もどる

    かけはし2018年10月15日号

財閥体制の清算ゼネストで


下半期の財閥体制清算闘争の方向

ペク・ジョンソン執行委員長 (社会変革労働者党「変革政治72号」より)

 「財閥体制清算のゼネストへ」と民主労総下半期の闘争課題を提起する社会変革労働者党の論文である。韓国では、ろうそく革命を進めて資本主義の総帥財閥との闘いを労働者のゼネストで挑まなければならないと提起している。これは日本でも同じではないか。日本でも安倍政府を通して巨大資本が政治に影響を及ぼし、労働者、民衆の生命と生活を統制し、圧迫してきている。日韓共に労働者の闘いの相手と要求はますます近づいている。(「かけはし」編集部)

本当の問題は財閥体制そのものに


 文在寅(ムン・ジェイン)政権は、財閥に下半期の規制緩和を約束し、投資と雇用を物乞いして、定期国会では大幅規制緩和の立法を推進している。「雇用をもっと作ってくれることを願います」。この7月に李在鎔(イ・ジェヨン)と会った大統領の言葉だ。「もっと大きな発展をお祈りいたします」。8月に李在鎔に送ったキムドンヨン経済副首相の言葉だ。
 政府は財閥体制と同居するという意志を隠していない。これは政策方向でも明確化したところで政府は2018年経済政策方向の3大戦略で第1に雇用・所得主導の成長、第2に革新成長、第3に公正経済を掲げている。
 つまり、2017年に掲げた雇用創出と所得主導の成長論は、比重が縮小されたまま並列的に結合されているだけだ。これはそれ自体で限界がある所得主導の成長論の早期退行を予見し、政府が7月18日に発表した下半期経済政策方向はこれをより鮮明にした。
 政府は革新成長に向けての「核心規制の画期的改善」を明示したところだがこれは事実上これまで財界が提起してきた苦情のうち相当部分を下半期に解決するということだ。

財閥苦情処理場に転落した国会


 この6月15日、経総(韓国経営者総協会)は企画財政部に「革新成長規制改革9大課題」(営利病院の許可、遠隔医療の規制緩和、インターネット専門銀行銀産〔銀行と産業〕分離緩和、労働関係法改正、高齢者派遣を認める規制の廃止など)を提案した。
 経総の報道資料によると、「4次産業革命時代に備える労働関係法改正」、「高齢者派遣を認める業務の廃止を通じた高齢者の再就職機会の拡大」など直接的な労働改悪要求を突きつけたのだ。同日、大韓商工会議所の朴容晩(パク・ヨンマン)会長はキムドンヨン経済部総理に会って「規制改革プロセス改善案」を伝えた。
 6月20日、企画財政部は7月初めに経済6団体首長と懇談会を開くと発表しこの席には経総と大韓商工会議所はもちろん、「積弊」の象徴と目されたことのある全経連の出席が国政壟断事態後最初に予定されていた。内外の反発を意識したのか、懇談会はキャンセルされたものの、政府は資本の利潤蓄積のために行動するという意思を明らかにしている。
 政府与党が定期国会で処理しようとする規制革新5法、つまり行政規制基本法・情報通信の融合法・産業融合促進法・金融革新支援法そして地域特区法は規制フリーゾーンなど、朴槿恵(パク・クネ)政府がまとめた法案を名前だけ変えて改めて出したのだ。
 さらに、「地域特区に対する規制特例法」(地域特区法、民主党)と、「地域特化発展特区や規制フリーゾーン特区に対する規制特例法」(規制フリーゾーン法、自由の韓国党)で法案の名称を巡って争った状況さえも8月末与野党が「規制フリーゾーン法」に法案名称を合意して解消された状況だ。
 民主党は法案で医療産業に対する規制緩和措置を削除した点を挙げて該当法案が朴槿恵政府が推進した規制緩和と違うと主張しているが、自治体の選定戦略産業に対する規制を全面的に緩和するという本質は大差がない。
 戦略産業に対する事前許可後のトラブル発生時の事後規制、企業独自の安全性判断の許容など、生命・安全規制も全面的に緩和するというのが政府の方針だ。資本はすでに営利医療法人を禁止した扉を一つずつ壊しており8月には文在寅大統領が直接遠隔診療を認めなければならないと言及した状況だ。
 資本はもう次のように言うだろう。「ドローン産業の規制やバイオ産業の規制、自主走行自動車規制は完了しているのに、医療産業の規制緩和は何故駄目なのか?」と。国会は、財閥の苦情処理のための場に転落した。

財閥体制の清算の本質


 政府は財閥を改革するとしながらも彼らの苦情解決士を自任している。これは単なる政府主導の改革が不十分なためではない。問題は政府の財閥改革の方向性そのものだ。
 現政府の要職を占めた市民運動陣営、小口株主運動陣営はこれまで財閥の前近代的で反市場的な行動がもたらす破局を防ぐために財閥を改革しなければならないという論理を展開した。
 すなわち総帥一家の恣意的な意思決定や過度な負債比率をもたらす重複投資が生む不良が循環出資構造に乗って企業集団全体の崩壊につながることを防ぐために財閥を改革しなければならないというのが主な論旨だった。
 しかし、財閥は既に十分「市場的」な存在だ。文在寅政権の登場前から持株会社は急増しておりこれは財閥自らの循環出資を解消してきたことを意味する。公正取引委員会が発表した持株会社の現況によると、持株会社・子会社・孫会社・ひ孫会社の数は2010年計942社から、2017年2020社に急増してきた。
 文在寅政権の登場以前にもすでに持株会社体制への再編は一般的な流れだったということだ。 負債比率もやはり同じだ。公正取引委員会によると、1997年30大財閥の平均負債比率は519%に達したが、2018年現在「資産5兆ウォン以上の企業集団」、すなわち財閥の負債比率は70・2%に過ぎない。すでに過去のような財閥は存在しない。
 労働者、民衆にとっての「財閥改革」の本質は、財閥を市場化することではない。その本質は財閥が象徴する巨大な生産力に対する労働者、民衆の統制力を強化することだ。
 労働者、民衆に財閥体制が問題である理由は、それが「オーナー一族が支配する巨大資本主導の全国家的収奪体制」だからであり、この体制の清算は市場の強化ではなく、社会の強化を通じて行われなければならない。
 労働者、民衆の生存権保障と統制権の強化が財閥体制の清算の核心だ。これは、結局オーナー一家の支配それ自体、非正規職量産、労働組合破壊、長時間―低賃金―不安定労働体制の終息を意味する。

政府が労働者、民衆に
与えられる物はない


 しかし、政府の財閥改革論は労働者、民衆の要求と、反対方向に立っている。2017年、政府の財閥改革を主導する公正取引委員会は財閥に二度の懇談会を通じて財閥に「セルフ改革」を注文し、その要旨は循環出資を解消し持株会社へと転換するというものだった。
 2018年4月末、公正取引委員会は循環出資が事実上解消されたとしこれまで財界の支配構造や取引慣行の改善努力について市場や社会の期待に応える方向という点で望ましいと評価した。
 2018年5月10日、5大財閥CEOの懇談会で金尚祖(キム・サンジョ)は、今後非上場、非主力系列会社に対するオーナーの株式保有の自制と仕事の集中的発注の根絶を要請し、これを政府2年目の財閥改革目標に設定した。
 そして8月24日、公正取引委員会は公正取引法全部改正案を立法予告した。差益詐取規制基準に含まれるオーナー一族の会社の持ち分保有率を上場会社・非上場すべて20%以上に一元化して、これらの会社が50%以上の持分を保有した子会社も差益詐取規制対象におくことにした。
 また、キョンソン談合(価格談合や入札談合)については公正取引委員会告発がなくても刑事処罰を可能にして、公益法人の議決権を制限し、(上場系列会社に限って特殊関係人の持分合算15%の限度により議決権行使制限)、持株会社の子会社と孫会社に対する持ち分要件を引き上げる(上場会社20→30%、非上場会社40→50%)としている。
 このすべてのことは資本と資本の関係を小幅の調整で合わせているだけだ。政府が仕事の集中的発注の規制に集中している理由も、一企業の集中的発注は他の企業の事業機会を剥奪するという点にある。
 まさに政府にとって「財閥改革」はすぐ「革新企業の養成」と直結されており、この地点で最近の革新成長論台頭と所得の主導の成長論退行は政府の財閥改革論自体の限界に及んでいる。一歩譲歩して、財閥の仕事の集中的発注は、それ自体で誤ったものであり、財閥改革中心議題に置かれることが正当だとしよう。
 しかし、財閥が仕事の集中的発注に乗り出した根本原因は、まさに経営権継承であることを記憶しなければならない。集中的発注は持分の継承に伴う相続税の納付のための現金確保、あるいは仕事の集中的発注を通じて確保した現金での持分を買い入れるためのものだったという点で、3世への継承を制御するという意志がない仕事の集中的発注の規制は宙に浮いた措置であるだけだ。
 これをよく表した事例がまさに現代車グループの3世への継承方法についての金尚祚(キム・サンジョ)の絶賛だ。鄭義宣(チョン・ウィソン)が大株主であるグロービス事業の一部とモービスをグロービスに有利な比率で合併し起亜車が保有したモービス持分をグロービスの株式と交換して現代車グループを継承するという案は財閥がこれまで愛用した企業分割と持株会社の設立を通じたオーナー一族の支配体制の強化案とその本質においてまったく変わらない。さらに、金尚祚(キム・サンジョ)本人が公正取引委員長に就任する前に促した企業分割を通じた持株会社設立時の自社株の議決権復活禁止法案も推進の意志が全くない。
 「財閥改革」という名で公正取引法改正を推進しても総帥一家の支配体制も低賃金―長時間―不安定労働体制も非正規職量産と労組破壊も変わることはない。結局、労働者、民衆が政府の財閥改革で実感できる物は何もない。
 下半期の公正取引法の改正以降、政府は「財閥は経済成長のパートナー」という態度をより本格化する公算が高い。国政壟断の主犯たちは依然として巨大企業集団を支配していて政府はその主犯らと手を握っている。

政府の基調と変わらない
民主労総の財閥改革要求

 さらに大きな問題は民主労総が掲げた財閥改革要求でさえ市民社会陣営はもとより政府の基調とも違うところがないということだ。民主労総が掲げた2018総スト総力闘争7大要求(弊害の清算・非正規職撤廃・労働基本権保障・社会賃金の拡大・安全社会の構築・財閥改革・最低賃金法の原状回復、以上8月22日2回臨時中央委)のうち、財閥改革要求項目は△持株会社制度改編△財閥の循環出資解消△公益法人の議決権制限△仕事の集中的発注の規制△社内留保金課税△社外取締役制度の改善△株主代表訴訟の原告適格の拡大で構成されている。
社内留保金の課税を除けば、民主労総が掲げた財閥改革要求の大半は政府の市場主義財閥改革論と変わらない。このような要求では労働者、民衆主導財閥体制の清算は不可能だ。
労働者、民衆が財閥体制の清算の主導の主体になるべきだというのは宙に浮いた話ではない。 状況を見よう。
2018年2月5日、李在鎔(イ・ジェヨン)が執行猶予で釈放された。李在鎔の控訴審裁判部が、李在鎔を被害者として規定したためだ。三星(サムスン)グループの経営承継のための組織的作業は存在せず、李在鎔は、政権の強要に仕方なく金銭を上納したというのが判決の要旨だった。
しかし、この8月24日、朴槿恵に一審より多くの懲役25年を言い渡した控訴審の裁判部は李在鎔の経営引継ぎ作業が過去から続いてきたという点を指摘した。
9月6日、李明博(イ・ミョンバク)1審もやはり同じだ。検察は李明博に懲役20年を求刑しており、検察は李明博が、収賄した賄賂111億ウォンのうち68億ウォンは、三星が代納した(株)ダースのBBK投資金返還訴訟費用だと明示した。
つまり、三星(サムスン)グループが、李健煕(イ・ゴンヒ)特別赦免と金産(金融と産業)分離緩和を依頼しようと李明博に賄賂を供与したと考えたのだ。
さてこれだけだろうか。
労組破壊犯罪で創造コンサルティングのシム・ジョンドゥが7年ぶりに拘束されたが、彼を操縦した現代・起亜車グループの鄭夢九(チョン・モング)・鄭義宣(チョン・ウィソン)はどんな処罰も受けなかった。
財閥体制の本質が再び浮かび上がっている。今、民主労総の財閥改革要求の中心は財閥のトップ拘束処罰と経営権の剥奪がなければならない。雇用問題を媒介にした保守右翼の跋扈について、本当の問題は、財閥体制にあることを明確にすることにより、労働者、民衆の生存権獲得闘争と財閥体制の清算政治闘争をしなければならない。

財閥体制清算のゼネストへ


三星や現代起亜自動車、SK、大韓航空・アシアナ、新世界(シンセゲ)・イーマートなどの財閥と立ち向かって闘う労働者たちは多い。
問題は、ろうそく以来、財閥体制の清算闘争を全面的な政治闘争に発展させることができなかった結果、このすべての労働者たちが散開されたままで戦っているということだ。李在鎔などの犯罪集団の首長らが経営復帰に乗り出している。
下半期財閥体制の清算の闘争が成功しない場合、財閥体制の清算という目標は約束できないほど疎遠になることもある。
犯罪、オーナー一家の拘束処罰と経営権剥奪を向けた商法改正、自社株―持株会社を活用した3世への継承の遮断、財閥の大手企業非正規職の使用禁止や雇用義務制の導入、財閥、労組破壊の厳重処罰と労組破壊企業特別税務調査などを、下半期国会や国政監査はもちろん、対政府要求に掲げなければならない。
この要求をもとに、財閥と闘う労働者、民衆を集めて、再び財閥体制の清算の闘争に火をつけなければならない。
2016―2017年、ろうそく抗争がなかったことになっていないためのカギが、まさしく今、労働者、民衆主導の財閥体制の清算闘争を形成することにある。
民主労総は11月のゼネストを予告した。
本当にこれを実現したい場合は、犯罪、オーナー一家の拘束処罰と経営権剥奪を筆頭にした財閥体制の清算要求として下からの闘いを組織しなければならない。


もどる

Back