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    かけはし2018年9月3日号

軍に対する民主的統制、暴力機構解体が必要


手綱から放たれた国家権力 機務部のクーデター謀議は何を現したのか 

イム・ヨンヒョン(機関紙委員長)


  ろうそく革命が進展し、朴槿恵弾劾が出される局面の中で、軍事クーデターが計画されていたことが明らかになった。これを取り上げた社会変革労働者党。変革政治70号の記事である。(「かけしは」編集部)

 社会主義者たちは革命の夢をいつも胸の奥に抱いて生きている。同時にそれがただの夢に留まらないようにするために、万人が自由で平等な世の中を建設する運動を展開しようと努力する。
 これとは反対に、積弊勢力は、親衛クーデターを夢見る。彼らも自分の夢が無駄な妄想に終わらないように、時を探り彼我を分けながら、組織的な動きを図ってきたという事実が最近明らかになった。

 この7月はじめ軍人権センターが公開した「戦時戒厳及び合同捜査業務遂行案」文書(2017年3月の作成)は、合同捜査本部組織も、戒厳司令部組織図、および全国の兵力の投入計画などを具体的に盛り込んでいる。
この文書は、当時軍部がろうそく抗争を国家非常事態と規定して、大衆闘争をいかに粉砕しようとしたかを赤裸々に示している。もし文書に提示されたシナリオが実際に履行されているならどんな事が起きたか想像してみるだけでも残酷なものだ。

保守勢力の思惑は?


「展示戒厳及び合同捜査業務遂行案」文書は、軍部独裁政権の残滓である国軍機務司令部(以下「機務司」)で作成したことが確認された。
機務司を含めた軍部勢力たちが当時のろうそく抗争を「戦時・事変、またはこれに準ずる国家非常事態」と認識していたことは、文書のタイトルで、簡単に推定することができる。
軍部のこのような状況設定は、ろうそく抗争に参加した数百万の労働者、民衆を一瞬にして敵(文書では別名「暴徒」、「従北勢力」と呼んでいる)と見なすように作る。
だから、敵を迅速に制圧するため、ありとあらゆる物理的手段を動員する計画を緻密に組んだ行動も、軍当局としては、さほど臆することがなかったのだ。ただし、この計画が実際に作動しなかったのにはいくつかの理由がある。
まず、ろうそく抗争が巨大な大衆運動として急騰している状況で、軍を動員した武力鎮圧がむしろより大きな禍を招くという判断が支配階級の内部から支配的だったためだ。他方では、当時、国家非常事態と規定したろうそく抗争の躍動的気運を既成政治の黄教安(ファン・ギョアン)体制認定を通じて、結局、相殺させるという見方も存在したからだ。

 自由韓国党と保守マスコミは文書が公開されるやいなや、事態を一種のハプニング程度で一蹴するため、終始一貫して死力を尽くした。一例として、〈朝鮮日報〉は、弾劾宣告がどのように出されるのかの間に「国家的混乱」がもたらされる最悪の場合に備えた仮想シナリオに過ぎないというふうに文書の意味を縮小した。文書で描いた絵どおり事態が展開されてもいないのに、たいしたことないことで現政権が文句をつけているという具合だ。

 しかし、文書で、兵力投入問題の「事後不法の責任論争」を克服するための方策まで多角的に提示された事実を考慮すれば、単に万一の事態に備えて作成した仮想シナリオに過ぎないという保守勢力の主張は納得しがたい。
軍が非常戒厳を宣布した後、国家を掌握するまでの計画を用意周到に立ててあっても、ここに至ってもこれを軍当局の危機管理マニュアルに過ぎないという主張は、責任を回避するためのあつかましい嘘に過ぎない。
今まで明らかになった情況を総合するとき、この文書はクーデターを念頭に作成されたことが明白だ。

暴圧機構の本質が現れる


文書をめぐる与野党の攻防とは別に、今回の事態が指示するところは簡明である。 まさに、機務司令部をはじめとした暴圧機構の実体が明確に現われたのだ。かつてマルクスの陳述のように、支配階級は被支配階級の抵抗を粉砕するため、イデオロギー的な権威と物理的強制力を備えた暴圧機構を随時動員する。
例えば、軍隊や警察、監獄、裁判所のような形の組織がそうだ。国家の公認を受けたこれらの暴圧機構は個人の私的暴力はもちろんだが被支配階級のすべての組織された暴力を不法化することにより、暴力を排他的に独占するのだ。
このように階級社会では特定階級が自分の権力維持のため、暴圧機構を掌握している。
今日「公権力」と呼ばれる公的暴力は、このように強力な力をもとに、被支配階級を抑圧して搾取することができた。

 これが暴圧機構の本質なら、機務司令部も暴圧機構としての属性を強く帯びるしかない。
ここに軍事組織特有の閉鎖性と秘密主義も機務司令部によって政権退陣運動を武力鎮圧する計画を立てるようにさせた追加的な要因だろう。
機甲/空挺部隊を動員したデモ鎮圧、集会禁止・反政府人物に対する逮捕と拘禁、言論統制や検閲、国会の戒厳解除源泉封鎖など、機務部のクーデター計画は最初から積弊政権護衛という明確な目的を持っていた。
この目的を達成するため、機務司令部は労働者、民衆の抵抗権を無力化できる手段と方法を総動員しようとしたのだ。親衛クーデターを企画した戒厳令の文書は、それに向けた様々な有力な手段の一部であるだけだった。
セウォル号遺族査察、政治介入、世論操作の関与などこれまで、機務司が犯した犯罪行為はいちいち取り上げることが難しいほど、広範囲だ。積弊政権の生命を延長するため、公安機構として与えられた活動範囲を超える違法まで躊躇しなかったのである。
状況がこうなのに、政府が「解体の水準」の総体的な改革に乗り出す場合、機務司は本当にも変わるものだろうか?

直して使うのではなく、
「完全な解体」が答え


この8月3日、文在寅(ムン・ジェイン)大統領は機務司令部を根本的に改編し、新しい司令部(軍事安保支援司令部)を創設することを指示した。現在文在寅(ムン・ジェイン)政府が検討中の改編案は既存の機務司の役割と機能を「軍事セキュリティ、軍防諜および軍に関する情報の収集・処理など」に限定することと共に大々的な人的清算を断行するということだ。

 しかし、このような措置だけで、軍本来の暴圧機構的性格をなくすこともない。昨日の保安司が、機務司令部に名札を交換して、今日の機務司令部が軍事安保支援司令部に名札を変えたとしてもこれからも軍は資本主義の搾取体制の「秩序」を支えるため、存在するはずだからである。
この前のろうそく抗争の時と同様、労働者、民衆が既成政治の陰の下から脱して、直接政治の潜在力を存分に公開すれば、軍をはじめ暴圧機関はまたまた本然の姿に回帰するのだ。
さらに、朴槿恵(パク・クネ)弾劾当時も国防部は秘密裏に韓日軍事保護協定を締結してサードの配置を強行するなど、労働者、民衆の安危とは関係のない正反対の道に進んだ。労働者、民衆が直接選出して必要な時にいつでも召喚する軍に対する真の民主的統制を実現しなければならない理由だ。 これは、軍隊にだけ限定した問題ではない。検察と判事、警察を含めた全ての公職者に対する選出権と召喚権を獲得しなければならない。
パリコミューンは労働者階級の自己解放のために、既存の国家機構を解体して、すべての公職者に対する選出・召喚を通じて民主的統制を実現した最初の歴史的事例だった。さらに、国情院・保安捜査隊・デモ鎮圧部隊などすべての暴圧機構の解体と国家保安法の撤廃に向けて闘争しなければならない。
支配体制に従属される構造のさまざまな体質改善ではなく、労働者、民衆の自己統治が可能な完全に新しい体制に前進していこう。

大衆の統制から脱した 司法権力

パク・ミンハ(政策宣伝委員会)

 よくブルジョワ民主主義で3権分立を通じた立法部、行政部、司法部の独立性は、神聖なものと思われる。特に、司法部は法を執行する機構として判事は「憲法によってひたすら法律と本人の良心に従って判決しなければならない」という。
 そして、「立法部と行政部は、いかなる形であれ、司法部の独立を阻害する行為をしてはならない」、「司法正義の実現に向けて判事や検事の独立性を保障しなければならない」という話が説得力を得ることとなっており、司法部は「公正かつ中立的であり、独立的な」機関であるように描写されたりする。
 ところで、司法部はこれらの独立性を強調しながらも、一方では不可侵の権力を専有する。その結果独占的に所有している裁判権を利用して、政治的取引に乗り出すことができた。これは司法部が決して「公正かつ中立的であり、独立的」ではないという事実を示している。

 そうであれば、司法部があれほど強調する独立性の基底を成す3権分立とは何か?
ブルジョア民主主義で3権分立とは、国家権力の作用を立法・行政・司法の3つに分けて別の機関に立法権・行政権・司法権を分担させる、相互間のけん制・均衡を通じて国民主権を保障することを指す。
この国では、国会の同意を得て大統領が最高裁判所長を任命するのでこれを「完全な3権分立」と言うには異論の余地がある。
しかし、本質的な問題はこれではない。裁判取引事件でもわかるように、立法・行政・司法部は相互間のけん制と均衡ではなく、協力関係にあるという点に注目しなければならない。
これは資本主義社会での国家性格と密接な関連がある。資本主義社会で、国家は特定の階級、すなわち資本家階級が労働者階級を支配する機構として使われるが、まるで社会構成員共同の利益を追求する機関であるように包装される。
そのために資本の利益を社会全体の利益に置換して国家の経済発展でバランスを取る。このため、国家権力は資本の利害関係に服務しながら、まるで全体社会の利益のためのふりをするのだ。
国家権力を構成している立法・行政・司法部もこのような利害関係によって作動すると見るのが妥当である。したがって、3権分立というのは、ただ、虚像に過ぎない。国家権力はいつも資本家階級の利害関係に服務するだけだ。すべての権力機関に大衆的な統制が必要である

 事実、司法部は、当該裁判の政治的性格をよく知っている、裁判結果が政府と資本に利益になると規定している。それによって「司法部はこれまで、大統領の国政運営を支えるため、最大限努力」してきたという内容の文書を作成した。これは裁判取引の対象となった裁判の結果が政権と資本の利益に合致するように出たという点でも、明確に表れている。
梁承泰(ヤン・スンテ)院長時代、裁判所行政処企画調整室が作成した文書によると、日本軍慰安婦被害者の賠償判決関連報告では日本と合意を締結した朴槿恵(パク・クネ)政権を支援するために「却下」または「棄却」と判断しなければならないと助言した。
一方、労働関連の裁判では、資本の利益にさらに徹底的に便乗する判決を下した。KTX乗務員に対しては、鉄道公社の雇用責任を否定した判決を下し、コルトコルテクと双龍(サンヨン)自動車は不当な整理解雇だという2審までの判決を覆し、リストラを正当化した。それ以外にも労働者の賃金、基本権でも労働者たちに不利で反対に資本には有利な判決を下した。

 このように政府と資本の利害関係に服務して、労働者に敵対的な司法権力はどのような大衆的統制も受けていない状態だ。立法府や行政官は、4年や5年に一度だけでも、選挙を通じて国会議員と大統領を選出し、権力を委任する手続きを備えている。
しかし、司法部には、このような形式的な委任手続きさえも存在しない。ただ国会の同意を得て大統領が最高裁判所長を任命する過程があるだけだ。選出されることもなく国家権力になるために、司法部は巧妙だが、より露骨に政権と資本の利益に便乗する。

 したがって、司法権力にも大衆的な統制は必ず必要だ。司法部は選出されない権力であることにも、特に最高裁判所の場合、判決に対する不可逆的な決定権を掌握している。
立法が選出された代表者たちによって行われなければならないのなら、その法を判断する司法機関も選出されてはならない理由はない。国会議員と大統領を選出しているのと同様、最高裁判所長など、司法権力を選出する制度がなければならない。
しかし、現在選出された権力である国会議員と大統領が労働者たちに敵対的な行動を見せていることで見るように選出だけでは大衆的統制を担保にすることができない。選出を越えて法を作って、執行するあらゆる過程で、現在のような少数の人々によって運営されるのではなく、大衆の意志が反映され統制されなければならない。
これに対して、保守勢力は、裁判が大衆の法感情に振り回されてはならないとし、「人民裁判」を云々し、それがまるで暴力的で非合理的なものであるかのように非難する。
しかし、今のように大衆的な統制がない権力は徹底的に支配階級の利害関係に服務するということを今回の最高裁裁判取引の事態は如実に証明した。今回の事態をきっかけに選出とともに、すべての司法権力が作用する過程で、大衆の介入と統制の必要性を提起しなければならない。それが3権分立のような見かけだけの民主主義ではなく実質的な民主主義を具現できる道だからだ。

微温的な司法改革と被害者補償措置
チェスンシル国政壟断(ろうだん)事態以後、大衆的な弊害の清算の念願が噴出し、数多くの積弊の中で司法、積弊の清算も重要な改革課題のうち一つだった。文在寅(ムン・ジェイン)政府も国政運営5カ年計画に権力機関の民主的改革を掲げている。これによって司法改革も推進しようとしたが、司法構造の整備よりは、人的清算に優先順位を置いているものとみられる。
梁承泰最高裁長官や裁判所行政処に賦役した前・現職判事らを退出させることを中核としているのを見てみればということだ。これによって司法の構造に対する改革要求は十分に取り上げられていない。

 一方、政府の消極的な司法改革とともに問題になるのは、裁判の取引の被害当事者たちにまともな補償措置がないという点だ。全教組法外労組問題は、大統領選挙公約でも正すとし、雇用労働行政改革委員会の法外労組の撤回勧告もあったけれど、大統領府は「法外労組の職権取り消しは難しい」との立場を繰り返しているだけだ。
双龍自動車解雇者問題についても、政府の態度は失望を越え、怒りを呼び起こしている。文在寅大統領が、マヒンドラ会長と会って、「双龍自動車の復職問題に関心を持ってほしい」という一言以外には問題解決に積極的に乗り出さずにいる理由だ。統合進歩党内乱陰謀事件の被害者に対する救済措置もやはり期待し難い。
政府が真の司法弊害の清算に対する意志があったら、先ず解決しなければならないのは、裁判の取引被害者に対する即刻的な補償措置だ。(社会変革労働者党、「変革政治」70号より)

朝鮮半島通信

▲8月21日の朝鮮中央通信の報道によると、金正恩朝鮮労働党委員長が20日、金永春元人民武力部長の葬儀に参列した。
▲朝鮮中央通信は8月21日、金正恩朝鮮労働党委員長が平安北道の妙香山医療器具工場を現地指導したと伝えた。日時は不明。
▲韓国国防省関係者は8月24日、日本当局との防衛機密の共有を可能にする日韓軍事情報包括保護協定(GSOMIA)について、再び1年延長する考えを示した。同協定の有効期間は1年で、期限の90日前までに一方が破棄を通告しない限り延長される。
▲ソウル高裁は8月24日、収賄や職権乱用などの罪に問われている、朴槿恵前大統領の控訴審で、懲役25年、罰金200億ウォンの判決を言い渡した。1審より重い判決となった。


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