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    かけはし2018年7月16日号

国家による殺人制度廃止へ


「オウム」元幹部の死刑執行について

政治・社会を変革する民衆運動再生を

世界の潮流に逆行


 一九八九年一一月の坂本弁護士一家三人殺害事件、一九九四年六月の松本サリン事件、そして一九九五年三月の地下鉄サリン事件などで死刑判決が確定していた「オウム真理教」元代表の松本智津夫(麻原彰晃)ら同教団の元幹部七人が、七月七日に死刑を執行された。
 死刑制度の廃止を主張してきたわれわれは、今回の「劇場的」とも言うべき死刑執行のシナリオを厳しく糾弾する。しかも死刑執行された七人のうち、土谷正実を除く六人は、いずれも再審請求中だった。これで二〇一二年一二月に第二次安倍内閣が成立して以来、死刑を執行された元被告は二八人にのぼる。
 安倍政権によるハイペースの死刑執行は、改憲・「戦争国家」体制の強権的確立をめざす政治路線と結びついている。欧州・中南米をはじめとして世界の多くの国で死刑制度が廃止されている、あるいは死刑制度は存続しているものの、数十年間にわたって執行されていない国は二〇一六年で一四〇カ国という圧倒的多数に達している。今や死刑制度に固執している国はごく少数に過ぎない。
 この点から見ても、安倍政権の政策の反動的・反民主主義的・人権破壊という性格を明確に見て取ることができるのである。われわれは訴える。国家権力による殺人である死刑制度をただちに廃止せよ!

差別に抗し変革の道へ


 オウム真理教元幹部への大量死刑執行に反対するわれわれは、同時に、教祖・麻原の絶対的指令の下で行われた残虐きわまる計画的・無差別的な大量殺人を厳しく批判するとともに「オウム現象」の背景にある政治的・社会的・イデオロギー的動向の批判的解明を目指してきた。
 地下鉄サリン事件の直後、本紙の前身である週刊「世界革命」は編集長だった故・右島一郎(高島義一)同志の論文「“オウム現象”を生み出す荒廃した社会の変革を」を掲載した(「週刊 世界革命」一九九五年四月一〇日号、『右島一郎著作集 社会主義再生への途上で』つげ書房新社刊にも収録)。
 彼は、同論文の中で述べている。
 「『自分の生き方を見つけたい』『自分も何か社会に役立つことをしたい』という気持ちが、この荒廃した社会にあふれているからこそ、阪神大震災の“ボランティア現象”が生まれた。こうした気持ちとその解決の方向を『霊の世界』や『来世』や『修行』に託さざるを得ない状況を変えるにたる運動を、労働運動やエコロジー運動、女性運動、そして社会主義革命運動にたずさわってきた人々が作り出すことが求められている」。
 「特効薬はない。生活と権利を自らの闘いで守る労働運動、地球規模での環境破壊を食い止める具体的なエコロジー運動、女性差別や少数民族への差別と闘う具体的な運動、そうした社会のあり方そのものを変革していく大衆運動を広げ、自立した民衆自身による社会変革の闘いを広げることこそ、求められていることである」。
 事態は「オウム事件」に社会が揺れた二三年前よりもさらに大きく変化したように思われる。「オウムの破綻」は、政治的・社会的変革の希望そのものを忌避し、マイノリティー・弱者への攻撃、差別に大手をふって加わるような流れをも顕在化させている。
 だからこそわれわれは、あらゆる差別・レイシズムと闘う中から、批判を通じた希望と変革の灯を掲げ続け、次の世代に継承していかなければならない。(7月8日 純)


7.5

「森友・加計疑惑徹底追及

「逃げ切り」許すな安倍打倒

国会前で抗議のアピール


カジノ新法を
絶対通すな!
 七月五日午後六時半から、国会前で「森友・加計疑惑徹底追及」を掲げた定例の「木曜日行動」が五〇〇人の参加で行われた。主催は「戦争させない・憲法九条を壊すな」総がかり行動実行委員会。
 冒頭、この日の行動に参加した共産党の山添拓参院議員、社民党副党首の福島みずほ参院議員があいさつ。山添議員は、東京医大への不正入学をめぐる文科省の佐野前科学技術政策局長による受託収賄事件や、日本原電東海第二原発再稼働を原子力規制委員会が「新規制基準を満たす」として認めたことを厳しく批判。さらに「高度プロフェッショナル制度」をめぐって「経済成長のために命を落とすことなど許されるものではない」と批判した。
 福島議員は「カジノ推進法」にふれて「高度プロフェッショナル制度もバクチ場を三カ所作るという法律すべても外資系大企業のイニシアティブで進められている」と批判した。
 立憲民主党の生方幸夫衆院議員は、文部官僚による汚職事件に「空いた口がふさがらない」と批判した。
 主催者を代表して戦争させない1000人委員会の福山真劫さんは、9条改憲、国家権力の私物化とウソの政治、中国・朝鮮の脅威をあおる軍事大国化、アベノミクスがもたらす貧困を上げて、安倍政権の打倒への共同行動の前進を呼びかけた。
 安保法制違憲訴訟の会からは、全国二四カ所の裁判所で七〇〇〇人以上が原告となって訴訟が進められている、と報告。しかし東京地裁では今年の五月に三人の裁判官全員が変わるという異例の措置が取られたことで、それがどのような影響をもたらすのか注意が必要、と指摘した。
 さらに辺野古土砂搬出反対!首都圏グループから、七月二五日に沖縄から北上田毅さんを呼んで行われる集会(午後一時、全水道会館)の呼びかけが行われた。また新宿区が新宿駅に近い柏木公園をデモのスタート場所として使わせない決定をしようとしていることへの抗議も呼びかけられた。
 闘いを着実に広げ、安倍政権を追い詰め、退陣を実現する行動を作り出そう。          (K)

6.29

南西諸島への自衛隊配備反対

再び沖縄を捨て石にするな

小西誠さんが講演

 

 【大阪】六月二九日、関西・沖縄戦を考える会の総会の後、小西誠さん(元・反戦自衛官、軍事ジャーナリスト)が『再び沖縄を捨て石にする南西諸島への自衛隊配備』と題して講演をした。
 まず私的な感想だが、沖縄は米軍基地の島という印象が先にあるため、正直に言って自衛隊のことはよく知らなかった。そのように思っているからなおのこと、小西さんの講演に衝撃を受けた。もっとも、講演に出てくる話は最近のものだと思う。講演ではたくさんの映像を使って、現地の基地や建設中の基地の様子が説明されたが、ここでは大雑把な報告になることをあらかじめ断っておきたい。地元で展開されているであろう反対運動については、残念だがきちんと伝えられない。話を聞いて、辺野古基地建設との関連を強く感じた。

南西諸島への
自衛隊配備強化
与那国島には、二〇一六年沿岸監視隊が一六〇人、それと三カ所に基地が出来ており、航空自衛隊移動警戒隊五〇人が配備されている。ミサイル攻撃を防ぐために移動式になっているという。
石垣島には、一九年度以降約六〇〇人規模の警備部隊とミサイル部隊を配備することになっている。二〇一七年平得大俣地区に通知されたという。市長が今まで避けてきた住民説明会が開かれたが、低調だった。 
宮古島には、一九年度以降に八〇〇人規模の警備部隊とミサイル部隊を配備、さらにミサイル指揮統制部隊約二〇〇人を配備する。千代田カントリー地区のレーダーは居住地を向いていて、強烈な電波障害をもたらすことが心配されている。巨大な弾薬庫がある。
奄美大島には、二〇一八年度末までに警備部隊とミサイル(対空・対艦)部隊二カ所五五〇人規模で配備。また、航空自衛隊移動警戒隊を五〇人配備する。さらに、奄美大島は事前集積拠点となっており、南西諸島での戦闘のために必要とされる全ての物資を集積する計画だ。いわゆる兵站基地である。瀬戸内町節子地区などでは、市街地で訓練が行われている。
また、離島間を飛ばす超高速滑空弾が開発されている。
沖縄本島では、陸上自衛隊第一五混成団が旅団に昇格(二〇一〇年)して、現在二二〇〇人に増強。航空自衛隊は第九航空団に昇格。F15を四〇機、早期警戒機E2Cを四機体制に。南西航空混成団は南西航空方面隊に昇格し、一〇〇〇人増強。海上自衛隊は潜水艦部隊の増強(一六隻から二二隻に)。護衛艦四七隻から五四隻に、一個護衛隊の増強。イージス艦六隻から八隻体制へ。
沖縄本島の自衛隊は、六三〇〇人(二〇一〇年)から、八〇五〇人(二〇一六年)に増強し、中でも航空自衛隊が大きく増強されている。

九州・佐世保に日
本型海兵隊が配備
陸上自衛隊相浦駐屯地の西部方面普通科連隊(現在六六〇人)に、三〇〇〇人の水陸機動団の編成と旅団への昇格。オスプレイ一七機の導入、水陸両用車五二両の配備。
三個連隊の編成のうち一個連隊は今年度中に相浦に配備、三個連隊はキャンプハンセン、一個中隊がキャンプシュワブにという計画だ(統幕「日米の『動的防衛協力』について」)。
整理をすると
米軍基地訓練場全ての日米共同使用による露骨な「対中戦略」の打ち出しとそのための最初の南西シフト体制が策定されたということだ。

「島しょ防衛」と
対中国軍事作戦
二〇一〇年のQDR(米国の四年ごとの国防計画の見直し)で、導入された対中国封じ込め戦略で、日本の『動的防衛協力』に反映され、南西シフトが策定された。
島嶼防衛戦は限定海洋戦で、日米ガイドラインにある。在日・在沖米軍はグアム以西に撤退し、限定戦の主体は自衛隊だ。琉球弧で中国を東シナ海に封じ込める。冷戦後日本は北方重視から南西重視に全面的に転換した。言葉を変えれば、新冷戦ということになる。安倍首相は、英文の「インド太平洋戦略」を発表した。これは、米国のシンクタンクにつくらせて発表したもので、中国封じ込め戦略だが、あまり注目されなかった。
中国の軍事的優位はなんと言ってもミサイル網だ。だから、米軍も一旦撤退し、初めは日本に戦闘させて、様子を見て後で出て行くという戦略だ。島嶼防衛戦は、沖縄戦がそうであったように住民混在の防衛戦であり、自衛隊の研究文書のすべてが住民避難は困難だと分析している。
この限定海洋戦争は、限定的局地戦争だが、繰り返されるたびに本土を巻き込む戦争に拡大する。つまり、沖縄戦がそうであったように、限定海洋戦争は周辺地域沖縄を捨て石にする戦争だ。もともと琉球弧全体は、沖縄戦以前は非武装地帯であった。ものすごい変わり様だ。
別の視点から見ると、中国の東沿岸、韓国、日本には一〇〇発を超える原発があるから、そもそも戦争など無理なのだ。撃てば何発かは原発に必ず命中する。攻撃するのに核は必要ではない。先進国間の戦争はやろうとしても無理だ。だから、戦場は発展途上地域にならざるを得ない。産軍共同体のための軍拡には、対北朝鮮では規模が小さい。対中国でなくてはダメだ。そのようにして南西戦争が構想されている。米中は本格的な戦争はしない。戦争を輸出していく。この戦略に日本が繰り込まれていく。でも、今だったらまだ止められる。メディアは南西諸島の状況を取り上げない。安倍政権もメディアを挑発しないように、中国を刺激しないように、基地建設を粛々と進めている。日本の右翼はよく知っている。彼らの関係の軍事雑誌を見ているから。毎日・朝日はほとんど取り上げないから、左翼・革新系は知らないということで、ねじれ現象が起きている。          (T・T)

 



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