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    かけはし2018年8月27日号

ヒロシマ平和へのつどい2018


8.5〜8.6

朝鮮戦争終結

9条を生かす時代へ


朝鮮半島の平和
を逆行させるな
被爆七三年の八月六日の前日八月五日、広島市中区の袋町小学校の建物で、「8・6ヒロシマ平和へのつどい2018 朝鮮戦争終結! 9条を生かす時代へ」が開催された。
最初に司会者から、ちょうど一カ月前から続く西日本豪雨被災の中で八月六日を迎えたことが訴えられた。そして、例年の「ヒロシマから」に代わって、京都の被爆者、米澤鉄志さんからの発言を受けた。
米澤さんは、小学五年生の時、爆心から七五〇メートルの広電の満員電車の中で被爆した。被爆の惨状、戦後の反戦平和運動の一貫した歩みについては、この六月一五日に出版された「原爆の世紀を生きて―爆心地からの出発―」に詳しく書かれており、広島の運動に関わろうとするすべての人に是非読んでいただきたい内容だ。
その米澤さんは、「安倍政権の支持率が三〇%もあるのが信じられない。戦後史上最悪の政権を必ず倒さなければならない。朝鮮半島の平和への大きな動きがある。自民党は日本民族主義を煽っている。明治から一五〇年続くアジア蔑視、日本の加害責任を追及し、戦争責任を意識した謝罪の表明である憲法9条を守らねばならない」と発言した。
次に、主催者代表の田中利幸さんから韓国の金鐘哲さんの紹介があり、記念講演を受け、質疑討論した。(講演要旨は紙面の関係で次号に掲載)

武藤類子さんが
語る福島の現状
第二部の司会は、福島原発告訴団・中四国事務局の大月純子さん。
最初に、原水禁大会のゲストとして来広していた福島原発告訴団団長の武藤類子さんが福島の現状について次のように発言した。
福島第一原発の四基で一日、五千人の労働者が過酷な被曝労働に従事している。人が近づくことができない場所もある。汚染水は千トンのタンクが八百基以上あり増え続けている。原子力規制委員会は、海に流すことが唯一の方法と主張し漁民、住民は反対している。
除染によって出た放射性廃棄物一トン入りのフレコンバックが県内に二千二百万個あり、中間貯蔵施設への運び込みは数パーセントに過ぎない。街の中の仮置き場、学校の校庭、公園、家庭の庭に埋められている。環境省は再利用を考えており、それを阻止している。
避難区域がどんどん解除され進められている帰還政策によって、困難な生活に追い込まれている。賠償や無償住宅提供の打ち切り。災害関連死の方は二千二百人いる。うち自殺者は百人もいて増えている。
モニタリングポストは事故後三千台あった。原子力規制員会は、二千四百台を撤去すると決めた。小さい子どもを持つ親が自治体に反対の意見を出している。
甲状腺がん及びがんの疑いがある方が二百九人いる。さらに検査漏れの方もいる。これは事故前の数十倍。唯一の健康被害調査とも言える、この検査を縮小する動きがある。
原発事故から七年以上が経つが問題は山積みにされ時間と共に連鎖的に人権が侵害されている。被害者の疲れ、諦め、分断につけ込むように、現在は放射能の安全神話が教育を通して広められている。
最後に、東京電力福島原発事故刑事裁判への注目と、いっそうの支援の訴えをされた。

沖縄から安次富
浩さんが発言
次に、沖縄・名護市のヘリ基地反対協共同代表の安次富浩さんが次のように発言した。
七月二七日、ついに翁長知事が辺野古埋め立て承認撤回を表明した。
週明けに防衛局の意見を聞き取る「聴聞」の期日を通知する。通知から二週間後をめどに聴聞を実施する段取りに対して、国は九月三日まで聴聞を延期してほしいと要請。八月中の土砂投入という既成事実を作ろうとしている。
翁長知事の記者会見での主張は以下の四点。@埋め立て承認の「留意事項」にある沖縄県と国の環境保全策などの事前協議が行われていないこと。A大浦湾側の軟弱地盤や活断層の存在。B新基地建設された場合に周囲の建物が米国防総省の軍用機の高さ制限に抵触すること。C稲田朋美元防衛相の「固定翼機が新基地を利用するには滑走路が短いため、別の民間空港などの使用の日米協議が整わなければ普天間飛行場が返還されない」との発言を問題視した。
勝てると思っていた名護市長選挙での敗北の要因は、第一に公明党・創価学会に切り崩された点。第二に政府の総がかり攻勢。閣僚級は街頭に姿を現さず企業回り。街頭には小泉進次郎を投入。
翁長知事の「埋め立て承認撤回」をバネに九月地方選挙を闘う。名護市議選で野党多数を維持し、一〇月那覇市長選で城間市長の再選を勝ち取り、八月一一日の県民大会を成功させ、県民投票も成功させ、知事選の勝利で展望を切り開く。東アジアの平和を創るために沖縄の闘いが必要だ。沖縄、韓国、東アジアから米軍基地を撤去させる。

強化される米軍
岩国基地の現状
次に、岩国からの報告を田村順玄岩国市議が発言した。
この広島からわずか四〇キロの岩国に極東最大級の米軍基地が存在している実態を告発したい。三月三〇日に神奈川の原子力空母ロナルド・レーガンの艦載機六〇機が岩国にやってきた。米海兵隊部隊に米海軍部隊が加わった。一三万人の人口の岩国市に米軍兵士・家族・軍属一万二〇〇人。自衛隊機を含めて軍用機一六〇機という基地になった。四月五月ものすごい爆音が岩国を襲い市民もたたき起こされた。
二〇一七年四月と二〇一八年四月の離発着の状態を調査したら、一三回と四三五回の差が出た。三三倍飛んだ!こういうデータが必要だ。
市民による苦情の声が行政に殺到した。五〇九六回。岩国基地はハブ基地の様相を呈している。沖縄や三沢から飛来している。岩国基地強化が米政府、日本政府の考えだ。岩国基地の監視を戸村良人さんが行っているが、年間三一一日監視行動をしている。
人口一三万人で八〇二億円の市一般会計予算。防衛関連、米軍再編予算で市民が買収されている。今年一〇月、四期務めた市議を引退する。今後も岩国に来ていただく際には声をかけてほしい。

栗原貞子さん
の詩を朗読
ピースサイクル全国ネットワークを代表して、新田秀樹さんが翌日八月六日の行動提起を行った。「市民による平和宣言2018」が提案され採択された。
主催者の田中利幸さんが閉会挨拶の代わりに栗原貞子さんの詩「崩れぬ壁はない――三六年と四六年――」を朗読した。一八〇人の結集であった。
被爆七三年の八月六日朝七時から、原爆ドーム前、本安橋、本川橋で「市民による平和宣言2018」と「第九条の会ヒロシマ」による朝日新聞意見広告を配布した。七時四五分から「グラウンド・ゼロのつどい」を開催し、上関原発に反対している有機農家の岡田和樹さん、京都の被爆者、米澤鉄志さん、ピースサイクル全国ネットの小田諭さん、沖縄の安次富浩さん、たんぽぽ舎、関西共同行動の星川洋史さん、湯浅一郎さんが発言した。原爆殺戮攻撃のあった八時一五分から、追悼と抗議のダイイン行動を行った。その後、中国電力本社までデモ行進し「日朝国交正常化交渉を日本政府は行え」「中国電力は島根原発を動かすな」「反戦反核・安倍政権打倒」と訴えた。中国電力本社前では一時間の脱原発座り込みを行い、木原省治さん(原発はごめんだヒロシマ市民の会)の進行で全国各地からの発言を受けた。最後にシュプレヒコールを行い早朝からの行動を終えた。その後、米軍岩国基地コースと原民喜「夏の花」を歩くコースに分かれてフィールドワークを行った。次は、被爆七三年の長崎の行動に向かう。(久野成章)

8.12

日本軍「慰安婦」メモリアルデー

「金学順さんから始まった
#Me Too」テーマに


 八月一二日、東京の文京区民センターで「日本軍『慰安婦』メモリアルデー in TOKYO金学順さんから始まった #Me too」をテーマにして集会が行われた。一九九一年、金学順(キム・ハクスン)ハルモニが公開記者会見で、自分は日本軍「慰安婦」だったことを記者会見で明らかにし、日本軍「慰安婦」として「性奴隷」とされた朝鮮人ハルモニたちの訴えが広く知られるようになったことを歴史に刻み込むために、この日がメモリアルデーとなっていった。今年の集会には二六〇人が集まった。
 金学順さんの自らの尊厳を取り戻すための訴えは、韓国、フィリピン、台湾、中国、朝鮮、インドネシア、東ティモール、マレーシア、オランダへと広まった。それこそ昨年、女性たちの差別・暴力・人間としての尊厳破壊への告発である「#Me Too」と全く同じ、筆舌に尽くせぬ苦しみの中からの自己回復としての闘いだったといえるだろう。
 集会の冒頭に梁澄子(ヤン・チンジュ)さんが「金学順ハルモニの闘いこそ、昨年大きく世界中に広がった女性たちの『#Me Too』運動のさきがけといえるものだった」と訴えた。まさにMe Tooの運動がWith Youの運動になっていったそのダイナミズムは、この「元日本軍慰安婦」たちの歴史的告発と自己回復の中に、はっきりと表現されていたのである。

非難の対象と
される被害者
次にジャーナリストの川田文子さんが「なぜ日本人『慰安婦』は名のり出なかったのか」と題して報告。
川田さんは日本人「軍隊慰安婦」としての痛切な経験を背負った「タミさん」が、さまざまな苦しみと葛藤の中で、「静かに暮らしたい」と公表を断ったことを述べながら、「慰安婦は公娼」「慰安婦は商行為」という自民党政治家や右派メディアのキャンペーンの中で「沈黙」を強制されてきた構造を「家父長制度と公娼制度」「国家としての女性の分断」「『醜業』という公用語」に言及しながら説明した。
さらに「『#Me Too』を考える」と題して、弁護士の角田由紀子さんが講演した。角田さんはセクハラ事件をきっかけにアメリカから始まったこの運動が、ヨーロッパ、インド、韓国などにも広がっていった経過を説明した。角田さんはさらに「日本でMe Too運動が拡がらないのはなぜか」と問い返した。
「被害者は支援や保護の対象ではなく、非難の対象であり、名乗り出ることには何の得もない実態がある。そのことは伊藤詩織さん(安倍首相に近いジャーナリストに性暴力を受けたが、逆に非難の対象にされた)に起きたし、今も起きている。財務省高官のジャーナリストへの女性差別行為でもそれが明白になった。被害者が非難の対象になるのは日本の司法の責任が大きい」と角田さんは指摘した。さらに彼女は、「暴力は、支配・被支配の力関係の差が生み出し、許容する。その関係は、政治、経済、教育等社会のあらゆる面での女性の地位、あるいは位置が決定している。二〇一七年世界経済フォーラムで日本の男女平等度は一四四カ国中一一四位であり、年々下降している」と説明した。

隠蔽と否定の
圧力はね返せ
幾つかの質疑応答の後、「第六回8・14日本軍「慰安婦」メモリアル・デー〜金学順さんから始まった「#Me Too」〜アピールが確認された。
「戦時性暴力は現在なお世界の紛争地で繰り返されており、多くの女性や少女たちが犠牲となっています。また、現代社会におけるさまざまな形態の女性差別と性暴力に苦しむ女性たちの存在からも、目をそむけるわけにはいきません」「『慰安婦』問題を否定し、被害者を侮辱することをためらわない社会は、性暴力被害者に責任を押し付け、沈黙を強いる二次被害を与えます。女性への性暴力は、個人の人権侵害問題にとどまらず、国家や社会のあり様が問われている問題なのです」。
「日本軍『慰安婦』」問題を隠蔽・否定し、繰り返される女性差別・性暴力を隠蔽・許容する圧力をはねかえす闘いを共に担おう。          (K)


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