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    かけはし2018年11月5日号

あまりにも人権無視の取り扱い


10.19学習会「日本の難民問題と入管問題」

抜本的政策転換が必要

 一〇月一九日午後六時半から、東京・連合会館で「日本の難民問題と入管問題」の学習会が 主催:「国連・人権勧告の実現を!」実行委員会で行われた。参加者の大半が若者たちで、講演の後の質疑も活発に行われた。それは余りにも過酷な入管収容者の実態に対する怒りといらだちと現状を改善したいという思いからだった。
 難民申請者の九九%以上を受け入れず「難民鎖国」と呼ばれる日本。帰国できない事情をもつ外国人を、無期限に収容し、精神的な拷問にかける日本の入国管理局。何が起きているのか。どうしてそうなるのか。入管収容者との面会や抗議活動の経験をもとにSYI(収容者友人有志一同)の柏崎正憲さん (報告別掲)と織田朝日さんが報告した。

人間として扱わ
れない被収容者
二〇〇四年から収容者支援活動を始めた織田さんは活動内容を報告した。
「週一ぐらい、収容者との面会を行っている。『移民』として来ただけで、犯罪者ではない。無期限収容が苦しい。食事に毛が入っている。ご飯が冷えていて、虫が入っている。おかずは毎日コロッケ。魚が腐っている。これを職員も認めてはいた。サラダはよく洗っていないのではないか。入管当局は抗議に対して、職員も同じものを食べていて、問題はないと回答している。外から差し入れができない」。
「病気になっても、外の病院を受診するのに最低二カ月待たされる。重病者は監視カメラ付きの部屋に入れられる。スリランカ人が一週間で身体が弱った。体がボロボロになり目がどこに向いているか分からない状態のまま病院で死亡が確認された。乳がんと分かったら放り出された」。
「難民として本国から迫害を受けてきた。本国に帰れないから収容所に残った。入管は難民なしを前提にやっている。職員のいじめや屈辱的態度。『外国人は嫌いだ』と公言する職員もいる。日本の入管行政は中世のようだ、と外国から批判されている」。
「二〇一六年、東京オリンピックが決まってから、方針を変え収容を厳しくした。県外に出るには入管の許可がないと出られない。違反すると収容される。面会時に子どもをだっこすることもできない。保険もない、住民票もない。まるで『幽霊か透明人間』のような扱いだ」。
「仮放免申請には住所、保証人、保証金が必要。違反があれば保証金の半分を取られてしまう。八方ふさがり。大変なのは残された家族、女性や子どもたち。子どもは学校を休んで面会するしかない。そうすると学校でいじめに合う」。
「六月二〇日は世界難民デーだった。日本も難民条約を批准している。二〇一七年から三年間、日本は国連人権理事国になっている。『オリンピック開催までに人権大国をめざす』と日本は言っているがどうだろうか。二〇一四年の国連人権委員会から、日本は問題がいっぱいあると指摘され、今年も改善していないと勧告があった。ヘイトスピーチ解消法が成立しても、日本第一党は『移民を認めない』と全国で街宣活動を行っている。違法外国人とされた人たちは人生を奪われている。やりきれない思い、でもあきらめたら終わりだ」。

世界人権デーに
集会とパレード
質疑応答で、「抑圧政策を取る入管行政を訴える機関はないのか」という質問に対して、「国連高等弁務官事務所などがあるが、個人的なことに関しては取り上げないとしているので、力にならない」との答え。「諸外国はどうか」に対して、「スイス、スウェーデン、イタリアなどヨーロッパは保護するという感覚で、食事もよく、外出できる、中からアクセスできるなど日本とはまるで違う扱いがされている」との答え。
最後に主催者の森本さんが「一二月一〇日の世界人権デーにちなんで、一二月一五日青山学院で講演会そして、その後パレードを行うので参加してほしい」と呼びかけた。移民・難民問題の解決、入管行政の抜本的転換を何としても早急に行わなければならないと強く思い知られた学習会だった。 (M)

柏崎正憲さんの報告

入管管理局の過大な権限が問題
技能実習生・留学生搾取容易に


SYIは、日本の排外的な入国管理政策、とくに入管収容に反対する任意団体として、二〇〇九年一二月に発足した。活動内容は収容者との面会(東京入管、東日本入管センター=牛久入管)、非正規滞在の外国人支援、デモ、集会など。
?入管収容施設で何が起きているのか?問題の要因は何か?なぜ日本の入管はこんなにも排外的で非人間的なのかについて話します。

入管収容施設で何が
起きているのか
無期限の収容。入管収容施設は、退去強制(強制送還)を命じられた外国人が送還まで一時的に宿泊する施設、という建前。ところが入管法には収容期間の定めがない。
人権侵害の温床。収容所での処遇は、総じて抑圧的。不当な扱いに対して争う有効な制度もなく、被収容者には人権の保障が実質上ない。収容施設では、刑務所のように厳しい規則と監視によって日常生活を縛られている。外部者との面会や通信も大きく制限され、自分の通信機器は使えない。食事の質も低く、腐った食材が混ざっているという当事者の批判は絶えない。被収容者にたいする職員の態度はしばしば侮辱を感じさせるものだ。
もっとも深刻な問題は、収容期間が無限なのに、医療へのアクセスが実質的にほとんど保障されておらず、医療放置が常態化している。非常勤医師がいるものの、痛み止めや睡眠薬のような治療ではなく気休めの薬しか処方しない。外部診療を求めても許可されるまでに一、二カ月待たされることが通例になっている。重病を患えば、命すら危険だ。昨年三月、ベトナム人被収容者が脳出血で亡くなった。苦しみのなかで緊急医療を求めた彼の叫びに職員は応じなかった。

難民申請しても
最初から無視
難民審査が終わっていないのに収容。難民申請中のコンゴ(民主共和国)国籍の女性。今年で日本在留一〇年になるのに、難民審査の結果が出ていない。来日後、同じくコンゴ出身の配偶者との間に二人の子をもうけた。今年一月、女性は子どもとともに病気にかかり、在留資格の更新日に出頭できなかった。事情を入管に説明し、医師の診断書も提出したが、女性と子どもは在留資格を奪われ、さらに女性は収容されてしまった。
空港で難民申請したのに収容。初来日で、空港のゲートで難民申請の意志を表明したのに、ゲートの通過すら許されず収容される人は多くいる。

「自費出国」を
強制される!
収容と強制送還の関係。無期限の収容に耐えかねて、多くの被収容者が自費による送還に同意させられる。統計によれば、九割以上が自費出国。入管は事実上、無期限収容を強制送還の主要な手段として利用している。
送還に抵抗する移民・難民。さまざまな理由から送還を拒否し、そのために半年、一年あるいはそれ以上も収容され続ける人がたくさんいる。この人たちを非正規移民という。彼らの多くは、日本国内に家族を持つ、日本で生まれたか幼少期から日本で成長した、長期在留のため出身国に生活基盤がないといった、日本に在留する強い理由をもつ。難民申請者。難民認定をほとんどしないため、やがて「不法残留」の状態に追いやられ、それに耐えながら暮らすことを強いられる。
仮放免。被収容者は仮放免を申請できる。保証金を預けて解放される。仮放免者は移動の制限、就労の禁止、社会保障や大部分の公的サービスから排除といった苛酷な条件を強いられ、再収容の危険にもさられる。そのような状態で一〇、二〇年暮らしている人もいる。

オリンピック
開催を口実に
二〇一六年ごろから、仮放免者の再収容の増加、そして収容の長期化が進んでいる。それにともない収容中に心身の深刻な病気をわずらう人、自殺や自傷を試みる人が増えている。「もうすぐオリンピックだから」と入管行政を厳しくしている。二〇一五年九月、二〇一六年九月および今年二月に、法務省入管局長は、仮放免者の監視を厳しくする通達および指示を出している。来年四月に、入管局は入管庁に格上げされる。
労働力としての移民受入れ派と、移民排除派との妥協によって、いまの理不尽な入管政策が成り立っている。外国人をいつまでも外国人として「管理」し、それに従わない場合にはいつでも「不法」化できる、入管管理局の過大な権限が根本問題。現在の入管体制は、技能実習生や留学生の搾取を容易にする構造をなしている。(技能実習生問題と入管体制の歴史的問題については略した。発言要旨)

10.19

総がかり行動などが主催

国会前行動に2900人

沖縄と共に改憲STOP

 一〇月二四日から始まる臨時国会を前にした一九日、安倍九条改憲NO!全国市民アクション実行委員会と戦争させない・九条壊すな!総がかり行動実行委員会が主催する「安倍九条改憲NO!辺野古新基地建設は断念を!安倍政権退陣!」国会議員会館前行動が、冷たい雨が降るなか行われ、歩道を埋めつくす二九〇〇人が結集した。
 改憲許すな・沖縄連帯・原発いらない・アジアの平和などの力強いコールが続けられ「安倍政権を必ず倒そう!」という参加者の思いが国会に向かって響きわたった。
 集会ではまず三人の国会議員から発言を受けた。社民党の福島みずほさんは沖縄知事選勝利の意義を強調して、安倍政権による九条改憲は「戦争するための自衛隊にすることだ」と厳しく批判した。立憲民主党の菅直人さんは「安倍改憲を発議させない」と決意を述べ、原発ゼロ基本法の成立をめざそうと訴えた。共産党の田村智子さんは「沖縄の人々が強権政治を打ち破った共感が全国に広がっている」として、「大義のある共同と共闘で沖縄のように勝利しよう」と訴えた。

大義ある民衆の
連帯が勝利の力
主催者を代表して発言した小田川さんは、沖縄知事選は安倍政権への痛打となったが、改憲や辺野古新基地建設などが強行されようとしているとして、「市民と野党の共闘で安倍政権を追い詰めよう」とアピールした。
沖縄では知事選に続いて那覇市長選でも、辺野古新基地建設に反対する「オール沖縄」が圧勝した。私利・私欲からではなく、平和と平等な世の中を求める大義ある民衆の連帯と団結は勝利することができるという道を、沖縄の民衆が切り開いたのだ。沖縄の反基地・反戦平和の闘いを全国的に支援しながら、九条改憲を阻止しレイムダック状態に入り始めた安倍政権の打倒を実現しよう。   (R)


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