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    かけはし2018年10月8日号

希望を作り出す民衆の闘いを


9.27

ATTAC公共サービス研究会

民営化による貧困と格差

新自由主義を乗り超える市民運動

 ATTAC公共サービス研究会が主催する「ディストピア(絶望の社会)日本と希望のまちソウル」―市民運動がつくる『もうひとつの公共サービス』」が、九月二七日、文京区民センターで行われた。約七〇人の参加があった。
 まずは主催者を代表して大利英昭さん(都庁職病院支部書記長)が、ATTAC公共サービス研究会の活動報告と合わせて、公共サービスの民営化とサービスの質の低下の流れが続く日本の現状を批判的に報告した。

ソウルでの実践
から学ぶこと
続いて宇都宮健児さん(希望のまち東京をつくる会)が「公共サービスと人権」と題して、日本における貧困と格差拡大の実態報告と、その解決のために朴元淳(パク・ウォンスン)ソウル市政によって七年間にわたって実践されてきた政策を具体的に報告した。
@国と地方自治体の使命と責任は、すべての国民・市民が人間らしい生活ができるようにすることであり、住民の命とくらしを守ることだ。しかし貧困と格差が拡大している。日本国民全体の貧困率は一五・六%で、一人親世帯の貧困率は五〇・八%だ(デンマークのそれは四・二%と六・八%)。非正規労働者は全体の四割で、女性は五割強だ。年収二〇〇万円以下の低賃金労働者は一〇〇〇万人超で、世界的に見ても最低賃金が低すぎる。過労死が多発してブラック企業が横行している。高齢者の貧困・無保険の「医療難民」が拡大し、貯蓄ゼロ世帯が三〇・九%で学生の奨学金(教育ローン)問題も深刻化している。しかし安倍政権は防衛費を六年連続増額させる一方で、社会保障費の削減を進めている。
A普通に働けば人間らしい生活ができるようにするための労働政策と社会保障政策が求められている。富裕層・大企業に対する課税を強化して、公正な税制を確立して所得と富の再分配が求められている。
B韓国は一九九七年の通貨危機でIMFの管理下に置かれた。金大中政権によって政治は民主化されたが経済は新自由主義ということになった。非正規職が拡大して、サラ金・ヤミ金が拡大して三〇〇万人の多重債務者が生まれ自殺が社会問題になった。市民・社会運動はがんばり続けていた。
二〇一一年一〇月に弁護士で社会運動家の朴元淳さんがソウル市長に当選した(現在三期目)。三大核心公約は、全児童生徒を対象にした無償給食の実施、ソウル市立大授業料の半額化、市職員の非正規職の正規職化だ。そしてこれらすべてが実施された。非正規職は委託業務化した労働者も含めて、八八三〇人が正規職になった。
また「労働尊重都市ソウル」としての労働政策として、最低賃金の遵守・ブラックバイト対策としてアルバイト青年権利条例の制定、弱者労働者(女性・青少年・高齢者・外国人・零細事業所)への保護政策などを推進してきた。そして「人間が中心」となる公共住宅・交通・福祉政策を、事細かく実施してきた。これらの諸政策は市民参与予算制度を導入して、市民が参加するなかで実施されてきた。
「ろうそく市民革命」でソウル市が果たした役割は決定的だった。裏方の仕事を市を挙げてやった。集会広場の確保、消防、救急を含めた安全要員の配置、簡易トイレの配置と民間への協力要請、警察車両への水の供給を遮断、地下鉄の終電時刻を遅らせる、清掃車両を動員して職員とボランティアで清掃の実施。そして文在寅政権が誕生した。文在寅政権はソウル市政の方法の多くを取り入れている。
宇都宮さんは最後に、韓国の青年たちは「政治が変われば生活もいろいろ変わる」と実感している。新自由主義を乗り越えて、貧困の克服から始めていく必要があるのではないかと講演をまとめた。

地域・職場から
の経験を交流
その後パネル討論に入った。ひとり目は「栃木から見た地域の貧困と福祉」という観点から、栃木市議の内海まさかずさんが発言した。給食費の無料化のためには六億五〇〇〇万円が必要で、福祉を削って予算化するということになるのだろう。保育所の民営化が進んでいる。民営化の方が安く上がると言われてきたが、市の福祉バスは民営化することによって費用が年間四〇〇〇万円から三億円になった。
ふたり目は「民営化された公共サービスの非正規労働者」という立場から、郵政ユニオン中央執行委員の浅川喜義さんが発言した。民営化(〇七年一〇月)の直前に入社した。正社員になれるだろうと思って時給一一〇〇円で配達の仕事をしてきた。しかし諸手当などでも非正規の不利益は大きい。年末・年始手当や住居手当などで成果を勝ち取ってはきたが、有給休暇・ボーナスなど格差は歴然としている。そうしたなかで「六五歳解雇は有効」とする九・一四最高裁不当判決があった。
三人目は「都立病院の民営化に反対する」という立場から、都庁職病院支部書記長の大利英昭さんが発言した。都立病院の地方独立行政法人化に反対する署名が行われているが、いまの都立病院は都民にとって本当にたからなのか! ほんとうにやさしいのか! 未収金問題に関連してケースワーカーが配置されたが、それは貧困対策としてではなく「取り立て人」としての配置だ。運動はなぜ大きくならないのか。多くの民間の労働者が最低賃金で働かされているという問題も含めて運動に取り組む必要がある。

社会運動として
の労働運動の力
最後に三人からの発言を受けて宇都宮さんが発言した。ソウル市では清掃労働者も正規職として直接雇用した。労働者の意識が変わって、自ら進んで仕事をするようになり市のサービスの質が向上した。自治体がどれだけ自由に使える予算を組めるのか。実態は国の補助金であり、国と対等な関係ではない。生活保護を受ける教員がいる。早大は六〇〇〇人の教員のうち四〇〇〇人が非正規だ。八〇〇〇人の非正規医師がいる。若い研修医は劣悪な労働環境のなかで仕事をしている。貧困の克服という問題に手が届いていないのが日本労働運動の現実だ。社会運動としての労働運動というとらえ方が必要なのではないか。韓国では最低賃金をめぐって社会的な労働運動を一〇年前から始めていた。韓国をはじめ世界の運動は変化してきている。日本をどう変えるのか! その後、会場ではいくつかの質疑がなされた。
会場で販売されていた『ソウルの市民民主主義―日本の政治を変えるために』(白石孝 編著、朴元淳ソウル市長ほか著 発行 コモンズ 一五〇〇円)は、現在のソウル市政を知るための良書である。  (R)


9.17

日朝平壌宣言16周年

国交回復へ、いま何が私たちに必要なのか

 【愛知】九月一七日、名古屋市の栄にある名古屋市教育館講堂で「日朝平壌宣言16周年・今こそ日朝国交回復を!なくそう偏見 つくろう信頼と友情―講演集会とデモ」が「韓国併合一〇〇年東海行動」の主催で行われ約六〇人の労働者、市民が結集して成功した。最初に主催者あいさつを代表の磯貝さんがおこなった。
 磯貝さんは朝鮮半島の非核化にむけた動きに今までにない高揚感を感じていると述べ、何度か戦争の危機があり危なかったが今は良い方向に向かっている。これを止めずに朝鮮半島の平和と統一のために愛知からも声をあげようと述べて開会のあいさつとした。

和田春樹さんが
基調的な講演
次に和田春樹さんの基調講演が行われた。和田さんはまず、米朝対立が昨年一一月に頂点にいたり米朝戦争の危機におちいったが国連や韓国ムン政権の戦争回避のための必死の努力により、なんとか回避したと述べた。
それは国連が二〇一八年ピョンチャン、二〇年東京、二二年北京とオリンピックが三大会連続で行われることについて平和のための機会になるとの指摘を伝達したことや、韓国もピョンチャンオリンピックを平和の機会にしたいとの韓国七二氏の声明があったことを説明した。
南北会談と米朝会談は歴史的だが、非核化のプログラムを明確につくらなければならないと述べ、朝鮮戦争を終結させ、在韓米軍の部分的または全面的な撤退など朝鮮半島の非核化を実現させることによって米朝関係を正常化させることだと述べた。また日本がこれに参加し、日朝国交正常化をすすめることが米朝交渉の重要な要素であると指摘した。植民地支配の清算と朝鮮戦争準参戦国の立場を終結させるが必要だと述べた。
さらに安倍政権が二〇〇六年一一月〜一二月に打ち出した「拉致問題安倍三原則」を厳しく批判した。それは@「日本の重要問題」A「拉致問題解決なくして国交正常化なし」B「拉致被害者は全員生きている。全員奪還して解決」というもので、二〇〇二年に始まった日朝交渉を打ち切って敵対し、崩壊させるための戦略であり緊張関係をつくりだそうとするもので日本の民衆に永久に憎み続けろというものだ。これをやめさせなければならないと厳しく指摘した。
最後に和田さんは東北アジアの構造は南北朝鮮と日本をアメリカ、ロシア、中国の核三大国が取り囲んでいる状況でありこの核三大国が日韓朝の安全保障をすることを通じて不戦の盟約をすることが必要であり、この中でこそ日本列島住民も平和に生き続けられるのだと述べた。

東アジアの平和
を作り出そう
講演が終わり休憩をはさんで質疑がなされた。さまざまな意見が出て、どれもこの始まった朝鮮半島の平和と統一に向けた動きを絶対に止めず皆で行動し声を上げようと言うものだった。この中で和田さんは朝鮮半島が非核化、平和と統一が実現すれば日米安保条約は必要なくなるとも述べた。
最後に実行委員会の藤井さんが閉会のあいさつを行い来年三月一日の朝鮮万歳革命一〇〇周年の集会を成功させようと発言して閉会した。集会終了後、参加者は栄の繁華街を縦断するデモ行進に出発した。デモ参加者は約四〇人でけっして多い数ではなかったが「朝鮮戦争を終結させよう!」「アジアの平和を実現しよう!」と元気よくシュプレヒコールをあげて沿道の労働者、市民から多くの注目をうけた。    (越中)

 



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