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    かけはし2018年10月22日号

自立的労働組合敵視あからさま


中国

労組結成活動が残忍な弾圧に遭遇

エレイン・フイ

 今年夏中国では、労働者の団結権をめぐる争議として大きな注目を集めた労働者の闘争が起き、日本のメディアでも報じられた。日本での報道の焦点はどちらかと言えば、学生が支援にかけつけたという点と中国当局による弾圧にあったが、その全体像は必ずしも伝えられていない。米国の自立的な労働運動情報媒体である「レーバーノーツ」からIVに転載された、米国の研究者による報告を以下に紹介する。(「かけはし」編集部)

合法的申請でも
自発的は認めず


 深?のジャシック・テクノロジーで今年夏、労働組合結成のための一週間続いた闘争の中で、五〇人以上の学生と労働者が逮捕された。
 この夏、中国の製造産業中枢地である深?で、労働者の一団が極めてまれなことに挑んだ。彼らは、労組結成のために法的手続きに従おうとしたのだ。諸大学の学生たちは、非常に大きな支援を与えた。しかし雇用主と中国政府は、解雇、拘留、監視、さらに投獄の脅しを使って、労働者と学生両者に弾圧を加えた。
 溶接装置製造企業である深?ジャシック・テクノロジーの労働者は、五月に労組結成の手続きを開始した。彼ら内部の最大の不満は、恣意的な罰金、および家を借りたり買ったりする労働者を支援する政府管理の基金に対する、会社の拠出不足だった。
 労働者は労組結成の法に従った。そこには、政府が支配する中華総工会(ACFTU)に加盟する上級レベルの労組連合への申し入れ、およびそこからの許可受け取りが含まれている。
 労働紛争の上げ潮に対応して、ACFTUは二〇〇〇年代中盤以来、特に外国からの投資企業の中に、上からの方式で以前以上に職場支部を建設してきた。しかしこれらの労組は、労働者を代表する点では悪名が轟くほど機能を果たさず、代わりにレクリエーション活動の組織化や休日にちっぽけな贈り物を贈ることに焦点を絞った。それらは主に、先回りして組織化する役に回っている。
 その上でも、深?株式市場に上場されているジャシックを含めて、多くの企業は今なお未組織のままにある。問題の会社はこの工場で一〇〇〇人の労働者を雇用している。

「われわれは小さ
な虫のようだ」


 労働者が労組結成のために署名を集めた後、この地区の労組連合と会社は七月、彼らの活動を違法だと強く非難した。会社が、労働者の活動を出し抜くために、すぐさま一つの労組を作ったからだ。
 ジャシックは、労組支持者の職務を変え、もっとも活動的な労働者六人を解雇した。解雇された労働者は七月二〇日、仕事に戻る行動に挑んだが、殴打を受け、警察署に連行された。警察署に抗議しに出かけた他の労働者と支援者二〇人も逮捕された。
 「経営者は何十億元(数億米ドルに相当)ももっている。それなのにわれわれは、二〇から三〇元(三〇〇〇―四〇〇〇ドル)稼ぐためだけでも、一年中骨を折って働いている」「昇給を求めたとして、またわれわれの賃金からの違法な控除を取り戻したとして、どこが間違っているのか」、元のジャシック労働者は抗議行動の発言でこう語った。元の労働者は、警察に訴えつつ「経営者がわれわれはトラブルをつくり出しているという場合、あなたたち、警官はそれを信じる。そして工場に急行し、われわれを殴りつけ、警察署に連行する……。あなたたちには、われわれが踏まれるのを待っている小虫であるかのように見えている」と付け加えた。

ウェブサイトに
よる脚光の中で


 ジャシック労働者の闘争は、中国内で相当な注意を引きつけた。労組結成という彼らの要求は、賃金引き上げ、年金保険への拠出、あるいは工場閉鎖や工場移転に関係する補償を求める要求よりもはるかに普通ではない。実際後者の要求は、近年の中国における何千件という労働紛争の焦点となっていた。しかしジャシックの闘争は、「中国労働ブレチン」のストライキ地図に、二〇一七年九月から二〇一八年八月の間に記載された一七四五件の労働者による集団行動のうち、労組結成に関する事例としては唯一のものなのだ。
 中国のソーシャルメディアプラットホームを通してことが知れ渡ったことが、習近平の下でのますます高まる抑圧的な政治環境の中での、諸々のストライキや労働紛争に関する主流メディアの報道管制を打ち破った。この闘争を学ぶ中で、他の工場の労働者や国中の大学の学生が、ジャシックの労働者を支援しようと深?に殺到した。「学生は明日の労働者だ」「人々は私に、私がここにいるのはなぜか、と尋ねたが、私は、ここに私がいない可能性はどれほどか? と彼らに聞き返した」、北京から来た一人の学生は一つの抗議行動の場でこう語った。

広がる支援にも
弾圧が向けられ


 支援のほとばしりに困惑を覚えた政府は七月二七日、二九人の労働者と支援者を逮捕した。かけられた容疑は「けんかをふっかけたことおよびトラブルを引き起こしたこと」だが、それは抗議行動を押さえつけるために政府が多くの場合利用する刑事罪状だ。
 この弾圧に対して、労働者と学生は、全拘留者の釈放と労働者の団結権尊重を求めるために、一つの支援グループを結成した。何千人という労働者と学生がオンライン請願に署名した。
 政府の代弁者である新華社通信は、労働者の行動に便宜を図る二つの労働NGO(米国内の各地にある労働者センターに似たもの)――深?を本拠とする打工者と香港を本拠とするワーカー・エンパワーメント――をスケープゴートにしようとしてきた。政府は、打工者スタッフメンバーと登録された代理人を逮捕した。中国政府は二〇一五年、これらのものに似たグループへの弾圧に乗りだし、それらに、国の安定を掘り崩そうともくろむ外国から資金を与えられた組織、との汚名を着せてきた。
 八月二四日夜明け前、楯をもった完全装備の機動隊があるアパートになだれ込んだ。そこには支援グループメンバーが滞在していたが、そこで五〇人以上の学生と労働者が逮捕された。
 同日北京では、支援グループに参加していた二人の労働者と「パイオニア」という名のウェブサイトの活動家二人が逮捕された。ちなみに先のウェブサイトはこれまで、闘争に関する最新版をしばしば発表してきた。

国際的な連帯の
呼びかけが進行


 その後拘留者のほとんどは釈放された。しかし四人のジャシック労働者は依然獄中にあり、刑事罪状に関する裁判を待っている。他の工場の労働者二人と六人の活動家は、未だ拘留下に置かれ、彼らも刑事訴追を前にする危険が高い。一方で釈放された学生は、彼らの大学から懲戒処分を受け、彼らの家で警察の監視下に置かれている。
 拘留された者たちの多くは、弁護士と面会する権利を否認されている。政府は同時に、彼らの代理人になる意志をもつ弁護士に変わることなく嫌がらせを加え、彼らを脅迫することも行ってきた。一定数の弁護士は、事件に関与した者は彼らの弁護士認可が危険にさらされるだろうとして、当局から警告を受けた。
 香港、ドイツ、米国では連帯行動が組織されてきた。逮捕された労働者と学生の釈放を求める、署名が可能なアピールが発表されている。

中国労働者活動
家の報告ツアー


中国の労働者活動家が今、「ストライキと監視:中国における工場再配置に対する抵抗」という著作について語るために米国を旅している。この著作は、中国人労働者が「米国人の仕事を盗んでいる」との神話に反論して、珠江(香港とマカオの間を通って南シナ海に注ぐ大河:訳者)デルタにおける工場閉鎖の最新の波、そして仕事と年金と生計を確保しようとの、そこでの労働者による闘争を文書にしている。この催しは、中国の労働運動発の最新ニュースを聞く機会にもなるだろう。(レーバー・ノーツより)

▼筆者は、ペンシルバニア州立大学労働・雇用関係学部の教授。(「インターナショナルビューポイント」二〇一八年一〇月号)  

朝鮮半島通信

▲ポンペオ米国務長官は10月7日、平壌を訪問し、金正恩朝鮮労働党委員長と会談した。また同日中に韓国に移動して文在寅大統領とも協議した。
▲朝鮮と韓国は10月5日、2007年の南北首脳宣言(10・4宣言)11周年を記念する共同行事「10・4宣言発表11周年記念民族統一大会」を平壌で開催した。同宣言を記念する行事を南北が共同で開くのは初めて。同大会には、朝鮮側から金永南最高人民会議常任委員長や李善権祖国平和統一委員会委員長らが参加。韓国からは趙明均統一部長官や盧武鉉財団理事長でもある李海チャン・共に民主党代表らが参加した。大会では、今年の南北首脳会談で発表された「板門店宣言」と「9月平壌共同宣言」の履行を訴える共同アピールが採択された。
▲韓国の李洛淵首相は10月9日、ハングルの制定を記念する「ハングルの日」の式典で、韓国政府主導で朝鮮と辞書の共同編集に乗り出すことに意欲を示した。南北による辞書の共同編集は盧武鉉政権でも企画されたが、同政権交代によって頓挫していた。
▲韓国元大統領の李明博氏が収賄罪などに問われた裁判で、ソウル中央地裁は10月5日、判決公判を開き、懲役15年、罰金130億ウォン、追徴金82億7千万ウォンの実刑判決を言い渡した。
▲韓国軍が「国軍の日」と定める10月1日、ソウルの戦争記念館で記念式が開かれた。韓国軍はこれまで5年に1度、軍事パレードを実施してきたが、今年は実施されなかった。


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