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    かけはし2018年10月22日号

ユニクロは発注者責任を果たせ


インドネシアの労働者が来日・抗議

苛酷な搾取・使い捨て許さない

10.13

公開講座:「サプライチェーンの労働問題を考える」

ユニクロは責任を取れ!

インドネシアの労働者が怒りの訴え


ユニクロは何を
して来たのか
 「サプライチェーンの労働問題を考える―ユニクロの下請労働者がインドネシアから補償を求めて来日」という公開講座が、明治大学労働教育メディア研究センターとサプライチェーンを考えるネットワークの共催で、一〇月一三日に明治大学のアカデミーコモンで行われた。
 自社工場を持たないユニクロなどのアパレル・ブランド会社は、自社ブランド製品の生産は労働力が安価な国々に委託するということに依存してきた。ユニクロはインドネシアのジャワ島にある二つの工場でアパレル・ブランド製品を生産してきたジャバ・ガーミンド社(労働者四〇〇〇人で九〇%が女性)に、一二年一〇月から一四年一〇月まで生産委託を行ってきた。そしてピーク時には生産量の三〇〜四〇%をユニクロ製品が占めることになった。
 低賃金と長時間労働に加え、ユニクロからの生産委託後は労働密度と生産管理が一段と厳しくなり、一三年一〇月にタンゲラン市のチクパ工場で戦闘的な金属労組連盟に加盟する労働組合が結成された(二つの労働組合があり組合員は計二〇〇〇人弱・金属労組系はその四分の三強)。しかし会社側は組合つぶしに奔走することになる。妊婦の不当解雇や労組指導部を清掃員としてジャカルタに配置転換してその後、解雇するなど違法行為を繰り返した。そしてユニクロなどからの発注量減少にあわせて、次々と労働者を大量に違法解雇し、一五年二月にマジャレンカ工場の操業を停止し、四月には破産宣告して工場を閉鎖してしまったのであった。
 管財人は労働者側は未払い賃金・退職金など総額一〇〇〇万ドルを受け取る権利があると定めたが、資産売却総額は四五〇万ドルにとどまった。労働組合は残りの五五〇万ドル(約六億円)を「生産委託していたブランド側が生産量に応じて補償・負担すべきだ」と要求しているのである。ユニクロの回答は「すでに取引が終了している」という冷淡なものだが、FWF(公正衣服財団)からの圧力もありドイツのジャック・ウォルフスキン社は一部を支払っている。
 こうしたジャバ・ガーミンド労組の国際的な争議を支援しているのは、世界で二五〇の労働組合・労働NGO・市民団体などが加盟しているCCC(明るく正しい服キャンペーン)だ。ユニクロキャンペーンは一七年初めから世界的に展開されてきた。
 今回の行動は一〇月七日から一四日までの一週間で、来日したインドネシアのジャバ・ガーミンド労組委員長のテディ・プトラさん、女性労組員のワーニ・ナピツゥプルさんとCCCスタッフらが先頭に立って、日本の厚生労働省での記者会見と交渉、銀座と新宿にあるユニクロ店舗前でのアピール行動、セミナー・講座の開催などが実現されてきたのであった。

女性の権利の
ための闘いだ
公開講座ではテディ労組委員長が争議の経過報告を行い「ユニクロも責任を取るべきだ。来日しても柳井社長には会えなかったが、これからも行動を起こしてほしい」と訴えた。ワーニさんはユニクロからの生産委託によって労働環境がより苛酷になったこと、失業して生活も子育てもままならない状態になっていることを涙ながらに報告して「ユニクロは私たちの退職金を払ってほしい」と訴えた。
WRC(労働者の権利国際協会)インドネシアスタッフのムチャマド・ダリズマンさんは、「インドネシアにおけるサプライチェーン労働者の現実」について報告した。報告は@労組活動が活発なジャカルタ工場地域から、より低賃金で労組がない中部ジャワ地域に工場が移転されている。そこでは不当解雇が続発している。Aブランド力は生産委託にとって極めて強力である。ブランド会社はより良い労働条件を提供し保証する責任がある。インドネシアでもアディダスが一八〇万ドル(二億円)分の未払い退職金を支払った例もある。
CCCのミリヤム・ファン・フートンさんは「世界のサプライチェーンとCCCの活動」について報告した。@三〇年間の活動で約五〇〇件ほどの問題に取り組んできたが、そのほとんどが工場閉鎖だ。バングラデシュでは工場火災・工場倒壊事故もあった。Aブランド本社のある国での活動が重要だ。行動指針を実現させるためにも市民圧力を強めなければならない。B世界の衣料労働者の八〇〜九〇%が女性である。女性の権利のための活動でもある。
CCC東アジア運営委員で横浜アクションリサーチの遠野はるひさんは「日本で何ができるのか」として、「日本の関係省庁がサプライチェーン労働者の声を聞いたのは今回が初めてのケース」だとして、こうした活動の重要性について指摘した。今回の講座では約六〇人の参加者から集まったカンパがジャバ・ガーミンド労組に贈られた。最後に全員で記念写真を撮って講座を修了した。

過去最高の利益
上げるユニクロ
ユニクロを展開する「ファーストリテイリング」は一〇月一一日、柳井正会長兼社長の長男と次男を取締役に就任させる人事を発表した。同族経営を強めて世襲の準備に入ったようだ。また同日に発表された一八年八月期連結決算によると、売上高は前年比一四・四%増の二兆一三〇〇億円で、最終利益は二九・八%増の一五四八億円でいずれも過去最高を更新したという。
ユニクロにはインドネシア労働者を補償する能力も資金も十分にあるということだ。ユニクロは社会的・人道的責任を果たせ!(R)

10.10

ユニクロ銀座店前で抗議行動

在日外国人労働者と合流

海を越えた連帯の意思

一〇月一〇日にはユニクロ銀座店前で、ジャバ・ガーミンド労組委員長のテディ・プトラ委員長、解雇された女性労働者当該のワーニ・ナピツゥプルさんを先頭に、ユニクロによる未払い賃金の支払いなどを求める行動が行われた。東京総行動の一環として行われたこの日の集会では、全国一般東京南部、神奈川シティユニオン、全統一労組、郵政産業労働者ユニオンなど在日外国人労働者をふくめて一五〇人の労働者が参加し、柳井社長らとの面会、未払い賃金の支払いなどを求める行動を行った。
 ワーニ・ナビツゥプルさんは、まだ小さい子どもたちを抱えて解雇され、満足に食事も与えられない窮状を涙ながらに訴え、ユニクロの柳井正社長の責任を追及した。インドネシアのユニクロ工場で働く労働者の九〇%以上は女性であり、一家を支える役割を担っている。彼女の訴えは多くの共感を得た。東京の総行動に参加した韓国・インチョンの自動車工場の季節工の仲間も「職場・課題は違っていても目的は同じ」とエールを送った。 (K)

インドネシアの労働者は訴える

ユニクロは賃金を払え

逃げることなんかできないぞ

 

テディ・パトラ委員長の発言

責任逃れは許さんぞ

 私は今年で三六歳になる。五人の子どもの父親だ。二〇一二年から一五年にかけてユニクロ製品を作って来た。私は工場でニット製品をつくる部門で働き、組合長もやってきた。
 二〇一二年からユニクロの契約が入り、工場の労働者数は二〇一三年にかけて五〇〇〇人に増大した。うち九〇%が女性だった。その時期にはユニクロだけではなく多くの海外ブランドから受注していた。
 工場全体の生産目標はどんどん上がっていた。二〇一三年にはジャバ・ガーミンドの新しい工場ができた。その生産の八〇%はユニクロ向けだった。
 労基法を遵守することは困難だった。監査が入っても労働条件は改善されなかった。賃金は最低賃金を下回る水準だ。二〇一三年の最低賃金は月額二二〇万ルピア(日本円で約二万円)だったが支払われた月額給与は一八〇万ルピアだった。二〇一四年の最低賃金は二四四万ルピアだったが支払い額は二二〇万ルピア、二〇一五年になって、ようやく最低賃金額が支払われた。
 その間、組合つぶしも続いた。二〇一三年一〇月には九人の組合リーダーが配置転換され、二〇一四年九月にはリーダーが解雇された。刑事告発された組合リーダーもいた。その後も幾度かの解雇処分が出た。
 二〇一五年四月には工場が閉鎖されたが、一年間、労働者による自主的運営が行われた。ユニクロによる未払い賃金は日本円にして五・五億円にのぼる。私たちはインドネシアのユニクロの前で抗議の行動を行った。しかし柳井社長とは会えていない。

ワーニ・ナピツゥプルさんの発言

私たちの窮状は誰のせい?

 女性労働者に課された生産ノルマは極めて厳しいものだった。妊娠中も配慮されず、厳しい生産目標が課された。生産目標が優先されたのだ。長時間労働が強制され母乳を与える時間もなかった。
夫が急病で入院し、見舞いに行きたいと言っても、行かせてくれなかった。毎日の生産目標が達成されていないから、というのだ。しばらくして夫は病院で亡くなった。二人の子どもが残された。私は子どもを別のところに預けて働かなければならなかったがユニクロはこうした状況を全く無視した。そしてユニクロは一方的に契約を打ち切った。
再就職活動をしているが年齢を口実に断られ続けている。
今、小学生の子どもと二人で暮らしている。しかし一日日本円で五〇〇円以下の収入で、食費、家賃、学費もそこから払わなければならない。
どうか、私たちを助けて下さい。(発言要旨)

 

 【訂正】本紙一〇月一五日号1面「紙面案内」欄の「平和憲法を生きる荒川の会」を「平和憲法を守る荒川の会」に、同2面「荒川の会」報告の写真説明の「中村光夫さん」を「中村光男さん」に訂正します。
 一〇月八日号2面、ATTAC公共サービス研究会の報告記事の4段目「アルバイト青年権利条例」を「アルバイト青年権利章典」に、「弱者労働者」を「労働者としての権利や利益が保護されていないために持てる能力を発揮できない労働者」に訂正します。(編集部)

 




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