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    かけはし2018年10月1日号

東アジアの軍事化にSTOPを!


三回目の朝鮮半島南北首脳会談

南北の和解協力と朝鮮半島の非核化へ

日米軍事同盟の強化に反対しよう!

どうなる米朝交渉


 九月一八日の夕刊(毎日新聞)の第一面は「米二四日に対中制裁第三弾」「平壌で南北首脳会談」という記事が横並びになった。経済的な問題に限らず、来るべき時代の世界制覇をめぐる米中の緊張関係の拡大という状況の一方で、過去の軍事的な緊張関係を清算して、南北朝鮮の歴史的な和解と平和的な共存関係を確立していこうとする動きが同時進行している。トランプ政権の誕生によって歴史的な米朝首脳会談(六・一二)が実現したものの、現在はそのトランプ政権によって朝鮮半島をめぐる状況は困難に直面することになった。
 米朝関係は首脳会談以降これといった進展はしていない。「非核が先か、体制保証が先か、それとも段階的な同時進行か」といった入口の所で米朝交渉は停滞している。トランプは本気で交渉を前に進めようとしているのだろうか。「北朝鮮は核実験もミサイル発射もしていない」という発言を繰り返すトランプは、「北朝鮮の核の脅威を取り除いたのは私の成果だ」というレベルで十分だと考えているようだ。ましてや「体制保証」などしてやるつもりはさらさらないのだろう。
 今トランプの最大の関心事は一一月六日が投票日の米連邦議会の中間選挙である。中国との貿易戦争もイランへの経済制裁などもそれを意識したものだ。現在の米議会の勢力図は、上院(定数一〇〇人で任期六年・二年おきに三分の一を改選)で共和党が五一人、下院(定数四三五人で任期二年)で共和党が二三六人であり、上下両院で共和党が多数を占めていることもあって、大統領としてトランプがやりたいようにできる政治環境になっている。しかしトランプは共和党支持者のなかでは圧倒的な支持を受けてはいるが、全体有権者による支持率は四〇%に届いていない。
 そのことは八月七日にオハイオ州一二区で実施された連邦議会下院補選で表れた。この選挙区はラストベルトの一部であり、有権者の八八%が白人である。開票の結果は共和党候補者の得票率が五〇・二%(前回選挙では六六・六%)、民主党候補の得票率が四九・三%(同二九・八%)だった。しかし中間選挙で民主党が勝利するだろうと確実視されているわけでもない。

幾つかの具体的措置

 九月一八日〜二〇日、平壌で三回目の南北首脳会談が行われた。今回の会談の共通目標は、停滞する米朝交渉を南北の共同した努力で進展させようとすることだった。一九日に発表された『九月平壌共同宣言』は、四・二七『板門店宣言』で確認した具体事項とその精神を再確認するのと同時に、新たにいくつかの具体的な事項について合意した。
軍事面においては五月から行われてきた軍事当局者会談を、南北の恒常的な機関として発展させた「南北軍事共同委員会」設置の決定だ。この委員会の目的は「軍事分野合意書の履行実態を点検し、偶発的武力衝突防止のための常時の意思疎通と緊密な協議を進めること」とした。それは板門店宣言で確認された「南北は、そのいかなる形態の武力も互いに使用しない不可侵合意を再確認して順守していく」ことを確実にするためのものだ。
経済面においては板門店宣言では「東海線と京義線の鉄道と道路を連結し現代化して活用するための実戦的な対策をとる」としていたものを、「今年中に……着工式を行う」とした。また「黄海経済共同特区および東海観光共同特区を造成する問題を協議していく」という、まったく新しい課題も出ている。
朝鮮(朝鮮民主主義人民共和国)の非核化問題に関しては、板門店宣言では「非核化問題は米朝交渉で」ということもあって「南北は完全な非核化を通して核のない朝鮮半島を実現するという共通の目標を確認」するという抽象的な確認にとどまっていたが、今回の宣言ではより具体的な確認がなされた。それは朝鮮は「東倉里(トンチャンリ)のミサイルエンジン実験場とミサイル発射台を、関係国専門家の参観のもとで、まず永久的に廃棄する」ということと、「米国が……相応の措置をとれば、寧辺(ニョンビョン)の核施設の永久的な廃棄などの追加措置を取り続けていく用意がある」とするものである。
その他にも自然生態系の保護、保健・医療分野の協力や、三二年夏季五輪の南北共同開催、三・一運動一〇〇周年の共同などいくつかの新しい確認が行われた。

米韓合同軍事演習の行方


トランプ政権は六・一二米朝首脳会談以降「米朝会談が行われている間は規模の大きい米韓合同演習を中止する」として、「フリーダム・ガーディアン」に加えて「韓国海兵隊交換プログラム」の二つの合同訓練を中止した。現在焦点となっているのは、三月から実施されてきた「フォール・イーグル」と「キー・リゾルブ」だ。もしもこれらの大規模な米韓軍事演習を再開するという事態になった場合、南北朝鮮関係をはじめ状況はどうなってしまうのだろうか。そうなった場合、最大のピンチとなるのは文在寅政権である。
現在でも韓国軍の指揮統制権は米軍が握っていることを考えると、韓国軍独自の指揮統制権を確立するか米韓軍事同盟を解消しない限り、合同軍事演習からの韓国軍離脱は困難である。もう一つ考えられるのは、韓国軍兵士の演習参加拒否の「反戦決起」だ。そして「在韓米軍の即時撤退」を要求する巨万のデモとストライキ決起だ。また「南北不可侵」を確認して「南北軍事共同委員会」を設置することまで決めた文在寅は、米韓合同軍事演習の再開を命がけで阻止する義務がある。
米国第一主義のトランプは「他国のために米兵が犠牲になる必要はない」と考えている。イスラム国(IS)撃滅戦においても軍事顧問団の派遣を除けば、地上軍はクルド人部隊に依拠した。後はもっぱら空爆であった。在韓米軍(二八〇〇〇人)は対朝鮮軍用に編成されていて、その主力は地上軍からなっている。トランプの「在韓米軍縮小」発言の根拠もここにある。
一方、大規模米韓合同軍事演習の再開に対して金正恩政権はどのように対応しようとするだろうか。またミサイルを発射するのだろうか。金正恩はトランプと軍事演習を阻止できなかった文在寅に対して、あらん限りの批判を浴びせるだろうが挑発的な軍事行動には出ないだろう。朝鮮にはもはや「並進路線(核開発と経済発展を同時に進める)」に復帰する体力はない。金正恩もそのことを良くわかっているので、今年の三月から習近平との首脳会談を積み重ねてきたのだ。そしてこの間、南北間で確認されてきた軍事・経済面での成果は防衛しようとするだろう。また米韓合同軍事演習の中止は中露が強く要求してきたことであり、その再開は国連安保理の朝鮮制裁決議から中露などが離脱する理由になる可能性がある。そうなった場合、貿易の九〇%を中国に依存してきた朝鮮にとっては実質的な制裁解除ということになる。
五月二九日、ソウル市内にあるホテルの大会議場に金融関係者三〇〇人が集まって、「南北経済ベルト構想」が明らかにされた。報告を行った政府金融委員会の崔ジョング委員長は「南北がひとつの市場になり、経済協力が拡大すれば経済効果は推定で約六兆円」になると息巻いた。
文在寅政権の「国政企画諮問委員会白書」によると、南北の鉄道と道路を日本海側の東海と黄海側の西海に南北に整備して、それを東西につなげてH形の経済ベルトを作る構想が示されている。そしてそれを中国の「一帯一路」構想とロシアの「新東方政策」と連携させるとしている。しかしそのための最大の足かせになっているのが、朝鮮に対する経済制裁だ。しかし文在寅は五月三一日の国家財政戦略会議で、経済制裁解除を待つことなく今から「準備に入る必要がある」として、予算確保を指示するのと同時に、南北経済協力のための「拠点」として九月一四日には一六年二月から閉鎖されてきた開城工業団地内に「南北共同連絡事務所」を開設した。制裁解除後に速やかに工業団地の再開ができるように、これから施設の補修や送電、通信の整備などを進めることになる。
しかし開城工業団地は朝鮮側にあることを考えると現在、韓国政府が行っていることは「制裁違反」だと指摘されてもおかしくはない。朝鮮への経済制裁解除まで待てない文在寅政権は、開城と同じような方法で東西沿岸部を南北に延びる鉄道と道路の建設を「今年中に着工」しようとしている。

日米軍事同盟の強化にSTOP


今回の南北首脳会談で発表された九月平壌共同宣言のなかには、四月の板門店宣言のなかで書かれていた「終戦宣言」と「休戦協定を平和協定に転換」という文言がなかった。米中貿易戦争がエスカレートする政治環境のなかでの判断だったのだろうか。
米軍事専門家らによると、朝鮮にある核関連施設は八カ所に一〇〇〜一五〇施設で、ミサイル発射場は九カ所だと指摘されている。核弾頭保有数は推定で一四〜三三個(最大六〇個)。採掘可能な天然ウラン四〇〇万トン。人員は九〇〇〇〜一五〇〇〇人だとされている。この内、破壊・廃棄されたのは豊渓里(プンゲリ)の核実験施設だけだ(五月二四日)。そして今回の宣言では朝鮮北西部の中国国境近くの東倉里発射場の廃棄を明らかにした。また条件付きで廃棄を表明している寧辺核施設は核開発の最大拠点だ。
米国務長官のポンペオは「トランプ大統領の一期目の就任期間までに非核化を実現しろ」と期限を一方的に設定してきているが、金正恩は米国側の出方を探りながらその都度、政治的な判断をするということになるのではないだろうか。朝鮮が核とミサイルの実験を再開しない限り、米国は朝鮮の核を脅威だとは考えないだろう。
米国と政治・軍事、経済分野で全面的に対抗しようとする中国は、実験を積み重ねて完成させたICBM「東風41」(射程距離一二〇〇〇km)を二二年までに一〇〇基配備することを決めた。「東風41」はミサイルの先端に最大一〇発の核弾頭を搭載することが可能で、それぞれの核弾頭は入力されたデータに基づいて目標地点に到着する。あわせると一〇〇〇発の核弾頭が配備されるということになる。
南北朝鮮の和解・協力関係の拡大と朝鮮半島の非核化を支持しながら、米露・米中による核軍拡をはじめとした軍事力拡大に反対していこう。また安倍政権による憲法九条改憲に反対し、対中国の軍事拠点として強化されようとしている日米軍事同盟体制と対決しながら、沖縄・辺野古新基地建設反対、オスプレイ配備反対の闘いをはじめとした反戦・反基地闘争を粘り強く推し進めよう。(高松竜二)

9.23

東京・新宿で街頭宣伝

改憲止めよう!沖縄と共に

署名、歌、絵本などで呼びかけ

 九月二三日午後二時から、東京・新宿駅南口で「沖縄・辺野古新基地建設反対!安倍首相による憲法9条改悪許さない!街頭宣伝」が解釈で憲法9条を壊すな!実行委員会の呼びかけで行われた。安倍9条改憲NO!憲法を生かす全国統一署名、絵本、紙芝居、沖縄の歌、踊り、スピーチと多彩な方法で、沖縄連帯・改憲反対を訴えた。
 菱山南帆子さんは「憲法は為政者の横暴をしばり、人々の権利を守るもの」と憲法の基本的性格を明らかにし、「アベノミクスは大企業へカネが注ぎ込まれ、労働者の賃金は下がっている。貧困と格差は広がっている。憲法改正によって、本格的な戦争への道になる」と安倍改憲を批判した。
 絵本「新・戦争のつくり方」で「変える? 変えない? 憲法9条」が大きなボードにプリントされたものが読まれた。子どもや次世代にも分かる内容というものだ。
 「二〇一七年のNHKによる世論調査の国の政治で優先的に取り組んでほしいものは何かという問いに、憲法改正をしてほしいは6%で一番低い順番だ。一八〜一九歳では改正に賛成が一八%、反対が五三%」。
 「安倍政権は九条二項の戦力の不保持、交戦権の否認に、自衛隊を書き込む改憲案を出そうとしている。これが通ればこの二項そのものを削除するとしている」。「二〇一五年の安保関連法の成立によって、集団的自衛権を認め、海外で戦争ができる状況が作られた。そして、秘密保持法、共謀罪、マイナンバーなどの関連法を成立させてきている。また、武器輸出三原則を変え、武器輸出を積極的に行おうとしている」。
 次にリレートークが行われた。ふぇみんからは、会員に戦争体験者もいることを紹介して戦争反対を話した。キリスト者平和ネットは「安倍自民党総裁は総裁任期二期を三期に延長して総裁に当選した。安倍政権による森・加計学園事件でのウソと偽造まみれの政治は許せない。次期選挙では絶対に自民党に投票しないように」と語った。
 沖縄とつなぐ宣伝戦ということで、沖縄の歌と踊りが披露された。高田健さんが「沖縄知事選にふれて、玉城デニーさんの必勝を」と訴え、「沖縄に在日米軍の七割が集中し、世界一危ないと言われる普天間基地がある。普天間基地の即時閉鎖と辺野古への新基地建設を止めさせる。日米安保条約があるから沖縄に米軍基地がある。これは日本政治の問題で、私たちの責任だ」と話した。
 最後には韓国の歌「真実は沈まない」、フランスの歌「あきらめない」などを全員で合唱した。その後、記念撮影を行い、沖縄県知事選を闘う仲間に送り、連帯の激励をした。  (M)



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