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    かけはし2018年9月3日号

わき上がる差別への怒り


東京医大の女性差別・不正入試

許しがたい日本社会の現実

実態をえぐり出し徹底批判を

変えるべきは男性社会だ


女性受験者の一律減点

 八月二日の夕刊各紙は、東京医大が女子受験生の点数を一律で減点するなどの女性差別・不正入試を行っていたことを報道した。東京医大は文科省の佐野太(前科学技術・学術政策局長)から私立大支援事業を通して補助金を獲得する見返りとして、今年二月の入試で佐野の息子を不正入学させていたことが発覚していた。この事件では佐野太が受託収賄罪で、東京医大の臼井正彦(前理事長)と鈴木衛(前学長)が贈賄罪でそれぞれ起訴されている。今回の女性差別・不正入試の事実は、この事件で押収された捜索物調査を通して明らかになったのであった。
後日に公表された東京医大の内部調査委員会の報告書(直近の二年分のみ)によると、一〇〇点満点の小論文でそれぞれの点数に一律〇・八を掛けた上で、現役から二浪までの男子に二〇点を加点し、三浪男子に一〇点を加点、女子と四浪以上の男子は加点なしという不正操作をしていた。また中には四〇点加点されている者もおり、裏口入学の実態も明らかになってきた。さらに同大学関係者からは、マークシート方式の一次試験で女子の点数を一律に減点したという証言も出てきているようだ。

「氷山の一角」に過ぎない

 しかし東京医大の女性差別・不正入試と裏口入学は「氷山の一角」にすぎないのである。全国で医学部医学科は八一大学(うち私立大は三一大学)あり、東京女子医大を除く私立大学三〇大学のうち一三大学が最新の受験者と合格者の男女比を公表している。
それによると東京医大は受験者に占める女子の割合は三九%で、合格者に占める女子の割合は一八%であり、女子の合格率が極めて低く抑えられている実態がわかる。他大学でも聖マリアンナ医大は同比率が四四%対二三%、日大は三七%対二一%、慶応大は二六%対一九%、久留米大は三二%対二五%と女子の合格率が低い。これとは逆に金沢医大が三五%対四五%、杏林大が三九%対四六%で女子の合格率が高い大学もある。
文科省は八月一〇日付で医学部医学科を置く国公私立大学学長宛に「医学部医学科の入学者選抜における公正確保等に係る緊急調査について」というアンケート調査を依頼した(提出期限は八月二四日)。しかし「うちの大学でも女性差別をしています。裏口入学をしています」と正直に回答するわけがない。すでに不正の「証拠」は処分されるか、わからないところに移されていることだろう。

男性優遇の実態

 八月一〇日、参議院議員会館で東京医科大学入試女性差別に抗議する緊急院内集会実行委員会が主催する集会が開かれた。「#私たちは女性差別に怒っている」という呼びかけ文では、「この事件は日本社会がとてつもない女性差別社会であり、男性を優遇する社会であることを、白日のもとにさらしました。教育の機会均等を定めた憲法違反でもあるし、教育基本法違反でもあるという犯罪的な行為です。私たちは、ここで、怒らなくては。ここで、この男性優遇の社会を変えなければ」「妊娠や出産で仕事を辞めざるを得ない社会が変わるべき!長時間の過重労働を許さない仕組みが必要です!」と訴える。
緊急院内集会では急きょ結成された「東京医大等入試差別問題当事者と支援者の会」(代表 北原みのり)が前日に文科省と東京医大に提出した「要望書」が配布された。文科省に宛てたものでは「憲法一四条性別による差別の禁止、二六条一項の教育を受ける権利、二二条一項の職業選択の自由に違反する重大な問題・・・教育の機会均等を定めた教育基本法第四条一項にも抵触する、わが国の教育行政の根幹を揺るがす重大事件である」として、一五項目の要望を行っている。
また東京医大に宛てたものでは「被害者を救済するためにも実態を明らかにし、点数開示、追加合格者の認定、受験料の返還その他、適切な対応を早急に行う必要がある」として、七項目の要望を行っている。
集会には社民・共産・立憲民主党から五人の女性議員、弁護士や大学教授、メディアで働く女性らも参加してそれぞれ発言した。全体として一〇〇人くらいが参加していたようだ。出席した文科省の担当者に「要望書」が渡され、担当者は「医大アンケート」について説明した。しかしそこで問題になったのは「性別や年齢による取扱いの差異について『募集要項等で周知していましたか』」という部分だった。「募集要項に男女別の定員数を書けば女性差別は許されるのか」「男女枠の目的自身が女性を減らそうとするものではないのか」。文科省の担当者はまともに返答できない。また「地域枠」も本人の自由を拘束するという問題があるという指摘もあった。
厚労省の担当者は「医療機関の問題について改革できないか緊急対処しようとしている。一〇月以降に働き方について検討していく予定だ」と報告した。しかし検討会の人員に関する質問で「全体二二人のうち女性は七人で女性医師は二人」という内容に会場からため息が漏れた。続いて内閣府の担当者からも報告を受けたが時間切れとなった。

当事者能力欠く官僚機構

 財務省の不祥事に続いて現在、文科省の官僚機構もガタガタになっている。昨年一月に「組織的な天下りに関与した」として、前川喜平事務次官が引責辞任している。そして佐野太局長が息子の不正合格と東京医大への補助金をめぐる受託収賄罪で逮捕・起訴された。さらに八月一五日には「JAXAをめぐる汚職事件」で、川端和明国際統括官が収賄罪で起訴された。この事件をめぐっては起訴された川端に限らず、戸谷一夫事務次官ら複数の文科省幹部も関係していることが明らかになっている。はたしてこうした不祥事続きの文科省に、東京医大の女性差別・不正入試事件を克服していくための当事者能力があるのか疑わしい。
フランス医師会評議会の一五年の調査によると、医師の数は四〇歳代で男女比で女性が多くなり、四〇歳以下では女性の割合が六〇%になる。過酷な労働環境は日本と同じとする韓国でも、ソウル大医学部の男女比は一四年以降の入学者はほぼ同数だ。
新聞紙上でもコラム欄などに多くの女性筆者からの声が上がっている。「子供を産まなきゃ国会議員から『生産性がない』と言われ、子供を産んだら産んだで労働生産性が低いと言われる社会って、いったい何?」。「これはそもそも男性の問題だ。……子供のいる医師の家事時間は男性が週三時間、女性が週三六時間という調査結果もある。……これは一つの大学の問題ではなく、日本の働き方の問題でもある」。「政治家が今しなければならないことは、少子高齢化がもたらす巨大な危機を最小限に抑えて日本を持続可能な国にすることだ。それをしないで差別に時間を費やす議員は、税金を無駄遣いしている」。「心筋梗塞で……女性患者は女医にかかった方が生存チャンスが高まる。……『内科では女性医師が治療した方が、男性医師より死亡率や再入院率が低い』……どちらも米国の調査だが、この国に限った特殊性とは思えない」(八月九〜一五日 毎日新聞から)。

差別集団が支持する政権

 入試をめぐってこそこそと行われてきた東京医大の女性差別・不正行為は、セクハラと同様に社会的弱者に向けられた許しがたい犯罪行為である。そしてそれは社会的弱者であるLGBTや障がい者、在日外国人や移住外国人などに向けられる差別と根は一体である。そして安倍政権は、こうした差別を容認・黙認する差別者集団から最も支持されているのである。
また今回の問題は、改めて賃金も含めた男女の働き方の問題を突き付けているのであり、出産・育児・保育・教育といった社会的な問題をどうすべきなのか男女に突き付けたのである。「ヘル(地獄)韓国」という言葉を聞いたことがあるだろうか。「ヘル日本」という言葉が聞こえてきそうだ。しかし韓国の民衆は数百万人のキャンドルデモで朴クネ政権を打倒した。われわれもそれに続かなければならないだろう。(高松竜二) 

8.16〜17

辺野古への土砂投入やめろ

防衛省前で全日行動

沖縄と直結する闘いを全国で

安倍政権の切り
崩し策動許すな
八月一六日から、辺野古現地での「土砂投入」を安倍政権は公言していた。この日から現地での行動と連帯し、辺野古の海を土砂で埋めるな!首都圏連絡会は午前八時からの防衛省前行動を行った。午前・午後の座り込み行動には七〇人が参加し、午後六時半からの防衛省前集会には一五〇人が参加した。政府は天候を理由に、この日の土砂投入を行わなかった。
翁長知事の死去を利用して、安倍政権は様々な手段で県民の反対の訴えを切り崩す策を弄している。
沖縄と共に闘う全国の人びとは、こういう時だからこそ沖縄の人びとと共に闘う意思を持続・強化し政府・防衛省に正面から「基地を作るな! 沖縄の声を聞け」の声を広げよう。

沖縄と結んで
日本を変える
八月一七日、前日に続いて辺野古の海を土砂で埋めるな!首都圏連絡会は、午前九時から辺野古現地の行動と連帯して防衛省正門前で、辺野古の海への土砂投入に反対する座り込み行動を行った。この日の東京の最高気温は平年より低い三〇℃。
安倍政権は、故翁長知事が行った埋め立て承認撤回を取り消しにすることを条件に、九月三〇日投票の県知事選まで「土砂投入を行わない」、との申し入れを行ったとのことである。しかし防衛省正門前に集まった労働者・市民・学生たちは、このようなごまかしをはねのけて、あくまで辺野古現地の行動に呼応し、新基地建設に反対する思いをつらぬいた。午前・午後の座り込み・アピール行動には六〇人が参加した。
午後六時半からの防衛省前集会には二一〇人が集まった。司会の仲間は、「土砂投入を県知事選まで先送りするから、県も承認撤回を先送りにしろ」という政府からの不当きわまる態度を厳しく批判した。
「総がかり行動」実行委員会の高田健さんは「北東アジアの平和への流れに逆行する安倍政権を許さない」と批判し、総がかり行動が呼びかける八月一九日国会前行動への参加を呼びかけた。名護現地から電話でアピールした安次富浩さんは、「沖縄だけでは変わらない。政権を変えよう! この国を変えよう」と熱烈に語りかけた。
参加者からは「島ぐるみ会議と神奈川を結ぶ会」、南部全労協などが発言し、沖縄とつながって闘い続ける意思を訴えた。  (K)


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