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    かけはし2018年9月17日号

移民政策が決定的中心問題に


ドイツ

移民問題迂回する結集追求は不毛

ヤコブ・シェーファー


 ドイツにおける「欧州問題」の役割は、単一通貨のユーロの導入以後、さらに「ギリシャ危機」の後ではさらにもっと、相当に変化を遂げた。二〇〇〇年代早期までは、EUに対する、また一般的な欧州統合に対する抵抗感はほとんどないと言えるほどに極小だった。すべての者は、国境管理の漸進的消失を喜んだ。単一通貨の導入もまた、外国での休暇消費を促進した(ドイツ人の約四〇%が休暇を楽しんでいる、と見られて)。そうであればなぜ心配することがあるのか?

EUへの拠出と
単一通貨に反感


 しかし二〇〇五年以後、保守派エコノミストの一つの運動(ベルント・ルッケを含んだ)が債務への対処における転換を求めた(一国的政策への回帰)。彼らはまた、国の競争力をそぎ落とし続けていると想定された「ドイツ病」を矯正するためとして、賃金水準の引き下げをも求めた。ベルント・ルッケ(ハンブルク大学のエコノミスト、その後CDU――現政権党のキリスト教民主同盟――党員、欧州議会議員)が二〇一三年にAfD(ドイツのための選択肢)を創出したのは、このような脈絡を背景にしていた。
 彼らの綱領の中心には、単一通貨への反対とEUに対する拠出への反対が置かれていた。一国通貨の喪失は嘆きの対象となり、ドイツマルクへの回帰が、社会の諸々の悪に対する主要な処方として提起された。しかしなによりも、単一通貨は、ドイツの緊縮がもたらす利益を失う、という危険をはらんでいた。そしてその利益こそ、EUのために犠牲にされてはならないものだった。国民的自立性は、「われわれは他人のために費用を負担してはならない」等々として、優先されなければならなかった。
 二〇一四―五年のギリシャ危機により、この主張は次第に受け容れられるようになり、AfD(先の点でほとんどのメディアから支持された)は、ドイツは「怠け者のギリシャ人」の費用を払い続けている、との不平を主張にした。これは政府の政策を裏から支えるものだった。そして同時にそれは、あらゆる色合いの民族主義者がAfDに加わる機会となった。そしてAfDはより一層極右へと動いた。ルッケは、彼の継承者であったフラウケ・ペトリ同様指導部から排除され、その間党の相貌は、欧州における右翼ポピュリスト諸組織のそれとますます似るようになった。今日党は公然としたレイシストであり、一定数のファシストの活動領域の中にいる。

事実に背を
向ける主張


 現実には、EUから利益を得ているのは何よりも、第一にドイツ工業からの輸出増大により、ドイツ、オーストリア、オランダ、フィンランドだ。GDPの八%に相当するドイツの貿易黒字(二〇一七年には二三五〇億ユーロ)は、欧州南部で産業の重要な部分をますます絞め殺しつつある。ドイツと同じほどに単一通貨から、その上歴史的に低い水準の利子率(現時点でドイツ国家の借り入れは、マイナス利子で行われている)に基づいて、利益を得ている国は他にない。
 もちろんドイツの(そしてフランスの)銀行はギリシャの危機から利益を得ている。そしてベルリンはギリシャ政府がやるべきことを指令しているだけではなく、情勢の「安定性」から利益を得ているのもドイツ国家予算なのだ。これは、ブルジョア諸政党(社会民主党を含む)が「他の者の費用を払わない」路線にもっと一層力を込めることを止めるものになっていない。新財務相、社会民主党(SPD)のオラフ・シュルツは、欧州レベルで破綻した銀行の他の銀行による救出を確実にすると思われる、そうした銀行連合の設立に反対している。
 イタリアにおける危機の爆発(銀行のレベルには限られない)はEUの終わりになると思われる以上、資本主義的統合とEUの建設――あるいはむしろEUの救出――の観点からは、この連合の設立は賢明だろう。しかし現政府の政策はまさに、最後の瞬間に上回るのは常に一国の利益、という事実を表している。

レイシストが
つかんだ好機


 二〇一五年の極めて短い「移民の夏」は、ドイツの住民の健全な部分によって難民に向け広げられた連帯をはっきり示した。これは何よりも、人びとが何年もの間地中海で溺死した犠牲者の数を見てきたという事実によって説明される。
 しかし同時にレイシスト(AfDと他の者たち)は、一〇〇万人以上の難民の到着を、怖れ(「彼らはわれわれの職を、われわれの家を盗み取るだろう」などなど)を高めるために利用した。これはAfDに巨大な押し上げ効果を与えた。そしてこの党はこの時から民衆的な論争の形を幅広く作り上げた(直接的に、また間接的に)。それは国境の大規模な閉鎖を求めた。AfDのもっとも過激な翼は、難民への発砲やすでに入国している者の大量排除、その他を求めた。
 この主張が他のブルジョア諸党のレイシズム的論理と完全に密着し、AfDの政策にはより一貫性があるように見えるという利点がある中で、AfDは社会民主主義者を含むあらゆる他の諸政党に影響を与える可能性を得ている。CSU(キリスト教社会同盟、キリスト教民主派のバイエルン州組織)はこうして、AfDの影響力を引き下げることを期待して、AfDが吹き込んでいる政策を応用しようと試みている。しかし、あいまいさなく起き続けていることは反対のことだ。コピー(CSU)に投票し、元々のものにそうしないのはなぜか、と。 
 今日(七月半ば)AfD支持率は一五―一七%、SPDは一七―一九%だ。AfDがSPDをまもなく上回るとしても、それは驚きとはならないだろう。そしてもっともだがSPDは、「大連立」(メルケルのキリスト教民主派とSPD)が失敗となること、そしてSPDが政府から追い出されること、を恐れている。こうしてSPDは、国境の閉鎖、フロンテックス(欧州対外国境管理協力機関)の強化、国外追放の引き上げ、というメルケルの政策に順応して―一歩一歩――いる。

AfD台頭の
底に潜む理由


 SPD首相のシュレーダーによる「アジェンダ2010」の施行は、第二次世界大戦以後のドイツにおけるもっとも重要な社会的諸権利の破壊を意味していた。それがもたらしたもっとも深刻な効果は、失業手当の相当な下落と職のさらに大きな不安定性であり、その結果、ドイツには今、欧州でもっとも成長した不安定部門がある。
 それゆえ、職を失うという怖れ、不安定労働者になるという怖れ、生活水準が相当に落ちる経験をするという怖れ、社会から排除されるという怖れが幅広く行き渡っている。ドイツ東部――「伝統的に」移民がほとんどいたことがなく、二〇一五から二〇一七年の時期も、難民はまだ少なかった――には、われわれは次の事実を加えることができる。つまり、賃金は西部におけるよりも一二%から二二%低く(部門に応じて)、失業率は同じく二倍高く、小規模な町は人口縮小化の過程にある、などという事実だ。
 この地域はAfDにとって非常に有望な地域になっている。前回の連邦選挙でこの党は、東部で得票率二二・五%を記録した。こうして、東部には相当に少ない難民しかいないという事実に基づけば、しかし西部のそれよりも低い生活水準、排除されているという感覚、そして展望のなさに基づけば、レイシストへの道を清めたのは何よりも社会的問題だ、ということが鮮明になる。
 右翼と極右の前進というこの空気の中で、いくつかの州政府は警察と法による抑圧を高めている最中であり、新たな法律も準備中だ。その新法は、たとえば、危険の証明がなくても、ある犯罪が準備中との疑いだけで口実として足りるとして、警察の捜索を許可する、というようなものだ。

極右の動員
と対抗決起


 こうした脈絡の中で、極右の動員が、しかし幸せなことに反レイシストと反ファシストの決起も数を増してきた。ケルンでは、世間から見捨てられた難民に対する効果のある援助を求める、八〇〇〇人の決起が七月はじめにあった。一〇日後の七月一七日、内相のゼーホファー(CSU)が彼の追い出し政策を擁護しようとヂュッセルドルフにやって来た。しかしケルンにおける決起と同じほどの大群になった群集が街頭に集まると、彼は訪問を取り消した(公式的には、技術的な理由による延期)。
 ほぼ二年の間、EU問題が前面に出ることはなかった。しかしそれは、債務危機の悪化の際には(ギリシャ、あるいはイタリアで)、あらためて極度の分裂を引き起こす問題になる可能性があるだろう。二〇一五年以後、移民政策(そしてその中で国境閉鎖の問題)が全政党にとって、しかしまた左翼と革命的左翼の論争においても、鍵を握る問題になってきた。
 左翼党は移民の権利の防衛というその立場を大部分は維持してきた。しかしこれは、サラ・ヴァーゲンクネヒトとオスカー・ラフォンテインの場合当てはまらない。彼らは今、ある種の総結集運動の設立(九月に予定されている)を準備中だ。その支持者には多くの民族主義者(右翼からも)が含まれ、彼らの構想は明らかにメランションと不屈のフランスから刺激を受けているように見える(そしてこの構想は、後者同様トップダウンであり、いかなる意味でも底辺からの建設を欠いている)。それゆえそれは、成功の可能性を完全にほとんど欠いているように見える。そしてただ一つの効果はおそらく、左翼を結集するというよりもそれを分裂させるというものになるだろう。
 この「運動」は移民規制に好意的であり、こうして、AfDの影響力引き下げを期待したAfDに対する相当な譲歩になっている。まさに途方もない茶番劇だ。
 幸せなことに、左翼党の多数と議会外左翼の大多数、そして何よりも革命派(ISOを含んで)は、移民の権利を防衛し、次のことを大声ではっきりと声に出している。
 フロンテックス解体! 国境を開けろ! 見捨てられた者たちを助けろ! 追い出しをヤメロ! 武器輸出をヤメロ! アフリカやその他で社会を荒廃させているすべての自由貿易協定を改定せよ!

▼筆者は、第四インターナショナルドイツ支部のISO(国際主義社会主義組織)の活動家。退職した鉄鋼労働者であり、労働組合左派の指導者。(「インターナショナルビューポイント」二〇一八年八月号)

フランス

第37回国際青年キャンプ声明

学生は犯罪者ではない!

 二〇一七年二月、フランスのフランチェ・コムテ大学の学生数人が学生選抜反対の抗議行動を組織した。彼らは、討論に参加することを目的に、大学の執行評議会への侵入に挑んだ。
 大学指導部は、彼らを警察の力で追い払うという決定を行った。この決定が、彼らのうちの一九人逮捕に導いた。この逮捕のすべては、警察に対する学長の嘘の言明を基礎にしていた。
 このほぼ一年半後、彼らの七人が裁判にかけられ、非常な重罪の判決を受けた。うち三人は、執行猶予が付いた、最長五ヵ月になる懲役刑を受けた。これらの学生を支援する決起は今も進行中だ。学生の何人かは今なお判決を待っているからだ。
 第四インターナショナル青年キャンプは、これらの学生に対し全面的な支持を表したいと思う。そして、われわれの権利を集団的に防衛することは犯罪ではない、という事実をあらためて断言する!
 二〇一八年七月二八日
(「インターナショナルビューポイント」二〇一八年八月号)


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