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    かけはし2018年9月10日号

沖縄は特別ではなく全国の縮図


沖縄報告9月2日

辺野古ゲート前だより

相次ぐ自治体選挙と知事選を前に

那覇市 T・N

8.29

東京からやって来た学生たち

世代の差を超えた交流

企業に買収されたメディアを批判

 県庁前六時半発の平和市民連絡会が出しているバスに乗った。先週は台風一九号の接近と旧盆で火曜日以降のゲート前行動が休止だったので、ちょっと久しぶりだ。翁長知事の埋め立て承認撤回に向けた聴聞などの手続き開始と、八日の急逝、一一日の県民大会への七万人結集、知事選日程の前倒しと情勢が急展開する中で、四日からゲート前の搬入が止まっている。月が替われば知事選にもつながる名護市を始め多くの市町村議員選挙が本番だ。そのせいか今日も朝八時の集まり具合は今一つだ。
 九時前に工事用ゲートに移動し、防衛局と国道事務所の嫌がらせで極端に狭められた歩道に折りたたみいすを並べて集会を始める。水曜日の司会は平和市民連絡会の伊波義安さん。
 「みなさん、お盆のご馳走食べましたか? 二年前辺野古の浜でウンケー(お迎え)をして、うやふぁーふじ(ご先祖様)に工事の中止をお願いしたが、あまり台風が来なくて文句を言ったら今年は次々と発生している。あの世でもきっと怒っていらっしゃるはずだ」。
 「地方選挙が始まり、うるま市は市議選、県議補選、知事選のトリプルだ。名護市を始めオール沖縄がもりかえして知事選の勝利につなげなければならない。ゲート前行動との両立は大変だが、やはり辺野古阻止の原点はゲート前。いまは搬入が止まっているがここを手薄には出来ない」。   「きょうは玉城デニーさんが出馬表明する。一日土曜日のゲート前県民集会に来てもらう。県も三一日には撤回をするだろう。辺野古阻止を知事選の争点にして勝ち抜こう。行政と現場が力を合わせて翁長知事の遺志を引き継いでいこう」とあいさつ。
 山城博治さんは「明日県民大会の決議をもって東京に行く。安倍は会いたくないだろうが七万人結集の力を叩きつけて傲慢な鼻をへし折ってやる。市町村議員選を頑張って、知事選に勝つ。そうすれば土砂投入は止められる」と元気にアピール。
 島ぐるみ南風原の仲間は「普天間野嵩ゲートでの抗議行動に参加してから来た。最近はフェンスに付けたバナーを軍警がハサミをもって撤去しにくるので攻防になっている。南風原でも八・一一県民大会の横断幕やポスターを南部国道事務所が業者を雇って期日前に回収していった。南部国道に表現の自由の侵害だと抗議している。ここの国道事務所と防衛局による集会妨害と根は一つだ。ひとつひとつ反撃しないといけない」と呼びかけた。
 搬入がないのでメインゲート前のテントに戻ろうとしているところへ、中央大学社会学科の学生二七人が天田教授の案内で到着。「沖縄現代史を通して日本社会を見る」をテーマに来訪。
 西原町出身の学生は「沖縄戦の話は学校でたくさん聞いたが、その後の米軍支配下で人々がどのように生きてきたのか、それが日本社会とどう関わっているのかもっと知りたい。だから辺野古に来た」とあいさつ。座り込みのオジーオバーから日ごろ見かけない大勢の若者に大きな拍手。
 一〇時前、近づいてくる真黒な雲から雨が落ちる前に、メインゲートに向かってシュプレヒコールとデモをしながら上のテントに移動した。テントに入って降り出した雨を避けながら集会を続ける。
 ヘリ基地反対協の安次富さんが「埋め立て予定水域に新たに直径二メートルをこえるシコロサンゴの群体が見つかった。移植対象のはずだがされていない。防衛局は調査しているので知っているはずだが、こちらが指摘するまでは知らん顔する。これだけでも撤回の理由になる」。
 「渡具知市長は、相変わらず辺野古に口をつぐんだまま、国の役人を出向させて、基地交付金で市の財政を支配しようとしている。野党一四人を全員当選させて自治を守らなければならない」と報告。
 テントの主役となった学生さんたちに、博治さんが再びマイクをとり、「辺野古・高江というと機動隊、ゴボウ抜きといった激しい現場を連想する人もいるだろうが、それはあくまで一シーン。昔から沖縄の住民運動は伝統的に歌や踊りなど文化的発信も続けてきた。司会の伊波さんもサンシンの名人だ」。
 そこで那覇からのバスの常連で替え歌の上手な日雇い労組の仲間を紹介。
 通称楳図浜夫さんが「さよならはダンプの後に」を披露したが、倍賞千恵子を知っている学生はほとんどおらず反応はイマイチ。日雇いの立場から、労組もなく無理な借金をして中古のダンプを買い、車両持ち込みで工事に参入する運転手に、こちらの抗議の気持ちをどう伝えるかの葛藤について問いかけた。
 また、いまは立看もなくビラまきすら許されない大学の状況を聞いて、本部町に移住し島ぐるみの活動をしている中大の大先輩が、当時の生き生きとした学生運動の思い出を語った。
 平和市民連絡会の上間芳子さんは「他府県にいるとなかなか見えない沖縄の現実をよく見て、東京の現実とどういうふうに繋がっているのかしっかり考えてほしい。横田にも空軍仕様のCV22オスプレイが来る。日本が主権国家でないことが沖縄では見える。東京では見えにくいが実は同じこと。沖縄問題でなく日本全体の問題なのだ。世界中誰も買わないオスプレイも、イージスアショアもべらぼうな金額の税金で買う。この国はこれでいいのか。それを共有すれば連帯できる」と期待した。
 雨も上がって夏の日差しが戻った一一時半頃、学生たちは浜のテントへ。
 午後は平和市民連絡会の宮城恵美子さんが司会を交代し、那覇島ぐるみの女性たちの歌を聞きながら、昼食タイム。稲葉さんから差し入れのスイカが振る舞われる。
 群馬、埼玉など県外の参加者から辺野古とのかかわりや翁長知事への想い、地域での取り組み紹介が続く。そのなかで未だに「ニュース女子」の放送を続けている地方TV局への抗議行動に関連して、元ラジオ沖縄ディレクターの源啓美さんが「こういうものがなくならないのは理由がある。持ち込み企画といって化粧品会社のDHCが作って放送時間枠をカネで買う。放送局は人もカネも出さずに営業出来て都合がいい。だから金を出すスポンサーの言いなりになる。『原子力の平和利用キャンペーン』も政府が金を出してこれをやった。メディアを政府や企業が金で買う。いま監視して止めないと、改憲でもやられる」と警告した。
 搬入もなく市町村議選が動き出す中、この日は午後一時でゲート前の集会を閉じることに。
 山城博治さんがまとめのあいさつに立ったところへ、今帰仁出身のFさんと高知大学の学生がテントへ。ひとしきりあいさつを交わした後、博治さんが「九月三〇日の知事選は辺野古阻止の正念場となる。ゲート前の結集を守りつつ名護市をはじめ市議選を勝ち抜いて再びオール沖縄の知事を当選させよう。翁長知事を失って厳しい局面だが第一土曜の一日、ゲート前への総結集で悲しみを希望に変えよう」と呼びかけ「心騒ぐやんばるの歌」を歌った。ひきつづき司会の宮城さんの音頭で頑張ろう三唱してゲート前集会を終えた。

9.1

県が「埋め立て承認」を撤回

ゲート前で玉城デニーさん発言

さぁ、いよいよ本番だ

 前日の三一日、県は職務代理者の富川副知事とその委任を受けた謝花副知事がそろって会見し、ついに前知事仲井眞が行った埋め立て承認を撤回し防衛局に通知した。同日六時半からは那覇市内で、翁長知事の遺志を引き継ぐオール沖縄の後継候補としての立候補を決意した玉城デニーさんの事務所開きがあった。両副知事も参加する中、冒頭翁長知事への黙祷がささげられた。九月三〇日の投開票日まで超短期間を走り抜ける選挙母体の名称は「平和・誇りある豊かさを!ひやみかち うまんちゅの会」。
会長に呉屋守將金秀グループ会長、選対本部長に仲里利信前衆議院議員が就任した。
多くの支持者が駆けつけるなかでデニーさんは「沖縄の未来に禍根を残さない。子や孫たちに負の遺産を残さない。これ以上平和や自然を壊す米軍基地はいらない」という翁長知事の遺志を引き継ぎ、県の承認撤回を全面支援するとの決意を語った。
引き続き登壇した弁士は、次々と「ハイサイ グスーヨー チューウガナビラ」とウチナーグチであいさつを始め、撤回後に予想される安倍政権の弾圧に対し、県民が立場を超えて一致団結し反撃しようとの雰囲気が強く感じられる知事選の第一歩となった。
撤回から一夜明けたきょう一日は第一土曜日。いつもは八時から夕方四時までの座り込みの合間に、月一回一二時から一時までのゲート前大結集の集会を入れていたが、今月はすでに実質的に始まっている名護市などの市町村議員選挙と知事選挙の取り組みに合わせ、玉城デニー予定候補の参加を得て一〇時から一一時までとすることになった。
日程の変更に合わせて平和市民連絡会も県庁前六時半発のバスを大型車に変更して八時に出発した。乗り合わせた三一人も県の撤回とデニーさんの出馬を受けてすっきりした表情だ。今までたくさんのゲート前替え歌を作ってきた女性が車内でデニー応援の新曲を披露。「線路は続くよ」のメロディーで選挙カーでも使えそうだ。
九時半ごろゲート前に着くとすでにテント内は満席になっている。司会の大城悟さんが宜野湾市長選の仲西春雅予定候補を紹介していた。一〇時の開会を前にデニーさんが到着し大きな拍手と指笛。女性たちができたての替え歌でサプライズ歓迎。「玉城デニーはきょうも行く〜。期待と民意を背〜にうけて〜……」デニーさんも大喜びだ。
一〇時になりゲート前大集会がスタート。司会の大城悟さんが「昨日ついに県が撤回した。工事はできない。県民の民意と全国の仲間の支援で知事選勝利のために頑張ろう」。
オール沖縄会議共同代表の高里鈴代さんは「きょうはいつもと雰囲気が違う。みんなからオーラが出ている。前回一四年の選挙以来四年間翁長知事は、取り消し裁判での敗訴、国連への働きかけなど辺野古阻止に向けて頑張ってきた。そして一日二〇〇〇万円の賠償などという恫喝にも負けず撤回に至ったことに感謝したい。三〇日に県民大会翌日のタイムス・新報の見開き記事も付けて防衛省、外務省、内閣府に八月一一日の決議の要請に行った。外務省ではここ四カ月事故がないのが自分たちの成果みたいにいうので、四カ月無かったら何か解決するのか? ふざけるな、と一喝した。全くわかってない。次は玉城デニー知事と一緒に来ると言ってきた」。
「きのうデニーさんの事務所開きで最後に両手を持ち上げるオール沖縄方式のガンバローで締めてきた。知事選に勝ち抜いてこんな国を変えていこう」と開会あいさつ。
続いて山城博治さんが「翁長知事の壮絶な闘いで撤回を勝ち取った。デニーさんが引き継いでいく。工事は根拠がなくなった。工事ゲート前の妨害工作物は撤去すべき。知事選に勝って工事ゲートそのものを撤去させる」。
ヘリ基地反対協の安次富さんは「きのう謝花副知事が翁長さんの遺志を堂々と民意として語っていた。玉城デニーの勝利でこの撤回を踏み固める。それを支える市町村議員や県議を一人でも多く当選させ、安倍をギャフンと言わせよう」。

翁長さんの思い
引き継いで勝つ
いよいよ本日の主役がきょうも島クトゥバから。「デニーです。ミーシッチョーチ クィミソーレーサイ(お見知りおきを願います)。副知事が撤回したので工事現場は撤収すべきでは? そこで監視している軍警の皆さん。工事がなくなればこうした県民の分断も終わる。そうすればお互いウチナーンチュみな昔のように仲良く暮らせる。それが翁長さんの心だ。それを引き継ぐために決意した。ぶれない県政運営をして行く。玉城デニーは一人しかいないが、みなさん一人一人が玉城ダミーになって力を貸してください」。
九月三〇日ダブル選挙の宜野湾市長選予定候補の仲西春雅さん(前高P連会長)は「名刺もビラも事務所もまだだが辺野古阻止だけははっきり主張する。部品の落下だけでなく基地で子供たちの教育環境が蹂躙されている。県内移設は解決でなくごまかしだ。新知事と共にたらい回しをやめさせる」と決意表明。
続いて一〇月一四日の豊見城市長選にオール沖縄候補として出馬予定の山川仁さんが「もう一度一四年の知事選を思い出そう。公約を破った自民党議員と仲井眞知事が埋め立てを認めたのが発端だ。彼らを許してはいけない。基地押しつけと戦争の道を止めるのがウチナーンチュの心だ。平和な沖縄なくして日本の未来はない。市町村議も知事もオール沖縄の勝利でそれを実現しよう」と呼びかけた。
うるま市の県議補選予定候補の山内末子さんと照屋寛徳衆議院議員が、近くで見守ってきた玉城デニーさんの生い立ちや人柄を紹介。
糸数慶子参議院議員は「沖縄差別に関する国連の人権勧告にも知らん顔のヤマトゥ政府にウシェーラッテナイビラン(見くびられてはならない)。知事選の勝利で安倍政権を片付け、沖縄の自己決定権を勝ち取ろう」。
伊波洋一参議院議員も「いい正月になると言った仲井眞の埋め立て承認から、島ぐるみで翁長知事を誕生させた。取消では前知事の裁量権が広く認められ敗訴したが今度は撤回で現知事の裁量権が尊重されなければおかしい。知事選の勝利が国の法的措置を止める」。
「名護市長選で辺野古隠しを続けてきた相手方は、渡具知候補が勝ったら彼がどんな人かはみんな知っていたはず、と言い出した。彼らの後ろで仲井眞や島尻アイ子が動いている。それこそどんな人かみんな知っている。二年前島尻大臣に勝った時のように私も三区(うるま市、沖縄市、名護市以北)でヌチカジリ駆け回る」と表明。
その後、共同代表の稲嶺前名護市長と高良鉄美琉大教授がそれぞれ三〇日の三省申し入れの様子を報告。名護市議の大城敬人さんほか統一地方選の予定候補紹介。狩俣信子県議により那覇市と三区での女性部決起集会への結集呼びかけがあり、最後に統一連の中村司代表が「きのうの撤回で県の行政と座り込み現場の力がしっかり繋がった。知事選地方選を勝ち抜こう」と呼びかけ、オール沖縄方式のガンバロー三唱で第一土曜の県民大行動を締めくくった。



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