もどる

    かけはし2018年11月5日号

安倍政権は辺野古埋め立て中止せよ


沖縄報告 10月28日

防衛省と国交省は自作自演の談合をやめよ

沖縄 K・S

法のねじ曲げ許さない

安倍政権は法治を破壊するな


 一〇月二四日、沖縄県は国交省に対し、沖縄防衛局が県の埋め立て承認撤回に対して国交相に申し立てた執行停止に対する意見書を送付した。処分庁として、沖縄県知事玉城康裕(デニーさんの本名)、代理人の弁護士は、加藤裕、仲西孝浩、松永和宏、宮國英男の四人が並んだ。意見書の中で県は、「本件執行停止申し立てを却下する。との決定を求める」として、理由の第一に「沖縄防衛局長中嶋浩一郎のした行政不服審査法の規定による執行停止申し立て」が、国の「固有の資格」で受けた埋立承認に関するものであり、行政不服審査法による「申し立ての適格を欠き不適法である」ことをあげた。

行政不服審査制
度を利用するな
行政不服審査制度は国や地方公共団体による様々な行政処分に対し国民が不服申し立てできる制度である。年間一〇万件を越える行政不服審査の受付状況は、二〇一四年度の多い順に、社会保険、生活保護、国税、新幹線整備、情報公開、出入国管理、労災、介護保険、道路交通、高齢者医療などとなっている。
二〇一六年に施行された改正行政不服審査法は第一条の目的の項で、「国民が簡易迅速かつ公正な手続の下で広く行政庁に対する不服申立てをすることができるための制度を定めることにより、国民の権利利益の救済を図るとともに、行政の適正な運営を確保することを目的とする」と書いた。
新基地建設は国の事業だ。公有水面埋立法に基づく沖縄防衛局の県に対する埋立承認申請と仲井真元知事による二〇一三年の埋立承認、翁長雄志前知事による二〇一五年の埋立承認取り消しとその後の裁判など一連の攻防は、新基地建設という国の事業をめぐって行われた。日本政府の名宛人となった沖縄防衛局長は一般の私人ではない。行政不服審査法には「国の機関」に「この法律の規定は適用しない」と明記している。防衛局は行政不服審査制度を利用する資格がない。沖縄県の埋め立て承認撤回が不服なら、沖縄県との行政上の話し合いを進めるか、裁判に訴える以外方法がない。
安倍官邸が国であるのに一般私人を偽装し、同じ内閣の構成員である防衛省が国土交通省に申し立てをするという「自作自演」を行ったのは「簡易迅速」に手続きを進めることができると考えたからである。行政不服審査制度は、「国民の権利利益の救済」が目的であって、政府が地方自治体の反対を押し切り国策を押し付けることを合理化する手続きではない。沖縄県の承認撤回に対する沖縄防衛局の行政不服審査制度を用いた国交省への審査請求・執行停止申し立ては、国家権力を掌握する者たちによる法律の悪用、行政の私物化以外の何物でもない。

執行停止の要件
は認められない
県の意見書は、執行停止申し立ての却下を求める理由の第二に、「重大な損害を避けるために緊急の必要性がある」との執行停止の要件が認められない、と指摘した。沖縄防衛局は一〇月一七日、国交省に承認撤回に対する審査請求と共に執行停止を申し立てた。しかし、防衛省も国交省も審査請求書、執行停止申立書の公開をしなかった。報道機関にも文書を配布しない理由について、防衛省の担当者は「そこまで判断は至っていない」と述べた。メディアや国民は知らなくていい、というわけだ。一〇月二六日になって公表した。沖縄県は一〇月二四日提出した意見書をHPに全文公開している(知事公室辺野古新基地建設問題対策課)。
防衛局は執行停止申立書で「重大な損害を避けるための緊急の必要性」を次のように主張した。「法的安定性が特に要請される埋立承認処分が撤回されることによって、埋め立て事業をしうる法的地位が失われる状態が継続することはきわめて重大な損害を生じる」として、@警備費や維持管理費など一日あたり少なくとも二〇〇〇万の経済的損失を生じる、A辺野古新基地は普天間飛行場の代替施設であり、埋め立て事業の遅延は普天間の危険性を放置することになる、B埋立事業が再び長期間中断したまま見通しが立たなくなることは日米間の信頼関係を損ない、日本の安全保障を脅かすので、損害はきわめて深刻だ。

元知事の埋立
承認が間違い
五年前、当時の仲井真知事に、辺野古に新基地は造れないという公約を覆させ無理やり埋立承認をさせたことがそもそもの間違いだった。安倍官邸は、知事の埋立承認さえ手に入れればあとはごり押しで新基地を造れると考えたのかもしれない。民意を軽んじる政権のおごり。「法的安定性が特に要請される埋立事業」であればなおさらのこと、政府ははじめからもっと慎重に民意に沿った判断をしなければならなかった。県の行政を含めた県民の反対と抵抗は今後も弱まることはないだろう。今からでも遅くない。政府は一刻も早く辺野古新基地建設を断念した方がいい。そうすれば少なくとも経済的損失はこれから増えることはないのだから。
しかし、安倍官邸は自主的に辺野古新基地建設を放棄することはないだろう。辺野古にしがみつき、県民の反発をさらに強くし、工事の停滞と破綻に直面し、全国の国民の支持を失って、内閣退陣に追い込まれるまで、「辺野古唯一」を言い続けるに違いない。五年前仲井真元知事から埋立承認を得た時、安倍や菅は得意げな表情をしていたが、実は民意を軽んじる傲慢な安倍政治の破綻の始まりだったのだ。
辺野古新基地が普天間飛行場の代替施設だという欺瞞を言うのはもうやめよう。防衛局が申立書で述べたように「普天間飛行場の全面返還が日米間で合意されてからすでに二二年以上が経過しており、同飛行場の周辺住民等の危険や不安、日常的な騒音は、一刻も早く除去されるべきだ」。 当時の橋本龍太郎首相が米国と合意した普天間飛行場の七年以内の返還計画には、新基地建設の条件はなかった。だから県民はこぞって歓迎した。既設基地内のヘリポートが言及されただけだったが、今日のような巨大な辺野古新基地計画につくり変えたのは駐日米軍と日本政府の日米合同委員会なのだ。安倍が仲井真元知事の埋立承認を引き出す際に条件として提示した普天間の五年以内の運用停止の期限が迫っている。普天間の危険性の除去が喫緊の課題だと思っているのなら政府は行動をもって示せ!
県の意見書は、執行停止申し立ての却下を求める理由の第三に、「職権での埋立承認取り消し処分が可能であり、適法である」ことを、公有水面埋立法等を援用して述べた。

行政法の研究者110人が
却下を求める声明

 全国の行政法研究者一一〇人は一〇月二六日、沖縄防衛局の行政不服審査制度を利用した審査請求と執行停止申し立てに対し、「辺野古埋立承認問題における日本政府による再度の行政不服審査制度の濫用を憂う」と、国交相に却下を求める声明を発表した。
声明は、「国が、公有水面埋立法によって与えられた特別な法的地位(「固有の資格」)にありながら、一般私人と同様の立場で審査請求や執行停止申し立てを行うことは許されるはずもなく、違法行為に他ならない」と指摘し、「審査庁としての国土交通大臣には第三者性・中立性・公平性が期待しえない」「国民のための権利救済制度である行政不服審査制度を濫用するものであり、法治国家にもとるもの」と厳しく批判した。
呼びかけ人は以下の一〇人。岡田正則(早稲田大教授)、紙野健二(名古屋大名誉教授)、木佐茂男(北海道大および九州大名誉教授)、榊原秀訓(南山大教授)、白藤博行(専修大教授)、徳田博人(琉球大教授)、人見剛(早稲田大教授)、本多滝夫(龍谷大教授)、山下竜一(北海道大教授)、亘理格(中央大教授)。
石井国交相は一〇月二六日の会見で「沖縄防衛局、沖縄県双方の書面の内容を検討し適切に対応する」と述べ、三年前と同様、防衛局の申請を早々に認めようとしている。政権内部の談合、行政の私物化を許してはならない。防衛省・国交省に全国から抗議を集中しよう。

10.26

沖縄防衛局の横暴を許さない

緊急抗議集会に350人

 一〇月二六日の昼休み時間、県庁前広場で、オール沖縄会議呼びかけによる「県の埋立承認撤回に基づき辺野古新基地建設断念を求める緊急県民集会」が開かれた。進行役は、オール沖縄会議事務局長の山本隆司さん。はじめに、「国は審査請求・執行停止申し立てを取り下げよ」などとシュプレヒコールをした後、伊波洋一参院議員があいさつに立った。
伊波さんは「国はアセスメント法に違反して工事を進めている。最大の問題は広大な藻場の喪失だ。国は移植を実施するとしながら、実際の工事において何もしていない」と強く非難した。糸数慶子参院議員は「昨日、うりずんの会で対防衛省交渉を行った。沖縄防衛局は県の承認撤回に対する対抗措置を取り下げよ」と述べた。オール沖縄会議現地闘争部会長の山城博治さんは「辺野古現地の大結集で工事を止めよう」と訴えた。
県議会会派「社民・社大・結連合」の照屋大河県議は「県民が示した民意を踏みにじる国に決して屈せず頑張ろう」とアピールした。会派「おきなわ」の親川敬県議は「政府のやり方は卑怯だ。安倍政権の強権に対し県民の力を結集しはね返そう」と訴えた。会派「共産」の西銘純恵県議は「デニー知事との会談で民意を受け止めると言いながらすぐに安倍首相は暴挙に出た。辺野古NO! 安倍政治NO!と東京で三万人規模の大集会が開かれる。沖縄の民意は全国の民意になる」と述べた。
そのあと、統一連の瀬長和男事務局長がアピール文を読み上げた。アピール文は、辺野古新基地白紙撤回を前提に、@国交省は違法不当な沖縄防衛局の請求を却下すべきこと、A工事に緊急性は認められず、むしろ埋め立てにより自然環境が破壊され公共の福祉に重大な影響を及ぼすことは明らかであるから、執行停止を認めないこと、B辺野古新基地反対の民意を尊重し、国は沖縄県との話し合いを真摯に行うこと、を求めた。
そして司会から、「いつ埋め立て工事が再開されるか分からない状況だ。一一月三日の辺野古現地での第一土曜日県民大行動に合わせて、国会前でも連帯の集会が開かれる。沖縄から高里鈴代さんが参加する。大結集を!」と行動提起が行われ、最後に、団結ガンバローで緊急集会を締めくくった。参加者は三五〇人。

10.26

辺野古埋め立てに関する県民投票条例

県議会本会議にて賛成多数で可決


沖縄県議会は一〇月二六日、辺野古の埋立の賛否を問う県民投票条例案を採択した。条例案は、賛成、反対の二択となっていて、賛否のいずれか多い方が有権者の四分の一を越えた時は「知事は結果を尊重し、首相と米国大統領に県民投票の結果を通知する」となっている。条例の公布から六カ月以内に実施される。県民投票に要する必要経費五億五〇〇〇万円余も合わせて可決された。自民、公明は賛否に加えて、「やむを得ない」「どちらともいえない」の二項を含めた四択の修正案を提案したが否決された。維新は採決時退席した。
沖縄県は県民投票に向けて期間限定の「県民投票課」を新設し広報活動にあたる。四一市町村のうち、糸満、宜野湾、うるま、石垣の四市は県民投票への態度を保留しているが、玉城デニー知事は「県民一人ひとりが改めて意志を明確に示す県民投票には意義がある。すべての市町村で実施されることが重要だ。保留している団体に対し協議を行っていく」と述べた。
安倍内閣の岩屋防衛相は、埋め立ての賛否を問う県民投票に対し、「辺野古が唯一に変わりはない」とコメントした。民意に耳を傾けない政権は必ず倒れる。


もどる

Back