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    かけはし2018年10月8日号

3・11福島原発事故の教訓生かせ


胆振東部地震

なぜブラックアウトが起きたのか

北海道からの報告

効率性と利益追求のみの北電、
それに追随する高橋道政の無策


インフラの
復旧を急げ

 道内で初めて最大震度7を観測した胆振東部地震。被害状況は北海道のまとめによると(九月二五日午後五時現在)死者四一人。負傷者六八九人。避難者六五六人。建物被害七〇四八棟(全壊四六四棟、半壊八五九棟、一部損壊五七二五棟)停電二五戸。断水三六八戸。
 停電、断水などは次第に減少しているが、調査が進むにつれ建物被害は日を追うごとに増えている。
 札幌市清田区(建物被害一〇四八棟)や北広島市などで地盤の陥没が起き、家が壊れたり傾いたりする甚大な被害が出た。とりわけ清田区の被害は、谷に盛り土をした宅地造成(一九七〇年代)が一因で液状化が起きたと指摘されている。札幌市は、被害の原因調査に約三カ月かかり、地盤改良などの工事に着手するのは来春になるとの見通しを示す。
 一方、道と市町村が管理する公共土木施設の被害総額(二〇日現在)が一一六四億円に上り農林水産業、観光業も含めた被害総額は判明分で一九〇〇億円近くに達した。国管理の道路や河川のほか、学校や史跡など教育関連施設の被害額は調査中で含まれておらず、金額はさらに膨らむ見通し。
 震源の胆振管内厚真町では総事業費六五億円を投じ、八月に開業したばかりの富里浄水場が、地震に伴う土砂崩れで壊滅的な被害を受けた。町内は最大二〇〇〇戸で全面断水となり、今も三〇〇戸で断水は続いたまま。浄水場は大規模改修が必要だが、被害程度が分からず、再び通水できる見通しは立っていない。

広域停電は
防げたはず


 今回の事故は、石狩湾新港に建設中の液化天然ガス(LNG)火力発電所(来年二月運転予定、一七〇万kw)が完成していれば防げたはずと言われている。また、北海道と本州を津軽海峡の下で結ぶ「北本連系線」(六〇万kw)は現在、北海道側が停電すれば電力を送れない仕組みだが、敷設中の新たな連系線(来年三月運転開始予定、三〇万kw)なら、道内が停電中でも送電できる。同様の事故があっても、これが利用できるため、早期の復旧が可能になる。
 ところが、北電は今回のような設備破損による長期間の運転停止を想定した訓練は行っていなかったという。
 泊原発再稼働を最優先する一方で、苫東厚真に対するバックアップはおろそかになっていた。立地する太平洋沿岸は地震の多発地帯だが、電源の一カ所集中でコスト削減を図った。石炭火発は発電コストが安い。泊原発再稼働が見通せず、新電力との競争が激化する中で、北電がリスクの回避よりも経済性を優先した結果の事故だった。

老朽化した
設備に不安


 北海道電力は九月二三日、苫東厚真火力発電所(総出力一六五万kw)の二号機(六〇万kw)について、全面復旧が一〇月中旬ごろにずれ込むと発表した。燃料の石炭を粉砕する装置・微粉炭機の不具合が原因。最大出力の三分の一の約一八万kwで試運転を継続する。完全復旧には点検、確認作業などで約三週間かかるという。一九日に復旧した一号機(三五万kw)は正常に稼働中、最大火力の四号機(七〇万kw)は二五日に全面復旧した。(三号機は二〇〇五年に廃止)
 苫東厚真四号機と知内火力発電所二号機の再稼働により最大供給力は単純計算で四六一万kwになり、今年のピーク時の需要想定との比較では一〇月(四一五万kw)、一一月(四五五万kw)を上回る。ただ、道内の電力需要が最も高まる厳冬期の一月、二月には需要が例年五〇〇万kwを超える日も多く、需給は予断を許さない状況が続く。
 これまでに北電が再稼働した電源の中には、運転開始から四〇年以上が経過している「老朽火力」が多く含まれている。中には五〇年を超えるものもあり、ブラックアウト発生後運転再開した音別発電所一号機は運転中にトラブルを起こし停止した。フル稼働して使い続けることが想定されていない老朽火力に過剰な負担をかけ続けており、トラブルのリスクは高まっている。

無策きわま
る高橋道政


 ブラックアウトの危険性は、道議会で過去に何度か議論されたことがあった。
 東日本大震災から一年後の二〇一二年以降、泊原発の全三基が停止したままで、電力の安定供給が大きなテーマになったからだ。道内の電力供給の多くを苫東厚真に頼る現状への懸念も指摘されていた。
 しかし、質問した道議には、泊原発の再稼働を後押ししたい狙いがあることが多かった。
 道は「国や北電に対し、信頼性の高い正確な受給見通しを早急に示すことを求める」などと答弁したものの、対応マニュアルや、具体的な対策を練ることはなかった。
 政府の地震調査委員会は、道東沖でのマグニチュード9クラスの超大型地震の発生について「切迫している可能性が高い」と指摘している。併せて、今後三〇年以内に起こる確率を七?四〇%とする長期評価を公表している。
 また、二〇〇万近い人口が集中する札幌市の地下にも複数の活断層があり、最大で震度7の直下型が予想される。
 今回の地震が暖房が欠かせない冬場であれば、生命の危機にも直結し、極めて深刻な被害をもたらしていたことは明らかだ。
 自民党総裁選のさなか、危機管理能力をアピールしたい政府の情報発信は積極的で、道に先行する場面が目立ち、後手後手にまわる知事の発言はメディアに取り上げられることは少なかった。
 道議会代表質問で知事は自身の責任を棚上げして「深刻な事態だ。北海道電力の責任は極めて重い」と述べた。そもそも北電に追従して無策だった北海道の姿勢こそ糾弾されるべきである。

くすぶる泊
原発再稼働


 北電によると、運転停止中の泊原発は、停電で九月六日午前三時二五分ごろに外部からの電源供給が止まり電源喪失に陥ったが、約三分後、非常用発電機によるバックアップを開始した。
 一?三号機の各プールには使用済み燃料など計一五二七体あり、非常用発電機六台が起動し冷却を続けた。発電機の燃料は冷却を七日間継続できるだけ確保されていた。
 立地する泊村で観測されたのは震度2だったにもかかわらず、外部電源を喪失、ディーゼル発電でかろうじて燃料プールの冷却ができていたということになり、東電の事故の教訓が生かされていなかった。
 泊原発は敷地内の断層が活断層かどうかを巡って規制委の審査を受けている最中で、立地の適格性すら認められていない。
 しかしインターネット上では議論が活発化。「電力の需要が増える冬を迎えなければならない。政府が決定すれば早期再稼働は可能」と主張し、「冬までに泊原発を稼働すべきだ」との意見も目立ってきた。
 原発は事故時の被害が甚大で、安全対策のコストも高い。原発から出る高レベル放射性廃棄物の処分地も決まっていない。再稼働論は到底受け入れられるものではない。

主要電源
は複数で


 発電所は規模が大きければ単位当たりの発電コストが下げられるため、泊原発などの大型電源に依存していた北電は、関西、中部、九州の各電力会社が一九七〇年代から導入しているNLG火発の導入が遅れていた。
 しかし一九九〇年代以降はガス発電などの技術が発達し、小さな設備でも安く発電できるようになり、さらに太陽光や風力などの再生可能エネルギーによる発電コストも下がっている。
 今回の地震でブラックアウトとなった後も、コージェネレーション(熱電併給)システムを持つ施設は通常通り、電気を供給し続けた。一部の施設では避難所としても活用された。コージェネは電気のほか、暖房、温水も供給できるため、防災施設としての存在感を示した。
 新たな電力供給システムを進めている阿部力也氏(元東京大特任教授)によると、「北本連系をさらに増強するとともに、総需要の一〇%程度の出力の発電所を分散配置する。(交流の発送電網が張り巡らされている)北海道を、自前の発電所を持った自立可能な中小のエリアに分け、エリアごとに直流を介して北電に接続する」と大規模停電を防ぐための提言をしている。
 政府は今年七月に改訂したエネルギー基本計画で二〇三〇年度に原発の発電割合を二〇?二二%とするなど集中型を維持していく方針を打ち出している。泊原発が再稼働すれば、電源が一部に集中する構図はさらに強まる。電力消費の小さい北海道に大きな電源があること自体がいびつな状態であり、分散型電源を重視する方向にかじを切るべきである。

 (注)コージェネレーションシステム ガスや石油などを燃料にして発電する際、排熱も一緒に暖房などに使うシステム。送電ロスなどがなく、エネルギー利用効率は火力発電所の二倍以上の八〇%前後。大型商業施設や大病院、工場などでは発電出力が千?数千kwの規模の所もある。ここ数年は超小型設備(一kw前後)を導入する家庭も増えている。
(札幌:白石 実)


9.13

安倍政権退陣へ!新宿東南口宣伝

あたりまえの政治を市民と野党の共闘で

 九月一三日午後六時半から、JR新宿駅東南口で、「安倍政権退陣 あたりまえの政治を市民と野党の共闘で!」街頭宣伝が、主催:安保法制の廃止と立憲主義の回復を求める市民連合、協賛:戦争させない・9条壊すな!総がかり行動実行委員会で行われた。
 「安倍三選が現実味を帯び始め、自民党改憲草案に基づく改憲に向けた動きは今後一層強まるものと思われます。このような状況を踏まえ、今回の街頭宣伝では、市民と野党の共闘で、安倍政権にNO! を突き付けたいと考えています。なお九月一三日は、沖縄県知事選の告示日です。辺野古新基地建設の阻止に向けて、沖縄への連帯の意志も示したいと思います」。

沖縄県民と共に
安倍政権打倒へ
最初に、市民連合の山口二郎さん(法政大学教授)が「安倍が自民党総裁に再選し、三年も国政を握られたら、日本は一体どうなるのか、ルールもモラルもない安倍によって社会が壊される。来年の参院選、憲法改正に反対する市民と野党が一致協力しよう。沖縄県知事選に勝利しよう」と訴えた。
菱山南帆子さん(総がかり行動)は「翁長さんはイデオロギーよりもアイデンティティと沖縄の歴史と米国による基地押しつけの実態を明らかにした。翁長さんの死に際して、菅官房長官は辺野古の埋め立ては何ら変わらないと発言した。米軍統治者のキャラウェイと何ら変わらない」と批判し、翁長さんの遺志を受け継ぎ知事選に勝利しようと訴えた。
次に清水雅彦さん(日体大教授)は「改憲問題について、本当にひどい状況になっている。九条を変え、臨時国会で草案を出したいと安倍総理は言っている。石破は九条二項削除には反対しているが緊急事態条項が必要であると言っており、たいへん危険だ。安倍になっても石破になっても困る。参院選で憲法を守る勢力を増やして、次期衆院選で政権交代を実現しよう」と話した。

玉城デニーさん
を沖縄県知事に
国会議員の発言に移った。国民民主党は初めて市民連合の街頭宣伝に加わった。平野博文幹事長が「沖縄県知事選が本日告示された。玉城デニーさんを支持し、勝利のために全力を尽くす。安倍政権の集団的自衛権容認や憲法改悪を絶対に許せない。基本は立憲主義だ」と話した。海江田万里さん(立憲民主党)は「立憲民主党として、八月二九日に枝野代表が玉城デニーさんを応援することを決め、辺野古に基地を作らせないと表明した」と語り、沖縄県知事選での勝利を話した。吉良よし子さん(日本共産党)は「翁長知事は筋を通すこと、あきらめないことそして有言実行するすばらしい政治家であった。米軍による犯罪、横田へのオスプレイの配備、危険な憲法改正とアメリカに従う政治が続いている。新しい政治のうねりを作りだそう」と語った。
野沢哲夫さん(自由党東京都第一区総支部)は「スペインなど世界では自分たちの政権を作る動きが始まっている。日本でも実現しよう」と話し、柚木道義さん(無所属衆院議員)は「安倍と対決すべきと国民民主党を離党した。議員になった年に、沖縄に行き歴史を学んだ。沖縄を応援していこう。改憲のためのダブル選挙もありうる」と語った。

被災者を置き
去りにする政府
精神科医の香山リカさんが「私は北海道出身。食料品がほとんどなく、真っ暗で途方にくれおびえている。泊原発は外部電源がストップした。それでも電力不足なら稼働すべきだととんでもない意見が出ている。安倍政権は被災者をおざなりにしている」と批判し、さらに「八月国連の人種差別撤廃委員会で、日本は四〇項目にわたり、問題があると勧告された。従軍慰安婦、沖縄差別などだ」と指摘した。(M)


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