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    かけはし2018年10月15日号

事故は予見・回避できた


9.30

東電刑事裁判報告会in東京

「想定外」という言い訳はウソ

責任を追及し被害の補償を


核心を迎えた
裁判進行状況
 九月三〇日、東電刑事裁判支援団が主催して「予見できた!回避できた!東電刑事裁判報告会in東京が、専修大学神田キャンパスで行われた。この日の報告会は、いよいよ核心を迎えた二〇一三年三月東電福島原発事故の刑事責任を追及する裁判の現状を共有し、東電役員が地震調査研究推進本部(推本)の長期評価に基づく津波対策を決断していれば、原発事故は防ぐことができたことを明らかにするために準備された。集会には会場いっぱいの二〇〇人以上が参加し、用意したプログラムが足りなくなるほどだった。
 東電刑事裁判は二〇一七年六月三〇日の初公判を皮切りに、今年になってからは、多いときは月に五回というハイペースですでに二七回もの公判が積み重ねられてきた。その中であの大震災と津波は予測できなかったという、被告となった東電幹部の言い逃れは完膚なきまでに否定された。
 事故の可能性は完全に予測されていたし、対策を打つことも可能だった。多くの人びとの生活、生命を奪った、地震・津波による原発事故は避けることができたのである。
 支援団長の佐藤和良さんたちのあいさつに続いて、いわき市出身の講談師の神田香織さん(「チェルノブイリの悲劇」を題材にした講談を演じている)が、事故を引き起こした東電の無責任さ、事故被害者の悲しみについて語った。

事故を防ぐこと
は絶対できた!
集会のメインは弁護士の大川陽子さんによる「東電役員が推本の長期評価に基づく津波対策を決断していれば、原発事故は防ぐことができた」という講演。
東電役員らの責任を追及するこの裁判の起訴状の概要は「被告人らは、原発の敷地の高さである一〇メートルを超える津波が襲来し、建屋が浸水して電源喪失が起き、爆発事故などが発生する可能性を事前に予測できたのに、防護措置・原子炉停止などの対策をする義務を怠った」というものだ。その主な争点は、事故の予見可能性と結果回避可能性に置かれることになった。これに対して東電幹部の被告人たちは「事故の予見可能性などなく、また対策を講じたとしても事故は避けられなかった」と無罪を主張した。
しかしこの間の公判を通じて明らかになったのは、江戸時代以来の歴史的資料からしても、一六七七年に発生した延宝房総沖地震レベルの津波・地震が福島原発の近くで起きる可能性が存在していたことだ。
さらに福島第一原発が全国で最も津波に対して余裕のない原発であったこと、二〇〇二年には「福島県沖を含む日本海溝沿いで巨大津波を伴う地震が発生しうる」との長期評価がまとめられていたこと、過去四〇〇年に三回のプレート間津波地震が起きていたこと、「長期評価に基づいて対策を取っていればかなりの人たちの命は救えた。原発事故も起きなかった」という元原子力規制委員長代理で地震調査研究推進本部・長期評価部会長の島崎邦彦氏の証言などが紹介された。
しかし内閣府の地震防災担当(中央防災会議の事務局)は、対策の必要性をサボタージュしたのである。

東電経営陣の
責任は明白だ
大川陽子弁護士は、さらに「基礎津波の計算と東電内の対策検討の始まり」「2008年基準津波の計算とこれを受けた計算について」「津波対策を遅らせることは許されるか」「土木学会への検討依頼は時間稼ぎ」「まともな対策が立てられていれば、事故の結果は避けられた」、「過酷な事故対応、無理な避難を強いられた」などの裁判の中で明らかになった各項において、津波・事故は予測できたし、被害は避けられたことを詳細に明らかにして、東電最高経営陣の責任を明らかにしていった。
大川弁護士の講演の後、河合弘之弁護士は「この裁判で、東電経営陣のでたらめさが明らかになることの意義は大きい。裁判の過程で『想定外の事故』という言い訳は完全に否定された。原発をなくして安全で安心な日本を残そう」と訴えた。       (K)

10.3

労組・運動団体に卑劣な攻撃

ネットを悪用したヘイト攻撃考える

国会院内でシンポジウム

差別・排外主義許すな

連携し反撃の闘いを


レイシストたち
の策動を許すな
 一〇月三日、参議院議員会館で「ネットを悪用した『ヘイト攻撃』を考える10・3シンポジウム」が菊池進さん(全日建)、松本耕三さん(全港湾)、鈴木剛さん(全国ユニオン)、嶋崎量さん(神奈川総合法律事務所)の呼びかけで行われた。
 安倍政権と自民党の差別・排外主義を背景にして、この間、レイシスト集団やネット右翼などが労働組合、辺野古新基地反対運動、差別反対運動に参加する仲間たちに対してネットやSNSなどを通して誹謗中傷、大量の嫌がらせメール攻撃を繰り返している。連動して警察権力は、正当な組合活動を違法行為だとして事件をデッチ上げ、不当な事務所家宅捜索、公安政治警察による弾圧に向けた監視強化などの対応も増えている。主催者は、レイシスト集団、ネット右翼、警察権力らによる攻撃を許さず、被害実態を共有し、反撃していくためのスクラムを構築していく踏み出しとしてシンポジウムを行った。

関生労組・闘う
団体を対象に
小谷野毅さん(全日建書記長)は、「関西生コン業界でつづく組合弾圧とネット右翼」というテーマで提起。
「レイシストは、組合の運賃引き上げ、大阪広域生コン協組の民主化を求めるストライキ闘争に対して『ゆすり、たかり、組織犯罪』などとデマ宣伝を繰り返していた。ネットでデマ・嫌がらせを繰り返し、組合を暴力的な集団と印象づけることだった。また、自分たちの行動をすぐさま動画にし、ブログに同じ動画を繰り返し載せる。レイシストの嫌がらせは、明らかに関西生コンに敵対する大阪広域協のデマゴギーの先兵、露払いの役割を担っている」。
「警察権力(奈良、滋賀、京都、大阪府県警)は、大阪広域協、レイシスト集団の敵対と一体となって正当な組合活動、ストライキなどに対して強要未遂、威力業務妨害事件としてデッチ上げ、三月から九月にかけて不当な家宅捜索、二〇人の組合員を不当逮捕した。いずれも逮捕の要件がなく、根こそぎ逮捕することによって組合を潰すことを目的にしている。不当弾圧後、業界、レイシスト、メディア、一部労組などによってデマキャンペーンが行われている。なかには生コン工場にまで押しかけ『連帯と手を切れ、脱退しろ』などと叫び、嫌がらせを行っている。このような不当弾圧を許さず、敵対勢力の攻撃を跳ね返していく」。
鈴木剛さん(全国ユニオン会長)は、「労組批判本と差別排外主義者による攻撃と刑事弾圧の予兆」について報告。
「青林堂(在特会等などの『ヘイト本』の出版社)から中村基秀さん(営業部長)が不当解雇され、二〇一四年一二月に東京管理職ユニオンに加入し、組合支部を結成して東京地裁に提訴し、『不当労働行為につき無効』と判断され、一五年一〇月に復職。しかし、会社は不当な支配介入、ハラスメントが続き、損害賠償を求める裁判、東京都労働委員会への救済申し立てを行い、争議中だ」。
「青林堂は、一六年九月に『中小企業がユニオンに潰される日』というデマ本を出版したり、SNSでユニオンに対して誹謗中傷を配信する。『労働組合を装った企業恐喝集団であり、背後には反日左翼がいる』などとキャンペーンを行っている。さらに九月には差別排外主義者の瀬戸弘之らが街宣車で乗りつけ、ユニオン攻撃を行っている。公安警察も取り巻いて見ており、ユニオン運動に対する刑事弾圧の予兆を感じさせる。ユニオンは、攻撃に後退することなく、断固として闘い、青林堂闘争に勝利することを宣言する」。
佐々木亮さん(東京弁護士会)は、「ネット右翼(一九〇人)らによって『違法である朝鮮人学校補助金支給要求声明に賛同し、その活動を推進する行為は、日弁連のみならず当会でも積極的に行われている二重の確信的犯罪行為である』という懲戒理由で弁護士会の理事などに懲戒請求が行われた。その後も本人も含めて集団懲戒請求メールが続き合計で一〇〇〇人を上回った。懲戒請求を煽ったのは、ネット右翼のブログだった。被害にあった弁護士とともにツイッター上で請求をした九六〇人に対し損害賠償を求めて裁判を起こす記者会見(五月一六日)を行った。また、青林堂闘争の原告側の代理人弁護士をしているが、集団懲戒請求メールは青林堂事件も関係していることは間違いない。攻撃に屈することなく、断固反撃していきたい」と発言。
さらにレイシスト集団、ネット右翼らの動向、性格、嫌がらせ手法などの実態を分析し、いかに撃退していくのかなどについて和田悠さん(立教大学准教授)、香山リカさん(精神科医)、三宅雪子さん(元衆議院議員)、安田浩一さん(ジャーナリスト)、藤本泰成さん(平和フォーラム)が問題提起した。
最後に、共に連帯し、情報を共有化し、レイシスト集団やネット右翼を許さない対抗運動を作っていくことを確認した。 (Y)


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