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    かけはし2018年9月10日号

「違法な労働」をなくせ


国・自治体の障がい者水増し雇用

8割もの省庁が関与

すべての人に働きやすい職場を

赤井岳夫

水増しのテクニック

  国や地方自治体で、障がい者雇用を水増ししていたことが判明し、障がい者団体から「政策的に障がい者雇用の拡大を民間に働きかけてきた行政がなんたることか」「障がい者の雇用の機会を奪っている」という抗議を受けている。
 表は、八月二八日に政府が公表した中央省庁の水増し数だ。実に省庁の八割で水増しがなされており、昨年雇用したという六九〇〇人のうち、不正に参入した人数は三四六〇人にも上るという。
 障がい者雇用促進法では、障がい者の法定雇用率を、行政は二・五% 民間は二・二%としている(本年四月より)。水増し発覚以前は、国の行政機関では二・四九%を計上していたが、水増し分を除くと一・一九%と実態は半減してしまう。
 都道府県でも、三七府県で同様の水増しが発覚している。
 水増しのテクニックはこうだ。国が作成した障がい者雇用ガイドラインでは「障がい者としてカウントできるのは、障がい者手帳所有者」と明示されている。しかし毎年厚労省から発せられる「通知」には「身体障がい者とは、原則として身体障がい者手帳等級一〜六級に該当する者」となっている。

背景にあるものは?


 この「原則として」が「裏メッセージ」となっている。つまり「障がい者手帳所有者以外もカウントしていいですよ」というふうに読むのが、「官僚用語の基礎知識」である。中央官庁や自治体の多くで、長期に渡りこの水増しがされてきたのは、このようなからくりであり、いわば組織的計画的に実行されてきたと言わざるを得ない。
 民間企業の場合、法定雇用率を達成していないと、「障がい者雇用納付金」という「罰金」が課せられる。未達成ひとりあたり五万円だ。しかし行政はこの適用外となっている。この納付金を財源として、超過達成している企業には、ひとりあたり二万一〇〇〇円の「報奨金」が交付される。しかし、その申請の際には、障がい者手帳のコピーの添付が義務付けられ、三年にいちどの実地調査では、原本の確認を求められることもあるという厳しさだ。
 「外には厳しく 内には激甘」と言わざるを得ない。
 この背景にあるものは何か? 障がい者雇用する際には、働くためにどのような「配慮」が必要か、どんな支援があれば働けるか、を各人ごとに考え対策を講じることが求められる。職場の同僚たちにも手伝ってもらうことが増える。今の行政組織にそのような「余裕」がどんどん失われつつあるように思われる。人減らし合理化で、長時間労働が常態化している中で、求められる人材は「即戦力」であり、マシーンのような働き方のできる労働者だ。
 障がい者には、そのような働き方はできないだろうから雇うわけにはいかない、というのが雇用責任者の深層心理ではなかったか。

「違法行政」まん延

 「違法な働き方」は民間企業だけではなく、いわば「違法行政」が蔓延している。そこでは、障がい者だけではなく、育児中の労働者や家族介護中の労働者も退職に追い込まれていく。行政で働く健常者にとっても他人ごとではないはずだ。
今回の問題について、「障がい者を排除する行政の差別性」だけを指弾するだけでは、不十分ではないかと考えている。
仮に、行政が障がい者雇用率の改善に取り組んだとして、このような「違法労働」が放置されたままの現場に配属された障がい者に待っている運命は過酷だ。なんとか仕事をこなそうと必死になり、やがて身も心もボロボロになって退職に追い込まれていく……。そんな人を何人も見てきた。
障がい者に配慮された職場は、すべての労働者にとって働きやすいはずだし、育児や介護をしながら働き続けることができる職場であろう。
少子化の根本原因のひとつが、労働運動の衰退と反比例して増加している「違法労働」であることは火を見るよりも明らかだ。

8.28

滋賀県警の全日建連帯労組への大弾圧許すな

執行委員長ら3人逮捕の暴挙

 【大阪】八月二八日、滋賀県警組織犯罪対策課は、早朝から装甲車など数十台と警察官を大量動員し、全日建関西地区生コン支部の事務所などを捜索し武健一執行委員長など三人の執行委員を逮捕する弾圧を行った。滋賀県警は、それに先立つ七月一八日にも、東近江市での倉庫建設で工事に使用する生コンを湖東地区生コン協同組合関係の企業から購入するように働きかけた理事など四人を逮捕し、八月九日には、同協同組合の理事など二人と関生支部の役員を逮捕している。
 これらの弾圧の対象は、労働組合員の生活を守るための仕事を確保するために労働組合と中小企業が、ゼネコンに関連企業のコンクリートの使用を要請するという当然の正当な行為である。それを、滋賀県警は「恐喝」などとして大弾圧に乗り出したのだ。
 この弾圧は、それ以前からの和歌山県警や大阪府警の、在特会などヘイトグループと関係する大阪広域コンクリート協同組合を使った闘う労働組合・関西生コン支部への一連の攻撃に連続するものである。それは、正当な労働組合運動への弾圧にはとどまらず、関生支部が積極的にかかわる反戦・平和運動、憲法改悪反対闘争、アジア民衆連帯闘争などへの弾圧でもある。
 六月二四日には、全港湾大阪支部や連帯労組関西地区生コン支部など在阪のユニオン、社会運動団体・「あらゆるヘイトを跳ね除ける実行委員会」、が主催し、三一〇の団体・個人の賛同で「差別・排外主義者を利用し、労働組合潰しを行う資本・権力の弾圧に抗議する総決起集会」が開催され、中之島公会堂には一一五〇人が結集し、和歌山県警、大阪府警の全日建連帯への弾圧に抗議する声を上げた。
 全日建連帯労組の抗議声明をうけ、連帯と弾圧抗議の運動を広めなければならない。       (H)

抗議声明

 8月28日、滋賀県警刑事部組織犯罪対策課は、当組合関西地区生コン支部の武建一執行委員長のほか支部役員2人の計3人を不当逮捕したうえ、大阪市内の関西地区生コン支部事務所などを家宅捜索した。
 これは、湖東生コン協同組合による恐喝未遂容疑として滋賀県警が捜査中の事件の一環のようである。7月18日に同協組の理事ら4人が逮捕され、3人が8月8日に起訴された。さらに8月9日には同協組理事長、同協組登録販売店支店長、関西地区生コン支部役員の3人が逮捕されている。この事件では、昨日の不当逮捕で、事業者が6人、当組合の役員が4人が逮捕されたことになる。
 一連の事件では、昨年3月〜7月、東近江市で建設中だった清涼飲料水メーカーの倉庫建設工事において、湖東生コン協同組合が、施工業者であるゼネコンに対し、工事に使用する生コンは同協組から購入するよう働きかけたとされる。
 先に8月10日付声明でも述べたとおり、この滋賀県警の捜査は予断と偏見にもとづくものといわざるをえない。生コン業界においては、中小企業である生コン業者らが中小企業協同組合法にもとづく協同組合を組織し、この協同組合による共同受注・共同販売事業によって、力関係で優位に立つゼネコンとのあいだで対等かつ適正価格での取引を可能にし、それによって生コンの品質も確保されてきたからである。労働組合は組合員の雇用と労働条件確保のために協同組合の活動に協力してきた。中小企業団体の正当な営業活動やこれに協力する労働組合の正当な組合活動を敵視する強制捜査は断じて容認できない。滋賀県警は、業者に対し「関生と手を切れ」といい、組合員には「組合加入の動機はなにか」などと不当労働行為の職権乱用をおこなっている。
 しかも、今回も大阪広域生コン協組の関係者とレイシスト集団が警察の捜査とほぼ同時刻に現れ、かれらは警察からの情報漏洩をあからさまに匂わせている。各府県警察が、大阪広域協組とレイシストの労働組合攻撃に便乗し不当な権力弾圧を加えていることはあきらかであり、到底許されるものではない。
 この弾圧は、大企業の収奪とたたかい、沖縄基地撤去、原発再稼働阻止、戦争法・共謀罪阻止、憲法改悪反対を求め、安倍内閣と真正面からたたかう労働組合への弾圧にほかならない。政治の私物化に異議を唱える者を力づくで押しつぶすファッショ的手法が戦争につながるものだということは歴史が教えている。
 われわれは不当な弾圧に屈することなく、運動を前進させる決意をあらためて表明するものである。
 以上
 2018年8月29日

全日本建設運輸連帯労働組合中央執行委員長 
菊池 進
全日本建設運輸連帯労働組合近畿地方本部執行委員長 垣沼 陽輔
全日本建設運輸連帯労働組合関西地区生コン支部執行委員長     武 建一

コラム

真夏の出来事

 「暑さ寒さも彼岸まで」と言われるが、今年の夏は例年になく猛暑が続いている。七月の中旬のこと、突然事務所のクーラーが冷風から熱風に変わってしまった。耐震工事でクーラーの外扇器がかなり離れた所に移動されていた。この工事が原因ではないかと思ったので、工事事務所にかけあった。外扇器の配管を触ってみて、「冷たいので冷気は行っている。原因は分からない」と言われた。そこで、クーラーの設置年代を調べるとすでに九年前の設置であり、「耐用年数」の九年目だ。これは直すより、買い替えるしかないと判断し、家電量販店に行った。するとこの猛暑で予約でいっぱいで三週間近く待たないと工事ができないと言われた。それでも仕方ないと予約した。
 そして、設置日に設置業者が来た。いよいよ、クーラーが使えると思いきや、「こんなに離れていて工事をしても、またやり直さないといけない。それなら、工事を終わるまで待った方がよい。今回冷却できなくなったのは、外扇器を移動したとき、冷却ガスが漏れたからだ」と自信を持って言われた。それではと工事業者にその話をすると、翌日に「調べたら、冷却ガスが抜けてしまっているので充てんする」と、ガス充てんをしてくれた。クーラーは元に戻り、これは買い替えを誤ったかと思ったが数日で元の熱風に戻ってしまった。工事業者が来て、「ガス管のどこかからガスが漏れたようで、もう一度ガスを充てんし、九月×日には外扇器を元の位置に戻す」と謝ってきた。結局クーラーの設置予定日とほぼ重なった。
 この酷暑のなか、別部屋のクーラーは効いていて、その冷気がわずかに別室に流れたとはいえ、私の頭の上は熱風が流れ続いた。このせいか、急ぎの仕事でいつもでは考えられないミスをしたり、そのミスを指摘されて直したところが別のところであったりとさんざんな目にあった。
 そして、お盆に田舎に帰り、腰の高さの近くまで延びた雑草を草刈り機で刈っていたその時、「ガッ」と手応えがあり、水が吹きあげた。「何が起きた。たいへんだ!」、あわてて水道管に手を当てたがとても、そんなもので止まるものではない。元栓を止めに走った。孔雀小屋があった所に水道の蛇口がつけてあったのが、雑草で見えなくなっていたのだ。すぐに水道屋さんと連絡をしなくてはならない、運よくわが屋の裏に水道屋さん一家が引っ越してきていた。さっそくお願いに行ったが仕事で夕方まで帰ってこないとのこと。一応、夕方に直しに来てほしいと頼んだ。
 それから、なんとかならないかと屋さがしして、栓をしてみたが水圧で飛ばされてしまった。近所の大工さんが別の用事で訪ねてくれたので、アドバイスを受けた。「栓と接着剤を買ってフタをすればそれで大丈夫。プロに頼んでも同じことをするだけ」。結局、自分で修繕できた。
 地球温暖化や環境の変化は自分たちの生活と結びついていなかったが、酷暑や豪雨、台風、地震と日本を襲っている出来事はこの問題とつながっているのだろう。そして安倍自民党総裁再選と憲法改悪の本戦は政治の世界でも待ったなしの闘いに突入している。  (滝)


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