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    かけはし2018年8月6日号

安倍の「逃げ切り」を許すな


第196通常国会の閉会

ウソとごまかしの正体を暴き出せ


「森友・加計」は
首相の犯罪!
 七月二〇日、カジノ法(統合リゾート実施法)が参院本会議で、自民、公明の与党と、今国会で事実上の与党という性格をいっそう鮮明にした日本維新の会の賛成によって成立し、一カ月会期を延長した第一九六通常国会は閉会となった。
 今通常国会では、冒頭から最重要法案とされた「働き方改革」法案のデータ偽造が明るみに出され、その本質が「過労死促進法案」であることが明らかになった。さらに「森友・加計」疑惑という安倍首相・明恵夫人がらみのスキャンダルが、財務省トップに関わる新たな事実――「決裁文書」の改ざん、関係者の自殺、関係者や愛媛県知事の証言――を含めて再燃するに及んで、安倍政権は決定的に追い詰められることになった。安倍政権の支持率は三〇%を切るところにまで大幅ダウンし、不支持が過半数を超えた。とりわけ、財務省トップのテレビ朝日記者へのセクハラスキャンダルともあいまって、安倍政権は重大な危機を迎えることになった。
 佐川元財務省理財局長の証人喚問・追及をなんとか乗り切った安倍政権は、愛媛県知事による「加計学園」獣医科大学新設をめぐる「首相案件」の暴露によっても、新たな危機に直面することになった。昨年の首相答弁の中での、「加計学園」による獣医科大学認可申請を知った時期に関わる虚偽が明らかになってしまったのである。

民衆が押し上げ
た「野党共闘」
「働き方改革」法案問題に関しては、過労死で夫や子どもの生命を奪われた「家族会」の人びとの切実な訴えが世論を大きく動かした。安倍政権は、「働き方改革」のデータのウソを認めざるをえなくなった。国会周辺では連日のように「森友・加計」疑惑・首相の犯罪徹底究明、過労死促進の「働き方改革法案」撤回を求める訴えがとどろいた。
この運動は、沖縄における辺野古新基地建設反対の闘いとともに安倍政権への労働者・市民の怒りを表現するものであった。この闘いの中で、自民・公明の与党、そして「準与党」としての性格をより鮮明にした日本維新の会に対する立憲民主(衆院での野党第一党)、国民民主(参院での野党第一党)、共産、自由、社民、「沖縄の風」などの野党の共闘を支えたのは、何よりも安倍政権への労働者・市民の怒りであった。
それはまた沖縄の辺野古新基地建設に反対する県民の運動との結合を意識した行動であり、安倍改憲に危機感を抱き、九条改憲を阻止しようとする運動のベースになるものであり、福島原発事故を忘れず、「原発ゼロ」をめざす運動と重なり合っている。
しかし同時に、「森友」問題での文書改ざんが明白になり、不支持率が過半数を超えるに至った世論状況の中で、安倍政権をさらに追い詰める運動のダイナミズムを、どのように創り出すべきであったかをいま改めて論議すべきだろう。二〇一五年の戦争法案に反対する運動のダイナミズムを、安倍政権が進める二〇一九年改憲を阻止する闘いとして再生することが何よりも問われているからである。
「国民投票」で「改憲NO」を勝ち取るためには、反対のうねりをさまざまな闘いの現場でこそ広げていかなければならない。

改憲許さない
闘いのうねり
いま通常国会を終えて、改めて沖縄、原発、そして憲法をめぐる攻防が、自民党総裁選とからんで焦点となっている。九月に予定されている自民党大会では三選をめざす安倍首相のほかに石破茂元幹事長、岸田文雄政調会長、野田聖子総務相らの立候補が取りざたされているが、そこでは自民党の党是である憲法改悪の実現が最大のテーマになることは確かであり、メディアで報じられている候補者の中でニュアンスの差はあれ「改憲慎重」論は見出されない。
安倍自民党政権は九月の自民党大会を経て、改憲案を最終的に確定し、天皇「代替わり」と二〇二〇年東京五輪のスケジュールを勘案しながら二〇一九年改憲に向かって突き進もうとしている。
二〇一八年から二〇一九年に至る改憲阻止の政治的プロセスとそれに対決する運動は、言うまでもなく「自民党改憲案」確定と、「改憲国民投票」に向かう全政治過程との正面からの闘いであり、同時にそれは安倍政権に対するあらゆる社会的領域・課題との闘いを掘り起こすことによってのみ可能となる。
すなわち狭い意味での「改憲イシュー」をめぐる攻防ではなく、沖縄をはじめとする反戦・反基地の諸課題、労働者・農漁民の生活と権利のための闘い、女性の権利、反差別・平等、反原発・エコロジーなど、あらゆる領域での社会的運動に支えられてこそ、改憲攻撃との闘いを広げていくことが可能となる。
安倍改憲を阻止する闘いは、こうして「憲法九条改悪」に反対し、国民投票での過半数をもって改憲案を葬り去ることを目標とするものだが、同時にそれはこれからの社会と政治のあり方、アジアと世界の現実、住民の権利、差別の撤廃、「自由と平等」、連帯などについて論議をかわし、主張する大きな機会にしていかなければならない。
安倍改憲を絶対に阻止しよう!東アジアと世界の平和と連帯、人権と性の平等、エコロジー、貧困からの解放をめざし、反資本主義左翼のための新しい挑戦を、安倍改憲阻止のための闘いの中で切り拓こう。 (純)

7.6

オウム真理教13人の死刑執行糾弾

恐怖と服従強制する国家犯罪だ

権力による殺人制度の廃止へ


「大逆事件」を
上回る規模で
 七月六日のオウム真理教の教祖・松本智津夫(麻原彰晃)をはじめとする元オウム真理教幹部七人の死刑執行に続き、七月二六日にも残る六人(宮前[旧姓岡崎]一明、横山真人、端本悟、小池[旧姓林]康男、豊田亨、広瀬健一)の死刑が執行された。わずか三週間のうちに一三人の死刑を執行する、というかつてない事態である。その数は幸徳秋水らが処刑された「大逆事件」の一二人を上回る。しかも今回死刑執行された六人のうち四人(豊田、小池、広瀬、横山)は第一回目の再審請求中だったのである。
 死刑制度を廃止、あるいは長期にわたって死刑執行を行っていない国は、全世界で一四〇カ国以上という圧倒的多数に上り、現在も死刑という残虐きわまる「見せしめ」の制度を維持している国はきわめて少数にとどまっている。死刑制度の存否は、まさに民主主義と人権のバロメーターといっても過言ではない。オウム事件一三人の死刑執行は、人権破壊の改憲・戦争国家体制構築と軌を一にしている。
 安倍内閣は第一次内閣の時期を含めて四四人の死刑を執行した、過去最多の「死刑執行内閣」であり、また上川陽子法相は、計一六人という過去最多の死刑を執行した法相となった。
 本紙七月一六日号でも述べたように、われわれは国家による殺人としての死刑制度をただちに廃止することをあらためて強く訴える。言うまでもなくこうした立場は、オウム真理教の犯罪を全体的に究明し、その責任を厳しく追及することと一体のものである。

再審請求無視
した国家権力
七月二六日に行われたオウム事件確定死刑囚六人の死刑執行の翌二七日、東京・文京区民センターで、「死刑執行に抗議する集会――上川陽子法務大臣の一三人の死刑執行を糾弾する」が行われた(主催:死刑廃止国際条約の批准を求めるフォーラム90、公益法人アムネスティ・インターナショナル日本、NPO法人監獄人権センター、「死刑を止めよう」宗教者ネットワーク)。
集会は、事前に準備されていたものだったが、六人の死刑執行の翌日ということもあり多くの人々が怒りと悲しみをこめて駆け付けた。
司会をつとめたインパクト出版会の深田卓さんは、「二〇日間に一三人もの死刑を執行した今回の事態は新しい段階を画するものだ。昨日、死刑執行された六人のうち四人が、第一回目の再審請求中であり、一回目の執行でも一人が再審請求中だった」とその不当性を厳しく糾弾した。
死刑廃止運動の先頭に立ってきた安田好弘弁護士は次のように訴えた。
「再審請求を進めている中での死刑執行だった。この間、死刑執行中止命令を出せという裁判を準備し、法務省に出願していたが一貫して拒否された。執行された一人は、再審請求を出したばかりだった。再審請求中の死刑執行は本来できないはずだ。法律の規定が変わらない限り、解釈で執行してはならない。これは裁判権に対する侵害だ。法律の規定をことごとく無視したものだ。大逆事件の死刑執行は一二人、今回は一三人。死刑状況は一〇〇年前に戻ってしまった」。「死刑執行を一人でも減らしていくことが重要だ。一歩ずつこの状況を変えていこう」。

死刑廃止に向け
た世論喚起を
河合匡秀弁護士は、端本悟さんの上告審の弁護人として再審請求中だった。「彼は、さまざまな偶然の重なりで坂本弁護士殺害事件と関わることになってしまった。未解明の部分を明らかにし、今後の教訓にしてほしかった」と語った。
堀和幸弁護士(新実智光さんの弁護人)は「一〇日前に面会したところだった。死刑は国家による犯罪であると実感している。国家はなぜ死刑になった人々の遺族に謝罪しないのか。これからも死刑廃止のために頑張りたい」と語った。
堀井準弁護士(遠藤誠一さんの再審弁護人)は「再審請求が却下され即時抗告中だった。卑劣な人間がこの国の政治を動かしている」と怒りをあらわにした。伊達俊二弁護士は井上嘉浩さんの再審請求手続きの経過について報告した。
「昨年一〇月に再審請求を行い、五月八日に第一回進行協議、七月三日には第二回進行協議を行った。そして八月六日に第三回進行協議を予定していた。井上嘉浩さんは一審の無期懲役が、二審では死刑判決となった。彼はえん罪による死刑執行だ。遺族による再審請求を進めようとしている」。
監獄人権センターの海渡雄一弁護士は「再審請求中での死刑判決に大きなショックを受けた。一度目の再審請求中の死刑執行は例がないのではないか。一〇人のうち六人が第一次の再審請求中だったのに」とその不当性を強調した。「オウム家族の会」の永田英子さんは一割にも満たない信者家族で構成している署名活動について報告。映画監督の森達也さんは「処刑された一三人のうち六人と面会してきた。この人には生きる価値はないという思想を問題にしなければならない。情報公開を請求しよう。そして議論を進めよう」と呼びかけた。
最後に司会の深田卓さんが「一回死刑判決が確定したら、それを覆せないというあり方を変えなければならない」と呼びかけ、この日の集会をしめくくった。
死刑制度の廃止のために共に議論し、行動しよう。(K)


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