとの連携を原子力開発・投資の合理化に利用している。燃料の再処理、核燃サイクルのウソを見抜くには、ハンフォードの過去と現状・ラ・アーグの現状・六ケ所村と下北半島の事情を一連の営みとして把握する必要がある。(講演要旨、文責編集部)



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