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    かけはし2018年7月2日号

法務省は入管政策を抜本的に改めよ


強制送還やめろ 在留外国人
の人権を全面的に保障せよ

地下鉄吊り広告
が煽る排外主義


 六月九日に乗った都営地下鉄のつり広告。「外国人を雇用するときは『在留カード』の確認を!不法就労させた事業主も処罰の対象に!!」。カードの裏表が示され、確認ポイント@「就労制限の有無欄」チェックA裏面「資格外活動許可欄」をチェック。法務省東京入国管理局。
 これは「ヘイト広告」ではないかととっさに思った。「不法移民」とされる人たちへの偏見を煽り、強制送還を積極的に進めるための広告であり、見た人への「密告」を勧めている。これを掲載した主体が法務省なのだから、国家が「ヘイト」をやっている。
 不法を作り出しているのは政府の入管政策。日本は外国人労働者なしにはやっていけない社会になっていて、単純労働に多くの外国人労働者がついている。二〇一六年、七九カ国一万九一〇人の難民申請が行われ、二八人が難民として認定されたのみ。研修生は受け入れ、単純労働者として使う。研修生への残業代ゼロや長時間労働など不安定労働への批判がこれまでたくさんあげられている。不法移民として強制送還するとき、殺してしまうことだってあった。
 アメリカでは移民排除問題が大問題になり、違法移民とされた人々の抵抗する運動が国を二分するようになっている。トランプはメキシコとの間に巨大な壁を作ると排外主義的政策を進めている。

自殺に追い込ま
れる人たちも


 六月二〇日の「世界難民の日」を前に、六月一六日、国連UNHCR(国連難民高等弁務官事務所)協会(国連の難民支援機関であるUNHCRの活動を支える日本の公式支援窓口)が東京の渋谷駅ハチ公前広場に、難民支援の現場に導入予定の最新型家族用テントを張り出し、難民の避難生活について知り、署名キャンペーンに参加するなど、一緒に支援の輪をつなぐイベントを開催した。
 また、同日不法滞在者として強制退去処分とされた外国人が収容されている東京都港区の東京入国管理局前で、収容者の親族や支援者ら約三〇人が収容者を激励した。「収容やめろ」などと書いたプラカードを手にした参加者が「家族を返せ」「仲間を返せ」とコールを始めると、収容者らが部屋から手を振る姿が見え、「来てくれてありがとう」「がんばる」などと叫ぶ声が聞こえた。(6月16日、毎日新聞)
 法務省入国管理局警備課によると、二〇一七年末の段階で全収容者一三五一人の四三%にあたる五七六人が六カ月以上の長期収容者だ。四五%にあたる六〇五人が難民認定申請手続き中だった。また、同年中に四四件の自殺未遂を含む自傷行為を確認しているという。東日本入国管理センター(茨城県牛久市)では四月に、難民認定申請中に在留資格を失い収容されたインド人男性のディーパック・クマールさん(当時32歳)が自殺した。

ヘイトグループ
培養する措置だ


 前述のような国の排外主義的な入管政策、朝鮮学校への「教育費無償化排除」は日本国内のヘイトグループを培養させる役割を果している。この点に注意を向けなければならない。
 京都などの朝鮮学校への排外主義的攻撃が続いたが、朝鮮学校の生徒や市民運動によって跳ね返しつつある。そして川崎市では在日朝鮮・韓国人の集住地区に対するヘイトグループによる集会やデモが繰り広げられてきた。それに対抗して「ヘイトスピーチを許さないかわさき市民ネットワーク」などが許さない行動を行っている。
 六月三日、ヘイト講演会を川崎市が許可してしまったが、会場の市教育文化会館周辺には、「ヘイトスピーチを許さないかわさき市民ネットワーク」が呼びかけ六〇〇人で、講演会開始の一時間前から「レイシスト(人種差別主義者)帰れ!」と連呼。講演会への参加者を見つけては取り囲み、押し返した。
 ヘイトスピーチを許さないかわさき市民ネットワークは次のように訴えている。
 「五月一六日の川崎市長定例記者会見では、瀬戸弘幸氏の一連の行動と六月三日の講演会告知に対し、現時点で『行動要件』『迷惑要件』いずれにも該当しないという見解が示されました。川崎市長の『言動要件に当たらない』という判断は、瀬戸氏の過去の言動からして明らかに誤りです。誤りであるだけでなく、瀬戸氏は早速ブログで、自身の差別的言動が市長からお墨付きを得たと誇示し、人権被害が拡大しています」。
 「さらに、排外主義政策を掲げる極右団体『日本第一党』神奈川県本部は、講演会前日の六月二日に川崎駅前で排外主義的な差別政策を広めるための、街宣活動を行うと告知しました。日本第一党は瀬戸氏が最高顧問を務め、党首の桜井誠氏が『ヘイトスピーチ解消法と条例を作った人間を木から吊す』と在日コリアンの『虐殺宣言』を発するなど、政治団体を装った人種差別団体です」。
 「在日コリアン市民を恐怖させ、排斥する人権被害はすでに生じています。市長が現時点の判断を撤回し、改めない限り、人権被害は拡大するばかりです」。
 この間、川崎市では公園のベンチなどに、耐えられないような差別落書きが頻発してもいる。ヘイトはヘイトを生んでいる。絶対に許してはならない。

難民申請者の
権利のために


 アメリカやヨーロッパ・東欧で急速に進む移民や少数民族に対する追放・抑圧政策を掲げる極右の運動が影響力を増し、そうした勢力が政権を担うようになっている。イタリアとハンガリーでつい最近以下のように非常に反動的な政策が進められようとしている。
 「イタリアのマッテオ・サルビーニ内相は六月一八日、同国内に居住する少数民族ロマの人口調査を実施し、イタリア国籍がなければ国外追放する意向を明らかにした。サルビーニは反移民を掲げる極右政党『同盟』の党首。サルビーニは今月、地中海で救助されたアフリカ系を中心とする移民六三〇人あまりを乗せた船の入港を拒否して非難を浴びたが、今回のロマに関する発言に対しても抗議の声が上がっている」とAFPは伝えている。
 そして、ハンガリー議会は六月二〇日、不法移民を支援する個人に対し、刑事罰を科す法案を賛成多数で可決した。難民・移民に強硬姿勢を示すオルバン首相主導の新法で、難民申請の手続きを支援するNGO(非政府組織)職員らが逮捕される可能性がある。国連や人権団体は「難民申請者の権利」を奪いかねないとして批判している。
 日本国内で起きている排外主義政策は、国際的にも連動している。国際的な連帯を視野にいれて、排外主義政策、レイシスト行動を許さない闘いを。  (滝)

コラム

人間ドック考

 「もう一年経ったのか」と驚くのが毎年四月。憂うつな人間ドックの季節だからである。
 検査代金の高騰に加え、会社や健保組合で補助額の削減が続き、私の年代での自己負担は二万円近くに上がっている。それでも契約医療機関には社員の過去のデータが蓄積されており、そう考えると、ここで安易に止めるのも勇気がいる。今年はどうしようかと、申し込み直前まで悶々とするのである。
 三月ごろから左下腹部に痛みを感じつつ、忙しさにかまけて我慢してきた。持病の坐骨神経痛、血の混じる痔核のせいかと自己診断。「どうせドックを受けるから」と放置してきた。かかりつけの肛門科で軟膏を処方されても変わらない。結局今年も五月末に受診。先日、結果が郵送されてきた。
?腹囲=基準値越、一年後再検査。?肝機能=総ビリルビン高値、消化器内科で要精密検査。?膵機能=アミラーゼ軽高値、一年後再検査。?上部消化器=バレット食道、一年後まで経過観察。?眼科=網脈絡膜萎縮、治療継続。?腎のう胞=有所見支障なし。私の場合、毎年これらの項目が入れ替わり変動する。脂質代謝では、低すぎる中性脂肪が今回初めて適正範囲へ。一方で悪玉コレステロールが増加した。
 ただ「精密検査」と書かれても不安になる。ドックでは再検査までの費用を含まず、同機関なら改めて外来予約を取り、医師から直接説明を聞くしかない。この面倒な手続きに職場では不満の声が上がり、多くは地元のかかりつけ医に相談しているという。
 検査には「問診」という項目もあり、診察室で医師と対面する。定年後の再雇用なのか、契約医なのか。総じてやる気が感じられず、「どうしても心配なら医療機関を受診してください」などと笑えない冗談のようなことを平然と口にする。
 千葉大医学部付属病院は六月八日、過去五年間にCT画像のがん所見を見落とすなどのミスが、九件あったと発表した。治療開始が遅れた男女二人が死亡したという。いずれも専門医が担当部位のがんのみを診断し、他のがんを見逃した。女性は遅れた発見から二月後に死亡した。
 大病院ではさもありそうな情報共有の問題だが、本来治療で救えるはずの命を奪われた患者家族らの怒りや無念さは、想像に難くない。医師の過酷な労働実態もあろうが、それは免罪符にはならない。
 咽頭にステージ4のがんが見つかり、治療で休職中の同僚がいる。同がんではH同志も他界した。初期症状は二人に共通していた。定期的な検査で発見されたのではなく、自覚症状からの外来診察だった。
 企業との大口契約による利益優先の体制でいいのか。健康あっての階級闘争、市民運動である。今年こそ、検査結果を謙虚に問い直したい。(隆)


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